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まちづくりの課題はどう見つける?データと現場から、取り組む順番を考える

2024年10月12日
読了時間: 8分

更新日:18 時間前

まちづくりの課題はどう見つける?データと現場から、取り組む順番を考える

「駅前に人がいない」「商店街の店が減っている」「地域で活動する人が足りない」。まちづくりについて考えるとき、こうした言葉が出てきます。


現場で感じていることは、調べ始める大切なきっかけです。ただ、同じ「人がいない」でも、平日の昼間なのか、休日の夕方なのかで、起きていることは違います。住民が減っているのか、来訪者が立ち寄る場所が少ないのかによっても、取り組む内容は変わります。


まちづくりの課題を見つけるには、いま起きていることと、その理由についての仮説を分け、データと人の声を照らし合わせることから始めます。この記事では、地方でよく挙がる課題を整理しながら、自分たちの地域で取り組む順番を考えていきます。



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地方のまちづくりでは、どんな課題があるのか


まちづくりにおける地方特有の課題

人口減少や高齢化は、地域の暮らしや事業に関係する大きな変化です。ただ、その言葉だけでは、どこから手をつければよいか分かりません。地域で起きている具体的な困りごとに分けてみましょう。


大きなテーマ

現場で起きているかもしれないこと

最初に確認したいこと

人口減少・高齢化

買い物や移動が難しくなる

誰が、いつ、どこへ行くことに困っているか

担い手不足

一部の人に準備や運営が集中する

必要な仕事、作業時間、引き継げない理由

商業・産業の変化

店舗の閉店、後継者や働き手の不足

来店・購入の変化、採算、継承の意向

空き家・空き店舗

使われない建物が増える

所有者の意向、建物の状態、利用したい人

観光と日常の接続

来訪者がいても地域の店を利用しない

来訪目的、時間帯、移動・購入の動線

関係者の連携

会議で話したことが実行へ進まない

決める人、担当、期限、運営費の所在


この表は、すべての地域に当てはまる診断結果ではありません。「人口が減っているから、イベントを増やす」とすぐに決める前に、自分たちの地域のどこに困りごとがあるかを確かめるための入口です。



「起きていること」と「理由」を分けてみる


例えば、商店街の売上が減っているとします。売上が減ったことは、帳簿などで確認できる事実です。一方、「若者が来なくなったから」という説明は、確認が必要な仮説になります。


来店する人数は変わっていないものの、買う回数や金額が減っているかもしれません。営業時間が、利用したい人の生活時間と合っていない可能性もあります。


ここを分けないまま集客を増やすと、お店の負担だけが増えることもあります。まずは、誰の、どの行動が変わったのかを確かめたいところです。


問いを具体的にするなら、「商店街に活気がない」から、「駅を利用する人が、帰宅前に商店街で買い物をしにくいのはなぜか」へ。一つの問いに絞ると、観察する場所や聞きたい相手が見えてきます。



数字は、同じ条件で比較する


数字を集めたら、次の条件を確認します。


  • 場所:市全体か、中心市街地か、特定の通りか

  • 期間:同じ月、曜日、時間帯で比べているか

  • 単位:実人数か、延べ人数か。人数か、件数か

  • 方法:同じ地点・方法で調べているか


特に、複数の資料を使うときは注意が必要です。似た名前の数値でも、調査対象や定義が異なる場合があります。


島田駅前の数字を調べて、見えてきたこと


HONEでは、島田駅前の地域課題を考えるため、公的資料を調べてきました。中心市街地8地点の通行量では、令和4年の8,043人から令和6年の7,589人へ、2年間で約5.6%減少しています。一方、中心市街地人口について確認できた比較は、9年間で約8.2%の減少でした。[1]


数字がどちらも減っていても、比較期間が違うため、これだけで「人口よりも通行量が大きく減った」とは判断できません。「通行量の減少は人口減少だけで説明できる」とも言い切れません。


