【レポート】コンセプトのつくりかた - ①外部環境②コンセプト言語化③利用シーン「コンセプト策定」の3つアプローチ -
- 和貴 浅見
- 2025年12月27日
- 読了時間: 9分

「いい商品を作れば売れる」
そう信じて開発した商品が、なぜか手にとってもらえない。
もし御社がそんな壁にぶつかっているとしたら、それは商品力の問題ではなく、「コンセプト」の不全が原因かもしれません。
今回のHONEセミナーでは、多くの企業が誤解している「コンセプトの正体」と、自社の状況に合わせた「3つの具体的アプローチ」について解説しました。感覚やセンスに頼らない、ロジカルなブランド作りのヒントをお届けします。
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1. そもそも「コンセプト」とは何か?
「コンセプトを決めてください」と言うと、多くの人が「顧客との約束」や「ブランドを一言で表したもの」といった定義を思い浮かべるかもしれません。
もちろんそれも間違いではありませんが、本セミナーではより実践的かつ構造的な定義を提示しました。
コンセプトとは、ユーザーの「Objective(目的)」に到達するための「How(手段)」である。
ユーザーには必ず、特定の何かを体験したい、味わいたいという「目的(Objective)」があります。それを成し遂げるための「How(手段)」を一言でわかりやすく言語化したものがコンセプトです。
例えば、音楽ファンがライブやフェスに行く「目的(Objective)」とは何でしょうか? ただ音楽を聴くことではなく、「アーティストの息遣いを感じたい」「その場限りの一体感を味わいたい」という「一期一会の体験」であるはずです。
コロナ禍以前、そのHow(手段)は「フェス」でした。しかし、コロナでそれが断たれた時、新たな手段として登場したのが、YouTubeチャンネルの「THE FIRST TAKE」です。
Objective(目的): アーティストの緊張感や、一期一会の感動を味わいたい
Old How(旧来の手段): ライブ会場に行く
New How(新しいコンセプト): 一発撮りのパフォーマンスを共有する
このように、「ユーザーがどこ(目的地)に行きたいのか」を理解し、「そのための最適な乗り物(手段)」を提示してあげること。これがコンセプト設計の本質です。

2. コンセプトを作れない「本当の原因」
では、なぜ多くの企業が良いコンセプトを作れないのでしょうか? それは、「材料が揃っていないのに、料理をしようとしているから」です。
消費者に適切な「How(手段)」を提案するためには、まず以下の5つを深く理解している必要があります。
消費者が何を欲しているのか?(Objectiveの理解)
消費者はどんなことに価値を感じたいのか?
競合他社はどんな価値を提供しているのか?
競合他社と比較した際の、自社の強みはなにか?
自分たちが最も得意なことはなにか?
これら(市場・競合・自社)の解像度が低い状態で、いくら会議室で言葉をひねり出しても、それはただの「独りよがりなポエム」になってしまいます。
3. 現状の把握度合いで決まる「3つのアプローチ」
「コンセプトが必要なのはわかった。じゃあ、具体的に何から始めればいいの?」
その答えは、「正しいプロセス(順序)に沿って考えること」です。
本セミナーでは、この流れを3つのプロセスに分解して解説しました。ぜひこの順番に沿って、自社のブランドを深く見つめ直してみてください。

①【探索】外部環境分析を通して可能性を探る
もし今、「競合が誰かわからない」「なぜ自社が選ばれているのか(あるいは選ばれていないのか)が曖昧」だと感じているなら、それはまだ料理をするための材料が揃っていない段階です。
このフェーズでまずやるべきは、コンセプトを考えることではなく、調査(アンケート・インタビュー)やフレームワーク分析によって事実を集め多角的に分析することです。
GHIL分析:地理・歴史・産業・生活の4視点から、その土地ならではの地域資源を発掘する。
PEST分析:政治や経済、流行など、自社ではコントロールできない「世の中の流れ」を把握する。
SWOT分析:「強み・弱み」と「機会・脅威」を整理し、自社の勝ち筋(成功要因)を見つける。
5フォース分析:新規参入や代替品の脅威など、業界における「競争のルール」を理解する。
これらに加え、顧客アンケートでは「痩せたいですか?」という願望ではなく、「週に何回運動していますか?」という行動のファクトを集めます。
まずは「戦うべき場所」や「勝てる可能性」をファクトベースで見つける作業に徹しましょう。

