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ばあちゃんからの贈り物。深島みそが繋ぐ、島の未来。【大分県佐伯市深島】

公開日:

2026年5月27日

最終更新日:

2026年5月27日

ばあちゃんからの贈り物。深島みそが繋ぐ、島の未来。【大分県佐伯市深島】

4月28日から5月7日までの期間、人口11人の大分県の離島「深島」に滞在し、一棟貸しの宿やカフェ、みその製造販売を営む安部さん家族のお手伝いをしました。島で紡がれる伝統や、小さな島で作られるみそが人々から「選ばれる理由」について綴ります。



深島とは?


島唯一のカフェからの景色
島唯一のカフェからの景色

深島は、大分県佐伯市の蒲江港から船で30分ほどの小さな離島です。明治時代に人が定住し始めてから漁業を中心に栄え、一時は200人ほどが暮らしていましたが、現在は人口11人の静かな島となっています。近年は多くの猫が暮らす島としても知られ、豊かな自然と穏やかな時間が流れる一方で、コンビニや売店はひとつもなく、島民が手を取り合って丁寧な暮らしをしています。(参考:https://fukashima.com/)



ここでしか醸せない特別な価値


人口11人の離島、深島。船を降りると、透き通りエメラルドのように輝く海に、60匹弱の猫がお出迎え。そんな日常とはかけ離れた地で、たくましく生き抜いていくために、伝統の「深島みそ」が作られています。



深島みそ仕込み
でぃーぷまりん深島HPより

深島みそは、もともとは島内のそれぞれの家庭で仕込まれていた独自の麦みそが始まりでした。水の非常に少ない深島では、お米を育てることができず、かつては麦や芋を栽培していました。その限られた環境の中で、手に入る麦を使ってお味噌を作るようになったといわれています。


かつて島の婦人部のばあちゃんたちが「深島で何か作るならみそしかない」と立ち上がり、現在販売されている深島みそに改良して販売を始めました。そんなばあちゃんたちも80代を迎え、力仕事である仕込みが難しくなった頃、その熱い想いとバトンは孫世代の若い安部夫婦へと受け継がれることになります。



深島みそラベル貼り
深島みそラベル貼り

独自の歴史や伝統、そして人の想いが重なることで、単なる食品を超えた「ここでしか生まれない物語」という唯一無二の価値が宿っています。



伝統を守る手しごとの魅力


深島みその仕込みは、今も80年以上前から変わらない、かまどと薪を使った伝統的な製法で行われています。薪をくべ、火をたき、大きなせいろをのせて麦を蒸し上げる。そしてお味噌の要となる麦麹を、たっぷりと贅沢に仕込んでいきます。


みその仕込み でぃ〜ぷまりん深島HPより
みその仕込み でぃーぷまりん深島HPより

原材料はすべて九州産にこだわり、仕上がったお味噌は非加熱のまま届けられるため、今も樽の中で生きている元気なお味噌です。効率性を追い求める現代において、この手作業の連続は一見すると非効率に映るかもしれません。


パック詰めや、猫をイメージしたかわいらしい商品シールの貼り付けにいたるまで、すべてが手作業です。島では、全て自分たちでやるしかないのです。しかし、この手間暇が商品の体温となり、お客様に伝わります。



深島みそ梱包の様子
深島みそ梱包の様子

テレビの放送やSNSをきっかけにカフェでスープを飲んだお客様が、「このお味噌なら身体に良くて安心できる」と確信を持って選ぶ瞬間、非効率は最大の強みへと姿を変えているのです。



らしさを描く猫印


猫をイメージした商品シール
猫をイメージした商品シール

パッケージに目を向けると、愛らしい猫をイメージした商品シールが丁寧に貼られています。これは、ひと目で深島のものだと伝わる大切な目印です。専門的な視点で話すと、一目でそれと分かる一貫したイメージは、独自のブランド価値を高めるための大切な資産となります。


猫の島という個性を単なる観光の要素で終わらせるのではなく、お味噌という伝統商品と結びつけることで、手にとった方の心に強い印象を残す。自分たちのらしさを素直にデザインへ落とし込む工夫が、商品に命を吹き込んでいました。


食べる場面を広げる発信


深島みそが多くの家庭で愛されている理由は、そのまろやかな味わいや安心感だけではありません。お味噌汁として日常の食卓を彩ることはもちろん、現代の暮らしに合わせた調味料としての新しい顔が、お客様の心を掴んでいます。



深島みそレシピ  でぃーぷまりんnoteより
深島みそレシピ でぃーぷまりんnoteより

安部さんたちは、お味噌を単なる伝統食の枠に閉じ込めるのではなく、肉や魚の味付け、炒め物、さらにはマヨネーズと合わせたディップソースやカレーの隠し味といった、多様な使い方をnoteなどで発信しています。


これは、お客様が商品を使用する場面や気分のきっかけを広げていくための大切な取り組みです。「今日の炒め物の隠し味に使ってみよう」「お肉を漬け込んでみよう」と思える選択肢を増やすことで、お味噌はより身近な存在へと育っていきます。


伝統の味を守りながらも、現代の食卓の様々なシーンに寄り添う柔軟な発信が、全国のリピーターとの結びつきをさらに強固なものにしています。ちなみに、私はチキンのみそ漬けが大好きです!



レシピはこちら




暮らしとつながる小さな経済


コンビニさえないこの離島で生きていくために、安部さんたちはオンラインショップを通じて全国へ深島みそを届けています。リアルな接点は島内唯一のカフェでありながら、道の駅への出品や、SNSの発信によって、心理的な距離を縮めていく試みが続けられています。



賄いの深島みそが使われた朝食
賄いの深島みそが使われた朝食

これは、限られた資源の中で「知ってもらう機会」と「手に入れやすさ」を地道に耕し続ける、ブランドの育て方です。遠く離れた場所からでも、深島の豊かな自然やゆったりとした暮らしに触れることができる。


島の小さなお味噌が持つこのアプローチは、これからの地方ビジネスにおける、人と人との繋がりを起点にした優しい経済のあり方を優しく教えてくれているように感じます。



あとがき



深島
深島

1週間強の短い期間ですが、深島でみそ作りの伝統や、島での日々の暮らしをお手伝いさせていただきました。本当に何もないからこそ、そこにあるすべてのモノや言葉に人の温かさが通っていることを、身をもって実感する毎日でした。


島のおばあたちが守り、孫たちが受け継いだ優しいお味噌の味が、これからもたくさんの人の心に届きますように。


カフェでランチをご所望の方は、3日以上前にご予約を!


【深島みそはこちらから】




HONEインターン/森




ほねろぐとは


我々株式会社HONEは地方に足を運び、先人たちが紡いできた伝統や、未来に残したい景色を記録します。


いつのまにか、地方の「ほんと」の姿が見えてくる。


町の暮らし。人々の想い。仕事の姿勢。

忙しない日常で忘れ去られた豊かさが、そこには息づいています。


気づけば、地方が近くなる。


現場でしか得られない骨太な体験を、お届けしていきます。



株式会社HONEについて


HONEの流儀
HONEの流儀

HONEでは、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。


学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。

自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。

誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。

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