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静岡茶統一ブランドプロジェクトメンバーの応募動機について【ミニコラム】

  • 執筆者の写真: 桜井 貴斗
    桜井 貴斗
  • 6月12日
  • 読了時間: 12分

更新日:6月13日

静岡茶統一ブランドプロジェクトメンバーの応募動機について【ミニコラム】

HONEの桜井です。


本日は表題の件である、静岡県が公表した「静岡茶統一ブランドプロジェクトメンバー」についてと、その応募動機について書いてみたいと思います。


なぜ私自身がプロジェクトメンバーの応募をしたのか?どんな応募動機なのか?どんな応募文を書いたのか?について公開したいと思います。



静岡茶統一ブランドプロジェクトメンバーとは


世界に通用する静岡茶のブランド構築に向けて、今年度からは体制を新たに、静岡県と公益社団法人静岡県茶業会議所を中心に茶業界が一丸となり、静岡茶統一ブランドプロジェクトを推進。


そこで、茶業界のために個々の利害を超えて、静岡茶の未来を切り拓く意欲を有し、プロジェクトで積極的な意見交換や行動ができる方を募集しているというものです。



静岡茶統一ブランドプロジェクトメンバー
静岡茶統一ブランドプロジェクトメンバー

募集内容


○茶生産者、茶商、茶小売業者、茶関連団体、行政

○茶に関連する異業種(観光業、小売業、飲食業、金融業、医療、研究機関、経営コンサルティング業等)


ただし、静岡茶の振興や茶に関連した業務に携わっており、茶業界のために個々の利害を超えて、静岡茶の未来を切り拓く意欲を有し、プロジェクトで積極的な意見交換や行動ができる方を募集します。



活動内容


  1. 「キックオフミーティング(仮)」への参加

    1. 開催日:令和7年7月4日(金曜)を予定

    2. 内容:総合プロデューサーからブランドに対する考え方の共有

      ※開催内容は変更する場合がございます。


  2. 静岡茶が直面している本質的な課題の抽出や未来の方向性を示すコンセプト構築のための意見交換や勉強会


  3. コンセプトや行動計画に基づいて行う、課題ごとのチーム活動の実施及び情報共有



なぜ応募するのか


少しさかのぼりますが、私が小学生のころ、静岡市内には給食係とは別に「お茶係」という役割があり、1クラス1つ、お茶の入った大きなやかんを運んでいました。給食の牛乳とは別にお茶を飲む文化がありました。


給食に緑茶は出ていましたか? 静岡県内でも実は地域差 茶産地間で濃淡も【NEXT特捜隊】
給食に緑茶は出ていましたか? 静岡県内でも実は地域差 茶産地間で濃淡も【NEXT特捜隊】

流用(静岡新聞:給食に緑茶は出ていましたか? 静岡県内でも実は地域差 茶産地間で濃淡も【NEXT特捜隊】)


やはり、お茶どころには好き嫌いの判別がつく前に「当たり前に根付いている習慣」があるんだよなぁと思っているため、当たり前の文化を良し悪し関係なくある一定のトップダウンで行うことは大切だと思っています。


この小さな習慣が文化になっていくんだと思います。


自分が体験して価値に感じている文化が、現在徐々になくなっていっています。お茶どころと言われた静岡がいつの間にか全国一位ではなくなっている。


ふと自分を振り返ると、幸いにも静岡を拠点に仕事をしていて、マーケティングを生業にしている。このチャンスを活かさないという理由はないなと思い、応募することにしました。



応募全文を公開します


以下が私が応募した際に文章にまとめたものです。メンバーに選ばれるかもわかりませんが、誰かの気づきになれば嬉しいです。



1 静岡茶が直面している課題について、あなたの考えを教えてください。


既知の通り、平成19年(2007年)以降、茶飲料の支出額がリーフ茶を上回り、急須離れ・ペットボトル茶へのシフトが顕著になっています (出典:消費者の「お茶離れ」|Let's 茶茶茶)。


私自身、静岡県・鹿児島県のお茶農家さん・茶商さん・メーカーさんたちとお仕事で携わっており、その中で現場でよく伺うのは「急須でお茶を淹れる文化を次世代に残したい」「広めたい」という想いです。


一方で、一般消費者の間では「リーフティー(茶葉)ではなくティーバッグやペットボトルで充分美味しい」といった認識のギャップがあると思っています。


静岡県立大の中村順行特任教授も「『お茶離れ』という印象はあまり持っていない。ただ『急須離れ』は確実に進んでいる」と述べている通り、急須でお茶を淹れる人が減る一方でペットボトル茶が普及し、お茶の飲み方自体が手軽な形に変わってきたと指摘しています」 (「お茶離れ」ではなく「急須離れ」? 新茶シーズン目前 静岡茶の復権かけ若者に魅力発信 - LOOK 静岡朝日テレビ)。


