ホップチョコレートの商品コンセプト設計・パッケージデザイン開発サポート【すごせる酒屋MUGI(静岡県静岡市)】
クライアント
すごせる酒屋MUGI(ZOO株式会社)
地域
静岡県静岡市
プラン
事業伴走プラン

お酒を買う場所から、地域の文化を育てる場所へ
「すごせる酒屋MUGI」は、静岡市の浅間通り商店街にある、クラフトビールを中心とした酒販店です。築70年の木造古民家を改修し、酒を買うだ けでなく、立ち飲みの角打ちで味わい、人と話し、ゆっくり過ごせる場所として運営されています。
店内では、静岡県内のクラフトビールを幅広く扱い、常時用意されたタップから少量で試すこともできます。商店街で購入した総菜やおでんを持ち込み、ビールと一緒に楽しめることも特徴です。駄菓子を置き、地域の子どもたちも立ち寄るなど、酒販店と地域の居場所が自然に重なっています。
運営するZOO株式会社は、MUGIのほか、クラフトビールの製造・卸売、イベントの企画・運営などを手がけています。静岡のビールを販売するだけでなく、つくり手、飲み手、商店街をつなぎ、地域にクラフトビールを楽しむ文化を育てています。
MUGIでは、知らない銘柄を少量から試し、店主や隣にいる人と感想を交わせます。商品を棚から選んで帰る酒屋ではなく、自分の好みを見つけ、次の一杯に出会う場所です。この対話のある売り場は、新商品の反応を直接聞き、味や伝え方を改善できる実験の場にもなっています。
ホップは知られていても、直接味わう機会は少ない
今回の商品開発で着目したのは、ビールの主原料の一つであるホップです。
ホップは、ビールに苦味と香りを与える重要な素材です。しかし、一般の生活者がホップそのものを見たり、味わったりする機会は多くありません。ビールの背景に農家や畑があり、地域で栽培する人がいることも、完成した一杯からは伝わ りにくいという課題がありました。
ZOO株式会社は、掛川でホップを育てる取り組みにも関わっています。静岡で育ったホップを、ビールだけではない形で届けられれば、農地や生産者へ関心を持つ入口が増えます。
一方、珍しい素材を使っただけの商品では、一度話題になっても継続的には選ばれません。誰に、どのような場面で、何と一緒に楽しんでもらうかを設計する必要がありました。

「お酒入りチョコ」ではなく、ビールに合う甘いおつまみ
HONEは、ホップチョコレートの商品コンセプト、マーケティング戦略、パッケージデザイン開発を支援しました。
最初に整理したのは、商品の新しさを何で伝えるかです。「ホップを使ったチョコレート」という説明だけでは、味が想像しにくく、苦そう、青臭そうという不安も生まれます。また、「お酒入りチョコ」と捉えられると、既存の洋酒チョコレートと同じカテゴリーで比較されてしまいます。
そこで、商品の役割を、クラフトビールとのペアリングを楽しむ「甘いおつまみ」と定義しました。カカオ70%のハイチ産チョコレートに掛川産ホップを組み合わせ、カカオとホップが持つ香り、苦味、余韻を引き立てる設計です。
食後に甘いものがほしいとき、ビールをもう少しゆっくり味わいたいとき、クラフトビールが好きな人への手土産を探すとき。具体的な利用シーンを置くことで、珍しい素材から、楽しみ方が分かる商品へ変えています。
味の設計とマーケティングも切り離せません。ホップの苦味を強く出せば素材の特徴は伝わりますが、食べにくくなります。チョコレートの甘さへ寄せすぎれば、ホップを使う必然性が薄れます。ビールと合わせたときに香りや余韻が開く着地点を探り、商品の独自性と、おいしさの両立を目指しました。
パッケージで、畑と店と飲み手をつなぐ
パッケージでは、掛川のホップ畑の風景と、ポップなアメリカンコミック調のタイポグラフィを組み合わせました。「Local Hops from SHIZUOKA」というメッセージを置き、ホップの産地と地域性が一目で伝わるようにしています。
店頭でビールと並んだときに埋もれず、単品でも手土産として選びやすい。パッケージは商品の保護だけでなく、ホップ畑、生産者、MUGIの活動を飲み手へつなぐ小さなメディアです。

地域の素材から、新しい飲み方と関わり方をつくる
ホップチョコレートの価値は、ビールに合うお菓子を一つ増やしたことだけではありません。商品をきっかけに、飲み手がホップの香りや産地を知り、畑や生産者へ関心を持ったり、店頭で商品について会話が生まれ、クラフトビールを味わう時間が深くなったり、「飲む文化から、素材を知り、育てる文化」へ接点を広げています。
MUGIが持つ店頭での顧客接点、ZOO株式会社が育てるクラフトビール文化、掛川のホップ、チョコレートの味わいを一つの物語に束ねる。地域性とおいしさのどちらか一方に寄らず、商品コンセプトからパッケージ、販売時の伝え方まで一貫した商品開発を伴走しました。
地域素材の商品は、産地の説明が長くなりがちです。しかし、最初に選ばれる理由は、食べてみたい、誰かと試したい、贈りたいという身近な感情にあります。入口は「甘いおつまみ」として分 かりやすく、その奥に畑とつくり手の物語がある。知る順序まで設計することで、地域の背景を押しつけず、興味が自然に深まる商品を目指しました。

実施内容
静岡県産ホップの価値・背景の整理
想定顧客、利用シーン、競合商品の整理
商品コンセプト・ポジショニングの策定
「甘いおつまみ」としてのペアリング価値の言語化
商品名・訴求メッセージの検討支援
パッケージデザインの開発・ディレクション
店頭・ギフトでの販売方法、情報発信の整理
クライアント情報
▼すごせる酒屋MUGI HP