こうして条件をそろえると、次に調べるべきことが分かります。同じ期間の人口と通行量を確認する、時間帯ごとに様子を見る、駅や公共施設を利用する人の行き先を聞く、といった調べ方です。





人の声は、普段参加していない人にも聞く


地域住民が主役となるまちづくり

数字だけでは、なぜその行動を選んだのかまでは分かりません。現場を歩き、利用者や事業者に話を聞くことで、数字の背景を考えられます。


その際、会議に参加する人の声だけで地域全体を捉えないようにしたいです。お店を利用している人に加え、以前は利用していた人、地域で働いている人、近くを通るけれど立ち寄らない人にも聞けると、見え方が変わります。


「何があれば来ますか」と理想を尋ねるだけでなく、直近の行動を聞いてみてください。


  • 最後にこの通りへ来たのは、いつ、何の用事でしたか

  • そのとき、どこに立ち寄り、何を買いましたか

  • 行こうと思って、やめたお店や場所はありましたか

  • その理由は、時間、価格、移動、入りやすさのどれに近いですか


例えば、「カフェが欲しい」という希望でも、仕事の合間に短時間利用したい人と、子ども連れで落ち着いて過ごしたい人では、必要な店の形が違います。言葉の奥にある利用場面まで聞くことが、事業を考える材料になります。



取り組む順番は、影響と実行できる条件で考える


地方の課題を解決するためには?

調べるほど、課題は増えていきます。すべてを同時に扱うのは難しいため、地域への影響と、実行できる条件を並べて検討します。


検討する項目

確認する問い

困りごとの大きさ

どの人に、どの程度の不便や損失が起きているか

取り組む根拠

データと聞き取りは、同じ方向を示しているか

担当と権限

実行する人と、判断する人が決まるか

費用と時間

始める費用に加え、続ける負担を確保できるか

確かめやすさ

小さく試し、変化を確認できるか


取り組みやすいことだけを選ぶと、困っている人への支援が後回しになることもあります。緊急性が高い課題は、別に対応を考える必要があります。そのうえで、事業として試すテーマには、期間と担当を置いてみましょう。


例えば、帰宅時間帯の買い物が課題という仮説なら、協力店と限られた日に受け取り予約を試す方法が考えられます。その結果、利用されたか、店舗の作業が増えすぎなかったかを確認し、次の判断につなぎます。これは進め方を説明するための例で、島田での実施実績ではありません。



施策を決めたら、変化の確かめ方も一緒に決める


試すことが決まったら、実施回数や参加者数と、その先に起きてほしい変化をつなぎます。


例えば、商店街の回遊企画なら、企画に参加した人数に加え、協力店を利用した人や、後日もう一度訪れた人を見ていく方法があります。会議や研修なら、開催回数だけでなく、担当の決定や、計画した仕事が実行に移ったかを確認できます。


こうした関係を整理する方法が、ロジックモデルです。資金・人・活動・成果のつながりを一枚にまとめると、関係者で「何を確かめる事業なのか」を共有しやすくなります。




自分たちで確かめられる問いから始める


地域の課題を、最初からすべて理解する必要はありません。いま分かっていることと、まだ分からないことを整理し、確かめられる問いを一つ置く。それだけでも、次の行動は具体的になります。


数字から仮説を持ち、現場で確かめる。そこで分かったことをもとに、地域の人たちと取り組みを組み直していく。そうした進め方なら、地域にすでにある人や場所の可能性も見つけやすくなると思っています。


事業の目的や指標を整理したい方に向け、HONEでは「ロジックモデル 作成キット」を公開しています。地域の戦略づくりや事業化を一緒に考えたい場合は、こちらからご相談ください。



出典・参考


[1] HONE「島田駅前の数字から考える、地域課題の見つけ方」 同記事に掲載する島田市の公的資料に基づく。通行量と人口の比較期間は本文記載のとおり異なります。



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HONEでは、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。


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大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。


学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。


誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。


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【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。


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