今日は戦略的コンセプトを決める「ABCフレーム」を元にターゲット消費者(audience)の選定よりも消費者便益(benefit)の設定の方が難しいなぁ、ということを自分の備忘録として書き残しておきたいと思います。
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戦略的コンセプト「ABC」とは
マーケティング戦略を考える際に大切なABCと言う思考フレームがあります。
詳しい定義や具体例は↓の書籍に書かれています。
ABCとはターゲット消費者(audience)、消費者便益(benefit)、説得力のある信じる理由(compelling reason why)から成り立っています。
本日はその中でも②消費者便益(benefit)を設定する際に気をつけたいポイントをまとめてみようと思います。まず消費者便益を語る上で①ターゲット消費者(audience)の理解は外せないため、ここから説明してみます。
ターゲット消費者(Audience)≒WHO
ターゲット消費者(Audience)はWHOとも呼ばれています。
WHOには大まかな括りのST(Strategic target)と、STを更に絞り込んだPP(Prime prospect)が存在します。さらに細かく区切るとSTP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)と言って、ユーザーの属性を細分化する思考フレームがあります。
さらにさらに、セグメンテーションには「デモグラフィック(年齢・性別)」「ジオグラフィック(エリア・行動範囲)」「サイコグラフィック(価値観・ライフステージ)」など、区別の仕方もいくつかのパターンが存在します。
ターゲット消費者(audience)≒WHO ↓ ・ST(strategic target) ・PP(prime prospect) ↓ ・STP分析(セグメンテーション ・ターゲティング・ポジショニング) ↓ セグメンテーションには、デモグラフィック(年齢・性別)・ジオグラフィック(エリア・行動範囲)・サイコグラフィック(価値観・ライフステージ)に分けられる
さらにここからターゲットの解像度を高めるために、ターゲットがどんなライフステージにいるのか、どんな価値観で物事を判断しているのか、などを議論していきます。そのようにしてユーザーのペルソナを描いていきます。
余談ですが、西口さんの9セグメントマップでセグメントしながら、①〜⑨それぞれのサイコグラフィック(ライフステージ・価値観)を検討していくのも切り口の多様性とMECEになる観点からありかなぁと思っています。
「消費者便益(benefit)」と言うビッグワード
消費者便益とはシンプルに言うと、
消費者はどんなことに困っていて、どんなメリット・価値を提供すれば喜んでくれるのか
だと思うのですが、ここでの「自社の競合」と置き換えた際、同じ業界内の別商品やサービスだけに留まらなくなってきた(複雑化してきた)と言えます。
例えば、Netflixの競合がAmazonプライムやHuluだけではなく、恋人とのLINEや友人とのclubhouse、といった具合に、同じ映像・動画カテゴリだけではなく、可処分時間の奪い合いになってきたと言う意味合いです。
よりエッセンシャルな消費(衣食住)以外のサービスはこれからもどんどん競合が増え、独自性を出すには「あった方がいいもの」から「なくてはならないもの」に進化していかなければならない、と言うことになります。厳密に言うと、エッセンシャルな消費の中でも消費者は「あった方がいいもの」と「なくてはならないもの」の区別をしているとは思いますが・・・。
ちなみに「あった方がいいもの」「なくてはならないもの」の振り分けが行われる際に「なくてはならないもの」になるために必要な力がブランド力であり、ブランド力をつける活動のことをブランディングと名付けられているかと思います。どのようにブランディングを行えば消費者にとってのエッセンシャルな存在になれるか?は今回のテーマとはズレるため、ここでは割愛します。
話を消費者便益(Benefit)に戻すと、この便益をどのように消費者にフィットさせていくのか?はとても難しいと感じています。
これは私自身も学びを深めたいポイントなのですが、提供価値が抽象的になってしまったり、独自性がなくなってしまったりすることが多いなぁと感じます。
例えば、カフェで例えてみます。
【カフェの消費者便益(benefit)】 ・美味しいコーヒーが飲める → 他のカフェ・レストランと差別化できるのか?自宅で挽くコーヒーより美味しいのか? ・wifiがあり、集中できる → コワーキングスペースと差別化できるのか? ・ゆったりくつろげる → 他のカフェやホテルなどの方がもっとくつろげるのではないか? ・ごはんメニューが豊富 → レストラン、ファミレスに勝てるのか?UberEatとの差別化は?
上記はあくまで便益例ではありますが、それぞれの便益が「唯一無二のもの」と言うことはあまり多くありません。ほとんどのカテゴリに類似サービスがあり、機能・性能・費用比較が行われています。
更に、ターゲット消費者(Audience)≒WHOで設定した消費者が「最も価値を感じる便益(benefit)」でなければなりません。自社の売りがいかに差別化ができていて優位性・独自性があっても、利用して欲しい消費者がその便益を欲しくなければなんの意味もないからです。
【気をつけたいポイント】 ・消費者がそれを欲しいと思えるか ・競合と差別化されているか ・明快でわかりやすいか ・エクイティーにのっとり強化できているか
競合と差別化されているか?(独自性があるか)、明快でわかりやすいか?(強みのポイントの羅列となっていないか)が満たされていないパターンが多くなってしまうため、気をつけなければ、と思います。
ターゲットと便益が合致しているのか?を客観的に評価するのがコンセプトをつくり、そのコンセプトを定量・定性調査にかけていく、と思うのですが、それはまたの機会に。
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これからも地方にマーケティングを実装すべく、日々奔走していきたいと思っています。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
【記事を書いた人】
Takato Sakurai / 桜井 貴斗
HONE Inc. 代表取締役/マーケター
札幌生まれ、静岡育ち。大学卒業後、大手求人メディア会社で営業をしたのち、同社で新規事業の立ち上げ等に携わる。「売り手都合の営業スタイル」に疑問を感じていた矢先に、グロービス経営大学院にてマーケティングに出会い衝撃を受ける。その後、新たな新規事業の立ち上げを経て、2021年に独立。現在はクライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営などを手掛けている。
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