ロジックモデルとは?〜基礎から作り方、HONE実例を紹介〜
- 桜井 貴斗

- 8月13日
- 読了時間: 9分
更新日:11月9日

ロジックモデルとは、施策や事業が「目的を達成するまでの因果の道筋」を一枚に整理する設計図のこと。
一般的には、インプット(投入資源)→活動(アクティビティ)→アウトプット(実施側の結果)→アウトカム(対象側の変化:初期・中期・最終)→インパクト(社会への効果)という連なりで描きます。
本記事では厚生労働省の研修資料を流用しながら、HONEの事例とともにロジックモデルを解説していきます。
株式会社HONEでは過去のセミナー資料、お役立ち資料、会社紹介資料がダウンロードできます。
目次
1) 合意形成と説明責任を強化できる
2) 設計・評価・改善(PDCA)を一体化できる
3) 指標設計の質を上げる(O/P/S)
インプット(投入)
活動(アクティビティ)
アウトプット(実施側の結果)
アウトカム(成果)
インパクト(社会的効果)
ステップ1:右から考える(目的→逆算)
ステップ2:活動には根拠(エビデンス)もセットで
ステップ3:複数の検証項目を設計(O/P/S)
ステップ4:現場で回せる運用に落とす
なぜロジックモデルが必要なのか?
そもそもなぜロジックモデルが必要なのか?どんな効果があるのか?民間と行政でそれぞれどんな違いがあるのか?について実例を用いながら説明していきたいと思います。

1) 合意形成と説明責任を強化できる
まず第一の理由として、関係者が「どこを目指し、何をすれば、どう変わるのか」を共通認識化できることにあります。
以下の厚労省の研修資料にも、役割分担の明確化/進捗管理の容易化/担当交代時の一貫性など具体的メリットが示されています。
民間でも行政でも合意形成が得やすくなり、かつ担当者が代わったとしても説明しやすいメリットがあります。
2) 設計・評価・改善(PDCA)を一体化できる
事前評価→実施中のモニタリング→中間・事後評価→見直しの各段階で同じ“図”を使うため、施策(アウトプット)の良し悪しを評価しやすく、サイクルが回りやすくなります。
単に施策を実行したがうまくいかなかった、ではなく、具体的な施策名、実施した量、目標に対しての乖離、などが明確になっていることで振り返りがしやすいのも良い点です。
3) 指標設計の質を上げる(O/P/S)
3つ目は「アウトカム指標(O)」だけでなく、「プロセス指標(P)」や「ストラクチャー指標(S)」をセットで設計し、「どこで詰まっているか」を早めに検知できることにあります。
単なるKPI管理にとどまらず、実施している手段がよくないのか、プロセス上で何かエラーが起こっているのか、そもそもの戦略が誤っているのか、といった様々な視点で実行を見直せることが利点となっています。
それぞれの用語説明について
以上のロジックモデルの利点をおさえた上で、それぞれの用語の意味、使い方について解説をしていきたいと思います。
具体的にどんな意味なのか、それぞれの役割とは、どこから考えるべきか、など用語・用法を説明していきます。
インプット(投入)
インプットとは施策や事業に費やした資金・人・物などの資源の総称です。それ以外にも時間・設備・データ・ネットワークなどもこれらにあたります。
また単なる投下量だけでなく質(深い専門性など)も明記すると後ほど評価を行うときにわかりやすくなります。
活動(アクティビティ)
施策や事業の実施内容についての総称。
具体的には研修、視察、コンテンツ制作、システム導入などの「実際にやること・やったこと」を明記するイメージです。活動内容を5W1Hで具体化して書くと、アウトプットがより具体的に、鮮明になります。
アウトプット(実施側の結果)
具体的な結果の総称です。
開催件数、配布数、参加者数、記事本数など数えられる結果がこれに該当します。単にアウトプットの数を増やせばよいわけではなく、そのアウトプットにはアウトカム(成果)とのつながりがあるか?を常に点検します。
アウトカム(成果)
アウトプットによって生まれた成果の総称。
あらかじめ決めたターゲットに起こった望ましい変化のことを指します。フェーズとして、初期(認知・態度・知識)/中期(行動・運用)/最終(質・収益・持続性)に分けるとより成果がわかりやすくなります。
インパクト(社会的効果)
アウトカムの積み上げが、社会・地域の状態をどれだけ改善したかを可視化する指標の総称のこと。
単に自社にとって費用対効果が良いか?の観点だけではなく、もう少し広い視野でアウトカムを見ることがポイントです。経営戦略を策定する際に資源配分の説得力を高める効果があります。
ロジックモデルの作り方
それでは次に、ロジックモデルの目的、使い方、用語解説の次は具体的にどのようにして作っていけばいいのか?どこから考えればいいのか?についてステップ1〜4に分けて説明していきたいと思います。
ステップ1:右から考える(インパクト・アウトカム→アウトプットへ)
最終アウトカム/インパクトを先に定義し、そこから中期・初期アウトカム→アウトプット→活動→インプットへ逆引きして考えていきます。
上記の厚労省の資料でも“右から考える”ことが強調されているように、まずは「成果・効果(インパクト・アウトカム)」を設定することが大切です。
ステップ2:活動には根拠(エビデンス)もセットで
「活動が増えれば成果が上がる」は単なる仮説、どころか思い込みになっている可能性もあります。
自分ひとりだけでなく、チームを動かしていくためには、活動の根拠(先行研究があること、比較・追跡していること、過去に聞き取りができていること)を整理し、必要なら効果検証(リサーチ〜実証)を行ない、根拠をつくってから具体的な活動計画を立てることを推奨しています。
ステップ3:複数の検証項目を設計(O/P/S)
評価指標として、アウトカム指標(O)、プロセス(P)、ストラクチャー(S)をセットで置き、チェックする頻度・見るべきデータ・意思決定をする閾値を決めます。
意思決定ライン(主には撤退、および戦略変更)を明確にすることでリスクヘッジの効果もあります。
ステップ4:現場で回せる運用に落とす
役割分担、会議体、見直しタイミング(四半期・半期)まで定め、「誰が・何を・いつ点検するか」を合意しておきます。担当をきちんと振り分けることで抜け漏れを無くします。
ロジックモデルをベースにして「アウトカム(成果)は出ているかを点検→アウトプットのKPI目標は達成できているかを点検→アウトプット達成のためのインプットはできているかを点検」という現場手順をチームで共有し、再現性のある仕組みに落とし込んでいきます。
例:HONEのロジックモデル
以下は、HONE/Astlocalで整理しているロジックモデル(公開スライド)をブログ向けに要約したものです。

