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執筆者の写真桜井 貴斗

なぜいま、ブランドストーリーが疎まれているのか。

更新日:9月26日


なぜいま、ブランドストーリーが疎まれているのか。

気軽にツイートした内容が思ったよりも皆さんに反応いただいていたため、↓をイシューにもう少し深く考えてみることにしました。



まず、ブランディング・マーケティングを生業にしている私のスタンスをお話をすると、私自身はブランドがストーリーを語ることは賛成です。しかし、ブランドストーリーは手段であり、目的ではないと思っています。


ストーリーを語る目的はユーザーの態度・行動変容であり、結果として企業の利益創出であるはずです。


昨今のブランドストーリーには、期待をしていない自ブランド語りや、苦労話、どの業界にでもあるような職人話などが事細かに説明されていて、ユーザーの考える余白を奪っているようにも見えてしまいます。


言うなれば、某ショッピングテレビのように、


「●●の機能がついています!」 「いまなら▲▲もセットでついてきます」 「■■分以内に申し込めば金利手数料0円!」

と、たたみかけるように、購入ボタンを押すまでアテンドされているような不気味さを感じざる得ないのです。


ブランドストーリーに置き換えると、

「●●年から創業し、多くの方に愛されてきました」 「▲▲産の素材を使っています」 「■■の監修のもと、1つひとつ手作業でつくられています」 「購入してくれた皆さんに手書きの手紙をお送りしています」

のような感じです。


じゃあ、テレビショッピング構文が売れないか?というとそうではないと思います。むしろ売れます。


ただ、なんというか、「品」がないんですよね。ブランドストーリーと謳っている以上、「品があるかどうか」はとても大切にしたいポイントだと思っています。




ブランドストーリーとはなにか


前置きが長くなってしまいました。


まず、ブランドストーリーの定義から確認していきましょう。Googleでブランドストーリーと検索すると、以下のように説明されていました。


商品やサービスがどのように生まれたのか、なぜ作ったのか、それを物語としてお客様に伝わりやすくするためのものをブランドストーリーと言います。


さらに以下のように続きます。


ブランドストーリーには以下のようなコンテンツを入れましょう。 ・商品が生まれたきっかけ ・ブランドの特徴 ・お客様が得られるメリット あまり想いばかりを入れ込むと、押し売りのような形になってしまいますので注意が必要です。そのため、この商品を買えば、お客様にとってどんなメリットがあるのかをしっかりと伝えることがポイントです。

至極真っ当なブランドストーリーの説明だと思います。




なにが疎ましいのか


ではなぜ私のツイートに反応が集まった(ブランドストーリーは疎ましいと思っている)かというと、個人的には世間の皆さんがブランドに対して、以下のような心持ちになっていると考えられます。


<時代背景> コロナにより、これまで約1年半以上自粛生活を行なっており、そこに国・行政に対する不信・不満(ワクチン・オリンピック)が重なり、慢性的に精神ストレスを抱えている <利他精神> コロナは災害や戦争と異なり、全世界の人類が被害者であり(特定エリアの人だけではない)、多くの人が被害者意識を持ち、他者に気を配る余裕がなくなっている <EC・D2Cの台頭> コロナ禍でECでの接触機会が増え、購入対象の商品・サービスの情報に触れる・購入数する機会が増えている。しかしD2Cもピンキリであり、良いブランド体験をした人もいれば、失敗経験をした人も増えている

↑のような状態がした下支えになった状態に加えて、私が冒頭で申し上げた説明しすぎ問題(テレビショッピングばりにストーリーをすべて伝え、ユーザーからの考える余白を奪ってしまっている)が相まって、もういいって・・・という心理状態になっているのではないか、ということです。

なぜ余白を奪うことが満足度を下げるか?というと、ユーザーは失敗したくないのではなく、自己決定したいがためにブランドストーリーを読んでいるのではないか?と考えています。

「これは私にぴったりの商品だ」 「私に語りかけてきているようなブランドだ」 「ついつい応援したくなる」

と、ユーザーがブランドの余白を解釈して、商品・サービスを買っている。余白があることで、本当に満足できるか多少不確定なところもあるけれど、そのギャンブル性も含めて買い物の楽しさなのではないか?ということです。


長々と書きましたが、つまりは「みなまでいうな(うっとうしい)」と思っているのではないでしょうか(これは日本人の粋な文化・価値観が根付いているからなのかな、とも思っています)。



ブランドに考える余白をつくる


ブランドに限らず、優れた作品には賛否両論の多くの議論が巻き起こされます。それは「絶対的に正しい」または「明らかに間違っている」ものでは起こり得ません。


ブランドも同様で、考える・評論する・レビューする余白をつくってあげることで、購入前〜購入後のレビューまで楽しんでもらえる存在になれる。すると疎まれることはないのではないかな〜と思ってたりします。


例えば無印良品はクラフト感は出しますが、誰がどこでつくっているか?までは表現しないですよね。オーガニックであることは表現しますが、作り手の顔までは見せてはいない。ここにブランドの余白を感じています。


やましいことはないから全部見せる!という考え方はとても素敵ですが、考える余白をつくること。これはブランドストーリーを考える上でとても大切なポイントではないかと思いました。


(抽象的な話をさらに抽象でまとめてしまいました・・・駄文失礼しました)




地方でお困りの事業者さんへ


もし私ができることがあればHONEまでお気軽にご相談ください。X DMでも、HPのお問合せフォームからでも、ブランドを強くする方法を一緒に考えたいと思います。



以上、最後までお読みいただきありがとうございました。


 

【記事を書いた人】


株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。

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