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130万羽の願いを、次の未来へ。おりづるタワー開業10周年【広島県広島市】

公開日:

2026年9月11日

最終更新日:

2026年9月12日

130万羽の願いを、次の未来へ。おりづるタワー開業10周年【広島県広島市】

2026年8月26日、広島市のおりづるタワーで、開業10周年を記念した記者発表会が開催されました。2016年9月23日にグランドオープンした、おりづるタワー。

今回の記者発表会では、10年間積み重ねてきた約130万羽の折り鶴を初めて取り出すプロジェクトをはじめ、新しい折り紙への切り替え、10周年記念イベント、年間パスポートの刷新、そして今後の館内リニューアル構想まで、これからのおりづるタワーを形づくるさまざまな取り組みが発表されました。

記者発表会の様子と、そこから見えてきた、おりづるタワーのこれからをレポートします。


プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000150422.html


10周年の先に見据える、戦後100年の「2045年」


おりづるタワー
記者会見の様子

おりづるタワーは、原爆ドームの東隣に位置し、広島の街を見渡せる屋上展望台"ひろしまの丘"や、世界中から訪れた人々が平和への願いを折り鶴に託す「おりづるの壁」などを通じて、広島の過去、現在、そして未来を伝えてきました。

開業から10年。

今回の発表会で語られたのは、これまでの歩みを振り返るだけの「10周年」ではありませんでした。おりづるタワーが見据えているのは、戦後100年となる2045年です。

冒頭は、おりづるタワー株式会社 代表取締役会長 CEOの松田哲也さんのお話でした。

広島に原爆が投下された1945年から100年を迎える2045年をひとつの大きな節目として、おりづるタワーがこれから何を伝え、何を残していくのかが語られました。

10周年は、あくまで一つの通過点。その先の2045年まで、「地球をもっともっと優しさと強さと絆でつないでいきたい」という想いが語られました。


その言葉から感じたのは、広島という土地が歩んできた歴史への敬意を持ちながら、その歴史を未来へどうつないでいくかを考え続ける姿勢です。

おりづるタワーの原点である広島マツダは、1945年の原爆投下によって全社員と社屋を失いました。そこから広島の街とともに復興してきた歴史があります。

だからこそ、この場所から伝えたいものは、過去の悲惨さだけではありません。乗り越えてきた「人の強さ」。誰かを思いやる「やさしさ」。そして、その先にある未来。

今回発表された一つひとつの取り組みも、そんな未来へ向けた意思につながっているのだと感じました。



10年間積み重なった、130万羽の折り鶴を初めて取り出す


中本本店の折り紙でおった折り鶴
中本本店の折り紙でおった折り鶴

今回の発表の中心となったのが、「おりづるの壁」をめぐる新たなプロジェクトです。おりづるタワーの北側にある、高さ約50メートルのガラス張りの空間。

来館者が平和への思いや未来への願いを込めて折った鶴を12階から投入すると、少しずつ壁の中へ積み重なっていきます。

開業から約10年。

積み重なった折り鶴は約130万羽、重さにして約1.6トンにまでなりました。

9月29日、30日には、この折り鶴を開業以来初めて取り出すイベントが行われるそうです。報道関係者への公開に加え、抽選で選ばれた来館者が参加できる機会も設けられる予定です。取り出しには機械を使わず、各階に設けられた扉から、網状の道具などを使って手作業で進めていくとのこと。


坂本真一社長の言葉で印象に残ったのが、

「人を隔てるための壁ではなく、人をつなぐための壁」という表現でした。

国籍も、文化も、世代も違う人たちが、それぞれの願いを一枚の折り紙に託す。そして、その一羽一羽が積み重なり、一つの大きな壁になっていく。

この10年間で積み重なったのは、130万羽という数字だけではありません。

世界中の人たちが広島を訪れ、平和や未来に思いを馳せた時間そのものなのだと思います。

取り出された折り鶴については、オリジナルグッズへの活用や社会へ役立つものなど、今後の活用方法を検討していくとのことです。

10年間積み重ねてきたものを、ただ保存するのではない。次の形へと変え、未来へつないでいく。

今回の取り出しは、次の10年へ向けた新しいスタートでもあります。



新しい一羽は、「地球に還元する折り紙」から


株式会社中本本店
株式会社中本本店の折り紙

新たな折り紙
新たな折り紙

折り鶴をすべて取り出したあと、「おりづるの壁」は再びゼロからスタートします。そして、新しく積み重ねていく折り鶴には、これまでとは異なる折り紙が使用されます。

採用されたのは、国産竹100%の竹紙です。現在、国内では管理されなくなった放置竹林が増加し、山の環境や防災面で課題の一つとなっています。

平和について考える場所だからこそ、戦争のない世界だけでなく、自然環境や日々の暮らしの平穏についても考えたい。そんな思いから生まれたのが、「地球に還元する折り紙」です。

一羽の折り鶴を折る。その小さな行動が、平和への願いだけでなく、環境について考える一歩にもつながっていきます。

新しい折り紙の製造を担うのは、広島で1919年に創業した印刷会社、中本本店です。中本本店もまた、1945年8月6日の原爆によって社員と社屋を失い、そこから広島の復興とともに歩んできた企業です。

