自分に、島に、風を起こすための「大人の島留学」カリキュラム策定【島前ふるさと魅力化財団(島根県隠岐郡海士町)】
クライアント
島前ふるさと魅力化財団
地域
島根県隠岐郡海士町
プラン
事業伴走プラン
研修プラン

島の外にヒントを求めて。挑戦を「一人のもの」から 「外とつながるもの」へ ― 大人の島留学「ROOTS」【島前ふるさと魅力化財団(島根県隠岐郡海士町)】
大人の島留学とは、全国各地の若者たちが島根県、隠岐島前地域(海士町、西ノ島町、知夫村)で暮らし、働くことができる制度です。 これまでの5年間で、約500名の社会人や学生が参画しています。
今回、島留学期間で、極めたいこと・深めたいことに本気で取り組みたい人へ向けた“トライ!”をサポートする、伴走型研修プログラム「ROOTS」のカリキュラム策定の監修、講義のサポートを行いました。
▼研修レポート
伴走型研修プログラム「ROOTS」― 島の外にヒントを探す ― in島根県隠岐郡海士町
▼ほねろぐ(コラム)
葛藤は知性を育む、について。【島前ふるさと魅力化財団(島根県隠岐郡海士町)】
舞台は、日本海に浮かぶ小さな島
海士町は、島根県隠岐郡に属する町です。日本海に浮かぶ隠岐諸島の島前にあり、中ノ島を主島とする1島1町の自治体。人口はおよそ2,300人。松江からフェリーでおよそ3時間の距離にあります。「日本で最も美しい村」連合にも加盟する、豊かな自然と文化を抱えた島です。
この島には、全国から若者が集まる独自の制度があります。それが「大人の島留学」です。

「大人の島留学」と、その後半戦を支える「ROOTS」
「大人の島留学」は、島前ふるさと魅力化財団が運営母体となり、隠岐島前地域(海士町・西ノ 島町・知夫村)で暮らし、働きながら地域づくりに参画できる制度です。
これまでの5年間で、約500名の社会人や学生が参画してきました。参加者は「参加者」ではなく、当事者意識を持ってまちづくりを担う「参画者」として島に飛び込みます。
その挑戦をさらに一段深めるのが、伴走型研修プログラム「ROOTS」です。島留学の後半戦に向け、「極めたいこと・深めたいこと」に本気で取り組みたい人が、行動と内省を繰り返しながら自分のミッションを磨き上げていくプログラムです。株式会社HONEは、このROOTSのカリキュラム策定の監修と講義を担当しています。
2025年9月2日、海士町で開催された第3回の特別講義には、25名が参加しました。

第3回テーマ:「島の外にヒントを探す」
ROOTSはこれまで、第1回「固定観念に気づく」、第2回「小さな実験に挑戦する」と段階を重ねてきました。第3回のテーマは「島の外・自分の外に学びを求める」です。
参加者はそれぞれのテーマに沿って動き始めていましたが、実践が進むほど「どうすればよいか分からない」という壁にぶつかっていました。郷土料理を継承したいけれど最初の一歩が見えない。人が集まる場をつくりたいけれど運営の方法が分からない。熱意はあるのに、やり方が分からない。そんな悩みを突破するキーワードが「外に学ぶ」でした。
「学ぶ=真似ぶ」の力と、守破離
HONE代表の桜井は、「学ぶ」の語源が「真似ぶ」であることを紹介しました。
赤ん坊が親の仕草を模倣するように、学びはまず真似ることから始まります。
ここで示されたのが「Copy → Adapt → Invent」のサイクルです。

外部の事例を素直に取り入れ(Copy)、自分の文脈に合わせて調整し(Adapt)、オリジナルへと発展させる(Invent)。
多くの人たちは「自分だけの新しい答えを出さなければ」と思い込んでいますが、実際には真似ることこそが第一歩であり、その土台なしに前へ進むことは難しいのです。
さらに、日本の茶道や武道に伝わる「守破離」の考え方も紹介しました。まず型を守り徹底的に学び(守)、型を自分に合うように破り(破)、やがて型から自由になって自分の表現を確立する(離)。
真似なくし てオリジナルは生まれない、という視点です。「今の自分は守の段階にいる」と気づき、真似ることを前向きに受け止め直す参加者の姿が印象的でした。
実践ワーク:「Whoリスト」で人に頼る力を磨く
後半の実践ワークでは、自分の挑戦を進めるために「誰に、何を、どう聞くか」を整理する「Whoリスト」を作成しました。身近な人(島の住民や知人)、島外の実践者(他地域で活動する同世代)、全国の成功者(専門家や研究者)という3層で聞く相手を洗い出していきます。
さらに大切なのは「何を聞くか」です。活動を始めて最初にやったこと、続ける中で一番難しかった壁、協力者の集め方、成功と失敗を分けた要因。こうした問いを設計することで、得られる学びが大きく変わることを、参加者は手を動かしながら実感していました。
葛藤は、知性を育む
今回の講義では、参加者との対話の中で「メインストリームから外れることへの不安」を抱える人が一定数いることも見えてきました。良い大学、名のある会社、それなりの稼ぎ、幸せな家庭。離島に飛び込むという選択は、そうした「王道」から外れることへの迷いと隣り合わせでもあります。
けれど、迷い、悩み、葛藤する時間は決して無駄ではありません。むしろ、自分なりの倫理や問いを形づくるために欠かせない時間です。葛藤は、知性を育んでくれる。人と違う道を歩む不安の中にこそ、その人だけのルーツが育っていきます。

まとめ:外に開くことで、挑戦は前に進む
研修の終盤、参加者からは「真似ることは学びの基本だと知れた」「人に頼ることは迷惑ではなく挑戦の一部だと分かった」「外に開けば力を貸してくれる人がいると思えた」といった声が上がりました。
会場は、どこか安堵したような、それでいて前向きな空気に包まれていました。
島という閉じた空間では、思考も内側に向かい、一人で抱え込みやすくなります。だからこそ、外に学び、外に開くことには大きな意味があります。
挑戦は一人で抱えるものではなく、外とつながることで豊かさを増していく。島での経験を自分のルーツとして持ち帰れるよう、HONEはこれからも参加者に寄り添い、伴走を続けていきます。



