最近、危機的な状況に陥っている案件(赤字・不採算事業)や、プロジェクトメンバーが組織の論理をあまり理解せずに進めてしまってあらぬ方向に進んでしまうことが多かったため、改めてマーケティングを学ぶ前に知っておいたほうがいい組織の話についてまとめてみたいと思います。
※いろんな見方がありますが、今回はマーケティング・ブランディングの視点ではなく、あくまでも組織の視点で言及します。
そこで本記事では、下記について解説いたします。
▼本記事で説明する内容
なぜ事業と組織は密接に繋がっているか
マーケティングを経営に実装するための3つの力
マーケティングを経営に実装する具体的な方法
事業がうまくいかない多くの理由は組織によるものである
まず、持論から述べると、事業の良し悪しが「マーケティング戦略が合っている・間違っている」で決まることってあまり多くないと思っています。それよりも「決めたこと・約束されたことが遂行されていない・やりきれていない」ということが多い。
少しでもロジカルな人がいれば「あるべき(計画)」は描けるのではないかと思っています。肝心なのはその描いた青写真を最後まで実行できたか?実行したあとに検証できているか?検証をもとに改善した新たな仮説をつくれているか?が大切なのですが、ここができていないことがとても多いように感じています。
だからこそマーケティング戦略の精度磨くのは(もちろん大切だけど)それなりに限度があって、というよりも決めた計画を最後までやり切る・やり抜くことが必要。そのやり抜けない根本に組織の問題があるのではないか、ということです。
ちなみに私が組織論をお話するときに流用するリンクアンドモチベーション社が提唱している組織症例一覧というものがあるのですが(下記)、自社はこれのどこに当てはまりますか?という話をすることがあります。
※画像の流用元の記事はこちら
スタートアップ、事業の多角化を進めるミドルステージ、歴史のあるレガシーな企業などの成長ステージと、全社・ミドル・現場のどの領域に問題が生じているのかを掛け合わせているためとてもわかりやすい表になっているかと思います。
ちなみに余談ですがファン度の高いブランドの共通点は以下の3つだと考えています。
逆にいうと、以下の行動をとってしまうことでブランド価値が下がってしまうとも言えます。
<なくなる> すぐに終わってしまう、リピートしようとしたら無くなっている、ということがない <一貫性がない・ブレる> ファンになった矢先、コミュニケーションが変わってしまう、あれやこれやに手を出し手広くやってしまう <人気(ひとけ)を感じられない> 機械っぽい、形式ばっている、マニュアルが見え透いてしまう
そのためにこそ、
小さくてもつづけることに意味がある
やっていいこと
ダメなことを決める
「機能<情緒・自己表現価値」を体現する
が必要になるのですがこの話はまた別の機会にしようと思います。
今回はブランド視点ではなく、ブランドを体現する組織にフォーカスしてまとめてみようと思います。
マーケティングを経営に実装するために必要な3つの「力」
私の結論はマーケティング戦略云々よりも、まずはやり切る・やり抜くことが大事、ということを考えているのですが、もう少し対局的に捉えて、マーケティングを経営に実装するためにはどうすればいいか?を考えてみたいと思います。
結論ファーストで言うと以下の3つが必要だと思っています。
私の場合、「中長期的施策の実行」「短期的施策の実行」「思考力・行動力・検証力」の3つに分けて考えています。
ではそれらは具体的にどんなことを指しているか?というと以下のように区分けをしています。
<中長期的> ミッション・ビジョン・バリュー、コンセプトの策定、マーケティング戦略の立案など <短期的> 広告運用、SNS、チラシ/ポスティング・ディスカウントキャンペーン <思考力・行動力・検証力> 考える力・行動に移す力・振り返り次に生かす力
これらの3つの実行力が経営に寄与するのではないか?ということです。それぞれ順を追って説明します。
中長期的な実行力
ここでは会社の根幹・根源とも言える「ミッション・ビジョン・バリュー」の策定、ブランドコンセプトの策定、マーケティング戦略の立案など指しています。
とても大切なことですし、はじめに決めなければならないことなのですが、議論している人たちが「なぜそう思ったか?」を知るためにそれぞれの人となりや人生観などを理解しなければならないため時間がかかります。
