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人が残る地域へ。産業医事務所が支える、健康経営の基盤。【静岡県静岡市_コンフィスト産業医事務所】

公開日:

2026年6月30日

最終更新日:

2026年6月30日

人が残る地域へ。産業医事務所が支える、健康経営の基盤。【静岡県静岡市_コンフィスト産業医事務所】

人手不足の時代、地方企業には、どのような取り組みができるのでしょうか。人材の確保が難しくなる中、企業経営においては「採用すること」だけでなく、「今いる社員に長く働いてもらうこと」も大切なテーマになっています。そうした環境づくりを支えるのが、産業医の役割です。


産業医と聞くと、健康診断の結果確認や、ストレスチェックを行う医師を、思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、コンフィスト産業医事務所代表の・大石龍之介先生が取り組んでいるのは、それだけではありません。


病気を未然に防ぐこと。そして、治療やケガを経験した人が働き続けられるよう支援すること。そして、企業が大切な人材を失わないよう支えること。


人手不足が進む時代に、企業が大切な人材とどう向き合い、どう働き続けられる環境をつくっていくのか。そのヒントが、産業医という仕事の中にありました。



コンフィスト産業医事務所


コンフィスト産業医事務所は、静岡県を中心とした企業向けの、産業医サービスを提供する専門機関です。代表を務めるのは、日本医師会認定産業医である、大石龍之介先生。健康診断結果の確認や職場巡視といった法定業務に加え、病気の予防や復職支援、健康経営の推進など、働く人と企業の双方を支える取り組みを行っています。


コンフィスト産業医事務所
コンフィスト産業医事務所

同事務所の特徴は、医師一人ではなく、チーム体制で企業を支援している点にあります。オンライン面談やチャット相談にも対応し、企業が必要なタイミングで専門家へ相談できる環境を整えています。


一方で、併設クリニックとの連携により、インフルエンザワクチンなどの、企業内集団接種にも対応。従業員の健康管理だけでなく、感染症による業務への影響を抑える取り組みも行っています。「病気を治す医療」だけでなく、「人が健康に働き続けられる環境づくり」を目指している産業医事務所です。




事故の先にある人生


産業医制度が生まれた背景には、「企業活動によって、働く人の健康が損なわれることを防ぐ」という目的がありました。高度経済成長期の日本では、水俣病のような公害問題や、工場で発生する労働災害が社会課題となっており、労働者の安全と健康を守る専門家として産業医の存在が求められるようになったのです。


大石先生が、産業医という仕事に関心を持ったのも、そういった「働く人の健康」を巡る現場を、目の当たりにしたことがきっかけでした。研修医時代、勤務先の病院には、工場事故による重症患者が、毎週のように運び込まれてきたと大石先生はいいます。


大石龍之介先生
大石龍之介先生

プレス機に手を挟まれたり、機械に巻き込まれたり。そうして搬送されてくるのは、高齢者ではありません。多くは30代前後の働き盛りの世代でした。治療によって命は助かります。しかし、失った指や腕は元に戻りません。


一つの事故が原因で、これまで当たり前に続けていた仕事ができなくなり、収入が変わり、生活が変わる。その影響は本人だけでなく、ご家族の人生にまで及びます。


「未来のある30代の人が、ある日突然これまでの仕事を続けられなくなる。なんとかできなかったのだろうか。」そんな思いが、大石先生の中に残り続けたそうです。


現在の日本では、安全対策は大きく進歩しています。工場では、危険箇所への接触を防ぐ設備の導入に加え、異常を検知すると、機械が自動停止するセンサー技術も普及しました。現場の改善活動も積み重ねられ、重大な労働災害は以前と比べて大幅に減少しています。


大石龍之介先生
大石龍之介先生

そういった、事故により就業継続が困難になることは減った一方で、病気や高齢化によって、職場を離れざるを得ない人は増えています。人口減少が進むなか、一人の離職が企業に与える影響は、決して小さくありません。


救急医療の現場で見た、取り返しのつかない事故。その体験があるからこそ大石先生は、「働く人を失わないために、もっと早い段階でできることがあるのではないか。」と考え続けています。


その問いへの一つの答えが、現在取り組んでいる産業医なのです。



離職を防ぐ仕事


「大きな事故が減少した今、産業医に求められる役割も変わってきている。」と、大石先生は続けます。かつては、労働災害や職業病を防ぐことが、産業医の大きな役割でした。しかし現在は、病気を未然に防ぐことはもちろん、病気になった後も、離職せずに人が働き続けられる環境を支えることが重要になってきました。


大石先生は、復職支援の一例として、がんの手術後に職場復帰を目指す方のケースについて、話してくださいました。術後、本人には働きたいという意思があるし、会社としても戻ってきてほしいと考えています。


とはいえ、重い荷物を運ぶような業務へ戻っても身体に支障はないのか。具体的にどのような配慮をすべきなのか。そして、復職に最適な時期はいつなのか。本人の意欲と会社の期待があったとしても、医学的な根拠がなければ判断は難しく、結果として復職が先延ばしになってしまうこともあります。


大石龍之介先生
大石龍之介先生

こうした場面で、主治医の診断や本人の状態を踏まえながら、企業と本人の間に立ち、現実的な復職の道筋を示していく。それもまた、現代の産業医に求められる大切な役割です。


