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守り抜く伝統。踏み出す革新。時代と想いの境界線。【静岡県静岡市】

公開日:

2026年2月28日

最終更新日:

2026年3月1日

守り抜く伝統。踏み出す革新。時代と想いの境界線。【静岡県静岡市】

2026年2月22日23日、エスパルスドリームプラザにて開催された「第1回SHIZUOKAあんこまつり」に行ってきました。

初開催されたこのイベントは、県内外から30店舗以上のあんこスイーツが集結し、伝統的な和菓子から現代的なアレンジ商品まで、あんこの魅力を再発見する熱気に包まれた二日間となりました。

私は今回、茨城県から出展された「菓匠風月」さんの接客お手伝いとして、現場の最前線に立たせていただきました。そこで目にしたのは、単なる「モノの売り買い」を超えた、物語と戦略が交差する地方マーケティングの記録です。



姿を変えて広がるあんこの入り口


あんこまつりチラシ
あんこまつりチラシ

会場を埋め尽くすお客様の視線の先には、あんこにクリームやフルーツを添えた、まるで洋菓子のような華やかなスイーツが並んでいました。シュークリームやマリトッツォを彷彿とさせるそのお菓子は、20代から40代の若い世代が長蛇の列を作る光景は、非常に印象的でした。



あんこの勝ち
ANしゅーくりーむ|【引用】あんこの勝ちHPより https://www.annokachi.com/

一見すると流行を追っているだけのように映るかもしれませんが、これは「洋菓子の延長」としてあんこを再定義し、新しい体験として提供できている証拠ではないでしょうか。

お茶文化が深く根付く静岡という土壌において、あんこは決して縁遠い存在ではありません。



こしあんのプリン
こしあんのプリン|【引用】中山屋HPより https://www.annokachi.com/

ですが、現代の感性に合わせた入り口を整えることで、これまで和菓子店に足を運ばなかった層が、軽やかにあんこの世界へと足を踏み入れていました。伝統を否定するのではなく、今の暮らしに寄り添う形へと姿を変える。その工夫が、若者たちの弾むような笑顔を引き出しているのだと感じました。



守ることと変えることの境界線


パルちゃんに接客中の桜井と森
パルちゃんに接客中のHONE代表の桜井とインターン森

2日目の朝、清水の海辺を散歩しながら、桜井からブランドマネジメントについて教わる時間がありました。会場を見渡せば、古き良き伝統を貫く和菓子店と、時代に合わせて洋菓子へ寄せた新しいあんこスイーツ。そのコントラストは鮮明です。


どこまで伝統の形を守り、どこからを現代への妥協、あるいは進化とするのか。その境界線をどこに引くべきか。


伝統を重んじることは大切ですが、ただ守るだけでは届かない層がいる。一方で、時代に寄せすぎれば、自分たちのアイデンティティを見失う危うさも孕んでいます。変化し続ける市場の中で、自らの立ち位置をどう定義し、ブランドとしての「らしさ」をどう貫くか。


伝統を守りながら、地域で生き残る戦略を考えることが、ブランドマネジメントの本質なのだと学びました。



「価格」という名の最も困難な戦略


まつりの様子
まつりの様子

今回、最も大きな気づきを得たのは「価格」の持つ力についてです。会場には低価格な商品に行列ができるお店も多くありました。対して、私がお手伝いした菓匠風月さんは価格帯が高く、決して長い行列ができるわけではありません。


ところが、最終的な売上では他店を上回るという結果を目の当たりにしました。面白かったのは、商品が安価なものから順番に売れていく様子です。



接客中の桜井
接客中の桜井

この現象について桜井に聞くと、消費者の心理は、「どうしても安い方へと流れる習性があるんだよ。」と教えてくれました。だからこそ、ボトムをどこに設定するかが大切とも言います。


マーケティングの4Pの中でも、桜井は「価格を決めることが最も大変なことだ」と話します。安売りをして行列を作るのか、価値を伝えて高単価で勝負するのか。自分たちが何が得意で、どの土俵で戦うのかという明確な意志がなければ、価格はただの数字に成り下がってしまいます。


価格設定一つをとっても、そこにはブランドの覚悟と緻密な戦略が隠されていることを、肌で感じることができました。



あとがき


最高級羊羹常陸を持つ森
最高級羊羹常陸を持つ森

今回の二日間で得た最大の学びは、マーケティングとは理論ではなく「覚悟の選択」であるということでした。


伝統を守り抜く強さと、時代に合わせて姿を変える柔軟性。そのどちらか一方を選ぶのではなく、自分たちの価値を最大化するためにどこで勝負するのか。その「線引き」こそがブランドの輪郭を形作るのだと知りました。


特に価格設定において、安易に安さへ流れるのではなく、適正な価値を届けるために何を語るべきかという問いは、本を読んでいるだけでは決して見えてこなかった景色です。

現場で交わされる言葉や、お客様が商品を選ぶ瞬間の迷い、そして決断。今回手に入れた生きた知見を、これからの活動に繋げていきたいと思います。


HONEインターン/森



ほねろぐとは


AIの急速な台頭により、私たちの世界は、目紛しい変化を遂げています。効率化が進むその影で、古きよき日本の文化や風景、人との繋がりが失われつつあるのも、悲しい現実です。


そんな時代だからこそ、我々株式会社HONEは地方に足を運び、先人たちが紡いできた伝統や、未来に残したい景色を記録します。


いつのまにか、地方の「ほんと」の姿が見えてくる。


町の暮らし。人々の想い。仕事の姿勢。

忙しない日常で忘れ去られた豊かさが、そこには息づいています。


気づけば、地方が近くなる。


現場でしか得られない骨太な体験を、お届けしていきます。



株式会社HONEについて


HONEの流儀
HONEの流儀

HONEでは、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。


学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。

自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。

誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。

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