アウトカム部分をより拡大すると以下の通りです。

目的(インパクト/最終アウトカム)
日本の「故郷」を次の世代に残す(過疎化・斜陽産業の持続可能性を高める)
静岡市が生き残るための戦略を完成させる(“将来の同様課題”への備える)
アウトカム(中期→初期)
中期アウトカム
【支援業】KGI到達(黒字化・事業化)
【実業側】静岡市での民泊黒字化
初期アウトカム
民泊1戸あたり年商1,000万円
民泊10戸運営
空き家の開拓
過疎地域の成功事例
斜陽産業の成功事例
地方マーケ人材の育成

アウトプット(実施側の結果)
民泊集客モデルの確立
民泊無人運営事業
不動産会社との提携
過疎地域向け伴走支援pkg
変革期産業向け事業開発pkg
ローカルプレイヤーズ運営
オウンドメディア運営
活動・インプット(一部割愛)
活動:現地視察、先行事例の学習(書籍・SNS・イベント)、連携交渉、事業開発・検証、コンテンツ制作など
上記のマーケティング支援という支援業、民泊運営という両輪を通して、最終目的である、
日本の「故郷」を次の世代に残す(過疎化・斜陽産業の持続可能性を高める)
静岡市が生き残るための戦略を完成(“将来の同様課題”への備える)」
の2点を到達することが今私が目指していることです。

そのために、私たちが目的に到達するために「やること・やらないこと」を以下のポジショニングマップに規定しています。
緊急性が高い×地域に根付いた産業・事業(地域アトツギ)
緊急性が高い×新しく生まれた産業・事業(地域スタートアップ)
の2つが弊社にて注力するゾーンとなります。

まとめ
以上がロジックモデルの目的、用語、使い方、ポイント、実例でした。
弊社HONEの例のように、支援と実業を往復する学習ループをつくって目的到達させていく、という形はあまり主流ではないかもしれませんが、弊社においては支援業・実業のどちらの経験値を貯めていくことで、最終目的に近づく最短手段であると思っています。
弊社ではロジックモデル構築の支援やMVVの策定など、経営・事業戦略におけるサポートも行っておりますので、必要に応じてお声がけください。
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当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。
学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。
誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【記事を書いた人】

株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。














