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シャウエッセンの広告はなぜ受け入れがたかったのか。

2 分前
読了時間: 7分
【TSUGU SHIZUOKA|イベントレポート】伝統と革新の事業デザイン 〜地域のレガシーを次世代へ繋ぐ、アトツギの葛藤と挑戦〜

シャウエッセンの「時代に負けてたまるか。」という広告が今話題になっています。



趣旨としては量が減ったけど、1本あたりの重量は増えたよということなのですが、この「内容量を減らす」という説明と、「広告の力強い言葉(=時代に負けてたまるか)」がうまくつながらなかったからだと捉えています。


原材料などのコストが上がれば、価格や規格の見直しは必要になると思います。ただ、その変更を買う側がどう受け取るか?については、もう少し考える余地があったのではないでしょうか。


今回の広告には、批判だけでなく、企業の対応を理解する声や購入に前向きな反応も報じられています。その上で、なぜ受け入れがたいと感じる人がいたのか。ここからは、発表内容と報道された反応を踏まえた私の考察をまとめてみようと思います。



そもそも何が変わったのか


日本ハムが2026年10月5日に公表した内容では、


  • 主力の2袋セットは、1袋あたり117gから107gへ変更

  • 一方で、1本あたりの重量を増やし、食べ応えを訴求


背景として挙げられているのは、原材料や包装資材、物流、エネルギーなどのコスト上昇でしょうか。



価格を据え置いて内容量を減らす実質値上げであることは、報道でも伝えられている通りです。同じ価格で比較すると、内容量は約8.5%減り、重量あたりの価格は約9.3%上がる計算です。



シャウエッセンは何を守りたかったのか


私には、今回のコピー(=時代に負けてたまるか)は、物価が上がっても価格や内容量を維持するときに、つながりやすい言葉に感じられました。そのため、今回の容量が減って実質値上げをする際にはそぐわない言葉遣いだなと感じました。


以下のリプライにもある通り、


むしろ「時代に負けました。内容量を減らし、実質的な値上げに踏み切ります」とはっきり書いたほうが、シュリンクインフレーションに一種の詐欺感を持つ消費者には好印象だったかも。

くらいの方が一層の事わかりやすい。



ではシャウエッセンは何を守りたかったのでしょうか?


日本ハムの発表を読むと、守ろうとしているのは、「おいしさへのこだわり」です。 だからこその重量アップなのだと。その意図自体は理解できました。


ただ、買う側が物価高のなかで気にしているのは、支払う金額と、その金額でどれだけ買えるかでもあります。何が変わり、何を守るのかがはっきりしないまま、時代に抗う姿勢を強く示すだけでは価格や量への期待まで含んだ言葉として受け取られる可能性があります。


そこに「明記はされていないけれど、結局、内容量が減るんじゃん」という事実に気づくと消費者にとっては一定のネガティブな反応が起こってしまうのも仕方がないのだと思います。


例えば、おいしさへのこだわりを伝えたいのであれば、変更前後の重量と価格をセットで示して、食感や食べ応えのために何を工夫したのかを説明するなど、「何が変わり、どこを守ったのか」をより具体的にした方が、伝えたい範囲が明確になります。


コピーを考えるときには、企業が込めた意味に加えて、受け手がその言葉から何を約束されたと思うのか?まで確認する必要があると思っています。



1本あたりの重量アップは消費者が求めていたことなのか


もう一つ、私が気になったのが「本数」についてです。


1本が大きくなることを、うれしいと感じる人はいると思いますが、シャウエッセンを使用するシーンを考えると、朝食やお弁当をつくる人は、食べ応えと同時に、何人分を用意できるかも考えているかと思います。


家族全員に同じ本数を出す場面を例にすると、こんな違いがあります。


  • 2人で食べる場合:1袋6本なら3本ずつ。5本だと、同じ本数に分けて使い切れない。

  • 3人で食べる場合:1袋6本なら2本ずつ。5本だと、その出し方には1本足りない。

  • 4人で食べる場合:2袋12本なら3本ずつ。2袋10本だと、その出し方には2本足りない。


もちろん、家族で食べる量が違うこともありますし、2人なら2袋10本を分けることもできます。5本という数が、あらゆる家庭で不便になるわけではありませんが、これまでの購買行動を変えなければならない消費者の立場からすると少し不便に感じるかもなと思いました。特にそれが忙しい朝だとしたら余計に手間に感じてしまうこともある。


メーカーはグラムで管理していても、家庭では1人分、1食分、何日分という単位で使っているため、いつもの人数分を用意できなくなると、使い方が変わってきます。


そのため、消費者は1本の食べ応えを本当に期待していたのか?お弁当や朝食に家族分、過不足なく分けられるか?の方が大切だったんじゃないか?という点も気になりました。



どう伝えればよかったか


もし私がこの発信を考える立場なら、最初に次の情報をひとまとまりで示したいと思いました。


  • 対象商品と変更の時期

  • 変更前後の内容量と価格

  • 本数の目安や、いつもの使い方に関わる変更

  • 変更が必要になった理由


そのうえで、1本あたりの重量や食べ応えについて説明するのがよかったかなと考えました。例えば、今回確認できる事実を使うなら、書き出しは次のように考えられます。


【伝え方の例】

シャウエッセンの主力2袋セットは、1袋あたりの内容量を117gから107gへ変更します。価格は据え置きとなり、重量あたりでは実質的な値上げになります。原材料などのコスト上昇を受けた泣く泣くの判断です。しかし、その波になんとか抗おうと1本あたりの重量を増やしています。より肉感アップし「パリッ!!」としたシャウエッセンをよろしくお願いいたします。


ここに適用時期や本数の目安を確認して添え、食べ応えの工夫を続けて説明していくイメージです。家族への取り分けが変わることにも触れられれば、いつもの使い方まで考えた説明になると思います。



最後に


今回の件から、私たちが考えておきたいのは、企業がよくなったと思う部分と、お客さんが使い続けたいと思う理由は、必ずしも同じではないということです。


食べ応えが増すことに価値を感じる人もいれば、いつもの人数に迷わず調理できることを重視する人もいる。商品の変更を考える際には、実際にどんな場面で、何人で、どのように使っているかまで見ておきたいと思います。


例えば、家庭向けの商品なら、試食の感想を聞くだけでなく、普段の朝食やお弁当で使ってもらい、そこで、何本使い、何本残り、次にいつ開けるのかまで確かめると、食べた瞬間の評価だけでは見えないことが出てくるはずです。


SNSで批判が目立ったからといって、それだけで広告の成否や売上への影響は判断できませんが、使い方に関する具体的な声には、次の商品や発信を考える手がかりがあります。


HONEで商品や伝え方を考えるときも、企業が説明したいことと、お客さんのいつもの行動を照らし合わせていきたい。値上げや規格変更が必要なときほど、買ったあとの食卓まで想像できているかが肝になるため、今回の件は大変勉強になりました。



参照資料


事実関係の確認日:2026年10月6日

本文中の割合は、117gから107gへの変更をもとに算出。内容量の減少率は10÷117、同価格での重量あたり価格の上昇率は117÷107−1です。店頭の実売価格は販売店によって異なります。


[1] 日本ハム株式会社 シャウエッセン事務局 プレスリリース(2026年10月5日)


[2] AdverTimes. シャウエッセン広告への賛否と公式投稿の紹介(2026年10月5日)


[3] FNNプライムオンライン 内容量と価格、本数の変更に関する報道(2026年10月5日)


[4] 日本ハム よくあるご質問 標準本数と重量管理について



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【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。


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