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未成線トンネルに、静岡の地酒を眠らせる。熟成日本酒の新しい価値を届けるプロジェクト
【静岡日本酒研究会(浜松市)】

クライアント

静岡日本酒研究会

地域

静岡県浜松市

プラン

事業伴走プラン

ワインセラーで生まれる新しい日本酒【静岡日本酒研究会(浜松市)】

時間と場所を味方につける、静岡の熟成日本酒


静岡日本酒研究会は、静岡県産の日本酒を樽や瓶で熟成させ、これまでにない味わいと楽しみ方を提案するプロジェクトです。


プロジェクトの中心となる「富士の酒」は、静岡の地酒を選び、その魅力を国内外へ伝える活動を続けています。蔵元や銘柄を紹介するだけでなく、どのような人に、どのような料理や場面で楽しんでもらうのかまで提案していることが特徴です。初めて日本酒を飲む人にも選びやすい飲み比べセット、贈答に使いやすい商品、洋樽で熟成させた酒など、日本酒との新しい入口をつくっています。


熟成の舞台は、浜松市天竜区にある「浜松ワインセラー」です。かつて遠州と長野県南部を鉄道で結ぶ構想の中でつくられたものの、開通しなかったトンネルを再利用した天然のワインセラーです。長いトンネルの内部は、年間を通して温度変化が穏やかで、湿度と静けさが保たれています。その環境を生かし、静岡の地酒を時間とともに育てます。


瓶で寝かせるだけでなく、ワイン樽やウイスキー樽など、異なる容器による香りや味わいの変化も試みています。和食に限らず、肉料理、チーズ、デザートなどとの組み合わせを探り、日本酒を飲む人だけでなく、ワインやウイスキーを好む人にも新しい選択肢を提案する取り組みです。


酒蔵ごとの個性に、樽と時間による変化を重ねることで、同じ静岡の酒でも多様な表情が生まれます。完成品だけでなく、熟成の途中や飲み比べにも楽しさがあることが、このプロジェクトならではの魅力です。日本酒を銘柄や精米歩合だけで選ぶのではなく、保管された場所、経過した時間、合わせる料理まで含めて味わう体験へ広げています。



まだ見ぬ味わいを、商品としてどう伝えるか


熟成日本酒は、完成した味を大量に再現する一般的な商品とは性格が異なります。同じ酒でも、貯蔵期間、容器、温度、湿度によって変化します。その偶然性や時間の価値が魅力である一方、初めて知る人には違いが分かりにくく、価格や飲み方も想像しにくい商品です。


また、プロジェクトが動き始めた時期には、飲食店やイベントを通じて日本酒を知ってもらう機会が限られていました。現地で試飲し、説明を受ければ伝わる魅力を、オンライン上の言葉と写真だけでどう届けるのか。酒づくり、熟成、トンネルという複数の物語を、一つの商品体験として整理する必要がありました。


さらに、研究的な挑戦で終わらせず、商品を購入し、飲み、感想を共有してもらうところまで設計しなければ、次の熟成や商品開発へつながりません。プロジェクトへの共感と、商品としての分かりやすさを両立することが課題でした。



クラウドファンディングとECを一つの導線として設計


HONEは静岡日本酒研究会のメンバーとして、クラウドファンディングとECサイトの制作・実行に携わりました。


クラウドファンディングでは、単に製造資金を募るのではなく、熟成日本酒という新しいカテゴリーを知ってもらう場として企画を整理しました。なぜ静岡の地酒を熟成させるのか。なぜ未成線トンネルなのか。樽や時間によってどのような変化が生まれるのか。つくり手の思いと、飲み手が得られる体験をつなぎ、プロジェクトの全体像を伝えました。


返礼品では、熟成酒そのものに加え、料理との組み合わせや飲み比べなど、味わいを体験しやすい入口を用意しました。支援者が商品を受け取って終わるのではなく、日本酒の変化を楽しみ、次の商品にも関心を持てる関係を目指しました。


ECサイトは、クラウドファンディング終了後も商品と顧客の接点が残るように整備しました。商品ごとの特徴、酒蔵、熟成方法、合わせたい料理や場面を整理し、初めての人でも選びやすい情報設計を検討。クラウドファンディングで生まれた認知と共感を、継続的な購入へつなげる導線をつくりました。


クラウドファンディングとECでは、役割も異なります。前者は、まだ広く知られていない挑戦を物語とともに届け、応援してくれる人を集める場。後者は、商品を比較し、納得して選び、繰り返し購入できる売り場です。二つを別々に制作するのではなく、プロジェクトを知るところから商品を手に取るまでの顧客体験としてつなげました。



地域に残された場所から、新しい酒文化をつくる


このプロジェクトの価値は、珍しい貯蔵方法だけではありません。


使われなかった鉄道トンネル、静岡の酒蔵が培ってきた技術、酒を選び食との組み合わせを伝える人、樽や熟成を楽しむ飲み手。それぞれ別の場所にあった資源をつなぐことで、静岡の地酒に新しい時間軸と物語が生まれました。


すでにある酒を新しい包装で売るのではなく、熟成という過程から商品をつくり、クラウドファンディングで仲間を集め、ECで継続的に届ける。地域資源を新しい市場へひらく一連のプロセスを、プロジェクトメンバーの一員として支援しました。


また、購入者から得られる反応は、次の熟成条件や商品構成を考えるための材料になります。つくって終わるのではなく、届けた結果から学び、次の仮説へつなげる。研究と販売を往復できる仕組みを持つことで、熟成日本酒という新しい文化を一過性の話題にせず、時間をかけて育てていくことを目指しました。



実施内容


  • 熟成日本酒プロジェクトのコンセプト・訴求整理

  • クラウドファンディングの企画・ページ制作・実行支援

  • 商品の魅力、熟成方法、地域背景の情報整理

  • 返礼品・体験価値の設計支援

  • ECサイトの情報設計・制作・運用導線の整備

  • プロジェクトメンバーとの進行・発信支援



クライアント情報


静岡日本酒研究会/富士の酒




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