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執筆者の写真桜井 貴斗

マーケティングを組織に実装するために行なっている3つのこと。

更新日:9月25日


マーケティングを組織に実装するために行なっている3つのこと。

弊社は現在、静岡市で株式会社HONEというマーケティング支援の会社を行なっています、代表の桜井と申します。



当社のミッションは「地方に骨のあるマーケティングを実装する」ことです。


マーケティングをただ学ぶだけで終わらせず、単発の実践だけにとどまらせず、中長期的に組織に実装することを目的に、全国の地方事業者さんのもとに直接伺い、お手伝いをしています。


サービス領域としは、マーケティング戦略を全方位でカバーしています。理念(MVV)・市場分析〜事業戦略・ブランド戦略・マーケティング戦略が一気通貫で考え、具体的な戦術に落とし込んでいき、戦術実践のマネジメントまでお手伝いさせていただいています。



Chapter/0 はじめに


▼この記事はこんな人におすすめです ・マーケティングの重要性を組織に理解してもらえない ・チームで同じ方向を向きたいが、目線が揃わない ・PDCAをより早く回したいが、組織の動きが遅い

特に私が主戦場としている地方はヒト・モノ・カネなどの経営資源のほとんどが足りていないにも関わらず(というかそのせいか)、成果を出すための難易度が非常に高い領域だと思っています。


特に人については問題が深刻化しているため、対応策としては「1人で何役もこなす」か「組織の機動力をあげる」ことの2択(もしくはどちらも)となります。


そんな中、私自身、マーケティングによって事業や経営の成功確率が高まればいいな・・・!と思い、そのために持っている知識・情報をできるだけ開示するのが責務なのではないかと感じ、この記事を書くことにしました。


目次




Chapter/1 発端はここから


記事を書こうと思った発端は戦略ごっこの著者である 芹澤さんの↓のポストからでした。


どうすればエビデンス思考の組織やチームを作れるか?こんなにデータがあるのになぜファクトベースの考え方ができないのか?質疑応答などでよく聞かれます。「事実のインプット」すらしないのはまず問題外ですが、実はそれだけでは不十分で、「事実による思考フレームのアップデート」が本質です。

芹澤さんポストから流用



エビデンス思考の組織が作れるかどうかのステップは、「事実のインプット」→「事実による思考フレームのアップデート」が本質だとポストされています。


これは、例えば

「STP分析」に準じて年代・性別を区切らなければならない 「ペルソナ」を精緻に作らなければならない 「カスタマージャーニー」をきちんと作らねばならない

といったような既存のフレームワークに当てはめた実行だけではなく、ときには既存のフレームやロジックを否定してでも自社に合った「事実ベースの思考フレーム」が必要になると言うことだと解釈しています。


上記の例は、


  • 年代・性別でセグメントするのは懐疑的(年代・性別とブランドの認識は整合しないケースも多い)

  • ペルソナやカスタマージャーニーは「マーケター(ブランド側)が見たいこと・実現したいこと」に寄ってしまうケースが多い


と言った所感を持っています。では「事実を受け入れる」また「事実ベースの思考フレームを受け入れる」にはどうすればいいのか?については具体的な例を戦略ごっこから抜粋し、次の章でご紹介してみようと思います。



Chapter/2 事実を受け入れるとは?


では「事実を受け入れる」とは具体的にどうゆうことか?を戦略ごっこから一部抜粋してご紹介していきたいと思います。


事実を受け入れるとは、「すでにマーケティングフレームとして存在しているから」と思考停止になるのではなく、主観的な希望や予測、感情による歪曲を排除し、現実をそのまま理解しようとするフラットな思考が求められます。


以下に2つの事例をご紹介します。



ファンマーケティングの誤解(シェアごとの成長源泉)



上記はブランドの規模によって、浸透率(新規利用顧客の増加)とロイヤルティ(既存顧客のエンゲージメント向上)が成長に及ぼす相対的な影響は変わってくる(田中,2017)、というエビデンスです。