製造工程では、揮発性有機化合物を排除するNON VOC印刷をはじめ、廃棄物の削減、紙のリサイクル、節電などにも取り組み、素材だけでなく「つくる過程」まで環境への負荷を抑えることを重視しています。

広島で同じ時代を生き、復興とともに歩んできた企業同士が手を取り合い、次の未来をつくる。このプロジェクトには、そんな地域企業同士のつながりも込められています。



まっさらな壁に、新しい「第一羽」を


10月2日には、新しい折り紙を使った「ファーストトス セレモニー」が開催されます。すべての折り鶴を取り出し、まっさらになった「おりづるの壁」。

そこへ、新しい時代の第一羽目となる折り鶴を投入します。

当日は、広島県出身のタレント・塚本恋乃葉さんをスペシャルゲストとして迎えるほか、広島県知事、そして今年10歳を迎える本川小学校4年生の児童も参加予定です。

10年前、おりづるタワーが開業した年に生まれた子どもたちが、次の未来へ向けた最初の一羽に立ち会う。

10周年という節目と、これからを担う世代が交差するセレモニーになります。





地元の人にとっても、もっと身近な場所へ


スカイブルーパス
リニューアルした年間パスポート

10周年にあわせ、さまざまな企画も発表されました。9月19日から23日までの5日間は、「KIDS ALL FREE WEEK」を開催。期間中、小学生以下の子どもは、18歳以上の保護者同伴で展望台への入場が無料になります。

また、「おりづるの壁」体験付き入場券を購入した方には、お好み焼みっちゃん総本店とのコラボレーションによる限定折り紙と特製ソースを、各日先着100名にプレゼントします。


さらに、9月1日からは年間パスポートもリニューアル。優先入場や同伴者1名の入場料半額、プレミアムクローク、ルーフトップバーへの入場、お好み焼みっちゃん総本店 おりづるタワー店での優先案内・特別予約など、さまざまな特典が用意されています。

年間パスポートに掲げられたテーマは、「広島での日常をより豊かにし、大切な方へのおもてなしも叶える」というものでした。広島を訪れる観光客だけでなく、広島で暮らす人にとっても、もっと身近な場所を作られています。




10周年を、次の未来へのスタートに


今回の記者発表会を通じて見えてきたのは、おりづるタワーが10周年を「完成」ではなく、新たなスタートとして捉えていることでした。

130万羽まで積み上がった折り鶴を、一度すべて取り出す。そして、まっさらな壁からもう一度始める。折り紙そのものを変え、施設もこれからの時代に合わせて変えていく。

一方で、その根底にある「広島から平和と未来を伝えていく」という想いは変わりません。10年間積み重ねてきたものを受け継ぎながら、新しい形へと更新し、戦後100年となる2045年へつないでいく。


Feel Orizuru, Feel Tomorrow

おりづるタワーの次の10年に向けた、新たな挑戦が始まります。



あとがき


今回の記者発表会で、私が一番印象に残ったのは、松田会長が話されていた「行動から平和を感じる」という言葉でした。平和について「考える」「学ぶ」「祈る」ことは、これまでもさまざまな場所で行われてきたと思います。折り鶴には、そこに「折る」という行為があります。

一枚の紙を手に取り、自分の手で鶴を折る。ほんの数分かもしれません。その時間の中で平和や未来に思いを馳せ、最後は自分の手で「おりづるの壁」へ届ける。

平和という、とても大きく、ともすると自分から遠く感じてしまうテーマを、一人ひとりができる小さな行動にまで落とし込んでいることに、おりづるタワーの大きな意味があるのではないかと思いました。


130万羽という数字も、そう考えると見え方が変わります。

130万回、人が手を動かし、平和や未来を願ったということ。

だからこそ、「おりづるの壁」は単なる展示物ではなく、人々の行動が積み重なってできた場所なのだと思います。そして今回、その130万羽を一度取り出し、また一羽目から積み重ねていきます。平和を願う行為が、これからの環境や暮らしについて考える行為にもつながっていく。

「平和を伝える」のではなく、「平和を感じる行動をつくる」。

今回の会見を通じて、私はそこに、おりづるタワーらしさを感じました。2045年に向けて積み重なっていくのは、折り鶴だけではありません。一人ひとりの小さな行動と、そのときに抱いた願い。その積み重ねこそが、未来をつくっていくのかもしれません。



イベント案内



開業10周年を記念して、9月19日(土)から23日(水・祝)までの5日間、「KIDS ALL FREE WEEK」が開催されます。

期間中は、18歳以上の保護者同伴で、小学生以下の子どもの展望台入場料が無料に。さらに、「おりづるの壁」体験付き入場券を購入した方には、お好み焼みっちゃん総本店とコラボレーションした限定折り紙と特製ソースを、各日先着100名にプレゼントされます。広島の街を眺めながら、親子で折り鶴を折り、平和や未来について考える。10周年の節目に、おりづるタワーをより身近に感じられる企画となっています。


HONE/亀元



ほねろぐとは


株式会社HONEは地方に足を運び、先人たちが紡いできた伝統や、未来に残したい景色を記録します。

いつのまにか、地方の「ほんと」の姿が見えてくる。


町の暮らし。人々の想い。仕事の姿勢。

忙しない日常で忘れ去られた豊かさが、そこには息づいています。

気づけば、地方が近くなる。

現場でしか得られない骨太な体験を、お届けしていきます。



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HONEの流儀
HONEの流儀

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