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地域に「出番」をつくるには?ばあちゃん喫茶の立ち上げで考えたこと。

11 時間前
読了時間: 8分
「ばあちゃん喫茶」の写真コラージュと、中央に「地域に『出番』をつくるには? ばあちゃん喫茶の立ち上げで考えたこと」と書かれた紹介ポスター。

静岡・草薙で、「ばあちゃん喫茶」の準備を進めています(2026年10月17日現在)。


75歳以上を中心としたばあちゃんたちが、料理や接客などを担い、報酬を受け取る地域食堂です。ときどき、じいちゃんも加わります。


一緒に取り組むのは、株式会社県大文化通信の小林祐介さんたち。県大文化通信とHONEを中心に、地域のみなさんと立ち上げるプロジェクトです。[1]


9月30日に終了したクラウドファンディングでは、72名の方から531,500円のご支援をいただきました。応援してくださったみなさん、本当にありがとうございます。



今回は、開業のお知らせとは少し違う角度から、なぜこの喫茶をつくりたいのか、事業として何を考えているのかを書いてみます。


まだ営業後の成果を語れる段階ではありませんが、これから確かめたいことも含めた立ち上げ途中の話としてまとめてみたいと思います。



HONEでは過去のセミナー資料、お役立ち資料、会社紹介資料がダウンロードできます。


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高齢者が多い地域に、どんな役割をつくれるだろう


地域の話をしていると、どんな場所でも「高齢化」は課題として挙がります。高齢者の移動や暮らしを支える仕組みが必要であることは、どの地域でも変わりません。


その一方で、年齢を重ねた人たちを、「支援を受ける人」としてだけ捉えてよいのだろうか、とも思います。料理をつくること、人を迎えること、地域で暮らしてきた経験を伝えること。長く積み重ねてきたものを、誰かのために使える場があってもよいはずです。


赤いバンダナとベージュのエプロンを着た高齢女性たちが店先に並び、笑顔でピース。上に「ばぁちゃん喫茶 ときどきじっちゃん」の白いのれん。
福岡市でのばあちゃん喫茶の様子

ばあちゃん喫茶でつくりたいのは、そうした力を発揮してもらえる居場所となることです。元気な人にたくさん働いてもらうというより、本人がやりたいことと、店で必要な仕事が重なる場所を探していきたいと思っています。



なぜ、ボランティアではなく報酬を受け取る仕事なのか


草薙のプロジェクトでは、ばあちゃんたちが報酬を得て働く地域食堂を目指しています。[1] 参加できる場があることに加え、自分が担った仕事に対して報酬を受け取れることを大切にしたいからです。


お客様がお金を払って食事をし、その売上が、食材や場所、働く人の報酬を支える。食べに来ることが、誰かの仕事につながる形を考えています。


ただ、「社会的に良いことだから来てください」だけでは、日々のお店は続きません。食事を楽しめること、過ごしやすいこと、また来たいと思えることが、お客様にとっての理由になります。


応援したい気持ちと、普段使いしたい気持ち。その両方が生まれる店を目指すことが、地域の事業にマーケティングが関わる意味の一つだと思っています。



本人の希望と、必要な仕事をどう合わせていくか


同じ75歳以上でも、やりたいことや、続けやすい働き方は一人ひとり異なります。

料理が得意な人もいれば、お客様と話すことが好きな人もいるでしょう。長時間ではなく、短い時間で関わりたい人もいるはずです。


そのため、これからの運営では、仕事を一つの形に固定せず、工程ごとに考えていきたいです。例えば、仕込み、盛り付け、配膳、片付けでは、使う力も、必要な時間も違ってきます。


具体的な担当や勤務条件は、本人の希望と、必要なサポートを確認しながら決めていきます。


働く人に合わせることと、食事を提供する店としての品質や運営を整えることは、両方必要です。任せる仕事、サポートする仕事、運営側が責任を持つ仕事を分けながら、無理なく続く形を探していきます。



地域の事業は、役割が見えると進めやすくなる


このプロジェクトでは、県大文化通信とHONEで役割を分けています。公開している計画では、県大文化通信が事業主体として、会場運営や地域との連携、参加メンバーの募集、日々の運営を担当します。HONEは、事業設計、クラウドファンディング、広報、商品開発、販路開拓を担います。[1]


