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【レポート】福岡大学 商学部・地域経営学科 特別講義 〜高齢者、マーケティング、そして実践が教えてくれること〜

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    PR・広報担当
  • 5月28日
  • 読了時間: 9分
【レポート】福岡大学 商学部・地域経営学科 特別講義  〜高齢者、マーケティング、そして実践が教えてくれること〜

2025年5月27日、福岡大学 商学部・地域経営学科にて特別講義が開催されました。

今回は、弊社代表・桜井貴斗と、福岡県うきは市を拠点に“ばあちゃんビジネス”を展開する大熊充さん(株式会社うきはの宝 代表)が登壇し、それぞれの現場での実践をもとに講義を行いました。


「地域に根ざした仕事のつくり方」や「社会課題をビジネスでどう解くか」といったテーマを通して、学生にとっても現場のリアルに触れる貴重な機会となりました。


ぜひ最後までご覧ください。




株式会社HONEでは過去のセミナー資料、お役立ち資料、会社紹介資料がダウンロードできます。


セミナー資料・アーカイブ


目次



「ばあちゃんビジネス」で、地域と高齢者に“しごと”を 大熊 充 さん(株式会社うきはの宝)

大熊さん1

大熊 充 さん(株式会社うきはの宝)


大熊さんは、自身の経歴──中学2年生での不登校経験や、就職を経ずに起業したこと──を紹介しつつ、現在手がけている“ばあちゃんビジネス”について語りました。


福岡県うきは市に本社を構える株式会社うきはの宝では、75歳以上の高齢者に就労の場を提供。現在では約80人が働いており、3年以内に500人の雇用創出を目指しています。



ばあちゃんビジネスの背景にある社会課題


大熊さんは、笑顔の高齢女性の写真を見せながら、こう問いかけました。


「このおばあちゃん、何歳に見えますか?」


正解は90歳。株式会社うきはの宝が展開する「ばあちゃんビジネス」は、75歳以上の高齢者が生き生きと働く“場”をつくる取り組みです。



起業の背景と着眼点

株式会社うきはの宝が展開する「ばあちゃんビジネス」

背景には、以下のような社会課題がありました。


  • 月2〜3万円の収入不足に悩む高齢者の経済的課題

  • 話し相手がいない、やることがないという社会的孤立


こうした課題に対して、大熊さんは「福祉」ではなく「就労」という手段でアプローチ。経済活動として成り立たせるビジネスモデルを築いています。



高齢者の「働く」を捉え直す3つの視点


  • 孤立の解消と居場所づくり

 高齢者の孤立は、本人にとってだけでなく、医療・介護など社会全体のコストにも直結します。働く場を通じて地域との接点をつくることが、社会的な安心にもつながります。


  • 「お荷物」ではなく、活躍する存在へ

高齢者が人前で笑い、働き、感謝される姿を“当たり前”にすることで、世の中の高齢者観そのものを変えていきます。


  • 元気なうちに働くという選択肢をつくる

就労機会があれば、身体も心も動き続け、結果的に介護や医療に頼らない生活が長く保たれます。



「生きがい」と「社会の持続性」を両立するビジネス


ばあちゃんビジネスの特徴は、次の3点に集約されます。


① 生きがいと収入を同時に生むこと

② 健康寿命の延伸(=認知症予防、老化抑制)

③ 社会保障費・医療費の削減につながるという構造



展望とこれから


株式会社うきはの宝が展開する「ばあちゃんビジネス」

現在、約80名が就労。今後は3年間で500人の雇用創出を掲げ、福岡都市圏での「ばあちゃん喫茶」「ばあちゃんの学校」(2025年10月予定)など、都市展開も本格化しています。


「社会課題を“深刻に語る”のではなく、“面白く温かい企画とコンテンツにしていく”。

その方が、人の心に届くし、動きたくなるんです。」


大熊さんは、20代で4年間の入院生活を経験。

その日々を支えてくれたのは、“ばあちゃん世代”の方々でした。


「だから今度は、自分が“ばあちゃんたちに返す番”なんです。」


その言葉には、単なる社会課題の解決を超えた、

“人と人の循環”を生むビジネスのあり方が込められていました。


書籍のご案内:『ばあちゃんビジネス』(小学館)

大熊さんの取り組みをもっと深く知りたい方へ

2025年4月、小学館より著書『ばあちゃんビジネス』が出版されました。本書には、うきはの宝が7年間にわたって積み重ねてきた実践と、75歳以上の高齢者が元気に働く場をどうつくってきたか、その背景やノウハウが余すところなく綴られています。

ばあちゃんビジネス

書籍の購入はこちらから



地方マーケティングに必要なのは「地域を見る力」 桜井 貴斗 (株式会社HONE)


講義

後半は、HONE代表・桜井が登壇。

静岡市を拠点に、地域資源の価値化や商品開発・観光プロデュースを手がける桜井が、「地方マーケティングとは何か」を自らの実践を交えて解説しました。



一般的なマーケティングプロセス


  • 市場分析

 市場のボリューム、勝ち筋、競合優位性などを把握する。

  • 事業構造理解

 利益がどこに残るか、長く続く仕組みになっているかを読み解く。

  • 顧客理解

 顧客(法人であれば経営理念や数字、組織構造)を深く理解する。


これはマーケティングの王道ともいえる枠組みですが、「地方マーケティング」ではこれだけでは不十分だと指摘します。



地方マーケティングに欠かせない“もうひとつの視点”

地域理解

そこで地方マーケティングに欠かせないのは「地域理解」という視点。

以下が、地域におけるマーケティングの整理です。


  • 市場分析(市場のボリューム、勝ち筋、競合)

