いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
株式会社HONE代表の桜井と申します。
私自身、一人社長である立場として、一人社長が社員・パートナーやインターン生を育成していくにあたり、どのようなスタンスで臨んだほうがいいかを記事にしてみました。
▼読んで欲しい人
一人社長の方
一人社長かつパートナー(業務委託)やインターン生がいる方
一人社長かつ社員を増やす予定の方
それではいきます!
前提条件
まずはじめに私の会社の立場について少しご説明したいと思います。
私の会社は主には地方企業さんのマーケティング支援を行っているのですが、職務領域を明確にしていません。それには明確にできない理由があるからです。
その理由は以下の通りとなります。
地方において、最初から「上流のマーケティング」なんてニーズはないんです。 戦術やキャンペーンの相談から這い上がって経営・事業課題にアプローチしていくんです。課題の切り出しができていないから経営や事業がうまくいっていないわけなので。 「そこまでやるとリソースが足りない」「予算が出ないから手が出せない」と思うのならやめておいた方がいいと思います。はじめは手弁当、徐々に成果を出して戦略にお金を出してもらうんだと私は思います。
Xより
戦術の相談が来ても、問題は戦術ではなく戦略の策定ミスにあり、戦略の策定ミスには組織のエラーが根幹としてあり、組織のエラーには経営者の資質に問題があり、経営者の問題の裏側には・・・といった感じで、本来の相談とは異なるところに問題の本質がある、ということが往々にしてあります。
そのため、「私の職務領域はxxです」と設定したとしても、その奥に問題の根本がある可能性があることがあります(そのほうが多いかもしれません)。その根本を見てしまうと解決したくなってしょうがなくなるのです。そのため、領域を絞れないな!と考えるようになりました。
ちなみに余談ですが、「自分の責務をまっとうすること」と、「自分の得意領域を絞ること」についての違いについても考えてみました。
「自分の責務をまっとうすること」こととと、「自分の得意領域を絞ること」は違うと思っています。 自分の責務とは使命、または天命のようなものであり、「苦手かもしれないけれどやらなければならないこと」も入っている。 一方で、自分の得意領域を絞ることは「パフォーマンスと経済性・必要性が重なる場所で力を発揮すること」だと思っている。
Xより
このように私の会社は再現性・効率性・仕組み化などができない、「オーダーメイド型のサービス」にならざる得ない状況である、というのが前提条件となります。
一人社長が責任を預ける5つのステップ
一人社長でよくあるのが、「自分にお客さんがついているので引き継ぎができない」「忙しくてマニュアルを作れない」「任せたいけれどどこから任せていいかわからない」と言ったところではないでしょうか。
私自身も実際にそうでした(今もそうです)。ただ、あまりに手が回らなくてえいっ!と預けたところ、うまく行ったところと行かないところがありましたのでそれぞれ書いていきます。
<私のスタンス> (上記の「前提」の通り)案件の全責任を負う、というスタンスで仕事を行う
上記のスタンスの場合、いきなり仕事の全責任をスタッフに預けてしまうと、預ける側が受けきれずにうまく行かないことが多いです。そのため、少しずつ預けられるのがいいと思っています。
例えば、↓のようなステップを踏むイメージです。
<全責任を負うためのステップ>
1つのタスク預ける(ライティング・簡易デザイン・集計・議事録などの軽微なもの)
短期プロジェクトを預ける(3ヶ月程度のLP・イベント/キャンペーンなどの短期的なプロジェクト)
中長期の伴走仕事を預ける(SNSや記事制作など、中長期的なプロジェクト)
ゼロイチ業務を預ける(新規事業開発・新商品開発などの短期・中長期が混ざり合ったプロジェクト)
経営・事業を一貫してみる業務を預ける(経営・事業課題を抽出し、1〜4に仕事を棲み分ける)
以上の1〜5を経て、徐々に成長して羽ばたいていくのではないかと思っています。まずは1で実戦経験を積み、成功体験を得て、そこから徐々に短期プロジェクトを経験し、3(中長期)〜4(新規事業開発・新商品開発)〜最後に5にたどり着くようなイメージです。
スキルが先か?マインドが先か?
