「USJのジェットコースターは なぜ後ろ向きに走ったのか?」実践に活かせるコト。【マーケティング入門本】
- 梨沙子 亀元

- 11月9日
- 読了時間: 9分
更新日:11月9日

マーケティングの入門書として紹介されることの多い、森岡毅さんの著書『USJのジェットコースターは なぜ後ろ向きに走ったのか?』。
私自身、マーケターになる以前にこの本と出会いました。
「マーケティングとは何か?」
「戦略とは何か?」
マーケティングに取り組む姿勢や考え方を抜粋し、解釈してみたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
株式会社HONEでは過去のセミナー資料、お役立ち資料、会社紹介資料がダウンロードできます。
書籍紹介

2001年の開業年に年間1100万人を集客しながら、その後、700万人台まで落ち込んでいたユニバーサル・スタジオ・ジャパンを、“3段ロケット構想"でV字回復させた立役者、森岡毅CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の初の著書。森岡氏はお金もない、人も足りない、9回裏ランナーなしの状態から、「後ろ向きに走るジェットコースター」などずば抜けたアイデアを次々に繰り出し、ヒットを連発。USJのV字回復の立役者となった。
本書では、USJのドラマチックなV字回復の軌跡をたどりながら、「アイデア発想の技術」をやさしく学ぶことができる。
(Amazonサイトより抜粋)
著者 森岡毅
戦略家・マーケター
プロローグから
(本書より) 天才的な右脳人間になれなくてもいいのです。 常識的に物事を考える凡人ならではの強みを活かせば、必ず最高のアイデアに辿りつくのです。
「ひらめき」や「センス」だけがアイデアを生むのではない、というメッセージです。
構造的に考え、論理を積み重ねることで、誰でも良いアイデアにたどり着ける。
森岡さんのこの言葉に、初読のときから勇気をもらえました。
「差別化」という名の誤ったこだわり
(本書より) 私が戦って変えてゆくべき「最大の敵」が見えてきました。 それはUSJのように技術や品質にこだわる会社にはありがちな問題点だったのです。 素晴らしい技術があるのに、みんな誇りを持って一生懸命やっているのに、なぜかうまくいかない。 高い品質の製品を作っているのに、なぜか売れない。 そんな悩みをかかえる技術志向の日本企業は少なくないと思います。
森岡さんが直面したのは、「差別化」という言葉にとらわれすぎた企業体質でした。
技術や品質に誇りを持つこと自体は素晴らしいことです。
しかし、「何のためにそのこだわりを持つのか?」という問いを常に持ち続けなければ、その価値は閉ざされたものとなってしまいます。
正しい目的に沿って発揮されることで、新たな価値の芽を育てる力になると思います。
動きながら考える方が良いこともある
(本書より) 悩みの淵(ふち)にいた私は、考えすぎて動きを止めるのではなく、 動きながら考える方が良いこともあると思いたちました。 まずは相手方の総帥に会ってみようと思ったのです。私の武器は、モンハンへの純粋な熱意だけです。もう相手の懐に突撃するしかない と思ったのです。
そもそも、計画を立てられる人材がいないケースも少なくありません。計画段階から外部の知見を頼ってみることも一つの選択肢です。完璧な計画を描こうと立ち止まるより、まずは一歩を踏み出してみる。
動きながら考えることでしか見えない風景があります。感情だけではビジネスは成り立ちませんが、論理だけでも人も市場も動かない。「熱量を持って動くことでしか生まれない発想」が、企業を前に進める力になるのだと思います。
外に目を向ける
(本書より) 多くの人が自分のプロジェクトに関連する自社の都合だけを、自分の視界のみで見ているように思うのです。もっと外に目を向けて積極的にアイデアを盗みに行った方が良いと私は思うのです。
目的意識を持って積極的に外にアイデアの断片を求めることを積み重ねていくと、自分の頭の中により多くのアイデアの断片を「ストック」できるようになるのです。
日本企業の課題として「ゼロから自分で作ろうとする悪いクセ」を挙げられています。
異業種の知恵を積極的に取り込み、地域の文脈に合わせて再構築することこそが、大きな武器になります。
「うちはうちのやり方で」と内に閉じるのではなく、外の知を吸収し、自分たちらしい形に磨き上げる。それは「真似」や「模倣」ではなく、実装に向けた知恵を掛け合わせる行為だと思います。
大企業とは違う中小企業のマーケティング戦い方
(本書より) 経営資源で勝る企業ならば、1つや2つの大き目の失敗でも規模でカバーできる可能性があります。 私の前職のP&Gという巨大企業がそうでした。どこかの国の1つのカテゴリーで100億を超えるような売上の穴を作っても、その穴を埋めるべく、他にうまくいっているブランドや国があったものでした。規模があればポートフォリオが組めるのです。 しかし中小企業ではそうはいきません。経営資源が少ない企業は、まず一番大事なところに資源を集中しないと勝てません。 あれこれリスクヘッジしようと資源を分散すると、全てで資源が不足して負ける可能性が大きくなります。一点張りで、絶対に勝たないといけない重要性は、大企業の比ではありません。だから中小企業は、大企業よりも頭を使っていかないと駄目なのです。 生み出されるアイデアの質もスピードも、大企業よりも優れていないことには話になりません。経営資源で劣るならば、せめて知恵で優れないと勝負になりません。数倍の敵に勝ちたいなら、その数倍以上努力して執着して考えて当然です。 そうやって、とことん戦略とアイデアで勝つのです。企業である以上、何としても生き残らねばなりません。そして生き残るためには、勝ち続けて成長し続けねばならないのです。
都心と地方では、そもそも持てるリソースの規模が違います。
人の数、情報の流通速度、資金の厚み。地方企業が同じ土俵で量的に勝負するのは難しいのです。けれどもその制約こそが、「考える力」「臨機応変に実行する力」を磨くきっかけになりうると信じています。
マーケティングを「お金をかける力」ではなく、「考える力」で成果を出す技術にしたいのです。限られた環境でも勝てる構造を設計することにこそ、地方の実践者が持つ最大の価値があると感じます。
目的・戦略・戦術の整理

