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【地方企業の採用に活かせる】コーポレートブランディングについて解説します。

  • 執筆者の写真: 梨沙子 亀元
    梨沙子 亀元
  • 11月14日
  • 読了時間: 9分
コーポレートブランディングについて解説します。

地方企業にとって「採用」は課題となっています。競争も激化する中、限られたリソースで選ばれる企業になるために、必要なのが「コーポレートブランディング」です。


この記事では、東洋大学と電通が共同で提言する論文『コーポレートブランディング実践に向けたフレームワーク』をもとに、コーポレートブランディングがなぜ人材採用に効くのか、そして具体的にどのようなステップで実践すれば良いのかを、その基幹概念である「アイデンティティ」「ブランド」「レピュテーション」の関係性などを解説します。





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コーポレートブランディングとは?


コーポレートアイデンティティの基本構成要素

コーポレートブランディングとは、組織のコーポレートアイデンティティをマネジメントするプロセスであると定義されています。



コーポレートアイデンティティとは?


  • 「理念」:基本理念(バリュー、ミッション、パーパスなど)と戦略的ビジョン

  • 「象徴」:名前(呼称)、ロゴ、カラー、スローガンなど、言語や視覚における理念の表徴

  • 「文化」:仕事のスタイル、行動様式、精神的な絆、一体感など、組織メンバーの間で共有される固有の信念や価値観の特性


コーポレートブランディングの目的は、ステークホルダーとの間に好ましいレピュテーション(評判)を形成することにあるとされています。


コーポレートブランディングを成功させるには、その土台となる三つの柱、


  • 「私たちが何者であるか(アイデンティティ)」

  • 「それをどう表現するか(ブランド)」

  • 「世間からどう評価されているか(レピュテーション)」


を連携させることとも言えます。



なぜコーポレートブランディングが採用に必要なのか?


イメージとレピュテーション

コーポレートブランディングが採用力強化に直結するのは、その目的である「コーポレート・レピュテーション(評判)」の向上にあります。


  • イメージ(印象): 広告、短期的なニュース、製品のデザインなど、瞬間的な情報で形成され、変わりやすい

  • レピュテーション(評判): 企業の理念、行動、製品の品質、危機対応、職場環境など、長期にわたる一貫した実態からステークホルダーが形成する「総合的な評価」であり、容易には揺るがない資産


レピュテーションとは、企業に関する広告や短期的なニュースで形成される一過性の「印象」(イメージ)とは異なります。


企業の理念、行動、製品の品質、危機対応、職場環境など、長期にわたる一貫した実態からステークホルダーが形成する「総合的な評価」です。



コーポレートブランディングを地方・中小企業にとっての武器に


コーポレートブランディングを地方・中小企業にとっての武器に

特に地方・中小企業にとって、コーポレートブランディングは大企業との給与差や知名度のハンデを覆す資産ともなり得ます。


1. 働く「意義」が給与差を埋める動機付けとなる


現代の優秀な人材、特に若手は、給与や待遇だけでなく、「何のためにこの会社で働くのか」という働く意義(パーパス)も重視します。


コーポレートブランディングは、「私たちはなぜ存在し、どんな価値観を大切にしているか」という企業の魂(アイデンティティ)を明確にします。この明確な目的意識は、求職者にとっての動機付けとなり、給与という物質的な要素を超えたて企業を選んでもらう採用活動を可能にします。



2. カルチャーフィット人材を選別する高精度フィルターに


理念と実態が一致しているコーポレートブランディングは、企業の「本当の文化」を映し出し強力なフィルターとして機能します。


フィルターにより、「ウチの会社らしい」価値観に共鳴する人材だけを選んで集めることができます。結果として、入社前に企業の本当の姿が伝わるため、採用後の「思っていたのと違った」というミスマッチを減らし、離職率の低下にもつながります。



「アイデンティティ」「ブランド」「レピュテーション」の関係性


「アイデンティティ」「ブランド」「レピュテーション」の関係性

コーポレートブランディングのプロセスを理解するには、これら三つの基幹概念がどのように連動しているか、解説していきます。



①コーポレート・アイデンティティ(出発点・核)


コーポレート・アイデンティティは、コーポレートブランディングの出発点であり、つまりMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の言語化です。


会社が「私たちはどんな目的で存在していて、何を大切にしているのか」という、組織の土台となる考え方を明確にし、それを社内外に一貫して伝えていきます。人が「私はこういう人間だ」という自己認識を持つように、会社も「自分たちの揺るがない軸」を定めることから、ブランディングは始まります。



②コーポレートブランド(表現・伝達手段)


コーポレートブランドは、組織のアイデンティティを象徴的に表現し、ステークホルダーとの間のコミュニケーションツール、あるいはインターフェースとして機能するものと定義されます。


