伴走型研修プログラム「ROOTS」― 島の外にヒントを探す ― in島根県隠岐郡海士町
- 森勇人

- 9月7日
- 読了時間: 8分
更新日:9月12日

HONEインターン生の森です。
9月2日、島根県隠岐郡海士町にて、大人の島留学生を対象にした「伴走型研修プログラムROOTS」の特別講義が開催されました。
「大人の島留学」は、島前ふるさと魅力化財団が運営母体となり、島根県・隠岐島前地域(海士町・西ノ島町・知夫村)で暮らし、働きながら地域づくりに参画する制度です。全国から集まった若者たちが、人口約5,700人の小さな島々に飛び込み、まちづくりの最前線を担います。これまで約500名が挑戦し、自らのキャリアや人生の方向性を見つめ直してきました。
その挑戦を後押しするのが「伴走型研修プログラムROOTS」。島留学の後半戦に向け、「極めたいこと・深めたいこと」に本気で取り組みたい人に対して、行動と内省を繰り返しながら自分のミッションを磨き上げることを目指すプログラムです。
株式会社HONEはカリキュラム策定の監修や講義を担当し、参加者が自分の挑戦を進めるための伴走支援をしています。
ぜひ最後までご覧ください。
株式会社HONEでは過去のセミナー資料、お役立ち資料、会社紹介資料がダウンロードできます。
第3回テーマ:「島の外にヒントを探す」in島根県隠岐郡海士町

伴走型研修プログラムROOTSでは、これまで第1回で「固定観念に気づく」、第2回で「小さな実験に挑戦する」と段階を踏んできました。第3回である今回のテーマは「島の外・自分の外に学びを求める」です。
参加者はプログラムを通じて、自分の関心やテーマに基づいて動き始めています。しかし実践が進むと、多くの人が「どうすればよいかわからない」という壁にぶつかっていました。
郷土料理を継承したい:強い思いはあるが、最初の一歩が見えない。
地域に人が集まる場をつくりたい:アイデアはあるが、運営の方法が分からない。
熱意はあるが、やり方が分からない。そんな悩みを突破するために提示されたキーワードが「外に学ぶ」でした。
「学ぶ=真似ぶ」の力

株式会社HONE代表の桜井は、「学ぶ」の語源が「真似ぶ」であることを紹介しました。学びとは、まず真似ることから始まる。赤ん坊が親の仕草を模倣するように、人は最初に「まねぶ」ことで新しい世界への一歩を踏み出します。
そこで強調されたのが「Copy → Adapt → Invent」のサイクルです。
Copy(まねる) :外部の事例を素直に取り入れる
Adapt(応用する):自分の文脈に合わせて調整する
Invent(発明する):オリジナルへと発展させる
多くの参加者が「自分だけの新しい答えを出さなければ」と思い込んでいました。しかし、実際には「まねる」ことこそが第一歩であり、その土台を軽視すると前に進めなくなります。
さらに紹介されたのが「守破離」という日本の茶道、武道、芸術等における師弟関係の考え方です。
守破離

守:まず型を守り、徹底的に学ぶ
破:型を自分に合うように破る
離:型から自由になり、自分の表現を確立する
日本は古来より真似て応用し発明することで、新たな流派を生み出してきました。つまり、真似無くしてオリジナルは生まれないのです。
参加者の中には「今の自分は守の段階にいる」と気づいた人も多く、真似ることを肯定的に受け止め直す姿が印象的でした。
実践ワーク①:「外に類似事例を探す」

実践ワークでは、各自が自分のテーマに関連する「島外の事例」を調べ、グループで共有しました。
桜井は「自分の理想や規模に近い事例を探すことが大切」と補足しました。近いスケールであれば、学びをすぐに取り入れやすく、現実的に応用できます。
そして、自身のやりたいことがより具体的であれば、同じ人口規模の都市や風土などの項目で絞り込んでいき、事例の精査が容易になります。
「ゼロから考える必要はない」「まず真似てみればいい」という安心感が参加者の表情を和らげ、次のアクションを考える前向きな空気に変わっていきました。
事例紹介:静岡「ミクソロジーハウスふじや」

桜井は、自身が静岡市用宗エリアで立ち上げた「ミクソロジーハウスふじや」の事例を紹介しました。築90年の古民家を民泊施設に再生したプロジェクトです。
当初は「資金ゼロ・実績ゼロ・人脈も少ない」という厳しい状況。それでも外部の力を借りることで突破口を開きました。
不動産の専門家:条例や物件改修の課題を解決
クラウドファンディングの専門家:資金調達をサポート
コミュニティのつなぎ役:地元住民との関係を構築
結果、クラウドファンディングは目標を達成。今では地域と観光客が交わる拠点として機能しています。
ミクソロジーハウスふじやの守破離

