.png)
2026年1月9日、新潟県湯沢町苗場にある売店、「SAKEBASE NAEBA」に行ってきました。
SAKEBASE NAEBAは、日本酒「八海山」で知られる八海醸造が、苗場地区の買い物環境の維持と地域活性化のために運営しています。かつての商店の跡地を再生し、地元の生活を支える日用品から自社醸造のビール、発酵食品まで幅広く取り揃え、地域住民と観光客が交差する拠点となっています。
白銀の世界に包まれる冬の苗場。華やかなスキーリゾートの影には、人々の暮らしと、そこを守り抜こ うとする熱い想いがありました。
(HONEインターン / 森)
寂しさを灯す、夜の拠り所

私は今、苗場の宿で3週間ほどの修行に励んでいます。スキーシーズンを迎えた苗場は、 多くの観光客の活気で溢れます。
しかし、その華やかさの裏側で、地域特有の静けさに直面することもありました。仕事が終わる夜の21時30分。
観光地とはいえ、夜が更けるのは早く、多くのお店は21時を回る頃には静かにシャッターを下ろします。
山の高い物価や、仕事場と寮を往復するだけの日々に、少しずつ疲れが溜まっていくのを感じていました。
そんな夜、冷え切った空気の中で出会ったのがSAKEBASE NAEBAでした。
暗闇の中に漏れる温かな光は、孤独を感じていた私の心をふわりと解いてくれるようでした。店内に入ると、そこには日本酒「八海山」の美しいラインナップとともに、米や麹、発酵をテーマにした品々が並んでいます。日用品も充実しており、
ここはまさに、リゾートに滞在する方々や地域の方々にとって、欠かせないお買い物スポットとなっていました。
地域の生命線フクダ屋

現在「SAKEBASE NAEBA」として運営されているこの場所には、切実な物語がありました。
2018年の春、交差点の角で長年愛されていた日用品店「フクダ屋」が、惜しまれつつもその歴史に幕を閉じました。苗場のリゾートマンションにお住いで、車等の足をお持ちでない方には、お買物の生命線のようなスーパーで再開が待ち望まれておりました。閉店後は、近隣に住む方々は、日々の買い物のために遠く離れた、越後湯沢駅周辺まで足を運ばなければならなくなったそうです。
町のために。再生した店

誰も再開の手を挙げられない状況の中、立ち上がったのが八海醸造株式会社でした。苗場地区への深い恩義を感じ、地域の人々の生命線を守りたいという一心で、売店としての再生を決意したのです。
2018年12月27日、地元の方々が待ち望んだ「売店」として、再びその場所に灯がともりました。単なる小売店ではなく、企業の「地域を支えたい」という本気の姿勢が形になったのが、このSAKEBASE NAEBAなのです。かつての商店の役割を受け継ぎながら、新しい価値を添えて、この地を照らし続けています。
乾杯が繋ぐ、心の境界線

店内の一角には、誰でも利用できる無料のイートインスペースがあり、そこでは「角打ち」を楽しむことができます。
仕事終わりに立ち寄り、その場に居合わせた人たちとグラスを傾ける。そこには、仕事の話や地域の近況、あるいは何気ない自分の夢の話が穏やかに流れていました。お酒を酌み交わすと、一日の疲れがゆっくりと雪のように溶けていくのを感じます。

ここで提供されるビールは、八海山の 麓にある醸造所で造られた新鮮な一杯。この店舗からほど近い「IZAKAYA x KAMAMESHI 筍」でも味わえますが、SAKEBASEはより地域に根ざした密着型の空気感をまとっています。
観光客を相手にする賑やかさと、地元の人々を支える情熱。その両方が溶け合うこの場所は、外から来た私のような人間と、この地を愛する人々を繋ぐ架け橋になっているのかもしれません。ただの「お店」以上の温もりが、冷えた身体を芯から温めてくれました。
あとがき

地域の課題を解決しようとするとき、そこには必ず誰かの「覚悟」があります。今回訪れた場所は、一企業がその地域に対して抱く愛情と責任の現れでした。
便利な世の中ですが、本当に必要なのは、ただ物が買える場所ではなく、誰かと「お疲れ様」と言い合える場所なのかもしれません。排他性を感じていた夜の街が、一杯の酒と温かな会話を通じて、少しだけ「自分の居場所」に変わったような気がします。そんな小さな変化の積み重ねが、地方を身近にして、未来を紡いでいくのだと信じています。また明日も、この地で頑張れそうです。
読んでほしいほねろぐ記事
▼新潟県湯沢町の別の現場を読む:リゾートマンション。「負動産」と呼ばれる場所で始まる新しい暮らし。【新潟県湯沢町】
▼地域の居場所と交流を考える関連記事:まだまだ輝ける!介護サービスの利用者が働く『ばあちゃん喫茶』(福岡市)
▼新潟県湯沢町の別の現場を読む:ぽんしゅ館。駅からはじまる越後湯沢。日本酒と温泉が誘う旅時間。【新潟県湯沢町】
ほねろぐとは
AIの急速な台頭により、私たちの世界は、目紛しい変化を遂げています。効率化が進むその影で、古きよき日本の文化や風景、人との繋がりが失われつつあるのも、悲しい現実です。
そんな時代だからこそ、我々株式会社HONEは地方に足を運び、先人たちが紡いできた伝統や、未来に残したい景色を記録します。
いつのまにか、地方の「ほんと」の姿が見えてくる。
町の暮らし。人々の想い。仕事の姿勢。
忙しない日常で忘れ去られた豊かさが、そこには息づいています。
気づけば、地方が近くなる。
現場でしか得られない骨太な体験を、お届けしていきます。
HONEについて

HONEでは、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。
大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。
学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。
自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。
誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。

.png)



.png)
.png)
.png)