
静岡市で約135年、工業用鋳物製品を製造する栗田産業株式会社は、2017年に一般消費者へ向けた新ブランド「しずおか鋳物 重太郎」を立ち上げました。HONEはブランドの広報戦略からネットショップ運営まで支援しています。
静岡の地に根ざす老舗メーカーと、現場主義を貫くHONE 桜井が出会った結果、ブランドがどのように浸透していったのかを、同社副社長の栗田様に伺いました。
目次
創業135年の老舗が挑む、鋳物文化の再浸透
Xで204万インプレッションを達成。HONEと挑んだブランディング戦略
「しずおか鋳物」を全国へ。埋もれていた地域文化を可視化した発信の力
地域を巻き込み、HONEとともに描く静岡×鋳物ブランドの未来
創業135年の老舗が挑む、鋳物文化の再浸透
――栗田産業様と「しずおか鋳物 重太郎(JUTARO)」ブランドについて教えてください。
栗田さん:弊社は明治創業の鋳物メーカーで、これまで工業用鋳物製品を製造してきました。私は創業者の玄孫(やしゃご)にあたります。
現代 の暮らしの中で鋳物をより身近に感じてもらいたいという思いから、2017年に一般向け自社ブランド「しずおか鋳物 重太郎」を立ち上げました。
――静岡と鋳物、どのような歴史があるのでしょうか?
栗田さん:静岡市は徳川家康公お抱えの鋳物師によって栄えた江戸時代から続く鋳物文化があります。家康公ゆかりの駿府城や神社仏閣の整備の為、様々な鋳物をつくる町でした。しかし、江戸幕府が倒れ、直轄地であった事から多くの鋳物師が職を失い衰退したとされています。
弊社の創業者である栗田重太郎は、明治23年(1890年)に18歳でこの地に創業し、多くの人に自身の鋳物技術を教え、静岡市の鋳物産業を再興させた人物として記録されています。
創業者のこういった取り組みから、鋳物により静岡に貢献する事は弊社の創業目的であると考え、いま我々が出来る静岡へ貢献を目的に立ち上げたのが、創業者の名を冠した一般向け鋳物ブランド「しずおか鋳物 重太郎」です。

――「しずおか鋳物 重太郎(JUTARO)」は、どのような商品を展開されているのですか?
栗田さん:錫器のタンブラーや箸置き、ぐい呑みといった日用品から、ミニ四駆、ゴジラ、宇宙刑事ギャバンといったホビー系商品まで、幅広いラインナップを展開しています。
静岡市は、TAMIYA、バンダイをはじめとするおもちゃメーカーが多い町です。静岡の歴史と文化を、より多くの人に知ってもらうべく、静岡と関係性の深い商品を開発し続けています。
――様々な支援会社のなかから、HONEにご相談いただいたきっかけを教えてください。
栗田さん:桜井さんと出会う前は、ブランド立ち上げから数年が経過し、形ができてきたタイミングで、専門家の必要性を感じていました。
正直に言うと、それまでは独学と勢いだけでやってきました。製品のクオリティには自信があるものの、認知拡大は手探りの状況。ここから先は、専門家に相談しながら方向性を考えていく必要があると感じ、ご相談したのが桜井さんです。
――HONEに依頼した決め手を教えてください。
栗田さん:初回の面談で感じたのは、桜井さんの誠実で現実的なアプローチでした。
理論にもとづくアドバイスではなく、私が「こうしていきたい」と思っていることをベースに、どう実現していくか真剣に考えてくれる姿勢が印象的でしたね。
会社の状況も踏まえて、やるべきことではなく「できること」から可能性を広げてくれるだろうと思い、依頼を決めました。
Xで204万インプレッションを達成。HONEと挑んだブランディング戦略
――HONEからどのような支援を受けられましたか?
栗田さん:ブランドの形はできていたので、まずは現状分析をお願いしました。市場調査と分析を踏まえて、私の考えている方向性を確認していただいた形です。
今でこそ、ミニ四駆、ゴジラといったホビー要素を取り入れていますが、当時はもっと真面目な路線で行くべきか悩んでいました。桜井さんに市場適合性を確認してもらい、進むべき道への背中を押していただいたと思っています。
――桜井の分析とアドバイスは、具体的にどのような施策につながったのでしょうか?