ミクソロジーハウスふじやにおいても、外部の力に加えて、多くの事例や先人のアドバイスを聞き取り入れてきました。ただし、「コンセプト(軸)」を明確にし、「取り入れる意見」を選別することも重要です。
【まねる】
空き家の探し方、築100年の改修事例、セルフリフォーム事例、民泊運営事例、クラファン事例等、全国から類似事例を集めて実践&先人に話を聞きました。
【応用する】
静岡市(人口70万人)海の近く、駅近、築90年の古民家、14名泊まれる一棟貸し。非観光地、といった条件のもと、どんなコンセプトが有効か?考えました。
【発明する】
ミクソロジー(Mixology)とは、混ぜる(Mix)と科学・学問(Ology)を組み合わせた造語です。国内外の観光客の民泊や地域住民向けのフリースペースの利用等、意味がピッタリだと感じ「ミクソロジーハウスふじや」と命名。
この事例は「一人で頑張る必要はない」「外の知恵や力を借りれば挑戦は進む」というメッセージを、強い説得力をもって参加者に伝えました。
実践ワーク②:「Whoリスト」をつくる

ここまでできたら次は「Whoリスト」の作成です。自分の挑戦を進めるために「誰に、何を、どう聞くか」を整理する作業です。
リストアップの3層構造
身近な人(島の住民、知り合い、友人)
島外の実践者(他地域で活動している同世代や若手)
全国の成功者(分野の専門家や研究者)
例えば郷土料理の継承を考える参加者は、
身近な人=料理を伝えるおばあちゃん、地域の飲食店主
島外の実践者=他地域で郷土食イベントを運営する団体
成功者=食文化研究者、郷土食をテーマに活動するシェフ
と具体的に書き出し、誰に何を聞けばMVP(顧客に価値提供できる最小限のサービス)の検証が早くなるかを見極めます。
質問を設計する

そして、重要なのは「誰に聞くか」だけではなく「何を聞くか」です。
活動を始めたときに最初にやったことは?
続ける中で一番難しかった壁は?
協力者をどうやって集めたか?
成功と失敗を分けた要因は?
こうした質問を整理することで、得られる情報が大きく変わることを、ワークを通じて実感していました。
参加者の声と変化

研修の終盤、参加者からは多様な声が上がりました。
「真似ることに抵抗があったけど、むしろ学びの基本だと知れました」
「人に頼ることは迷惑ではなく挑戦の一部だとわかりました」
「これまでは、自分だけで何とかしなきゃと思っていたけど、外に開けば力を貸してくれる人はいるはずだと思えました」
会場の空気は、どこかホッとしたような安堵感と、「これなら進められそうだ」という前向きさで満たされていました。
小さな一歩ではありますが、挑戦が「自分の中だけのもの」から「外とつながるもの」へと確実に広がっていく手応えを、多くの参加者が感じた瞬間でした。
まとめ:外に開くことで挑戦は進む

第3回ROOTSは、「島の外・自分の外に学びを求める」ことを徹底的に体感する時間となりました。島という閉鎖的な空間では、思考も内側に向きやすく、一人で抱え込んでしまいます。そういった意味でも、今回の講義は大きな意義があったと思います。
真似ることから始めてよい
外部の事例を応用することで挑戦は進む
Whoリストをつくり、人に聞く力を磨く
挑戦は一人で抱え込むものではなく、外に開いてこそ豊かさを増していきます。島での経験を自分のルーツとして持ち帰れるように、HONEは今後も参加者に寄り添い、伴走を続けていきます。
HONEのサービスについて
当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。
桜井がこれまで会得してきた知識・経験を詰め込んだ「3つのサービスプラン」をご用意しており、お悩みや解決したい課題に合わせてサービスを組んでいます。ご興味のある方は、ご検討いただければと思います。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【記事を書いた人】

株式会社HONE
インターン/マーケター見習い 森勇人
静岡生まれ、静岡育ち。 大学3年次、1年の休学をして全国36都府県を巡る。山形県西川町では3ヶ月の地域おこし協力隊インターンを経験。 復学後、ご縁があり株式会社HONEにてインターン/マーケター見習いとして奮闘中。