事実、総務省の家計調査でも2000年代以降ペットボトル等の緑茶飲料への支出が急増し、急須で淹れる茶葉の支出は減少傾向にあります。


社会的な要因として、核家族化や共働きの増加により、「自宅にて急須でお茶を淹れる」習慣が薄れ、忙しい日常の中でお湯を沸かし急須を洗う手間を避ける生活スタイルの変化が急須で淹れることを「面倒」「手間がかかる」と感じる人が増えていると推察されます。


加えて、もともと緑茶葉を日常的に多く消費していた主力層である高齢者人口が減少し、かつ団塊世代(1940年代後半生まれ)はそれ以前の世代よりもコーヒーなど欧米的嗜好を持つ人が多いため、この世代が高齢層に加わったことで緑茶葉の消費減少に拍車をかけたとも言えます。


以上のように、急須文化を広げ継承していく上では「手軽さ」の競合となる製品の存在(ペットボトル・粉末・ティーバッグ)と、それを求める現代人の志向を無視できません。また国内市場の縮小傾向も相まって文化の衰退に拍車がかかっています。


上記の現状を課題として整理すると、


①急須でお茶を楽しむ文化を継続すること

②お茶の生産の総量を高めること

③急須じゃなくても(どんな形でも)お茶を飲む文化を継続すること


それぞれのどこの課題にフォーカスするか?がポイントだと思っています。



2 1の課題に対する、あなたが考える解決策は何ですか?


上記の課題を以下のように整理しました。


①急須でお茶を楽しむ文化を継続すること

→最終的(中長期)目標として設定するも短期数値としては追わない。


②お茶の生産の総量を高めること

→現状も農家さんが減少する中、善処はするが短期的に改善できることではないため、短期数値としては追わない。


③急須じゃなくても(どんな形でも)お茶を飲む文化を継続する

→今すぐでも対応ができる課題。短期的な目標として設定する。


今回プロジェクトは一旦単年度であることため、③を短期目標(2〜3年以内)に進めつつ、①・②は中長期(10年スパン)と設定したいと思います。

その上で①にフォーカスした解決策を以下にまとめます。ポイントは生活習慣を変えずにいかに消費者の中に浸透していくか?をベースに考えています。


その理由として、難易度は「消費者の行動変容>消費者の態度変容>消費者の認識変容」の順だと思っているため、まずは行動や態度を変えず(今の行動・態度の中にお茶の文化を紛れ込ませていく)、認識を変えるアクションを行う、をベースに考えています。


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解決策①:ジャンルを問わず「お茶」に触れる機会を増やす

【アイデア:地元企業・コンビニとのコラボ商品開発】

静岡茶を使った新商品を大手コンビニやカフェチェーンと共同開発し、地域限定・期間限定で販売します(実際にセブン-イレブンでは静岡の老舗製茶会社・丸七製茶とコラボした濃厚抹茶スムージーが登場し、「本格的な抹茶の味わいが最高!」とSNSで話題を呼びました)。他にもローソンでは静岡銘菓との抹茶スイーツコラボ、ミニストップでは「世界一濃い抹茶ジェラート」で有名な静岡・ななや監修のスイーツを展開するなど、既に静岡茶コラボ商品は人気となっています。まず短期目標として、「静岡茶×〇〇」商品を次々企画し、「見つけたら即買いしたくなる」ヒット商品を生み出します。


まずは配荷を高めて、お茶に触れる機会をつくり、好意度を高めていきます。


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解決策②:「飲料としてのお茶」に触れる機会を増やす

【アイデア:静岡茶サブスクリプション「茶(ちゃ)ブスク」】

急須離れした層にも定期的にお茶に触れてもらうため、月額制の静岡茶サブスクリプションサービスを展開(現状、呉服町でも給茶スポットと称して100円でお茶が飲めるサービスがありますが、こちらを撹拌していくようなイメージです)。LINE等のオンラインプラットフォームを活用し、加盟店の茶情報の発信や販売店で会員特典(ワンドリンクサービスや割引)を受けられる電子パスを提供。購入する機会を増やしていきます。


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解決策③:「お茶に触れる楽しみ」をつくる

【アイデア:お茶ガチャ(茶カプセル自販機)】

カプセルトイ(ガチャガチャ)の形式でお茶を販売するプロモーション。静岡県内に自販機を設置し、カプセルの中に静岡産のお茶パック(煎茶、和紅茶、粉末茶など)や茶関連グッズを封入。ハズレ無しの福引感覚で、ガチャガチャを引きます。どのカプセルにもティーバッグが1つ入っていますが、当たりカプセルには希少なシングルオリジン茶葉サンプルや茶スイーツ引換券が入っているといった仕組み。ガチャを回すワクワク感で普段お茶を買わない若者にも興味を持ってもらい、「友達と一緒に茶ガチャしてみた!」というようにSNS発信も狙います。



3 2において、あなたが取り組みたいことや実現したいことは何ですか?


