
事業承継は、多くの中小企業が直面する重要な課題です。HONEにも、将来の見通しが立たず悩む経営者から多くのご相談をいただいています。
今回は、1919年創業の老舗傘メーカー・株式会社藤田屋の四代目(予定)として家業に戻ってきた藤田大悟様に、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)策定とその後についてお話を伺いました。
事業承継か消滅か。老舗傘メーカー「藤田屋」四代目の決断
――藤田屋さんの事業について、あらためて教えていただけますか?
藤田大悟さん(以下、藤田さん):弊社は静岡市で1919年に和傘製造卸商として創業しました。1952年に和傘から洋傘製造に移行し、現在は雨傘・晴雨兼用傘・日傘の企画製造・卸売・販売を行っています。従業員30名(正社員10名)ほどの規模です。
静岡市に店舗を構え、郊外に物流センターを持っています。

――藤田さんはもともと家業を継ぐ予定だったのですか?
藤田さん:正直に言うと、継ぐつもりはありませんでした。大学から県外に出て、大手自動車系サプライヤーに就職し、傘とは無関係の分野でキャリアを積んでいましたから。
ただ、私が継がなければ実家も、会社もなくなるという状況に直面し、あらためて真剣に考えたのです。地域から愛されてきた会社と、店舗を兼ねている実家がなくなってしまうのは耐え難いと思い至り、「自分が継がなければならない」という使命感から、静岡に戻ると決意しました。
――大きな決断をされたのですね。静岡へ戻られたのはいつ頃でしょうか?
藤田さん:昨年(2024年)9月に静岡へ戻りました。とはいえ、戻る前から家業の現状を調べ、社内へヒアリングを実施し、事業計画書を作るなど、自分なりに経営の見通しを立ててから静岡に戻った形です。
――当時の課題は何でしたか?
課題は山積みで、どこから手を付けるべきかわからない状況でした。ただ、最優先すべき課題は、先祖の創業時の思いも、未来のビジョンも明確に打ち出せていない点にあると感じていました。
――相談先はHONE以外にもあったと思うのですが、桜井と出会ったきっかけと決め手は何だったのでしょう?
藤田さん:私には地縁がほぼなかったので、静岡に戻る前から「静岡マーケティングサロン」に参加していました。主宰のザキさん(山崎啓介さん)に相談し「MVVや商品開発なら、桜井さんしかいない」と、ご紹介いただいたのがきっかけです。

