【レポート】静岡AI経営サミット マーケティング最前線 ~AI時代、企業は何を変え、何を変えないのか~

2026年10月20日、TKP静岡駅ビルパルシェカンファレンスセンターにて、株式会社relation主催「静岡AI経営サミット マーケティング最前線」が開催されました。
生成AIの進化によって、情報収集やデータ分析、レポート作成、記事制作など、これまで人が時間をかけていた業務を代替、効率化できるようになっています。一方で、AIを導入するだけで、仕事の進め方や組織が変わるわけではありません。
どの業務に活用し、社員にどう使ってもらい、短縮できた時間を何に使うのか。イベントでは、AI活用の具体例を通じて、こうした問いを考えるヒントが紹介されました。
登壇者紹介

森野 伸吾 氏
株式会社relation 取締役 CSO/株式会社ヴァリアスター 取締役 COO
鈴木 美絵子 氏
株式会社relation/株式会社ヴァリアスター/上級ウェブ解析士
桜井 貴斗 氏
株式会社HONE/Astlocal株式会社 代表取締役/一般社団法人TSUGU SHIZUOKA 代表理事
西島 弘文 氏
株式会社デジタルアイデンティティ シニアコンサルタント/SEOエバンジェリスト
安藤 悟 氏
株式会社エストリンクス 代表取締役
山本 達巳 氏
つきみ株式会社 代表取締役/ベイワークス株式会社 取締役
田畑 峻幸 氏
New Media合同会社 代表社員/nail salon Laurel オーナー
山崎 啓輔 氏
株式会社ヤマザキスポーツ 代表取締役社長/静岡マーケティングサロン主宰
AIで、日々の業務を効率化する
イベント冒頭では、株式会社relation 取締役CSOの森野伸吾さんが登壇し、さまざまなAIを組み合わせた業務効率化の事例を紹介しました。

relationさんでは、システム開発における要件の整理から、プログラムの作成、動作確認、保守まで、業務の各工程でAIを活用しています。それぞれのAIの得意分野に応じて使い分けることで、開発にかかる工数を減らすほか、問い合わせ対応や見積もりなどの自動化にも取り組まれているそうです。
また、つきみ株式会社代表の山本さんは、こうした活用方法や組み合わせ方もあくまで現時点での最適解だと話します。AIは日々進化しており、それぞれのAIが得意とする作業や分野も変化していきます。
そのため、一度使い方を決めて終わりにするのではなく、最新情報を継続的に集め、自社の仕事に合った活用方法を探り続けることが大切だといいます。

ファシリテーターを務めた山崎さんからは、「そういった最新情報はどこで得ればいいですか?!」といった質問が飛びました。このキラーパスに対し、山本さんは自身が運営するYouTubeチャンネル「AIデリバリー」がおすすめです!』とバッチリ宣伝。会場からは笑いも起こり、難しい話の中でも和やかな雰囲気が生まれました。
AIを導入すること自体がゴールではありません。日々進化する技術の情報を追いながら、実際に使ってみて、自社の仕事に合った活用方法を見つけていく。そうした継続的な試行錯誤が、AIによる業務効率化を進めるうえで重要になりそうです。
▼YouTube 「AIデリバリーチャンネル」はこちらから
社員全員にAIを使ってもらうために
AIツールを導入しても、社員さんに使いこなしてもらえなければ、業務の変化にはつながりません。イベントで印象に残ったのは、社員全員に有料アカウントを付与し、まずは自由に触れてもらうという、株式会社デジタルアイデンティティさんの取り組みです。

業務での使い方を最初から細かく指定するのではなく、仕事以外の用途も含めて、まずはAIに慣れてもらう。日常的に使う機会をつくることでツールへの心理的な距離が縮まり、結果として仕事での活用にもつながっていくという仕組みです。
新しいツールを導入するとき、企業は「どの業務に使うのか」「どれだけ効率化できるのか」と、活用目的を先に決めようとしがちです。もちろん目的を定めることは大切ですが、使い方を最初から限定しすぎると、社員が自分の業務に合った活用法を見つける機会を狭めてしまうこともあります。

まずは誰もが使える環境を整え、試行錯誤を通じて使い道を探っていく。その過程で生まれた発見を共有できれば、組織全体としての活用の幅も広がっていきます。
AI活用を一部の詳しい社員だけに任せず、社員それぞれが自分なりの使い方を試せる状態をつくること。導入したツールを「使ってもらう」ためには、利用を促すだけでなく、使ってみようと思える環境づくりも重要です。
人間が見つけた「火種」を、AIで大きくする
AIの活用事例として、弊社代表の桜井が紹介したのが、SNSでの発信を起点に、分析からコンテンツ制作までを進めた事例です。きっかけは、2026年10月16日に何気なく投稿したポストでした。