  • 事業構造理解(収益と持続性の仕組み)

  • 地域理解(地域の特性、風土、産業、人の関係性)

  • 顧客理解(顧客の理念、組織、数字)


事業構造と顧客理解の間に“地域を見る目”が入ることで、マーケティングの施策は実態と地続きになると語りました。


「地方には、表面には現れにくい“ずっと大切にされてきたもの”があります。

それは、お祭りかもしれないし、方言、昔からの遊び、伝統工芸かもしれない。

数字に表れないけれど、地域の空気や誇りの源になっているものです。」


たとえば…

町の小さなお祭り

経済的インパクトは小さいが、地域の「つながり」を可視化する装置になっている。


地元に根づいた工芸や遊び、ことば(方言)

継承の意味があり、観光や教育との接続が可能。


こうした“見えにくい価値”を丁寧に掬い上げ、マーケティングの中に取り入れていくこと。

それこそが、地域とともに歩む実践的なマーケティングの核心なのです。



なぜ“マクロ分析”だけでは不十分なのか?


一般的な「マクロな市場分析」だけで戦略を描くことで、全国どこも似たような地域活性の計画が量産される現状にも言及しました。


「数字で正しく見えても、現場の“違和感”を見逃してはいけない。

どの地域にも同じような戦略が続いてしまうと、地域の色もアイデンティが消えてしまうんです。」


その土地の風習や、人と人との距離感、産業が抱える情理的な背景。

これらを無視して一律の戦略をあてはめてしまうと、“地域にあるもの”ではなく、“地域にあてがわれたもの”になってしまうのです。



地域理解とは「関係性」と「誇り」を読み解くこと


「地域理解」に必要なのは、次のような目線だと語りました。


  • その地域にとって“当たり前”になっているものを掘り起こす

  • “経済的な価値”だけでなく、“関係的な価値”にも注目する

  • 地域の人が“好き”と言えるものを、外の視点で翻訳し直す


「地域にある“誇りの種”を一緒に拾い集めて、

『それって実は、他の町にはない価値かもしれませんよ』と提示すること。

それがHONEの仕事であり、地域マーケティングの核心だと思っています。」



現場から育てる3つの力

現場から育てる3つの力

重視するマーケターの素養は、次の3点です。


  • 戦略志向:事業の全体設計と未来像を描く力

  • 消費者志向:顧客の立場に立って共感・翻訳する力

  • リーダーシップ:他者と関係性を築き、巻き込んでいく力


これらは教科書では学べず、現場に立ち続けることでしか磨かれないと話しました。



HONEの取り組み内容

事例

離島やシャッター商店街の再構築  “関係性”を育てる支援


人口減少が著しい地域への取り組みも紹介しました。


  • 大分県・深島(人口11人) 島の漁業資源や生活文化を活かした、関係人口づくりのプロジェクトを支援。数値ではなく、「深呼吸ができる島」としての価値を設計。


  • 宮崎県・日南市 油津商店街 空き店舗が連なる商店街において、「商売が目的じゃない“にぎわい”の再定義」を行い、イベント・起業支援・移住促進など多面的に関与。


「単発的な“盛り上げよう”より、“関わりしろをつくろう”。 1回の成功より、5年10年続く関係の方が、地域の力になります。」



商品開発の実践例:特性や文化をどう活かすか


ユニークな商品開発の事例も紹介しました。


  • 干し芋ではなく、“ほしいも”。定量調査で「ほしいもの」を深掘りし、商品を企画。グミのような干し芋を開発。


  • ゴジラの“ぐい飲み” 特撮文化と陶芸技術のコラボ。自治体と組み、ストーリーを活かした観光土産として開発。


「見た目が面白いだけじゃなくて、ちゃんと“誰のために、どう届けるか”を設計してます。 土地のストーリーを商品に移すことで、“語れる地域”が生まれるんです。」


このように、HONEのマーケティングは、「誰に、何を売るか」だけではなく、「誰と、どんな関係をつくるか」からも始まります。

その実践は、地方という現場に深く入り込み、文脈を読み取り、共に新しい価値をつくることに他なりません。


▼もっと知りたい方は続けてお読みください🙌

地方ブランド

このように、HONEのマーケティングは、「誰に、何を売るか」だけではなく、「誰と、どんな関係をつくるか」からも始まります。


その実践は、地方という現場に深く入り込み、文脈を読み取り、共に新しい価値をつくることに他なりません。



福岡大学講義 まとめ


記念写真大熊さん桜井さん
左 大熊 充 さん(株式会社うきはの宝) 右 桜井 貴斗 (株式会社HONE)

今回の講義を通して伝わってきたのは、お二人が抱える “あたたかな決意”と、現場に根ざした“止まらない行動力”でした。


どちらも、決して「すごいことをやろう」として始めたわけではありません。

「目の前にある違和感や小さな困りごとに向き合い、それを形にして届け続けてきた。」

その積み重ねが、地域を動かし、人を巻き込み、社会課題をビジネスとして変えていく力となっているのです。


社会を変えるのは、大きな声ではなく、小さな行動の積み重ね。そして、その原点には、人を想う気持ち。学生さんたちの伝わったのではないでしょうか。


大熊さん、福岡大学のみなさま、ありがとうございました。



HONEのサービスについて


当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。


私がこれまで会得してきた知識・経験を詰め込んだ「3つのサービスプラン」をご用意しており、お悩みや解決したい課題に合わせてサービスを組んでいます。ご興味のある方は、ご検討いただければと思います。


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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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【記事を書いた人】


桜井貴斗

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。



※本記事は一部AIを活用して執筆しています。


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