②【定義】「自ブランド」を言語化する
ある程度、自社の強みや競合の動きは見えている。しかし、「それが言葉に落ちていない」「他社との違いが一言で伝わらない」。 そんなもどかしさを抱えている場合は、「カテゴリー戦略」を用いた言語化が必要です。
カテゴリー戦略とは、既存の市場で戦うのではなく、「〇〇といえば自社」と言われる独自の土俵(カテゴリー)を作ることです。セミナーでは、以下の「4つのステップ」に沿ってこれを作る方法が解説されました。
ステップ1:顧客が抱える「潜在課題」を見極める
まず、「顧客が心の奥底で求めていること(インサイト)」を探ります。
例えば、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」の事例がわかりやすいでしょう。 コロナ禍でライブやフェスが中止になった時、音楽ファンは何を求めていたでしょうか?
単に「音楽」を聴きたいならSpotifyで十分です。 彼らが本当に求めていたのは、整った音源ではなく、「一発撮りの緊張感」や「アーティストの息遣い(一期一会)」でした。この「潜在課題(ライブ感の欠如)」を見極めたことが、すべての始まりです。

ステップ2:顧客にとっての「独自価値」を定義する
次に、その課題を解決できる自社だけの価値を定義します。ここで、「3つのP(POP・POD・POF)」というフレームワークを使って、価値を研ぎ澄ませます。
POP (Point of Parity):参加資格
その業界で戦うために「最低限なくてはならないもの」。
これがないと顧客は不安になりますが、あっても「選ぶ理由」にはなりません。
POD (Point of Difference):差別化要因
他社にはない、自社独自の強み。
顧客が「だからあなたを選ぶ」と言ってくれる決定打。
POF (Point of Failure):選ばれない理由
これがあると選択肢から外される致命的な欠点。

【よくある間違い:POPをPODだと思ってしまう】
多くの企業が、「安心安全の国産です」や「こだわりの製法です」といった、業界の標準レベル(POP)を必死にアピールしてしまいます。しかし、競合も同じことを言っていれば、それは差別化になりません。
「THE FIRST TAKE」で言えば、「高画質・高音質」はPOP(当たり前)であり、本当のPODは「一発撮りというルールが生むリアリティ」にあります。
このPODを明確に定義できているかどうかが、ブランドの勝敗を分けます。
ステップ3:顧客が価値を「想起できるキーワード」を定義する
独自価値(POD)が決まったら、それを一言で表す「カテゴリー名」をつけます。
Netflixで人気の『ラヴ上等』なども、「恋愛番組」という既存カテゴリーではなく「ヤンキー×恋愛」という新しいタグ付けを行ったことで、独自のポジションを確立した好例です。

ステップ4:顧客が価値を「直感できるイメージ」を定義する
最後は、それをビジュアルや体験として直感できるようにします。 「THE FIRST TAKE」の白い背景と一本のマイク、あるいはスターバックスの「Third Place」を体現する居心地の良い空間などがこれに当たります。
このように、「課題発見→独自価値(3つのP)の抽出→キーワード化→ビジュアル化」という4段階を踏むことで、初めて「売れるコンセプト」が完成するのです。
③【拡張】利用シーンを言語化する
すでにコンセプトは固まっていて、一定の評価も得ている。それなのに「売上が頭打ちになっている」「もっと日常的に使ってほしい」という課題に直面しているなら、目を向けるべきはCEP(カテゴリー・エントリー・ポイント)の設計です。
これは、「どんな時に(When)」「誰と(With whom)」そのブランドを思い出すか、という「入り口」を増やすアプローチです。
【事例:静岡の山奥にある貸切サウナ】
「サウナ」という機能だけを売りにするとターゲットは「サウナ愛好家」に限られます。
しかし、「カップルが誰にも邪魔されず2人きりになれる場所」という利用シーンを言語化・提案することで、記念日需要やデート需要を取り込み、遠方からも集客することに成功しました。
機能ではなく「場面」を提案することで、コンセプトを顧客の生活の中に浸透させていきます。

まとめ:現在地に合わせたアプローチを
コンセプト作りにおいて、「いきなりキャッチコピーを考える」のは、地図を持たずに航海に出るようなものです。
多くの場合、「誰が競合なのか」「なぜ既存客が買ってくれているのか」という事実が曖昧なまま、耳障りの良い言葉を探そうとして迷子になってしまいます。しかし、どれだけ言葉を飾っても、根拠のないコンセプトは市場に響きません。
一見遠回りに見えますが、まずは泥臭く現場に行き、アンケートを取り、顧客の「行動事実」を集めること。この土台があって初めて、消費者の心を動かす「強い言葉」が生まれます。
市場を知らないなら調査を。強みが伝わらないならカテゴリーの言語化を。ファンを増やしたいなら利用シーンの提案を。 大切なのは、センスやひらめきに頼ることなく、現在の自社のフェーズに合わせた正しいアプローチを、ロジカルに積み上げることです。
「言葉」を飾るテクニックではなく、まずは足元の「事実」を見つめ直す。そんな地に足のついたコンセプト作りへの一歩を、ぜひ今日から踏み出してみてください。
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【記事を書いた人】

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動画編集・ライター 浅見和貴