この投稿は32万インプレッションを獲得。翌17日には、リプライ欄に自社記事のリンクを掲載したところ、深夜帯にも記事が読まれていることがわかりました。
その反応を踏まえて、18日にはマーケティング分析ツール「SENRI-GAN」で改善レポートを出力し、Codexで資料と記事を制作しました。SNSで生まれた反応を見逃さず、分析からコンテンツ制作までを短期間で進めた事例です。
コンテンツを作って終わりではなく、発信、分析、制作、検証を繰り返していくことがポイントです。AIを単なる文章作成ツールとして使うのではなく、マーケティング活動全体の流れに組み込むことで、火種を次の行動へとつなげています。
この事例で印象的なのは、AIにすべてを任せているわけではない点です。SNSで何気ない投稿をすること、反応の兆しを見つけること、話題をさらに広げられそうだと判断すること。こうした最初の着眼点は人間が担っています。そのうえで、分析や改善案の検討、記事や資料の制作をAIが担っています。

火種は人間が見つけ、より大きくするためにAIを活用する。
こうした使い方は、PCに向かって作業する時間を減らすだけでなく、アイデアを実行に移すスピードを高めることにもつながります。
効率化の先にある、人間の役割
AIによって業務が効率化された先に、人間にはどのような役割が残るのでしょうか。イベントでは、顧客と直接会って話す、店舗に足を運ぶ、商品を開発するといった、人間が担う活動に時間を使うことの重要性も語られました。

マーケティングでは、データ分析によって顧客の行動やWebサイトの課題を把握できます。しかし実際の現場では、数字だけでは見えてこない顧客の気持ちや、時代に合わせて起きている変化もあります。実際に顧客の声を聞き、会話を重ねることで、データだけでは気づけなかった課題や新たな可能性が見つかることもあります。
そして、もう一つ重要なのが、自分で判断し、その結果に責任を持つことです。AIは情報を整理し、選択肢や改善案を提示してくれます。しかし、何を目指すのか、どの案を採用するのか、実行した結果をどう受け止めるのか。最終的な判断と責任までAIに委ねることはできません。
AIに任せられる仕事が増えるほど、人間には目的を定め、状況に応じて判断し、その結果を引き受ける役割が求められます。

特に地方の企業では、顧客や地域の人との関係性が事業の価値につながる場面も少なくありません。AIで作業を効率化しても、生まれた時間を別の業務で埋めてしまえば、人と向き合う時間は増えません。何をAIに任せ、何に人の時間を使うのか。そして、どのような価値を生み出すのか。
AIによる効率化は、単に仕事を減らすためのものではなく、人間が本来向き合うべき仕事に時間を使い、判断と責任を持って新しい挑戦をするための手段ともいえそうです。
AI時代に大切にしたいもの
今回の静岡AI経営サミットでは、AIによる業務効率化や組織への浸透方法、マーケティングへの具体的な活用事例が紹介されました。「どう活用できるか」は前提として、個人的には「AIによって業務が効率化された先に、人間にはどのような役割が残るのか」という問いも併せ持ってセミナーに臨みました。

その問いの答えは、ファシリテーターを務めた山崎さんの山本さんへのキラーパスに集約されているなと思いました。AIの最新情報をどこで得られるかという話題から、山本さんが運営するYouTubeチャンネル「AIデリバリー」の紹介へとつなげ、会場に笑いを生み出す。
相手への気遣いや、その場の空気を和ませる工夫。こうした人と人との関わりこそが、人間ならではの価値ではないでしょうか。
AIに任せられる仕事が増えるからこそ、人間は自ら考え、判断し、責任を引き受ける。そして、人と向き合い、新たな価値を生み出していく。今回のセミナーは、そんな人間の役割について考える機会にもなりました。
HONEのサービスについて
「商品の強みを、誰にどう届けるか整理したい」「地域の資源を生かした事業を始めたい」。そんなときは、HONEにご相談ください。
今ある情報と、これから確かめたいことを整理し、リサーチから企画・実行まで、一緒に考えていきます。
HONEは地域に根ざし、現場に足を運ぶマーケティング会社です。
日本の地方には、魅力的な商品・サービスがたくさんあります。
地方に根ざしたブランドの志や文化、人々の誇りや営み。HONEはそうした人たちの想いを価値に変えるべく、現地に出向いてきました。 私たちは、文化と経済の「骨」を設計し、地域の「らしさ」を未来へつなげる仕組みを育てます。 論語と算盤。想いと仕組み。美学と実行力。 その両立を、マーケティングの力で実装していきます。

