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本願清水イトヨの里で出会った、心ほどける清らかな豊かさ【福井県大野市】

公開日:

2026年4月23日

最終更新日:

2026年4月23日

本願清水イトヨの里で出会った、心ほどける清らかな豊かさ【福井県大野市】

福井といえば「恐竜」「眼鏡」「越前そば」。

誰もが思い浮かべる象徴的な場所も、もちろん魅力的です。

そんなイメージを抱いて街を訪れた私が出会ったのは、観光ポスターの主役ではないけれど、静かに湧き続ける水と、小さな魚でした。


出会いのきっかけは、前日に宿泊したゲストハウスで、オーナーから手渡された一枚のパンフレットです。

宿には他に宿泊者がおらず、どこか寂しさも感じていましたが、その一枚のパンフレットに導かれるように、今回紹介する「本願清水イトヨの里」を訪れることになりました。


「本願清水イトヨの里」パンフレット
「本願清水イトヨの里」パンフレット



福井県大野市ってどんな土地?


「北陸の小京都」とも称される大野市は、四方を標高1,000m級の山々に囲まれた、美しい盆地の街です。

この土地を語る上で欠かせないのは、何といっても「水」の存在。

街のシンボルである「越前大野城」の麓には、碁盤の目状に広がる古い町並みが残り、そのいたるところから清らかな地下水が湧き出しています。

荒島岳をはじめとする山々に降った雨や雪は、長い時間をかけて地中を通り、磨かれた水となって湧き出します。市内の約9割を森林が占めるこの地域では、こうした豊かな自然環境によって良質な地下水が育まれていきました。大野の人々はこの湧水を「清水(しょうず)」と呼び、暮らしの中で大切に使い続けています。水の美しさだけでなく、清掃や環境教育など水を守り続ける地域の取り組みも評価され、大野市は「水の郷百選」にも選ばれています。


参考情報:

大野市のプロフィール 大野市公式ウェブサイト 



静かに湧き続ける福井の名水「本願清水」


福井県大野市にある「本願清水(ほんがんしょうず)」は、環境省が水質や周辺環境、地域の保全活動などを評価して選定した「平成の名水百選」のひとつ。

地下水が絶え間なく湧き出るこの場所は、戦国時代に大野のまちづくりを進めた武将・金森長近(かなもりながちか)によって水源地として整備されたといわれています。


平成20年6月25日「平成の名水百選」として認定された
平成20年6月25日「平成の名水百選」として認定された

湧き続ける名水「本願清水」
湧き続ける名水「本願清水」


本願清水に生きる小さな魚「イトヨ」


この澄んだ水の中で生きているのが、「イトヨ」という小さな魚です。この場所の水環境を象徴する存在ともいえます。清らかな湧水が絶えず流れ続けるこの環境だからこそ、イトヨはここで生きることができます。普段は海に住み、産卵時に川をさかのぼる習性がありますが、大野盆地のイトヨは違います。豊富な湧水環境の中、一生を淡水で過ごす陸封型と呼ばれる珍しいものです。その価値の高さから、本願清水は陸封型イトヨの南限生息地として、国の天然記念物に指定されています。


体長はわずか5センチほど。水面からはほとんど見えないくらい小さな魚ですが、施設内の観察ゾーンではその姿を間近で見ることができます。巣をつくる様子まで観察できる距離感で泳ぐイトヨたちに、思わず見入ってしまいました。


イトヨたちが頑張って巣を作っている♡
イトヨたちが頑張って巣を作っている♡


特に印象的だったのが、レクチャールームで上映されている映像です。イトヨの誕生から成長、求婚、巣作り、産卵という一連の流れが丁寧に解説されていて、観終わる頃にはすっかり感情移入。小さなイトヨの動きひとつひとつに意味を感じてしまい、気づけば観察ゾーンの椅子に座ってしばらくうっとりと眺めていました。


ちなみに、イトヨは漢字で「糸魚」と書きます。この地域の糸魚町周辺では、学校の授業でイトヨについて学ぶ機会があるそうです。発表した内容や展示作品が施設内に飾られており、イトヨは子どもたちにとって身近な存在になっています。



思いがけぬ、豊かさとの出会い


雨の日でもイトヨは元気
雨の日でもイトヨは元気

本願清水イトヨの里は観光地として大きく取り上げられる場所ではないかもしれません。実際私も事前に調べていた時には見逃していました。

静かに湧き出す水と、小さなイトヨたちの命。

本願清水イトヨの里は、そんな見過ごしてしまいそうな豊かさに気づかせてくれる場所でした。


HONEインターン/石井



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株式会社HONEは地方に足を運び、先人たちが紡いできた伝統や、未来に残したい景色を記録します。


いつのまにか、地方の「ほんと」の姿が見えてくる。

町の暮らし。人々の想い。仕事の姿勢。

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気づけば、地方が近くなる。


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HONEの流儀
HONEの流儀

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大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。


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