100年を超える魚屋の次の一手を、顧客の事実から考える。おのざきの新商品マーケティングリサーチ
【株式会社おのざき(福島県いわき市)】
クライアント
株式会社おのざき
地域
福島県いわき市
プラン
リサーチサポートプラン

魚を通して、いわきの街をもっと面白くする
株式会社おのざきは、福島県いわき市で100年以上にわたり魚を届けてきた老舗 鮮魚店です。常磐ものを中心とした鮮魚、刺身、寿司、惣菜、加工品やギフトを扱う小売事業に加え、飲食事業や卸売にも取り組んでいます。

おのざきの魅力は、単に新鮮な魚を販売するだけではなく、魚を選ぶ、見る、食べる体験まで含めて届けていることです。売り場には、旬や産地、調理方法を知るスタッフが立ち、生活者と会話をしながら、その日に合う魚や食べ方を提案しています。鮮魚店として培ってきた目利きと加工技術、地域の漁業者との関係、生活者との日々の接点が、同社の大きな資産です。
いわき沖は、暖流と寒流が交わる潮目の海です。ここで水揚げされる魚介は「常磐もの」と呼ばれ、地域を代表する食の一つになっています。おのざきは、その価値を店頭で伝えるだけでなく、商品開発、EC、飲食、県外・海外への発信など、新しい方法で 届ける挑戦を続けています。
掲げているのは、魚を通して街をもっと多彩に、もっと面白くすること。
魚屋の仕事を、仕入れて売るだけの仕事に閉じず、地域の産業や食文化を次の世代へつなぐ仕事として捉えています。
小売、卸売、飲食という複数の接点を持つことも、おのざきならではの強みです。店頭で聞く日々の声、飲食の場で見える食べ方、事業者との取引で分かる需要を行き来しながら、魚の価値を届け方まで含めて考えられます。長年の商いから得た感覚と、新しい顧客層へ向けた検証を組み合わせられることが、次の商品を生み出す土台になります。
地域の宝を、新しい商品として誰に届けるか
地域には、まだ知られていない魚や食べ方、十分に活用されていない部位、長年受け継がれてきた調理技術があります。一方、地域の中で価値が共有されているものが、そのまま地域外の生活者にも選ばれるとは限りません。
新商品開発では、味や品質だけでなく、誰が、どのような場面で、何を理由に購入するのかを考える必要があります。自宅用なのか、贈答用なのか。魚をよく食べる人に届けるのか、調理に苦手意識がある人に届けるのか。店頭、EC、飲食店など、販売する場所によっても、必要な量、価格、包装、説明の仕方は変わります。
つくり手の経験や直感は重要です。しかし、新しい市場へ踏み出すときには、社内で有力に見える案を顧客側の事実から確かめる工程が欠かせません。商品を完成させてから売り方を考えるのではなく、開発前の段階で顧客の認知、利用実態、購入意向、選択基準を把握し、投資判断の精度を高めることが今回の課題でした。

意思決定に使える定量調査を設計
HONEでは、新商品開発の判断材料をつくるため、定量調査の設計から実査、集計、仮説構築、示唆の整理、レポート作成までを支援しました。
最初に行ったのは、質問項目をつくることではありません。
新商品について何を決めたいのか、調査結果をどの判断に使うのかを整理することです。想定顧客、利用場面、価格、容量、味、販売場所、情報の伝え方など、検討中の論点を洗い出し、優先順位をつけていきました。
そのうえで、対象者の条件と調査項目を設計しました。単純な好意度や購入意向だけではなく、普段どのように魚や水産加工品を購入しているのか、選ぶ際に何を重視しているのか、どのような不便や不安があるのかを確認します。新商品の評価を、日常の行動や既存商品との比較の中で捉えるためです。
設問の順序や選択肢の表現にも注意しました 。商品の魅力を先に詳しく説明すると回答が好意的に偏り、反対に情報が不足すると、本来の価値が伝わらないまま評価される可能性があります。回答者が無理なく理解でき、開発側が知りたいことを誘導せずに確かめられるよう、情報の提示量と質問の流れを整えました。
調査後は、回答の割合を並べるだけで終わらせず、どのような顧客に可能性があるのか、どの利用場面を入口にすべきか、商品や訴求のどこを見直すべきかという仮説へ変換しました。社内の想定と調査結果が一致した点、異なった点を分け、新商品開発の次の検討事項をレポートとして整理しました。
老舗の経験と、顧客のファクトをつなぐ
100年以上の商いで培った目利きや顧客理解は、簡単に数値へ置き換えられるものではありません。定量調査の役割は、その経験を否定することではなく、どこに確かな強みがあり、どこを追加で検証すべきかを見分けることだと思っています。
地域の魚を新しい商品へ変えるには、素材の物語だけでなく、生活者が買いやすく、食べやすく、誰かに説明しやすい形まで設計する必要があります。おのざきが持つ現場の知恵と、調査から得られた顧客の事実をつなぎ、新商品開発の勝ち筋を検討するための土台づくりを支援しました。
調査レポートは、唯一の正解を示すものではなく、次に試すべき顧客層や訴求、追加で確かめるべき論点を共通言語にし、商品開発、販売、広報に関わるメンバーが同じ前提で議論できる状態をつくるものです。
調査を一度きりの評価で終わらせ ず、試作や販売施策を改善していくための判断材料としてまとめました。
実施内容
新商品開発における意思決定事項の整理
調査対象者・条件・調査項目の設計
生活者を対象とした定量調査の実施
調査結果の集計・分析
顧客像、利用場面、選択基準に関する仮説構築
商品開発・訴求・販売方法への示唆整理
調査レポートの作成・報告
クライアント情報
株式会社おのざき