(本書より) このように戦略的フレームワークとは、目的→戦略→戦術の順番、つまり大きなところから考えてその下の範囲を絞っていくやり方です。無駄な場所をできるだけ掘らずに、その時間を掘るべき場所に使うので、それだけ早く宝を掘り当てる確率が上がります。
目的…そもそも達成すべき命題は何か? 戦略…目的達成のために経営資源を何に集中するか? 戦術…具体的にどのように実現させていくのか?
これは真理ですが、どれだけ優れて見える戦略でも、実現性がなければ机上の空論になります。戦略的フレームワークで掘る範囲を絞り込むときに、ある程度の実現可能性を気にしておくことが大切です。
実際のビジネスでは、時間や経営資源が限られるなかで、戦略と戦術(アイデア)の組み合わせを2〜3セット同時に追いかけることも少なくありません。 それぞれの実現可能性を検証しながら進めないと、意思決定を安易に行うリスクが高まる。森岡さんは、そんな現実的な「戦略の動かし方」にも触れています。
(本書より) それぞれの戦略やアイデアの実現可能性を検証しない限り、意思決定は安易に行わないケースが多いからです。決めないことを許容できる状況なら、簡単に決めないで意思決定の精度を高めていくことはありだと思います。 しかし、私自身は、戦略段階での意思決定をどれだけ早くできるのかを意識しています。不必要に早く決めないことは理論上は正しいのですが、実践においては意思決定の早さは多くの場合で必要とされ、タイミングを逸すれば状況が不利に展開する場合がほとんどだからです。戦略を早く決めることも、早く決めないことも、それぞれ拙速か巧遅のどちらかのリスクを抱えることになります。
拙速(早すぎる決断)も巧遅(遅すぎる判断)も危うく、重要なのは、そのリスクを理解したうえで選択のタイミングをコントロールすることだと解釈しています。
「まだ情報が足りない」と先送りにして商機を逃すケース。逆に、十分な検証をせずに走り出し、リソースを浪費してしまうケース。その両方を知ったうえで、状況事実を正しく知り見極めるスキル、実行に移す力を組織にも個人にも備えておくことが重要だと思いました。
まとめ「奇抜なアイデアよりも構造化された思考と考えやり抜く力」
地方企業がマーケティングを実装するうえで必要なのは、奇抜なアイデアではなく、構造化された思考と考え抜く力、そしてやり抜く力です。
目的を明確にすること
そこに資源を集中すること
外の知を取り込みながら、自社らしく磨き上げること
大きな構想を描きながら細部を動かすには、
問いを立てる力、経済のバランス感覚、実装に向けた組織や個人の力が欠かせません。
その根っこにあるのは、より良い未来をつくるために人の心を動かそうとする当事者や関係者の姿勢だと思える本でした。
HONEのサービスについて
当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。
学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。
誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。
\こ相談はこちらから/
その他、気軽にマーケティングの相談をしたい方のための「5万伴走プラン」もスタートしました。詳細はバナー先の記事をお読みください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
\こ相談はこちらから/
【記事を書いた人】

株式会社HONE
マーケター 亀元梨沙子