また、大石先生は、糖尿病を抱える営業職の方の事例も、紹介してくださいました。その方は出張が多く、外食中心の生活によって、血糖値が大きく悪化していたそうです。ただ、「食生活を改善してください」と伝えるだけでは、なかなか行動には結びつきません。


そこで大石先生は、その方の生活スタイルを踏まえたうえで、「うどんをそばに変えてみましょう」と提案したといいます。すると、その小さな変化をきっかけに、数値は改善へ向かっていったそうです。


理想論を押し付けるのではなく、その人の仕事や生活に合わせて、実践できる方法を一緒に考える。大石先生のお話からは、病気だけでなく、その人の生活や、人生そのものに向き合っていることが伝わってきました。



義務を投資に変える


「産業医は法律上の義務だから、とりあえず置いている」と言う企業も少なくないそうですが、「健康管理は、コストではなく投資です」と大石先生は話します。


その考え方を象徴しているのが、企業向けのワクチン接種支援です。取材中に大石先生は、企業内ワクチン接種の費用対効果について、具体的な試算を見せてくださいました。


企業内ワクチン接種の様子
企業内ワクチン接種の様子

例えば、社員100名の企業でインフルエンザワクチンを接種した場合、費用は約50万円です。一見すると大きな出費に見えますが、日本では年間およそ10人に1人がインフルエンザに感染すると言われています。


仮に100名の社員のうち10名が感染したとします。企業内での集団接種によって感染拡大を一定程度抑えられれば、感染者数を減らせる可能性があります。

例えば、感染者を10名から2名程度に抑えられた場合、8名分の欠勤を防げる計算になります。


インフルエンザは一度感染すると、およそ5日間の休養が必要です。8名が5日ずつ休むと、合計40人日分の労働力が失われます。仮に、1人あたりの人件費を1日2〜3万円とすると、その損失額は80万〜120万円程度になります。

50万円の投資で、約100万円分の損失を防げる計算になるのです。


診療の様子
診療の様子

もちろん実際の効果は、企業規模や流行状況によって変わります。しかし、人手不足が深刻化する中では、一人の欠勤が現場全体へ与える影響は決して小さくありません。だからこそ大石先生は、健康診断やワクチン接種を福利厚生ではなく、「会社の生産性を守るための投資」として捉えることができます。



人が残る地域へ


取材中、大石先生は何度も「人が足りなくなる」という言葉を口にしていました。


それは悲観や諦めから出た言葉ではありません。少子高齢化や、人口減少という避けられない現実を前に、「地域のために何ができるのか」を考え続けているからこその言葉でした。


取材の様子
取材の様子

これから先、人口が急激に増えることはないかもしれません。しかし、今この地域で働いている人たちが、健康に長く働き続けられる環境をつくることはできます。病気を未然に防ぎ、もし病気になったとしても、離職せずに済むよう支援する。そして、長年培ってきた経験や技術を持つ人たちが、地域の現場で活躍し続けられるよう支える。それが、大石先生の考える産業医の役割です。


仮に誰かが健康を損ない、働けなくなったとき、その影響は本人だけに留まりません。家族や職場、さらには地域全体へと波及していきます。だからこそ産業医の仕事は、単なる健康管理ではなく、人が働き続けられる地域を守る仕事なのかもしれません。


人口減少が進む時代だからこそ、限られた人材を奪い合うのではなく、今いる人が安心して働き続けられる環境を、整えることが重要になります。コンフィスト産業医事務所の取り組みからは、働く人の健康を守ることが、「地域の未来を守ること」につながっているのだと感じました。




あとがき


今回、大石先生にお話を伺うまで、私の中で産業医は「法律で必要だからいる存在」という認識でした。しかし、取材を通して見えてきたのは、働く人と企業の間に立ち、双方にとってより良い選択肢を探し続ける、専門職としての姿でした。


印象的だったのは、大石先生が語る産業医の役割が、単なる健康管理に留まっていなかったことです。病気を防ぐこと。病気になっても働き続けられるよう支えること。企業が大切な人材を失わないよう支えること。


しずおかの街並み
しずおかの街並み

その先には、地域の労働力を守り、静岡というまちの未来を支える視点がありました。研修医時代に見た労働災害の現場。そして、今向き合っている、人手不足という社会課題。時代とともに、産業医の役割は変わっていますが、「働く人の人生を守りたい」という大石先生の原点は変わっていません。


人口減少が進むこれからの時代、一人ひとりが健康に働き続けられることは、企業にとっても地域にとっても、大きな価値になります。コンフィスト産業医事務所の取り組みは、静岡で働く人たちの未来を支える、新しい医療の形なのだと感じました。


HONEインターン / 森



ほねろぐとは


AIの急速な台頭により、私たちの世界は、目紛しい変化を遂げています。効率化が進むその影で、古きよき日本の文化や風景、人との繋がりが失われつつあるのも、悲しい現実です。


そんな時代だからこそ、我々株式会社HONEは地方に足を運び、先人たちが紡いできた伝統や、未来に残したい景色を記録します。


いつのまにか、地方の「ほんと」の姿が見えてくる。


町の暮らし。人々の想い。仕事の姿勢。

忙しない日常で忘れ去られた豊かさが、そこには息づいています。


気づけば、地方が近くなる。


現場でしか得られない骨太な体験を、お届けしていきます。



株式会社HONEについて


HONEの流儀
HONEの流儀

HONEでは、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。


学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。

自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。

誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。

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