▼HONEにできること
語られていない価値の「骨」を探す
商品や地域の中にある「想い」や「背景」は、まだ言語化されていないだけかもしれない。 それらを丁寧にすくい上げ、ブランドの芯として翻訳します。 見落とされがちな隠れた価値に役割を与えることが、事業の骨格をつくるはじまりです。
現場に入り、五感を使って「骨」を磨く
戦略も仕組みも、現場を歩き、対話することから始まります。 地形、歴史、空気、人の言葉やまなざし。デスクリサーチでは捉えきれない情報を五感で受け取り、定量と定性、論理と情緒、ロマンとそろばんを掛け合わせて、設計に落とし込みます。
手を動かしながら、「骨」を強くする
支援とは、プランを出して終わりではありません。 現場に入り、泥臭く、時に失敗しながら共につくりあげていきます。 頭で考えて、手足を動かす中で生まれる「実感」こそが、骨を太くし、しなやかに持続する構造を育てていきます。
文化となる「骨格」を、未来へ残す
目指すのは、ただ売ることではありません。 地域に根ざした文化や営みに芯を通し、事業として持続可能なかたちに育てていくこと。短期的な成果ではなく、関わる人たちの誇りとなり、語り継がれていく仕組みをデザインします。 HONEは、経済と文化をつなぐ骨を共につくり、未来へと残していきます。

▼HONEの強み
01/一貫サポート
戦略設計から実行〜検証まで。経営課題の整理から、現場を動かす具体的な仕組みづくりまでを、一貫して支援します。リサーチ・企画・実装・振り返りのすべてに伴走し、商品・サービスの価値を再定義しながら、現場に根づく事業を共につくります。目指すのは、短期的な成果だけでなく、文化が息づき、長く続く事業と地域のかたちです。
02/現場主義
デスク上、リモートワークでは見えない、地域の空気や人の温度に触れる。HONEは現地に足を運び、実際に現場の風景・人の営みに向き合いながら、これまでの現場で得た経験則を元に戦略・戦術に反映していきます。現在起こっている事実に基づく分析はもちろんのこと、解釈に現場の五感で得た気づきを重ね合わせ、実装へとつなげていきます。
03/全国実績
北は北海道、南は沖縄まで、一次産業から観光、教育、行政、ベンチャー、スタートアップ、アトツギなど、多種多様なプロジェクトに携わってきました。たくさんの地域を見てきたからこそ、それぞれの良さに気づくことができます。そして土地に根付くその事業の「らしさ」を、より鮮明に見つけることができます。全国各地で積み重ねた知見を、次の挑戦に活かします。
04/産学官連携
企業・教育機関・行政と手を取り合い、対話を重ねながらプロジェクトを推進しています。 単なる連携にとどまらず、それぞれの立場が持つ知見や資源を持ち寄り、地域に根ざして実装していくこと。 現場での実践と、学びの場での理論、そして制度や仕組みをつなぐ橋渡しとして、多様なセクターの信頼を得ながら取り組みを展開しています。

なぜ今、“地方”でマーケティングが必要なのか
マーケティングという言葉には、しばしば「スケールする」「売上を伸ばす」といったイメージが付きまといます。しかし、地方において本当に必要なのは、そうした直線的な成長だけではありません。人口減少、担い手不足、そしてインフラや情報環境の未整備。多くの地域が、さまざまな制約の中で日々の営みを続けています。
制約が多いからこそ、その土地に根ざした価値を継続し、文化や人々の想いを循環させていくための工夫が欠かせません。マーケティングの論理をそのまま持ち込むのではなく、人肌を大切に、想いを大切に、未来へとつなげていく。実装力と創造力を備えた「地方のマーケティング」が必要です。

地方に必要なのは、「地域理解」
こうした現場においてまず必要なのは、「何をどう売るか」よりも先に「この地域には何があるのか」「何を残していきたいのか」を知っていく姿勢。つまり「地域理解」です。ブランド構築の土台を固めるには各レイヤーごとに把握すべきポイントを理解することが重要です。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【記事を書いた人】

株式会社HONE
インターン / マーケター見習い 森勇人
静岡生まれ、静岡育ち。 大学3年次、1年の休学をして全国36都府県を巡る。山形県西川町では3ヶ月の地域おこし協力隊インターンを経験。 復学後、ご縁があり株式会社HONEにてインターン/マーケター見習いとして奮闘中。