左は居酒屋で年配男性3人と若い男性が笑顔で乾杯、右は厨房でエプロン姿の高齢女性4人と男性が並ぶ。上部に県大文化通信/小林祐介、HONE/桜井貴斗

例えば、営業中に予定より注文が増えたら、追加で受け付けるのか、用意した食数で終えるのか。その場で働く人に判断を任せきりにせず、誰が相談を受け、最終的に決めるのかまで共有しておくと、役割分担を日々の運営に生かしやすくなります。


地域の人たちと何かを始めるとき、思いに共感することは出発点になります。ただ、その後には、日程を調整する人、費用を確認する人、当日の判断をする人が必要です。


「みんなでやりましょう」と話したことを、誰が何を担うのかまで具体的にする。参加する人が増えるほど、その整理が大切になると思っています。役割が分かれば、協力したい人も、自分が関われる場所を見つけやすくなります。



クラファンで集まった応援を、日々の営業へつなぐ


今回のクラウドファンディングでは、目標の30万円を大きく超えるご支援をいただきました。[1] 事業の立ち上げを後押ししていただけたことを、ありがたく思っています。


一方、クラファンの達成と、開業後の店が続くことは、それぞれ確かめる必要があります。立ち上げ時の費用を用意できても、営業するたびに大きな負担が残る形では、長く続けることが難しくなります。


食材や場所にかかる費用、報酬、準備と片付けの時間を見ながら、提供する食数や営業の形を考える必要があります。地域の人が力を持ち寄る事業だからこそ、誰か一人の無理に頼り続けない運営にしていきたいです。


応援していただいたことを、良いスタートの条件として受け取り、その先は日々の営業を通じて確かめていきます。



開業した後、何を確かめたいか


開業後は、来店人数や売上に加え、次のようなことを見ていきたいと考えています。現時点の実績ではなく、これからの検証項目です。


確かめたいこと

見ていく内容

働く人にとって続けやすいか

本人の希望、担う役割、準備・営業後の負担

仕事として成り立っているか

報酬を支払えているか、運営費を確保できるか

お客様がまた来たいと思えるか

食事や利用のしやすさ、再来店の様子

運営する人に無理が集中していないか

必要な仕事と時間、役割の偏り、引き継ぎ


数字にできることは記録し、数字だけでは分からないことは、本人やお客様の言葉も聞きながら振り返ります。例えば出勤日数が多いことを、一律に良い結果と捉えるつもりはありません。少ない日数で関わりたい人にとっては、その希望がかなうことも大切です。


まずは、働く人とお客様、運営する人にとって、どんな場所になっているかを確かめていきたいと思います。


売上や来店人数と、事業を通じて起きてほしい変化をどう並べるか。指標の選び方や記録の続け方は、「まちづくりのKPIは何を測る?」で、商店街・観光・地域食堂の例とともに整理しています。



大きな構想を、一食の仕事へ近づける


地域に出番をつくる、と言うと、大きな話に聞こえるかもしれません。でも、そのために考えることは、誰がどんな仕事を担い、誰に食べてもらい、次の営業をどう続けるかという、具体的なことの積み重ねです。


地域には、すでにいろいろな経験や力を持つ人がいます。その力が、誰かの「お願いしたいこと」と出会えば、仕事になる可能性があります。ばあちゃん喫茶も、そうした接点をつくる試みです。


営業が始まれば、準備中には想像していなかったことも出てくるはずです。その一つひとつを地域のみなさんと考えながら、また来たい、また働きたいと思える店へ育てていきたいと思っています。



まとめ


地域に出番をつくるには、本人の得意なことや希望と、地域で必要とされる仕事を合わせるところから考えたいと思っています。ばあちゃん喫茶では、その仕事に報酬が伴い、食べに来ることが次の仕事を支える形を目指しています。


続けるためには、働く人の負担、お客様が利用したい理由、日々の費用と役割分担を一緒に確認する必要があります。来店人数や売上に加え、本人が希望する関わり方を続けられているかも、営業後に確かめていきます。


自分たちの地域で事業を始めるときも、まずは誰が何を担い、どんな支えがあれば無理なく続けられるかを具体的にしてみる。小さく始めて振り返りながら、地域の人の力が生きる仕事を育てていきたいと思っています。


今後の予定は、For Goodの活動報告でお知らせします。プロジェクトの背景は、HONEの取り組み紹介もご覧ください。


地域で事業を始めたい、運営まで一緒に考える相手を探している方は、HONEへのお問い合わせからご相談いただけます。



出典・参考




HONEのサービスについて


HONEでは、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。


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誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。


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【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。


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