top of page

まだまだ輝ける!介護サービスの利用者が働く『ばあちゃん喫茶』【福岡県福岡市】

公開日:

2025年10月31日

最終更新日:

2026年8月2日

まだまだ輝ける!介護サービスの利用者が働く『ばあちゃん喫茶』(福岡市)

高齢化が進む今、介護の現場と企業が手を取り合う新しい取り組みが、福岡市城南区・梅林で行われています。


早良区に拠点を置き小規模多機能ホームやコミュニティスペースを運営する「NPO法人 なごみの家」と、うきは市発の企業「うきはの宝株式会社」がタッグを組み、利用者であるおばあちゃんたちが接客や調理を担う『ばあちゃん喫茶』を2025年5月にオープンしました。


「介護サービスを受けていても、まだまだ輝ける場所がある。」 そんな想いから生まれたこの喫茶店は、介護=支援される側という固定観念をくつがえし、人が再び働く喜びを取り戻す場所になっています。

今回は、『ばあちゃん喫茶』を運営する「なごみの家」のスタッフ・宮嵜(みやざき)みちよさんにお話を伺いました。


(HONEインターン / 山下)



「うきはの宝株式会社」について


超高齢化の進む日本でおばあちゃんたちが働くことで「生きがい」と「収入」を得れる、75歳以上のおばあちゃんたちが働く会社「うきはの宝株式会社」を2019年10月に設立。ばあちゃんたちの働く仕事と働く場創りをしている。ばあちゃんたちが経済活動をしながら健康寿命を伸ばし、高齢者が楽しく適度に働くことで医療費や社会保障費の削減になるような取り組みを目指し、全国に広めていっている。



ばあちゃん喫茶とは?


ばあちゃん喫茶で働く皆様
ばあちゃん喫茶で働くみなさま

ばあちゃん喫茶梅林
ばあちゃん喫茶で働くみなさま

—— 『ばあちゃん喫茶』で働いているのはどのような方ですか?


宮嵜さん:私たちは、福岡市早良区のUR四箇田団地内にある「なごみの家」という小規模多機能型居宅介護事業所です。ここで行っている『ばあちゃん喫茶』は、介護サービスの時間内に行う活動です。


朝に事業所で皆さんをお迎えし、「今日はばあちゃん喫茶の日だから行きましょう」と出かけます。お店では、利用者さんたちが昼食の定食づくりや盛り付け、接客を担当。活動が終わるとまた事業所に戻り、それぞれの時間を過ごしてお家に帰るという流れです。



—— この取り組みを始めたきっかけは?


宮嵜さん:利用者の谷口さんが毎日トンカツを揚げているというお話をご家族に聞いて、そこで、地域食堂で谷口さんに揚げ物を作ってもらうようになりました。


ばあちゃん喫茶梅林
谷口さん

そのお話を、「うきはの宝株式会社」の大熊さんにしたところ、「それなら一緒にやってみましょう」と声をかけていただいて、そこから『ばあちゃん喫茶』が生まれました。



できることを奪わない介護


ばあちゃん喫茶梅林
からあげ定食

—— 実際におばあちゃんたちはどんな様子ですか?


宮嵜さん:皆さん、本当に楽しそうにされています。来るまでは「どこ行くと?」という感じでも、「揚げ物やりましょうか」「お野菜切りましょうか」と声をかけると、手が覚えていて手際よくお料理をしてくださいます。


私たちは「できることを支える介護」を大切にしています。少しのサポートがあれば、自分のペースで作業してくださいます。

その人の力を信じて待つことが、私たちの介護の基本なんです。



—— ばあちゃん喫茶を営業して、どんな変化がありましたか?


宮嵜さん:もともと地域食堂で活動をしていましたが、福祉の中では報酬をお渡しするのが難しかったんです。でも、うきはの宝さんが一緒に『ばあちゃん喫茶』を運営してくださることで、利用者さんたちに報酬をお渡しできるようになりました。


いろいろな意見はありますが、「もらったお金で何を買おうかな」「次も頑張ろう」と話す姿を見ると、本当にやって良かったなと思います。


地域食堂では出会えなかったような、遠くからご飯を食べに来てくださるお客さんもいて、

それがまたおばあちゃんたちの喜びになっています。



—— 利用者さんのご家族の反応はいかがですか?


宮嵜さん:テレビで『ばあちゃん喫茶』が紹介されたとき、利用者さんの息子さんが「うちの母、まだこんなにできるんだ」と喜んでくれました。普段の介護される母親ではなく、働く母親としての姿を見せられたことで、ご家族にも良い変化が生まれていると感じます。



団地の課題は、日本の課題の縮図


—— 事業所では他にも地域活動をされていますか?


