
金沢駅周辺で行き先に迷っていたとき、Googleマップで偶然見つけたのが、『「やかん体、転倒する。」三枝一将』でした。Googleマップには181件のクチコミがあり、評価は4.1でした(2026年10月29日時点)。どんなものなのか気になって、行ってみることにしました。
金沢駅東広場で出会った、倒れたやかん
駅の東口を出ると、高さ13.7mの鼓門が目に入ります。金沢の伝統芸能・加賀宝生の鼓をイメージしたそうです(金沢駅の掲示物より)。

そんな駅前に、倒れたやかんがありました。大きなやかんが倒れていました。そばにはフタが置かれています。やかんにしか見えないのに、なぜか駅前で転倒していて、「わかるけれど、わからない」というのが、最初の感想でした。

説明書きを探して周りを一 周してみると、書いてあったのは「金沢・まちなか彫刻作品・国際コンペティション2006最優秀賞」だけです。

なぜこのような作品が、駅前に存在しているのでしょうか。その答えは、金沢のまちの歴史にありました。
伝統工芸と現代アートが共存するまち、金沢
金沢は、加賀藩前田家のもとで、伝統工芸が育まれたまちです。前田家は藩主の威信を高めるために、美術品の収集や職人の育成に力を入れました。その技は、金沢箔や金沢漆器などとして今も受け継がれています。

一方で、2004年には「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」を目的に、金沢21世紀美術館が開館しました。2005年には、金沢駅東広場も完成しています。この2つを記念して、金沢市がまちなかに置くパブリックアートを募集したのが、「金沢・まちなか彫刻作品・国際コンペティション」です。2004年と2006年の2回開かれ、2006年の最優秀賞に選ばれたのが、「やかん体、転倒する。」でした。
伝統工芸を育てたまちが、現代アートの美術館もつくった。私が見た金沢の芸術は、どちらも「まちを守り、さらに繁栄させようとする」点でつながっているように感じました。