私が最終的に実現したいのは「静岡にお茶文化を根付かせ、100年続く文化にしていくこと」です。


私ごとですが、私が小学生のころ、静岡市内には給食係とは別に「お茶係」という役割があり、1クラス1つ、お茶の入った大きなやかんを運んでいました。給食の牛乳とは別にお茶を飲む文化がありました。


全国の人たちにこの話をするととても珍しいという声をいただきます。また鹿児島では急須をプレゼントしていたこともあったそうです。やはり、お茶どころには好き嫌いの判別がつく前に「当たり前に根付いている習慣」があります。


現在私の子供に聞くと、給食でお茶が出てくることは無くなっているようです。給食の例はほんの一例かもしれませんが、そういった小さな習慣が文化になっていくんだと思います。


言葉が思考になる。

思考が行動になる。

行動が体質になる。

体質が文化になる。

文化がDNAになる。


今回、まずはみんなで言語化してコンセプトをすり合わせ(言葉のフェーズ)、その後思考を共有して行動に起こしていきたいと思います。


故郷の文化を守るべく、精一杯恩返したいと思っておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。


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(蛇足ですが今後実現したい構想を記載させていただきます)


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▼体験価値の創出(茶の間からアクティビティへ)

お茶を淹れて飲むだけでなく、その周辺の体験を包括的に提供。茶産地ツーリズムの推進(茶畑見学・茶摘み体験・農家民泊・製茶工場見学)、日本茶カフェ・バーの充実(茶席を備えたカフェ、夜は茶カクテルを出すバーなど)、ワークショップ開催(急須で美味しく淹れる講座や親子で楽しむお茶淹れ体験)を行いたいです。


観光客や地域住民が茶文化に触れる機会を増やし、急須でお茶を淹れる行為をレジャーや趣味として定着させていきます。


▼マインドフルネス&健康路線との融合

現代人の健康志向・癒し志向にマッチするメッセージを発信。急須でお茶を淹れることを「一種の瞑想」や「セルフケアの時間」と位置付け、ストレス社会における心身のリセット習慣として提案 (Tea Rituals for Focus, Health & Slowness - Zen Habits Website)。例えば「1日1杯の急須茶でホッとする時間を」といったキャッチコピーでキャンペーンを打ち、企業のメンタルヘルス施策とコラボしてオフィスでの茶習慣を推奨するなども考えられます。さらに、日本茶の健康効果(リラックス、ダイエット、免疫力向上など)をエビデンスとともにPRし、急須で淹れる新鮮なお茶のメリットを科学的にアピールします。


▼高付加価値路線(シングルオリジン&プレミアム茶)

コーヒーの第三の波にならい、日本茶でもシングルオリジンやプレミアム路線を追求。産地・農園・品種ごとに異なる風味を楽しむ「シングルオリジン煎茶」や、オーガニック・希少品種の限定茶葉などを展開し、通好みの市場を育てます。茶葉のテロワール(土壌や気候による風味の違い)や生産者の哲学を発信し、ワインのようにテイスティングする楽しみを提供します。


専門店や百貨店で少量高価格でも販売し、茶農家には適正な利益をもたらすことで生産の持続性も確保します。こうした高付加価値戦略は文化全体の厚みを増し、「いつかは急須で最高のお茶を味わってみたい」という憧れを喚起する効果もあります。


▼文化遺産としての位置づけ強化

和食がそうであったように、日本茶・急須文化自体の価値を公式に位置付けることも重要。例えば「日本茶文化」を国の無形文化財に申請したり、世界茶文化遺産としてユネスコに登録を働きかけたりするようなイメージです。そこまでいかなくとも、自治体レベルで「〇〇県の茶文化」を文化財指定したり、学校教育で茶の湯と併せて煎茶の急須文化を教える機会を増やすなど、公的な場での認知度向上を図ります。


文化庁や農水省と連携し、茶道だけでなく煎茶道や日常の茶文化にもスポットを当てた施策を展開すれば、国民の意識醸成につながります。こうした官方のお墨付きは、急須文化を「守るべき大切なもの」という共通認識を社会に植え付け、継承活動への支持を得やすくします。


▼国際展開と逆輸入効果の活用

日本茶ブームを海外で起こし、その熱を国内にも波及させる施策も検討したいです。具体的には、海外の日本茶愛好家やティーインフルエンサーを巻き込んだイベント(International Tea Dayへの参画、日本茶アワードの海外開催)、訪日観光客向けの深い茶体験ツアー造成、海外の人気カフェチェーンとのコラボレーションティーメニュー開発などを行います。


海外で日本茶の評価が高まれば、日本人も自国の茶文化を再認識し誇りに思う心理が働きます。英語圏向けの発信強化や輸出拡大支援策を通じて、グローバルな日本茶コミュニティを育て、その盛り上がりを国内に取り込むのです。100年先を見据えれば、日本茶が世界中の人々の日常に溶け込み、結果として国際的にも守られる文化になることが理想です。


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以上となります。


長文失礼いたしました。

何卒よろしくお願い申し上げます。



以上が私の想いです。誰かに届いたらいいな!と思います。



HONEについて


当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。


私がこれまで会得してきた知識・経験を詰め込んだ「3つのサービスプラン」をご用意しており、お悩みや解決したい課題に合わせてサービスを組んでいます。ご興味のある方は、ご検討いただければと思います。


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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


5万併走


【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。

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