
クラウドファンディングを活用した資金調達はすっかり定番になりました。
しかし、目標到達率は新規事業者で35%程度、支援経験のある事業者で50%強といわれており、半数近い事業者の方々が目標未達で終了しているようです。(CAMPFIRE「統計データ」より)。
今回は、私が行ったクラウドファンディングの成功体験とともにその要諦をお伝えしたイベント「オケージョンを立てるプロセスを紹介します。クラウドファンディング編」から、目標達成に貢献した要素を記事にまとめてみました。
クラウドファンディングに挑戦する方や、知名度の低さなどを理由に諦めかけている方の参考になれば幸いです。
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目次
プロジェクト概要
資金調達でクラウドファンディングを利用するメリット
実は「年内OPEN」しか決まっていなかった
静岡の古民家再生+民泊プロジェクトで目標金額500万を達成

私は「ローカルを観光で強くする」というビジョンのもと、民泊プロジェクトを行う事業会社Astlocal株式会社を設立しました。クラウドファンディングはこの事業の一環でスタートしたプロジェクトです。
おかげさまで、2024年8月31日から2024年10月15日の期間、245名の方から507万3820円もの支援をいただくことができました。
プロジェクト概要
プロジェクトの舞台は、静岡市用宗(もちむね)という、豊かな自然、歴史と文化を持つ魅力的な街です。近年は人口減少と高齢化に伴って空き家問題などの課題を抱えています。
▶民泊事業を始めた理由は別記事にまとめています。 【創立メンバーインタビュー】明日のローカルのために、まず私たちができること (Astlocal社)
資金調達でクラウドファンディングを利用するメリット

当プロジェクトでクラウドファンディングを採用した理由は、以下3つの利点に魅力を感じたためでした。
①成功すると信用度が増す
クラウドファンディングで目標達成できた事実は、プロジェクトの社会的信用度を大きく高めます。支援者数、支援金額が数字で可視化され、事業スタート後のステークホルダーに信頼してもらえる可能性が高まります。
②販売前に認知拡大ができる
商品サービスを正式発表する前に存在を広く認知できる手段でもあります。プロジェクト中にSNSやメディアで話題になれば、プロジェクトに関心を持つターゲット層や関連業界への認知が拡大します。
加えて、販売前の早い段階で製品の特徴や価値を発信することで、発売時には既に一定のファン層や顧客基盤が形成できるのも魅力です。
③ユーザーの反応を見れる
クラウドファンディングによって、ユーザーの反応やニーズを事前に把握することができます。支援者からのコメントや応援メッセージ、リターンへのフィードバックの中には、商品サービスに対する期待や改善点が含まれているものです。支援者層の属性、購入動機の分析結果は、事業スタート後の販売戦略にも活かせます。
これらのメリットは、目標達成できなければ得られないものが大いに含まれます。私個人としては、クラウドファンディングの成功は「目標の絶対達成」が欠かせない要素だと思っていたので、成功以外の文字は自分の中にありませんでした。
根性論にはなりますが、この強い意志があったからこそ、500万円という他に類を見ない目標を達成できたのだと思います。
実は「年内OPEN」しか決まっていなかった
周囲の皆さまには着実にプロジェクトを成功させたと思われるかもしれませんが、実際は先が見えない中でのプロジェクトスタートでした。

プロジェクトがスタートした8月の時点では、改修の見積もりも、オープンまでのスケジュールも見えない状況。物件は電気が通っておらず、水道の配管は壊れ、ガスもない。他の民泊関連のクラウドファンディングを調べても、500万円規模の目標金額を設定したプロジェクトはありません。
私自身、クラウドファウンディングの成功も、民泊オープンの時期も、この時は全く見えていませんでした。実際のところ、見切り発車でスタートしたプロジェクトだったのです。
利用シーンからターゲットを考える「オケージョン・マーケティング」

ここから、クラウドファンディング戦略設計の要諦をお伝えします。
まず、クラウドファンディングにおいて、支援者へのリターン設計はプロジェクトの成功を左右する極めて重要な要素となります。
支援の動機づけに欠かせませんし、「支援して良かった」と思っていただくことで事業全体の価値が高まって、さらなる支援につながります。また、リターンが商品サービスの利用に関わるものであれば、ロイヤルカスタマーとしてプロジェクト後も続く関係性になれるでしょう。
この民泊プロジェクトで活用したのは「オケージョン」でした。オケージョンマーケティングとは、ターゲットの好み、ライフスタイルに合った特定の機会(オケージョン)に焦点を当て、その場面や状況に適した商品やサービスを提供するマーケティング手法です。
ターゲットを年齢、性別、属性から考えるのではなく、機会から考えたのです。
オケージョンを具体的なリターン内容へ落とし込む方法
民泊事業におけるリターンをオケージョンから考えるとどのようになるのか紐解いていきましょう。ポイントは、商品・サービスを購入したい人だけではなく、広い視野で支援したい人の存在を捉える点にあります。
商品・サービス購入(用宗観光) | 民泊の利用シーンを思い浮かべると、以下のような内容になると思います。商品・サービスを直接購入したい方へのリターンです。
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応援だけ(匿名+単純支援) | クラウドファウンディングでよくある機会として、「事業者(組織・個人)を応援したい」というオケージョンもあるでしょう。宿泊や利用はできないけれど応援したい方は、ありがたいことに当プロジェクトにも多くいらっしゃいました。
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スキルの提供(桜井コンサル) | 自身が提供するサービス(桜井の場合は、コンサルティングや壁打ち)を受けてみたい方も機会としてあります。ご自身ならではのスキルが、支援したい方にとって魅力的なリターンになりうるのです。
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ゴールド・シルバースポンサー(実名+遠隔支援) | 民泊のように施設の場合は、ご協力いただいた方のお名前・組織名を掲示する権利もリターンになります。スポンサーボードを施設へ掲示すれば、事業スタート後にお客様、地元の方などのステークホルダーと支援者様をつなげるきっかけにもなるのです。 |
これらのリターンは、プロジェクトスタートの時点で出揃っていたわけではありません。追加リターンとして新しいリターンを何度も追加しました。これは、クラウドファウンディングの各種サービスによって仕様が異なるので、よく調べてから利用サービスを決めたほうが良いと思います。
▼リターンごとの購入比率や、支援金額の推移などの要諦を「オケージョンの仮説を立てるプロセスを公開します-クラウドファウンディング編-」の資料・動画でまとめています。目標達成の一助になれば幸いです。
最後は「打ち手をやり切る根性」次第

当記事ではオケージョンに基づくリターン設計についてまとめました。ただ、お伝えした設計・計画はプロジェクトでやったことのごく一部です。
前述したように、プロジェクトスタートの時点では先が全く見えない状況でした。そこから、目標達成だけを考え、できる施策を全部やったから実現できたのだと考えています。
「これは意味がないのでは?」などと考えるよりも、まず考えうる施策を全てやりきる。
このマインドとGRIT(やり抜く力)が、クラウドファウンディング目標達成に欠かせない要素だったと思います。
HONEのサービスについて
当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。
私がこれまで会得してきた知識・経験を詰め込んだ「3つのサービスプラン」をご用意しており、お悩みや解決したい課題に合わせてサービスを組んでいます。ご興味のある方は、ご検討いただければと思います。
その他、マーケティング・ブランディングに関する「無料壁打ち」も受付中です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【記事を書いた人】

株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。
※本記事は一部AIを活用して執筆しています。
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