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まちづくりのKPIは何を測る?〜来場者数から、地域で起きた変化まで〜

12 時間前
読了時間: 10分
まちづくりのKPIは何を測る?来場者数から、地域で起きた変化まで

イベントに何人来たか、ワークショップを何回開いたか、など地域の事業を振り返るとき、こうした「数字」は比較的まとめやすいものです。


ただ、それだけで「目指していたことに近づいたのか」を判断できるでしょうか。


お店の利用を増やしたいのか、地域の活動に関わる人を増やしたいのかによって、確認したい変化は異なります。


まちづくりのKPIは、事業を通じて誰にどんな変化が起きてほしいのかを決め、その変化へ進んでいるかを確かめる指標となります。参加者数も役に立ちますが、目的とのつながりを一緒に考える必要があります。


この記事では、地域・観光・事業運営の場面に合わせて、指標の選び方と、現場で記録を続ける方法を整理していきます。



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最初に決めるべきは、増やす数字より、「変えたい状況」


「地域を活性化する」という目的だけでは、何を測ればよいか決まりません。どの人の、どんな状況を改善したいのかまで具体的にする必要があります。


例えば商店街なら、「週末のイベントに人を集める」ことと、「近隣で働く人が平日の帰宅前に買い物をする」ことでは、必要な施策も指標も異なります。


観光でも、初めて訪れる人を増やすのか、泊まる人が近隣の店を利用する機会を増やすのかで、見る数字は変わっていきます。施策の名称を決める前に、利用する人の行動を思い浮かべてみてください。



アウトプットとアウトカムを、一緒に並べる


アウトプットは、事業で実施・提供したことの結果です。開催回数、参加者数、商品造成数などが当てはまります。一方でアウトカムは、その先に対象の人や組織に起きた変化です。[1]


事業

アウトプットの例

アウトカムの例

商店街のイベント

開催回数、来場者数

来場後の店舗利用、後日の再来店

観光体験の商品づくり

商品数、販売ページの公開

予約・利用、事業者に残る収益

地域のワークショップ

開催回数、参加人数

実行担当の決定、提案した仕事の実施

地域食堂

営業日数、提供食数

働く人の継続、報酬の支払い、利用者の再訪


アウトプットが不要ということではなく、提供する機会が少なすぎれば、その先の変化も起こりにくくなります。ただ、開催回数が増えたことと、地域の困りごとが改善したことを同じ意味で扱わないようにしたいです。


資金や人を使い、どんな活動を行い、その先に何が起きるのか。このつながりを一枚に整理する方法が、ロジックモデルです。


弊社で普段使用しているロジックモデルの構築方法などを記載していますので、あわせてご覧ください。




事業ごとに、指標と計測方法を選ぶ


以下は、KPIを考えるための設計例です。


商店街のイベント|当日の来場から、店舗の利用へ


イベントの目的が地域のお店を知り、利用してもらうことなら、来場者数に加えて、お店への行動を確認します。


指標の例

成果指標

確認する時期

協力店を利用した人数・件数

対象を決めた引換券や店舗記録

開催当日

後日の再来店

期限付きの再来店券などで確認できた件数

開催後30日など、事前に決めた期間

店舗の運営負担

準備・当日・片付けに使った時間

開催後


券が使われた件数は、全来場者の行動を把握した数字ではありません。

券を持っていない人の来店もあり得ますし、一人が複数回使う仕組みなら件数と人数も異なります。何を数えた数字なのかを添えると、関係者で意味を取り違えにくくなります。



観光回遊|案内した人が、予約・利用へ進めたか


宿泊施設から近くの店や体験を案内する場合は、「案内した」「ページを見た」「予約した」「利用した」を分けて成果をおっていく方法です。


例えば、宿泊者に案内を渡しても、利用できる日時が合っていなければ予約には進めません。ページの閲覧だけを増やすより、営業日、移動時間、料金、予約方法を分かりやすくする方が必要な場合もあります。


最初に記録するなら、紹介経由で確認できた予約・利用件数と、受け入れを断った理由でも十分に材料になります。細かなデータを増やす前に、次の判断に使う数字を選びたいところです。



地域食堂|食数と、働き続けられる条件を合わせる


地域食堂では、提供した食数や売上は運営を続けるための情報になります。

一方、弊社も準備している「ばあちゃん喫茶®️」のように地域に働く場や出番をつくりたいなら、「食数」だけではその目的を捉えきれません。



本人が希望する役割を担えているか、無理のない頻度で関われているか、働いた分の報酬を支払えているか。その人にとって続けやすい条件と、店として続けられる条件を一緒に確認したいと思っています。


