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瓶に詰まった小樽の夜。仕込み釜が織り成す、純粋令の琥珀色。【北海道小樽市(小樽倉庫No.1)】

公開日:

2026年4月27日

最終更新日:

2026年4月27日

瓶に詰まった小樽の夜。仕込み釜が織り成す、純粋令の琥珀色。【北海道小樽市(小樽倉庫No.1)】

今回は、2026年4月上旬に足を運んだ、北海道小樽市への旅の記録をお届けします。


石造りの倉庫が並ぶ小樽運河のほとり。麦の芳香に誘われて扉を開けると、そこには伝統と活気が交差する特別な場所がありました。醸造所で見つけた、生きた酵母を味わえる、こだわりの一杯についてつづります。


小樽倉庫No.1入口
小樽倉庫No.1入口

小樽倉庫No.1は、北海道小樽市にある醸造所併設のビアパブです。小樽ビールは、「びっくりドンキー」などの飲食店を経営する北海道の企業「株式会社アレフ」が、新名物としてビール醸造にも踏み切って誕生しました。

歴史的建造物である石造倉庫を改装しており、店内には現役の醸造設備が設置されています。ドイツのビール純粋令に基づき、水、麦芽、ホップ、酵母のみを原料としたビールを提供し続けています。醸造所見学が無料で開放されており、地域の歴史とドイツの伝統文化を肌で感じられる場所として広く親しまれています。


【公式サイト】 https://www.otarubeer.com/jp/



倉庫に佇む醸造所


小樽倉庫No.1
小樽倉庫No.1

小樽倉庫を見つめながら石畳を歩いていた時、無料で工場見学ができるというのぼりに目が留まりました。興奮を抑えながら扉を開けると、店の中央に大きな仕込み釜が鎮座しています。それはただの展示物ではなく、今も現役でビールを仕込んでいる醸造設備でした。


店内入口
店内入口

パブと醸造所がひとつになっているため、ビールが作られている現場の空気がそのまま伝わってきます。パイレーツ・オブ・カリビアンを彷彿とさせる店内には、麦の香りがふわりと広がり、映画の世界に足を踏み入れたような感覚に陥ります。


2階の見学コースでは、小樽ビールがどのような歴史を辿ってきたのか、どのような工程で造られるのかを知ることができました。ただ飲むだけでなく、その背景にある過程を見ることで、一杯のビールがより特別に感じられます。


小樽ビールの歴史
小樽ビールの歴史

煌めく大きな釜と作り手の気配に触れ、私はいつの間にかこの空間に溶け込んでいました。実は今回、稚内への出張で北国を訪れていました。あまり時間がない中での立ち寄りでしたが、見学という名の小さな冒険は、無機質な旅を鮮やかに彩ってくれました。



純粋令の教え


仕込み釜
仕込み釜

ドイツには、1516年にヴィルヘルム4世が定めたビール純粋令という法律があります。水、麦芽、ホップ、酵母。この四つ以外の原料は一切使わないという厳格な掟です。そうして生まれたビールは、身体に優しく、悪酔いも少ないと言います。遠く離れたこの小樽の地でも、四百年以上前の教えが今なお大切に守り継がれています。


店内装飾
店内装飾

手間を惜しまず、素材の良さを最大限に引き出すことに専念する。その清い姿勢が、雑味のない澄んだ味わいを生み出しているのでしょう。効率や流行を追うのではなく、自らの美学を貫くこと。


素材そのものの良さを信じ、時間をかけてじっくりと醸す。その積み重ねが、この場所でしか味わえない格別な一杯を形作っているのだと、深く納得しました。



瓶に詰まる体験


ピルスナー
ピルスナー

見学を終えて帰る際、自分用に最高級のホップを使用した、ピルスナーの瓶ビールを手に取りました。瓶の中で輝く琥珀色のビール。華やかな香りと、喉を通る柔らかな苦みが特徴的な一杯でした。


見学する前は、買うつもりはありませんでした。しかし、製造の工程を学び、仕込み釜の熱気を感じ、作り手のこだわりを知ると、自然と持ち帰りたいという気持ちが湧いてきました。



小樽ビール
小樽ビール

ただ棚に並んでいる商品を手に取るのとは異なり、その背景にある物語を知ることは、買い物に特別な意味を与えてくれます。体験を伴う選択は、物以上の価値を心に残してくれます。作り手の意図を理解し、その価値を共有できたという充足感。手元のビールの重みが、確かな証のように感じられたのです。



あとがき


ドイツの伝統と小樽の風土が交差するこの醸造所で、私は一つの哲学に触れました。純粋令という、あえて自らに課す制約と誓約。それは一見すると不自由な枷のようですが、その厳格さの中にこそ、混じりけのない強さがありました。流行に左右されず、自身の輪郭を保ち続けるその姿勢は、何よりも凛としています。


小樽ビール
小樽運河と小樽ビール

店を出ると、小樽の夜は深く、運河の水面が街灯を映し出し、セーヌ川のような幻想的な夜景が広がっていました。純粋令を守り抜くビールのように、私もまた、時に荒波に揺られようとも、決して沈むことのない自分でありたい。たゆたえども沈まず。そんな願いがふと脳裏をよぎった、ほろ酔いの星月夜でした。


HONEインターン / 森



ほねろぐとは


AIの急速な台頭により、私たちの世界は、目紛しい変化を遂げています。効率化が進むその影で、古きよき日本の文化や風景、人との繋がりが失われつつあるのも、悲しい現実です。


そんな時代だからこそ、我々株式会社HONEは地方に足を運び、先人たちが紡いできた伝統や、未来に残したい景色を記録します。


いつのまにか、地方の「ほんと」の姿が見えてくる。


町の暮らし。人々の想い。仕事の姿勢。

忙しない日常で忘れ去られた豊かさが、そこには息づいています。


気づけば、地方が近くなる。


現場でしか得られない骨太な体験を、お届けしていきます。



株式会社HONEについて


HONEの流儀
HONEの流儀

HONEでは、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。


学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。

自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。

誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。

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