
岡山県倉敷市茶屋町にある足袋シューズメーカー「MARUGO(丸五)」さんの工場を見学させていただきました。
地下足袋づくりから始まった100年企業の現場には、手仕事の価値と、日本の技術が積み重ねてきた温度が宿っていました。
地下足袋文化を現代へつなぐファクトリーブランド「MARUGO」
「MARUGO」は、地下足袋づくりを原点とする株式会社丸五が手がけるファクトリーブランドです。
100年以上積み重ねてきた技術と知恵を現代へと橋渡ししながら、新しいフットウェアの在り方を追求されています。
▶ オンラインショップはこちら https://marugo-wellness.jp/
歴史を伝える展示室 ― 大正8年創業の歩み

丸五は1919年(大正8年)、作業用地下足袋の製造からスタートされたそうです。
戦後はゴム加工技術を活かして自動車部品などにも領域を広げ、現在では複数のグループ企業を持つ複合メーカーへ。


見学では、歴代の看板や資料が並ぶ展示室へ案内していただきました。
丁寧に保管された道具や資料はどれも風格があり、100年以上続く企業の重みを静かに語っています。
大正時代の建物 ― のこぎり屋根が残る敷地


敷地内には、大正時代の建築が残っています。
特徴的なのは、「のこぎり屋根」。
工場建築の歴史がそのまま佇む建物で、歩くだけで当時の空気がよみがえるようでした。
足袋シューズ製造の現場へ


製造現場では、足袋シューズが足型に合わせて一足ずつ仕上がっていく様子を見せていただきました。
足袋シューズは想像以上に工程が複雑です。
特に親指部分の股の縫製や、立体的なフォルムの微調整は機械だけでは再現できず、職人の手作業が不可欠とのこと。
素材の個体差に合わせ、温度・湿度・乾燥時間も調整する必要があるそうで、
「完全自動化できるラインではないんです」
という言葉が印象に残りました。
手でしかできない作業を、人の手で完成させていく。
その積み重ねが品質を支えています。
靴づくりの奥深さ
靴の製造には主に以下の3つの製法があるそうです。
1. セメンティング製法(接着)
MARUGO国内生産の主力。正確な貼り合わせと乾燥工程が鍵とのこと。
2. バルカナイズ製法
一般的なスニーカーで有名な加硫接着の製法。
3. 縫い付け製法
革靴などで使用される、アッパーとソールを縫い合わせる製法。
セメンティング製法(接着)の接着風景もみさせていただきました。
特に足袋型はフォルムが立体的で、乾燥温度や時間が商品ごとに繊細に変わります。
機械と人の技術が重なり合って作られていることがわかります。

実際に足袋シューズを履かせていただくと、その独特の機能性に驚きがあります。
親指が独立して動くことで、まるで足が地面をつかんでいるような感覚。
シューズの裏側にある人の手を知ったあとでは、その実感がさらに深まります。
一つひとつの工程に宿る、技術と人の温度。
そして現代に合わせたデザイン性を兼ね備えた商品開発もされています。
つくることの意味、文化を残す、人の手の貴さをあらためて考えさせられる、一日となりました。
HONE/亀元


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