【レポート】TSUGU SHIZUOKA 創設イベント〜静岡のアトツギを孤独にしない、やさしく有機的な共創エコシステムの幕開け〜
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静岡に、事業後継者(アトツギ)とその候補者たちのための新しいコミュニティが生まれました。その名も一般社団法人 TSUGU SHIZUOKA(つぐ しずおか)。弊社・桜井も、代表理事として立ち上げから関わっています。
この記事では、2026年7月10日に静岡市コ・クリエーションスペースで開催された創設イベントの様子と、立ち上げメンバーの想いをレポートします。
▼実施イベントはこちら
設立の背景についてはこちらのnoteもあわせてお読みください。
▼【ご報告】静岡のアトツギを孤独にしない。やさしく有機的なつながりを生み出す、一般社団法人「TSUGU SHIZUOKA」を設立しました。
株式会社HONEでは過去のセミナー資料、お役立ち資料、会社紹介資料がダウンロードできます。
一般社団法人TSUGU SHIZUOKA メンバー紹介


桜井 貴斗 氏(代表理事・株式会社HONE Astlocal株式会社 代表取締役)
小松 元気 氏(代表理事・株式会社カネス製茶 取締役&4代目アトツギ)
齊藤 雄大 氏(代表理事・株式会社斎藤鐵工所 代表取締役・6代目)
山崎 啓輔 氏(理事、株式会社ヤマザキスポーツ 代表取締役 / 静岡マーケティングサロン主宰)
藤田 大悟 氏(理事、株式会社藤田屋・4代目アトツギ)
多々良 大吾 氏(理事、タタラ商店株式会社・3代目アトツギ)
ゲスト登壇者プロフィール

山岸 勇太 氏
一般社団法人ベンチャー型事業承継 事務局長
1982年石川県小松市生まれ。法政大学卒業後、NTT西日本に入社。サービス企画・開発に従事。2013年福岡県庁民間採用枠で入庁。福岡・九州発のスタートアップエコシステムの構築に従事。2022年4月より一般社団法人ベンチャー型事業承継に参画。アトツギベンチャーが日本発の新たなイノベーションの型になることを信じ、全国でアトツギコミュニティ支援を実施中。
宮城島 清也 氏
静岡市経済局商工部 産業政策課長
静岡市では、事業承継を契機として新しい領域に挑戦するアトツギを支援するため、事業承継の心構えや新規授業開発手法を実践的かつ体系的に学べる実践セミナー・サポートを行っている。昨年度の取り組み内容の報告、そして令和8年度のサポートについても現在実践中。
長山 大介 氏
株式会社Edo Tokugawa Design 代表取締役CEO
德川宗家事務所 戦略統括
東京大学大学院にて博士号を取得。在学中に東京大学総長賞などを受賞し、修了生総代を務める。「日本と世界のより良い未来に貢献すること」をミッションに掲げ、AI・データテクノロジー事業を展開する「C1X Inc.」の共同創業者COOや、グローバルなベンチャーキャピタルのパートナーとして最先端ビジネスの最前線で活躍。また、旗本・長山家の直系子孫として、德川宗家事務所の戦略統括(CSO)や「株式会社Edo Tokugawa Design」の代表取締役CEOを務め、江戸・徳川の精神性や美意識を現代のビジネスやプロジェクトを通じて世界へ発信する活動にも注力している。
TSUGU SHIZUOKAとは
TSUGU SHIZUOKAが掲げるPURPOSEは「静岡に熱狂できる事業承継を」。
そしてMISSIONは「血の通ったアトツギカルチャーを静岡に」です。

なぜ今、このコミュニティが必要なのでしょうか。
カネス製茶の小松さんは、「燃え盛る想いやリアルな部分を共有したり、情報をやり取りしたりできる場が少ない」と感じてきたと言います。
斎藤鐵工所の齊藤さんも、老舗企業の長男として育ち、いずれ自分が継ぐのだろうと思いながらキャリアを選んできた一人。
「家業ならではの泥臭さや、認識の違いによる悩みがあるからこそ、同じ思いを共有できるコミュニティは大事」と話されました。

家族や同業者とはまた違う仲間ができ、日頃から情報を交わし、困ったときには支え合える。そんな関係性がTSUGU SHIZUOKAから育っていくのだと思います。
家族でも社員でも取引先でもない。同じように家業を継ぐ立場だからこそ話せることがあります。TSUGU SHIZUOKAは、そんな孤独になりやすいアトツギ同士が日常的につながり、支え合える場所として立ち上がりました。

静岡らしいコミュニティとは何か
一般社団法人ベンチャー型事業承継では、全国各地の後継予定者が新規事業アイデアを競うピッチイベント「アトツギ甲子園」をはじめ、各地域でアトツギコミュニティの支援に取り組んでいます。
一般社団法人ベンチャー型事業承継にて事務局長を務める山岸さんは、「銀行出身の井出さんやマーケティング畑の桜井さんなど、調整役がハブになり、社団という形をとっているのは珍しい」と全国の事例を見てきた立場から、静岡ならではの特徴について語ってくれました。他の地域では、後継者自身が中心となってコミュニティを形成することが多いのだそうです。