  • シェアが小さなうちは、浸透率の影響が大きい。特にシェア5%までの小さな成長ブランドの場合、成長の92%は浸透率の上昇からきている

  • シェアが30%以上ある成長ブランドでは、増加分の半分近く(46%)が購入頻度の上昇からきている

  • 大きなブランドになるほど、既存顧客のロイヤルティやマージン成長(WTPやLTVの向上など)が相対的に重要になっていくが、小さなうちは顧客基盤の拡大によるボリューム成長が何より重要

マーケティング系のメディアでは「ファンを大切にした結果、売上が増加」「顧客1人ひとりの声を聞くことの大切さ」のような見出しやコピーが印象に残りがちですが、ロイヤルティが成長に及ぼすのはシェアが30%以上あるブランドであることが多い、ということが言えます。


つまりシェアがまだ高くない新興ブランドがリソースを割くべきは「浸透率(新規顧客の増加)」と言えるわけです。これがわからないままに通説を参考にしてしまうと痛い目を見てしまいます。



パレートの法則の限界



実際、パレートシェアはデータを集計する期間によって変動する。全員が1回しか買わないような短期間で集計すれば小さく出るし、長期になるほど大きくなっていく、というエビデンスです。


  • 大まかな傾向として、1年スパンだと50〜60%、5年や6年と言った長いスパンになると60〜70%となり、オリジナルのパレートシェアに近づいていく

  • 上位20%が売上全体の80%近くを生み出すというのは、相当長いスパンで捉えたときの話

パレートの法則(Pareto Principle)、または80/20の法則とは、「結果の80%は原因の20%から生じる」という意味で、この法則はイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートによって提唱され、マーケティングの業界でも古くから信じられていた法則です。


しかし、実際のブランドの売上を重ね合わせてみたところ、2:8が成立するのは現実的に難しいという結果となりました。そのため、単純に「今のコアユーザー2割で8割の売上を作っていきましょう」と言った施策は仮説としてあまり精度が高くないかもしれないとも言えます。


これらの事実は戦略として、「誰をターゲットとするか」「ターゲットにどんな価値を伝えていくか」「どんな手段で価値を伝えていくか」の根幹部分をそもそも間違えてしまう可能性があるため、既成事実(規定のフレームワーク)よりも事実を元に意思決定しなければならないと思っています。



Chapter/3 事実を受け入れてもらうには?


では次に、どんな流れで事実を受け入れてもらうといいのか?また、事実による思考フレームのアップデートを行うにはどうすればいいのか?についてまとめてみます。


結論、以下の3つアクションが有効だと思っています。

1:自社独自の定量調査/定性調査を実施する 自分たちが消費者にどう思われているか?を明確にする 2:成果が出ているときに合意形成をとる 皆が寛容なときにガッと進める 3:ときには権威性に頼る お偉いさん、大御所、専門家から同じことを言ってもらう

それぞれ順を追って説明していきます。



1:自社独自の定量調査/定性調査を実施する


ここで伝えたいのは、「アンケートを取ることが目的」ではなく、まずは事実を知ることが目的であるということです。


例えば、弊社が実施したほうとうのアンケートの一部(下記キャプチャ)についてですが、「ここ1年でほうとうを外食で食べたことがある人は18.6%」という事実、そして「ほうとうののイメージは“郷土料理”」という事実がわかります。



もしこのアンケート(事実)を明るみに出さぬまま議論を進めていたら、「ほうとうは結構食べられていると思う。30%ぐらいは食べられているんじゃないか?」「ほうとうのイメージを家族に聞いたら外食でよく食べているイメージだった」などの、メンバーの一部の主観で見えているほうとうのイメージをベースに議論が進んでしまうことがあると思います。


これではファクトベースではなく、メンバーの誤った思い込みや主観によって施策が進んでしまうリスクもあり、これを防ぐのがアンケート(客観的な視点)だと思っています。


↓ほうとうのアンケートレポートはこちらから

ほうとうについてのアンケート

みんなが同じ目線になるよう、合意形成のツールとして定量・定性調査はとても重要な役割を担っています。



2:成果が出ているときに合意形成をとる


続いて2つ目は成果が出ているときに合意形成をとる、ということです。


逆に事実が受け入れられない、もしくは事実を受け入れるかどうかの議題そのものを話せないときは、大抵の場合、業績がうまくいっていないときだと感じています。


ここで売上と組織課題の関係性について考えてみたいのですが、「組織課題が顕在化する」→「売上が下がる」の順ではなく、「売上が下がる」→「組織課題が顕在化する」という順なのではないか?というロジックです。