宮嵜さん:団地内には幼稚園や保育園もあり、一緒に花壇づくりや食育活動も一緒に行っています。子ども食堂やフードパントリーなどもしています。


子どもたちが「こんにちは」と声をかけてくれたり、やりとりを通して、地域全体が元気になり、みんなで暮らしていける地域を目指しています。



—— 四箇田団地という場所ならではの特徴や課題はありますか?


四箇田団地
四箇田団地

宮嵜さん:間違いなく、高齢化は進んでいますし、人口減少も進んでいます。団地の課題は日本の課題の縮図です。


施設を作るという大きな行動よりも、小さな拠点をたくさん作って対応していくべきなのかなと思います。



—— 最後に、『ばあちゃん喫茶』を通して伝えたいことを教えてください。


ばあちゃん喫茶
谷口さん

宮嵜さん:介護サービスを受けていても、出来ることをしていただくことで、まだまだ輝けるということです。


年齢や体の状態に関わらず、誰かに必要とされる場所がある。それが生きる力になり、地域の希望にもなると考えています。



『ばあちゃん喫茶』の広がり


ばあちゃん喫茶

現在、福岡県内に3店舗、県外にも多数の連携店舗・フランチャイズ加盟店があるそうです。その活動に共感した地域や事業者が増え、全国へと輪が広がっています。


「ばあちゃん喫茶」の連携やフランチャイズに関するお問い合わせは、

うきはの宝株式会社(https://ukihanotakara.com/)までお願いいたします。



まとめ


桜井さんとばあちゃん
桜井さんとばあちゃん

今回のインタビューを通して、『ばあちゃん喫茶』は、少子高齢化が進む現代社会において、高齢者が役割を持って活躍できる居場所づくりとして必要とされる取り組みだと感じました。


「できることを奪わない」という考え方のもと、利用者一人ひとりの「できること」「やりたいこと」を尊重する姿勢は、これからの介護のあり方を示しているように感じました。


また、従来のイメージや前例にとらわれず、時代に即した新しい社会モデルを模索していく必要があると実感しました。



読んでほしいほねろぐ記事


▼地域医療・福祉・健康を考える関連記事:最期まで家で過ごすために。すんぷ在宅クリニック・大石龍之介院長の挑戦【静岡県静岡市】



▼地域医療・福祉・健康を考える関連記事:「最期まで自分らしく」を、北の端からデザインする。相沢食料百貨店が支える地域の健康【北海道稚内市】



▼地域医療・福祉・健康を考える関連記事:「地域の未来は自分の将来」ー 自己給与申告制度を導入し、共に歩む仲間と地域をより良くしたい。【北海道稚内市】




ほねろぐとは


AIの急速な台頭により、私たちの世界は、目紛しい変化を遂げています。効率化が進むその影で、古きよき日本の文化や風景、人との繋がりが失われつつあるのも、悲しい現実です。


そんな時代だからこそ、我々株式会社HONEは地方に足を運び、先人たちが紡いできた伝統や、未来に残したい景色を記録します。


いつのまにか、地方の「ほんと」の姿が見えてくる。


町の暮らし。人々の想い。仕事の姿勢。

忙しない日常で忘れ去られた豊かさが、そこには息づいています。


気づけば、地方が近くなる。

現場でしか得られない骨太な体験を、お届けしていきます。



HONEについて


HONEの流儀
HONEの流儀

HONEでは、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。


学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。

自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。


誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。


最新ほねろぐ

匠宿 工芸村に、じんわりとにじみ出るつくり手の想いに触れて。【静岡県静岡市_株式会社創造舎(駿府の工房 匠宿)】

2026年8月7日

匠宿 工芸村に、じんわりとにじみ出るつくり手の想いに触れて。【静岡県静岡市_株式会社創造舎(駿府の工房 匠宿)】

八百年の歴史を日常へ。ORIOが紡ぐ新しい伝統のかたち。【福岡県福岡市】

2026年8月5日

八百年の歴史を日常へ。ORIOが紡ぐ新しい伝統のかたち。【福岡県福岡市】

島のアトツギは、静岡から何を持ち帰ったのか。若者には旅をさせよ。【静岡県静岡市_大人の島留学越境体験】

2026年7月31日

島のアトツギは、静岡から何を持ち帰ったのか。若者には旅をさせよ。【静岡県静岡市_大人の島留学越境体験】

【現場レポート】老舗料亭「浮月楼」で愉しむ、静岡茶×和食のフードペアリング研究会。

2026年7月18日

老舗料亭・浮月楼で愉しむ、静岡茶×和食のフードペアリング研究会【静岡県静岡市】

bottom of page