栗田さん:弊社は工業製品メーカーですから、一般消費者向けの広報に関する知識、経験、機会がない状況でした。まず知っていただかなければ、一般の方からは何もしていないように見えてしまいます。
そこで、SNS運用の指導と実践、noteを使った情報発信、ブランドサイトの制作 、検索エンジン最適化(SEO)、プレスリリースなど、デジタルマーケティング基盤の構築を包括的に支援していただきました。
――ご支援を始めて3年ほど経過しました。Xで「ネオトライダガーZMC 香炉」が注目を集めるなど、反響があったそうですね。
栗田さん:はい。ネオトライダガーZMC香炉の販売スタートに関するポストは、最終的に204万インプレッションと大きな注目を得ることができました。
栗田さん:他にも、XやInstagram、noteでの発信がきっかけとなり、メディアからの取材や商品購入に関するお問い合わせをいただいています。
弊社だけでは、この結果に至らなかっただろうと思います。
――桜井をはじめ、HONEの支援で印象的だったことはありますか?
そうですね。「ネオトライダガーZMC 香炉」は、桜井さんにご紹介いただいた カメラマンに撮影いただきました。桜井さんと同じマインドをお持ちの方だったので、3人でアイデアを出し合って、面白がりながら進めたのが印象に残っています。
私の「ああしたい」「こうしたい」というイメージを否定せずに受け止めてくれること。このイメージを形にする技術や専門性の高さ、そして、コンプライアンスを意識した発信の切り口がとてもありがたいですね。
――桜井以外のHONEメンバーとのやり取りで、お気づきのことはありましたか?
栗田さん:正直、本当に感謝しています。静岡市のショールームだけでなく、御前崎の製造工場にも定期的に足を運び、現場を実際に見た上で、私の要望を理解してくれているのだと思っています。
ものづくりの現場を理解し、施策を考えてくれる姿勢が、とても心強いです。
「しずおか鋳物」を全国へ。埋もれていた地域文化を可視化した発信の力
――静岡の鋳物文化を伝え続けるために立ち上げた「重太郎(JUTARO)」ですが、地元への影響はありましたか?
栗田さん:例えば、noteで静岡市の地名から鋳物文化を伝えた記事「静岡の地名でみる「しずおか鋳物」の歴史」をきっかけにテレビ取材を受けたことがあります。
栗田さん:検索結果に表示されるAIの要約でも「静岡には徳川家康公のゆかりの鋳物の歴史があり、現代のものとして引き継いでいる栗田産業がある」といった情報が表示されるようになりました。
「しずおか鋳物」というのは私が考えた造語ですが、もし私がひとりで小さく発信しているだけだったら、人の目にとまることはなかったと思います。
――史実であっても、ネット上に存在しない情報は接点が減ってしまいますもんね。
栗田さん:ウェブを使って、「重太郎(JUTARO)」ブランドを発信した結果、これまで埋もれていた静岡の歴史、鋳物の歴史が広がっていくのは嬉しいですね。
桜井さんの支援がなければ、このショールームにテレビ局のアナウンサーが来て、「静岡って鋳物の町なんですね!」と言っていただけることはなかったと思います。
――ブランド自体の認知だけでなく、静岡の鋳物文化も広げることができて、私たちも嬉しいです。
栗田さん:もともとは「重太郎」という名前だけのブランドで展開していました。ここに「しずおか鋳物」とつけたのは、静岡の地域性を一つの個性として打ち出し、日本全国、世界へこの文化を伝えていきたい思いがあったからです。その点、桜井さんも、地域資源を地域の活力にしたい思いをお持ちではないでしょうか。
静岡を盛り上げたい思いが、これからもシナジーを発揮していくと期待しています。
地域を巻き込み、HONEとともに描く静岡×鋳物ブランドの未来
――今後の展望についてお聞かせください。
栗田さん:正直、広報活動はHONEさんにお任せしてしまっている状況です。私たち製造側の課題を解決し、しっかりと結果を出していきたいと考えています。もっと「静岡といえばしずおか鋳物があって、重太郎だよね」と言っていただけるようにしたいです。
――HONEとは、今後どのように連携したいとお考えでしょうか。
栗田さん:ブランドのためというよりも、町のため、静岡のためになることに取り組めたらいいなと思っています。それが、HONEさんと私たちの目指すことにつながれば、相乗効果が生まれるはずです。点ではなく、面として広げていけたらいいですね。
――HONEを他社へおすすめするとすれば、どのような点を勧めますか?
栗田さん:桜井さんやHONEさんの目指す姿に共感できそうな方におすすめしたいですね。
桜井さんは強いですよね。いろいろな考え方もありますし、合う・合わないというのもかなりあると思うんですけど、現場をちゃんと見て理解した上で、いろんな施策を考えてくれる姿勢は本当にありがたいです。
――最後に、HONEを一言で表現するとどんな言葉になりますか?
栗田さん:「頼りどころ」でしょうか。相談したら何でも応えてくれる信頼感がありますね。
取材にご協力いただきありがとうございました。
栗田産業株式会社 五代目 栗田圭さん
HP https://www.kuritasangyoh.co.jp/
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