わかりやすく言えば会社の「顔」と「声」です。

これは、会社が「私たちは何者か(アイデンティティ)」という本質的な部分を、


1. ロゴや社名、スローガンといったシンボル(象徴)の形になる

2. 窓口(インターフェース)として、社外の人たち(お客様や社会)に伝えるための手段になる



③コーポレート・レピュテーション(目的・成果)


コーポレート・レピュテーションは、コーポレートブランディングの目的であり、その成果をはかる指標として位置づけられます。

会社がブランディング(自分らしさを伝えていく活動)を一生懸命やった結果として、世間から最終的に得られるものです。


「この会社はちゃんと良いものを作り続けられる」

「社会的に信頼できる会社だ」


様々な視点から時間をかけて積み重ねられた「総合的な評価」となります。



コーポレートブランディング実践のための4段階プロセス


コーポレートブランディング実践のための4段階プロセス

第 1 段階:基本理念と戦略的ビジョンの策定

コーポレートブランディングの最初の一歩は、「自分たちの原点」と「目指すゴール」を定めることです。


「基本理念(Core Ideology)」の確認・規定: まず、「私たちは何のために存在しているのか?」「絶対に譲れない価値観は何か?」という、会社の土台(原点)を明確にします。これは、時代が変わってもブレない「会社の憲法」です。

「ビジョン」の策定: 次に、その土台(理念)を実現した「将来の最高の姿」(目指すゴール)を具体的に描きます。



第 2 段階:コーポレートブランドの開発


第1段階で決めた会社の「理念(土台)」や「ビジョン(ゴール)」を、社外の人にも一目でわかるようにするための「表現ツール」を作り上げるのが、このステップです。


具体的には、以下の3つを戦略的に組み合わせます。


① 会社の名前(コーポレートネーム)

② 会社の見た目(VI:ロゴ、色、デザインなど)

③ 会社のキャッチフレーズ(コーポレートスローガン)


特にスローガンは、会社がお客様や社会に対して「どんな価値を実現していきますよ」と約束する「宣誓文」のような役割を果たします。

これらすべてが、外部との会話(コミュニケーション)に使う大切な道具となるのです。



第 3 段階:コミュニケーションの設計


このステップの目的は、作った会社の「顔」(コーポレートブランド)を、社内外の全ての人に「知ってもらい、信じてもらう」ことです。

そのためには、「内側(社員)」と「外側(世間)」での活動をバラバラにせず、連動させる必要があります。



1. 内側(社員)への浸透(インターナル・コミュニケーション)


社員一人ひとりが、会社の「理念」を心から理解し、「なぜこの会社で働いているのか」を言葉にできると良いでしょう。


  • 何をするか: 社員向けの研修、ワークショップなどを通じて、理念を「徹底的に腹落ち」させます。

  • なぜ重要か: 社員が理念通りに行動すれば、それが最高のメッセージとなって、自然と外部へ伝わります。この活動を通じて、組織固有の「文化」がつくられていきます。



2. 外側(世間)への発信(エクスターナル・コミュニケーション)


外部の人々へは、情報発信の手段を戦略的に使い分けます。


  • PESOメディアの活用: 広告(Paid)、ニュース(Earned)、SNS(Shared)などを組み合わせて情報量を増やします

  • 特に重要なこと(情報発信基地): 最も注力すべきは、自社ウェブサイトや店舗、パンフレットなど(Owned Media)です。これらは会社の意志を最も正確に、継続的に表現できる「情報発信基地」だからです


つまり、社員の理解(内側)が発信活動(外側)を裏付け、一貫したメッセージを世の中に届け続けることが大切なのです。



第 4 段階:コーポレート・レピュテーションの形成


「時間をかけて信頼を固める」作業であり、一発逆転の近道はありません。

第3段階で決めた「外と内への伝え方」を、毎日、粘り強く、確実に実行し続けることがすべてです。



行動と発信の一貫性


評判(レピュテーション)は、以下のようないろんな面で「この会社は信頼できる」と評価されて初めて形になります。


  • 製品やサービスの品質

  • 環境への取り組み・社会貢献など

  • 社員が働きやすい職場環境

  • 経営トップの考え方やリーダーシップ


大切なのは、これらの評価領域すべてで、自分たちの「会社の軸(アイデンティティ)」を明確に伝え続ける地道なコミュニケーションを止めないことです。



まとめ


採用市場が大きく変化する今、地方企業が本当に強くなるために必要なのは、知名度や給与条件だけではありません。


「なぜこの会社で働くのか」

「どんな人たちと、どんな価値観を共有できるのか」


そうした内側の強さ=企業の軸を、言葉で伝えられるかどうかが、採用に関わってきます。

トップの思い、組織としての理念・文化・行動のあり方を見つめ直し、

社員とともに社会へ届けていく「会社全体の意思表示」です。


だからこそ、コーポレートブランディングは採用活動の補足ではなく、採用を支える戦略そのものだと、私たちは考えています。



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当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。


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