出勤回数が増えることを、常に良い結果と扱う必要もありません。短時間・少ない日数を望む人なら、その希望に沿って参加できることも大切な変化です。



指標には、分母・期間・比較条件を設定する


「再来店率20%」と書かれていても、分母が分からなければ意味を判断できません。

全来場者が分母なのか、券を配った人なのか、アンケート回答者なのかで、示していることは異なります。


説明のための架空例を考えて見ましょう。


イベントで再来店券を100人に1枚ずつ配り、そのうち20人が30日以内に1回利用した場合、券の利用率は20÷100で「20%」です。これは「券を配った100人の利用率」であって、全来場者の再来店率ではありません。


また、「また来たい」と答えた割合は再来店の意向であり、実際に来た人の割合ではありません。意向と行動を分けることで、発信を改善するべきなのか、来るための条件を整えるべきなのかを考えられます。


比較する際は、曜日、天候、開催規模、営業時間なども確認します。数字が変わった理由を事業だけに求めず、周辺の条件も見ていく必要があります。



最初の目標は、「現在地と運営できる範囲」から決めていく


最初から業界平均や他地域の目標をそのまま置いてしまうと、なぜその数字を目指すのか説明しにくくなります。


過去の記録がある場合は、それを基準値にします。記録がなければ、最初の数回を現在地の把握に使う方法もあります。その際、「未計測」をゼロに置き換えないことが必要です。


目標を上げることで、現場の負担が増えすぎないかも確認します。

例えば、観光体験の予約を増やしたいなら、受け入れできる日数と人数が関わってきます。地域食堂なら、厨房や提供の体制、働く人が希望する時間も条件となります。


目標は、関係者に頑張ってもらうための数字だけではなく、必要な人や費用を考える材料にもなります。



計測する人と、数字を見て変えることを決める


指標だけ決めても、集める人や判断する人が曖昧だと続きません。

次の項目を一行ずつ書いてみてください。


項目

記入例:商店街の再来店券

何を確かめるか

券を受け取った人が、後日店を利用するか

指標の定義

配布した人数に対する、30日以内の利用人数

基準値と目標

初回は基準値を取得。過去実績があれば併記

誰が記録するか

協力店の担当者が利用を記録、事務局が集計

いつ確認するか

利用期間の終了後

次に何を判断するか

特典、利用期間、案内文、対象店の見直し


最初に見る指標は、目的に直結するものと、運営を続けるためのものに絞ると扱いやすくなります。すでにある予約記録や売上記録を使えるなら、毎回新しいアンケートを増やす必要はありません。



数字が動かなかったときは、「間の行動」を確認する


再来店が少なかった場合も、すぐに企画全体を失敗と決める必要はありません。券を配れたか、内容は伝わったか、使える日時は合っていたか、店で受け付けられたかを順に見ていくと、改善する場所を探すことができます。


反対に、券が多く利用されても、特典の費用や店舗負担が大きければ、同じ形では続けにくいかもしれません。利用した人の変化と、運営する側の状態を合わせて考えます。



数字と、「数字では取り切れない変化」を探す


「顔を覚えてもらえた」「次は手伝いたいと思った」といった声も、地域事業を考える手がかりです。ただし、数人の声をそのまま地域全体の効果として扱うことはできません。


誰の、どの場面の声なのかを残し、数字で確認したことと並べて振り返ると、次に調べたいことが見えてきます。例えば、参加した人がもう一度関わりたいと話したなら、次回の参加や役割の継続を確かめることができます。


KPIを考えるのは、現場の取り組みを窮屈にするためではなく、良かったことを続け、困っているところを変えるためだと思っています。自分たちが目指す変化と、その途中で確かめたいことを共有できれば、地域の事業は進めやすくなります。


HONEでは、活動と成果のつながりを一枚に整理する「ロジックモデル 作成キット」を公開しています。KPIや事業計画を現場の運用まで一緒に考えたい方は、お問い合わせからご相談ください。



まとめ


まちづくりのKPIは、「誰に、どんな変化が起きてほしいか」から考えると選びやすくなります。商店街なら店舗の利用や再来店、観光なら紹介先での予約・利用、地域食堂なら働く人の継続や報酬など、事業の目的に応じて確かめたいことは変わっていきます。


開催回数や参加者数といった「実施したこと」と、その先に起きた「人や地域の変化」を並べることで、取り組みが目的につながっているかを振り返れます。その際は、何を数えたのか、誰を対象に、どの期間で測ったのかを明確にし、現在の実績と現場の体制を踏まえて目標を決めていきましょう。


最初は、目的に直結する指標と、運営を続けるための指標に絞っても十分です。記録する担当者と確認する時期まで決めておくと、集めた数字を次の判断に使いやすくなります。結果が目標に届かなければ、案内から予約・利用までのどこに課題があったかを確認し、改善につなげていきます。


数字に加えて、参加した人の声や現場で見えた変化も残しておきたいところです。KPIを関係者と振り返る機会を持つことで、良かった取り組みを続けながら、地域と現場に合う進め方を考えていけると思っています。



まちづくり:出典・参考


本文の指標・計算・運用例は、考え方を説明するための設計例です。特定事業の実績値ではありません。



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【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE


代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。


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