メンバーの育成にあたり、何が足りていないのか?の議論になる際に槍玉に上がるのが、スキルセットを磨いていくのがいいか?もしくはマインドセットを整えていくのが先か?という話です。
「両方同時にやったほうがいい」という話と、「その人の資質にあった進め方でレクチャーしていく」という回答になるのですが。
ただ、両方一気に学びを得るには少々カロリーが必要なので、現実的にはまずどちらかから進めていく格好になると思います。
ちなみにそれぞれが欠けるとどうなるか?については、スキルだけでは未熟さが残り、倫理観・道徳心に欠ける性格になりやすく、マインドだけでは大義を実装できない実力不足な人材になってしまう、と思っています。
どちらがいいか?というと、どちらとも良くないのですが、個人的には倫理観・道徳心がなくなったらビジネスとしておしまいだと思っているため、まずはじめに身につけておくべきマインドセットだと思っています。
参考までに私ときら星の伊藤綾さんが共同開発したスキル・マインドマップです。ローカルプレイヤーズという地域プロデューサースクールのカリキュラムの元にもなっています。
結論、「マインドセット▶︎スキルセット▶︎マインドセット〜」のようにミルフィーユ状になって徐々に高まっていくスキルなのかなと思っているため、要所要所で学びの不足を補っていきたいと思っています。
メンバーの特性を理解する
次に、メンバーの特性を理解することについて。「リスク認知」を知ることから始めたほうがいいかもしれません(皆さんはこの「リスク認知」という言葉、知っていますか?私は最近まで知りませんでした)。
リスク認知|リスク管理Navi [用語集](外部リンクへ)
例えば、明日ゴルフへ行く予定があり、前日の天気予報で30%の降水確率が発表されていたとします。ゴルフに参加予定の人たちはステークホルダーであり、「なんだ、それくらいなら雨は降らない可能性もありそうだし、仮に降ったとしても我慢できるや」と思うAさんと、「えっ、濡れるのは不快だし、嫌だな。降らない可能性もあるけれど、一応、傘は持っていこう」と思うBさんと、このように同じリスクでも捉え方の違いがあります。 こうしたAさんやBさんのように主観の入った捉え方をリスク認知と言います。ちなみにリスク認知と類似した用語として「リスク感度」があります。この2つは同義だと思ってもいいでしょう。
上記記事より抜粋
さらにリスク認知のバイアスとして、「カタストロフィー・バイアス」というものがあります。
<カタストロフィー・バイアス> 極めて稀にしか起きないことでも、リスクが顕在化すれば大きな影響をもたらすと考えて過大評価するバイアスです。これは、富士山の噴火や大規模地震などめったに起きないリスクに対して、過大視してしまうものです。 ただ、熊本地震は30年間でM7.0以上の地震が起きる確率は0~0.9%と考えられていた中で起きました。カタストロフィー・バイアスかどうかの判断は難しく、そのため最近では発生可能性が低いリスクであっても、リスクが発生した時の影響の大きさを考えて適切に評価することが重要になっています。
上記記事より抜粋
これだけ先が見えない、未来が怖いとされている時代、リスク認知はますます高まり、バイアスがかかっているように見えます。そのため、スタッフメンバーはデフォルトで「未来のことは怖い」くらいのイメージを持っていると思ったほうがいいかもしれません。
ではどのようにしてこのリスク認知のバイアスを払拭していくのか?
これには「体験・経験」しかないのだと思っています。人は(よっぽど頭のいい人ではない限り)経験しなければ深く理解することはできないと私は思っています。そのため、失敗と成功をそれぞれ体験させてあげる、というのも上司の役目なのかな、と思っています。
<経験をしてもらう> ・失敗:「意外に大したことはない」と知ってもらう ・成功:「こんなにいい結果がもたらされる」と知ってもらう
失敗を繰り返すことで、リスク認知が徐々に経験則と変わり、リスクがあってもチャレンジしやすくなるのかと思っています。
経営者は特殊変人である
最後、まとめです。
ここまで私の仕事の前提条件(オーダーメイドの仕事で全責任を負うスタンス)から責任の預け方、スキル・マインドのバランス、メンバーの特性についてまとめてきました。
最後は経営者です。私もいろんな社長に会って話してきましたが、元気な社長に共通するのは以下のようなポイントです。
<社長の特徴>
とにかく元気
身体が丈夫
明るい
素直
人が好き
勉強好き
即決即断
チャレンジング
ビジョナリー
いい意味でおバカ(都合の悪いことは忘れる)
愛嬌がある
このようなところでしょうか。
でもこんな人、なかなかお目にかかれないですよね。私の周りにはたくさんいるため麻痺していましたが、よくよく考えたら全然いないよな!と思っています。
なので、この経営者マインド・スキルをメンバーに押し付けてしまうと当然ながらストレスとなってしまうため、こうした素養のある人は「経営者だけ」くらいに思えるといいのかなと思いました。
以上が一人社長育成の心得でした。私の実体験も多分に入っているため、バイアスがかかっていますが、参考になる部分があれば嬉しいです。
HONEの研修サービスについて
「1日を通してマーケティングを知るきっかけをつくる」
「マーケティングは大切だと思うけど、何から始めていいかわからない…」。そんな方に向けた出張マーケティング研修プランをつくりました。
本研修の目的は「地方でマーケティングを扱う、私自身が考える「マーケティングとはなにか?」を研修し理解いただくことです。本研修を受けて、「誰に、どんな価値を伝えたいのか?」を策定をし、自社のポジショニングや競合優位性、ユーザーインサイトなどの変数を見極めて、勝ち筋を決めていきます。
研修テーマ例
<MVV・目標設定>
全体のロードマップ
MVVの確認/再定義・短期(1年以内)及び中長期(5年以内)の具体的な目標設定
コンセプト、ブランドスローガン、パーパスなどの確認/再定義
<市場分析>
MVVの確認・決定
市場分析(3C/5C・SWOTなど)
他社事例から市場機会を考える
※上位概念の目線合わせを行ったあと、市場分析を行い全体を俯瞰し確認する
<自ブランドの理解>
ブランドエクイティ・ピラミッドの整理・作成
STP
ユーザーインサイト
※市場分析で見出したニーズと自ブランドの強みが重なる部分を探る
※ユーザーが自ブランドでなければならない理由を特定する
<コンセプト>
ビジネスコンセプトを言語化
コンセプトハウスを用いたコンセプトライティング
作成したコンセプトを定量・定性調査
※市場分析&自ブランドの深掘りした接点を「消費者に向けた言葉」で言語化する
<マーケティング戦略>
これまでのアウトプットをもとに4P/4C視点で顧客体験最大化を設計
売上目標に応じた販促予算、利用メディア、コンテンツ、クリエイティブなどの戦術的な施策を検討
※明日からどんな取り組みができるのか?を可視化する
【記事を書いた人】
株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。
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