事業の成長や売上が鈍化する「成長の踊り場」に直面した企業において組織課題が噴出する理由は、次の3つに集約されます。 1:「成長」というポジティブ要因が薄まり、相対的に「問題探し」というネガティブ思考がマジョリティを占める 2:ネガティブ思考による問題探しは、たいていの場合「チーム」「人」に行き着く 3:そもそも「成長」によって、それまで隠れていた組織課題が明るみになる

出典:企業文化をデザインする 戦略を超えた「一体感」のつくり方




そのため、できるだけ成果が出ているタイミングで、「成果が出ているのはxxという仮説がうまくはまったんだと思います!これはアンケートの実施〜戦略を立てたのがうまくいっていると思うんですよね」と伝え、「これまでの行動・プロセスを肯定し、次回も同じような取り組みを行いましょう」と合意形成をとることが大切だと思っています。



3:ときには権威性に頼る


権威性とは、特定の個人・団体または情報が信頼され、尊重される程度を指す言葉ですが、多くは「知識や経験・地位・実績・信頼性」などに基づいて形成され、その分野において他者に影響を与え、説得力を持つことです。


最後はときには権威性にも頼るといいでしょう、ということなのですが、ここでの権威性はキーマンによって違うと思っています。


ある人は学歴や社歴のすごい人に権威性を感じるし、ある人はSNSのフォロー数、YouTubeのチャンネル登録数であることもあるし、テレビで見たことがある、という人もいます。


具体例を挙げてみます。


1:専門的権威性(Professional Authority) 特定の分野で高度な知識や技能を持つ人々や組織に対する 信頼性例:大学教授や研究者・弁護士や会計士・エンジニアや科学者・医師や専門医 2:地位的権威性(Positional Authority) 組織や社会における役職や地位に基づく 権威性例:会社のCEOや役員・政府高官や政治家・学校の校長や学部長・軍隊の将軍や指揮官 3:経験的権威性(Experiential Authority) 豊富な経験や実績に基づく 信頼性例:長年の実績を持つビジネスマン・多くの成功したプロジェクトを手掛けたプロジェクトマネージャー・著名な起業家 4:社会的権威性(Social Authority) 社会的な影響力や人気に基づく 権威性例:人気のインフルエンサーやブロガー・有名な俳優や歌手・著名な作家や芸術家 5. 学術的権威性(Academic Authority) 学術的な成果や研究による 信頼性例:権威あるジャーナルに多数の論文を発表している研究者・著名な学会の会長・ノーベル賞受賞者・一流大学の教授 6:法的権威性(Legal Authority) 法律や規則に基づく 権威性例:裁判官や検察官・法律制定機関のメンバー・法律に基づく認証機関規制当局の担当者 7. モラル・倫理的権威性(Moral/Ethical Authority) 倫理や道徳に基づく 権威性例:宗教指導者・人権活動家・倫理委員会のメンバー・社会的正義を追求する団体のリーダー

以上が権威性一覧です。


結果、合意形成が取れればなんでもいいのですが、大切なのは組織のキーマンはどの権威性に強い関心を持っているか?どんな権威性を出せば話が前に進むか?というところを考えていけるといいと思っています。



Chapter4/地方にマーケティングを実装させる、ということ


最後に私自身がドメインを置く「地方」についての現状を書いて、このは終わりにしたいと思っています。



これから地方に起こる最悪のシナリオ


これからの地方はただでさえ少ない経営資源である「ヒト・モノ・カネ」がさらになくなっていくことになると思います。


これからの地方

現状は上記のような資源が数十年後、もしかすると数年後には👇のような状況になっているかもしれません。


これからの地方

少子高齢化・人口転出による人口減少、物価・原価高騰による利益の圧迫、その結果売上減少・借入額の増加など、非常に難度が高くなっているのが地方ビジネスの実態だと思っています。