さらに中長期的な取り組み「だけ」を行なっていると、「進んでいる実感」があまりなく、焦ったく感じてしまい、せっかちな経営者だと「これになんの意味があるのか・数字にいつ反映されるのか」となってしまうこともそこそこあるため、中長期的な実行力だけでは物足りないことも生じてきます。
短期的な実行力
続いては短期的な実行力、ここでは戦術的な実行力を指します。具体的には広告運用、SNS、チラシ/ポスティング・ディスカウントキャンペーンなどが挙げられます。決められたタスクをきちんとこなしていくことに意味はありますし、「進んでいる実感」は中長期的な取り組みよりもはるかに感じてもらいやすくもあります。
短期的な取り組みは比較的効果が見えやすい一方で、近視眼的な問題・課題解決に寄ることが多く、根本的な課題は改善されないというのもまた現状です。私が相対する経営課題を持っている企業さんの多くはここの短期的な実行を重ねた結果、うまくいかず、部分最適も進まなくなってしまった、、というケースが多いです。
一見「進んでいる感」は出るのですが、根本的な問題は「経営者の人柄により退職者が相次いでいる」だったり、「儲かりづらいビジネスモデルによるもの」だったりするため、どれだけ広告運用でCPAを下げてもSNSフォロワーを集めても経営課題は解消されないということがあります(もちろんすべてではありませんけど)。
思考力・行動力・検証力
最後は考える力・行動に移す力・振り返り次に生かす力、です。
中長期・短期的な実行力すべてに影響を与えることにもなりますし、本来この力はコンサルタントやマーケティング支援などの外部の人たちの力ではなく、内製化していきたい部分だと私は思っています。
仮に施策を外部が実行したとしても、組織内で考える力・行動に移す力・振り返り次に生かす力がないと自律自走できないからです。
中長期・短期ともに「型」はありますが、その型を知るだけではなく自律自走することにこそ意味がある、そのように思っています。
1番必要なのは「思考力・行動力・検証力」
以上3つの力をまとめてみましたが、個人的に1番必要なのは「思考力・行動力・検証力」であり、この力が組織のハード(土台)となると思います。
では思考力・行動力・検証力が身についた組織・メンバーはどのような行動をとるか?というと以下のように表出してくるはずです。
【思考力】 ×「どうすればいいですか?」 「前例はあるんですか?」と質問が出る ○「〜してみたいんですが、良いですか?」と意見が出る 【行動力】 ×「〜があってできていません」と言い訳が出る ○「〜までに〜を行なっていく予定です」と途中報告が出る 【検証力】 ×「〜の数値(データ)が出ました」と現状報告が来る ○「〜の数値(データ)から読み取れることは〜かと思います」と仮説がたつ
全体として質問や報告に主体性が出る、ということです。ただの丸投げにならない。わからないから、ではなくわからないなりにやってみましたけどあってますかね?という気概が大事なのだと思います。
具体的にマーケティングを経営に実装するには
じゃあ具体的にどう進めるの?についてはこちらに持てる知識・情報を書き残したのでみていただけたらうれしいです。
前編・後編で4万字ほど書いたので、具体的な手解きは書き切ったのではないかと思います。ただ足りなくなったらまた書き足します!
それでもできない・わからないなどの不明点があればTwitter DMをいただいたり、質問箱にお寄せいただけたら回答します。
最後に
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
地方でマーケティングに携わるすべての人へまず伝えたいロードマップ、前提条件について書き出してみました。
今回まとめてみたのは「地方マーケティングに携わる上での心構え」みたいなもので、より実務的な内容は↓をお読みいただけたら嬉しいです。
また日々、私が地方でもがいている様子はメンバーシップでも公開しているので興味がある方は覗いてみてください。
本当に最後に:地方でお困りの事業者さんへ
もし私ができることがあればHONEまでお気軽にご相談ください。X DMでも、HPのお問合せフォームからでも、ブランドを強くする方法を一緒に考えたいと思います。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
【記事を書いた人】
株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。
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