.png)
福岡県久留米市。編み機の音が響く工房があります。
創業65年、軍手の製造と販売を続けてきた「軍手工房(株式会社イナバ)」です。今回、3代目・稲葉雄大さんに工場をご案内いただき、軍手工房の現在と、軍手づくりの歴史についてお伺いしました。

昭和35年(1960年)の創業。「手に寄り添うものづくり」

昭和35年(1960年)の創業から一貫して、働く人の手を守るための軍手づくりに取り組まれてきた軍手工房(株式会社イナバ)さん。
現在では、自社製の軍手に加え、名入れ対応の販促品の企画、さらには新商品の開発まで、事業は多岐にわたります。
最大の特徴は、製造から販売、発送まですべて自社で一貫していること。
高品質かつ柔軟なものづくりを可能 にしています。
軍手のルーツは「兵士の手を守る」ことから

軍手のルーツは、江戸時代末期の兵士が鉄砲の錆を防ぐために手袋を装着していたことにさかのぼります。その後、明治期には機械編みの技術が導入され、作業用手袋として広く普及。軍隊での使用が一般化したことから「軍用手袋=軍手」と呼ばれるようになりました。
第二次世界大戦後の技術革新により、大量生産が可能となり、現在のような価格と形に落ち着いていきます。
この工房だからこそできる小ロット高品質

工場には、13ゲージ編み機がたくさん立ち並んでいます。「小回りの効くモノづくり」に長けています。
軍手工房の代表商品「綿フィット軍手(13ゲージ)」一般的な軍手(7ゲージ)よりも約3倍密度の高い13ゲージ編み。
ぴったりと手に馴染みます。プレーティングとは、伸縮糸を内側に編み込む特殊な技法で、抜群のフィット感を生み出しているのだそう。
幼児用
子ども/婦人用
紳士用
など、サイズが豊富なのも特徴です。
子供用こそピッタリなサイズ を選びたい!そんな保護者の声もあり、芋掘りシーズンには大人気だと聞きました。
ハイゲージで土が入ってこないのも嬉しいポイントです。
名入れや販促ニーズに応えるため、単色印刷(シルクスクリーン)やフルカラー印刷(インクジェット)にも対応されています。すべての設備が自社に揃っているため、一貫した生産が可能で、当日も手作業の風景を見させていただきました。
綿フィット軍手はこちら→https://www.gunte-kobo.com/13g.html
人気のノベルティ「名入れ軍手」

名入れ軍手が誕生した背景には、久留米に根付く「名入れタオル文化」があったそうです。
「タオルに名前を入れるなら、軍手にも応用できるのでは?」という発想から生まれた商品は、13ゲージの細かな編み目のおかげで、高精細なプリントが可能となっています。
温泉施設、建設会社、銀行、地域イベント団体など、多様な業界でユニークなノベルティとして採用されているそうで、「実用的で面白い!」と感じました。
靴下にも広がる、軍手の技術

工場の一角には、カラフルな靴下の束が並んでいます。人気の足袋型ソックス「ふたタビ」は、親指が分かれていることで踏ん張りが利き、履き心地も抜群。
注目すべきは、すべて残糸を活用した色は何色が届くか分からないガチャスタイルであることです。織物の残系から作られているため糸の色や柄はすべてランダム。一点物のサステナブルなアイテムです。
「プレーティング技術」と「引き揃え編み」を組み合わせることで、手袋で培った技術が活かされています。
商品はこちら→https://www.gunte-kobo.com/zanshi.html
軍手は作業業務用品から選ばれる商品へ


軍手と聞くと、かつては「作業現場で使う業務用品」というイメージが一般的でした。
しかし今、軍手工房ではその枠を超え、使う人に選ばれるプロダクトとしての軍手づくりをされています。
たとえば、手汗や蒸れによる不快感を軽減する「手袋の下着」です。
このアイテムは手袋の下着として、ゴムやビニール製の手袋の内側に重ねて使用することで、手汗をしっかり吸収し、蒸れによる手荒れやかぶれを予防します。さらに、においが手に残るのを防ぎ、冬場の冷えから手を守る防寒効果も備えているとのことで注目です。
目には見えにくいけれど、日々の作業を快適に支える工夫が詰まった一枚。
軍手工房の製品は、まさに「使う人の気持ちに寄り添う道具」として進化を遂げているのだと思います。
商品はこちら→https://www.gunte-kobo.com/13g/shitagi.html
まとめ

軍手工房さんの商品は、子供にぴったりの芋掘り軍手や、肌の保湿を考えた手袋、サスティナブルな靴下など。
新しいアイテムのひとつひとつには、稲葉さんの「使う人のことを想う気持ち」も編み込まれています。
暮らしや仕事の中で、軍手がただの道具ではなく信頼できる相棒になる。
そんな未来を、久留米の工房から、感じることができました。
稲葉さん、軍手工房のみなさま、ありがとうございました。
HONE/亀元

.png)
.png)
.png)