この支援者とアトツギたちが混ざってつくった背景には、桜井さんの想いがあります。
「外から支援する人」ではなく、「同じ地域で責任を持つ当事者」でありたい。だからこそ社団という形を選び、自らも事業を営みながら、アトツギと同じ目線で地域に関わり続けることを決めました。
静岡という土地で、人と人とのゆるやかなつながりを育てていく。その積み重ねが、新しい挑戦や共創を生み出していく土壌になっていくのだと感じました。
社団というあり方に込められているのは、今、地元のために動くという「覚悟」。
対価を得て仕事をすることで、自分自身の事業も成長させながら、逃げずに後継者と同じ立場で取り組んでいこうという気持ちの表れでもあります。
静岡は大都市からのアクセスがよく、全国から人が集まりやすい土地。加えて、静岡の人には波風を立てず調和を大切にする気質があるとも言われます。静岡を拠点に、業種や地域を超えてつながっていくことで、これまでにない掛け算が生まれていく予感がします。

承継されるのは、事業の背景にある物語
後半では、徳川宗家事務所 戦略統括であり、株式会社Edo Tokugawa Design代表取締役CEOの長山さんが登壇しました。
長山さんが語ったのは、「承継とは何を受け継ぐことなのか」です。
創業者は何を大切にしていたのか。なぜこの地域で商いを始めたのか。会社が長く続いてきた理由は何なのか。
そうした本質を掘り起こし、現代の価値へと再編集することで、新しい事業は生まれていく。これは家業を継ぐアトツギにも、そのまま当てはまる考え方です。
受け継ぐのは、会社という箱だけではありません。そこに紡がれてきた「物語」も受け継がれていきます。
AIなどの技術が発展し、多様なものを生み出せる時代になった今も、純粋な人間の営みだけが紡いできた物語をAIが生み出すことはできません。人や物の背景にある物語を編集し直し、掛け合わせながら形にして届けていくことこそが大切だと長山さんは言います。
また、次の世代へ承継していくためには、個人の裁量に頼るのではなく、仕組みとして残していく必要があるとも語ってくれました。長山さんは、抽象と具体を行き来しながら、社会に今、何が残っているのかを基準に取捨選択しているそうです。

人の気持ちが乗った事業は、共感を集めながら物語として紡がれ、長く残っていく。天才でなくても、自分の会社や後継者を思い、続けていこうとする意識こそが大切なのだと感じました。
自治体の支援があってこそ、地域のコミュニティが生まれる
続いては静岡市の宮城島課長からのシェア。静岡市産業政策課では、令和6年と7年に事業承継に関するアンケートを実施したそうです。
重要なのは、事業承継を必要とする市内経営者が「相談先を知らない」「相談機会がない」といった理由で廃業することを防ぎ、必要な支援に繋ぐことを目的としている点です。
セミナーや研修では市の職員が後継予定者を支援関係機関に繋ぐ、いわゆるプッシュ型支援も行われているとのことでした。現状を把握するだけでなく、情報提供やマッチングの役割まで担っているのです。
中でも印象的だったのは、市内企業イノベーション創出支援事業です。
静岡市が新規事業の創出や経営課題の解決を支援し、希望者にはアトツギ甲子園出場に向けた伴走支援も行っています。実際にこの支援を経てアトツギ甲子園の全国大会まで進んだ企業もあるそうです。相談先として静岡市が存在することは、信頼性の面でも事業の広がりの面でも、心強い後ろ盾になるのだろうと思います。
行政による確かな支援があるから、後継者は目の前の事業に向き合うことができ、地域でのコミュニティまで求めるようになるのではないでしょうか。

さいごに
一般社団法人TSUGU SHIZUOKAは、後継者、後継予定者、支援者、応援者をつなぐコミュニティです。理解してくれる相手がいる場所だからこそ、普段なかなか表に出しにくい心の声も、ふんわりと発することができるのではないでしょうか。「アトツギ」というキーワードで集まったメンバーと、事業承継ならではの悩みや苦労を分かち合い、本来の楽しさや喜びをみんなで感じてみませんか。
創設イベントには、約60名が参加しました。この日の熱気を1年後も、10年後も、その先もずっと感じられるように。これからもアトツギ界隈を一緒に盛り上げていきましょう。

TSUGU SHIZUOKAでは、共創パートナー(協賛)を募集しています。詳細は下記のリンクをご覧ください。
参考:【ご報告】2026/6/1、静岡エリアにおける事業後継者(アトツギ)とその候補者たちの新たなコミュニティ、一般社団法人「TSUGU SHIZUOKA」を設立いたしました。

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【記事を書いた人】

株式会社HONE
インターン 石井恭華
静岡県出身、大学在学中。経済学を専攻し、地域や産業をテーマにしたゼミに所属。
能登半島での復興支援や、静岡県内でのイベント運営などに関わる中で、地域の活動が「どうすれば人に届き、続いていくのか」に関心を持つ。
現在は株式会社HONEにてインターンとして、地域や企業の取り組みに関する記事を作成し発信している。