地方に求められている人材は「地下総合格闘技」型人材


ではどのような人材が地方に向いているか?必要か?というと、以下のようにカテゴライズしてみました。


求められる人材

▼【地方】地下総合格闘技 ・ ルールは自分たちでつくる ・エモーショナル(気分・情緒) ・「個」の力 ・リーダーシップ ・マネジメント ・低予算から成り上がる ・地域全方位へのコミュニケーション ▼【都会】オリンピック競技 ・ルールが明確にある ・ロジカルな意思決定 ・チームで協業(分業) ・マネジメントが中心 ・予算をどこに ・どう使うか ・仕組み化されたオペレーション

ここでは地方と都会の優劣の話をしているのではなく、「求められる役割が違う」ということだと認識いただけると嬉しいです。地方はある種スタートアップに似ていて、何かが決まっているようで何も決まっていないということが多々あります。


スタートアップと違うのは、「地域コミュニティなどの固有の利権・既得権益があること」「圧倒的に伸びる市場性はない(むしろ衰退する可能性が極めて高い)ということ」「数百年・数千年の歴史・文化・慣習がある(良くも悪くも)」くらいで、あとは一緒だと思っています。


地方で求められる人材

その上で、地方に求められている人材とは以下の5つなのではないかと考えています。


求められる人材
✅ 既存のルールに疑問を持ち、変える勇気を持てる人 ✅ エモさとロジカルさを両面を持てる人 ✅ 個で打開でき、チームも束ねられる人    ※スペシャリストであり、ゼネラリストでもある人 ✅ みずから予算をつくり出せる人 ✅ 人との対話を諦めずに続けられる人

非常に求められるものが多いとは思いますが、やりがいがあることは自信を持って言えるし、まだ体がバリバリ動くわれわれ現役世代が次の世代にバトンを託す責務があると思っているため、これからも率先垂範してロールモデルになれるよう、精進していきたいと思います。



ぜひ、HONEを頼ってください!


最後に「事例はよく理解できたけれど、やっぱりまだよくわからないなぁ」という方には無料壁打ちサービスもやっています。もしご興味があればぜひご活用ください!


壁打ちサービス

例えば、以下のようなお悩みの方に最適だと考えています。 ①何から始めていいかわからない マーケティングの悩みは多岐にわたります。「売上を上げたい」「集客を増やしたい」「ブランドコンセプトを見直したい」「市場分析市場分析を実施したい」「SNSを始めたい」など、多くの打ち手はありますが、何から始めていいかわからない…。第1歩としてご活用ください。 ②新商品・新サービスの相談がしたい 新しい商品やサービスが果たして売れるのか?消費者にとって有益なものになっているのか?についても重要な要素です。市場に受け入れられそうか、競合優位性はあるか、自社の強みは行かせているのか、など、マーケティング・ブランディングの両視点からお話をさせていただきます。 ③地域/まちづくりの相談がしたい 地方は「1社、単体のブランド」だけでなく、地域コミュニティ全体で同じ方向を向きながらインパクトを残していかなければなりません。民間だけでなく、自治体や第3セクターなど、官民が連携して1つの目的に向かっていくためにどんなスキームで進めていけばいいか?についても専門家の視点からアドバイスいたします。

その他、弊社サービスはこちらにまとめています。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。


 

【記事を書いた人】


プロフィール

Takato Sakurai / 桜井 貴斗

HONE Inc. 代表取締役/マーケター


札幌生まれ、静岡育ち。大学卒業後、大手求人メディア会社で営業をしたのち、同社で新規事業の立ち上げ等に携わる。「売り手都合の営業スタイル」に疑問を感じていた矢先に、グロービス経営大学院にてマーケティングに出会い衝撃を受ける。その後、新たな新規事業の立ち上げを経て、2021年に独立。現在はクライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営などを手掛けている。


※本記事は一部AIを活用して執筆しています。

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