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マーケティングにおける直接競合・間接競合とは?

  • 執筆者の写真: 桜井 貴斗
    桜井 貴斗
  • 22 時間前
  • 読了時間: 8分
マーケティングにおける直接競合・間接競合とは?

商品・サービスの骨子ができたが、どこを競合に設定すべきかがわからない・・・といった声を聞くことがあります。


見えない停滞の多くは“間接競合”をうまく定義できていないことにあると思っています。


間接競合とは、直接的な競合(同業他社)だけでなく「買わない(現状維持)」「既存習慣(変わりたくない)」「他カテゴリからのリプレイス」による成果が停滞してしまうようなケースです。


本記事では、直接競合・間接競合の違い、間接競合の代表的な事例、そして現場で活かせるチェック項目をご紹介しますのでぜひ最後までお読みください。




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直接競合とは何か?


間接競合を知るよりもまず、直接競合とは何か?から解説をしていきたいと思います。


直接競合とは、同じ手段・同カテゴリで顧客ニーズを満たす相手です。


たとえばとある地方旅館があるとして、この旅館の競合は「近隣・同価格帯の旅館」となります。マーケティングフレームの「5フォース」で言うところの「業界内の競争」を指し、同じやり方で同じジョブ(用途)を満たす相手を意味します。定義上、同じニーズを同じ手段で満たす点が重要です。



間接競合とは?


一方で間接競合とは、用途や状況は同じでも、異なる手段で解決する相手です。


コロナ禍でZoomやGoogle Meetなどの「ビデオ会議」が「出張」の代替になったように、他カテゴリのプロダクトやサービスが自分たちの提供価値を満たしてしますことを指します。


また“何もしない(買わない・導入しない=無消費)”も広義の競合となります。価格が高い、性能や乗り換えコストを比較して「行動しない」という結果になるのは無消費にあたります。



地方/中小企業こそ「間接競合」を考えるべき理由


資源制約が大きいほど、お客さんのお財布の奪い合いは難易度が上がります。特に地方/中小企業は大手メーカーと比較すると利用できる広告・販促費が多くないため、直接競合との戦いも熾烈になります。


じゃあどうするか?というと、メインの競合(=直接競合)だけでなく、競合性の高くない間接競合(比較的容易に自社利用をしてくれる先)も探さなければならなくなります


では間接競合とは具体的に何か?について次の章から紹介していきたいと思います。



代表的な“間接競合”事例


ここからは具体的に間接競合のパターンを考えていきたいと思います。


  1. 無消費(買わない・現状維持)

  2. 既存習慣(変わりたくない)

  3. 他カテゴリからのリプレイス


の3つの傾向をそれぞれ解説していきたいと思います。



1.無消費(買わない・現状維持)


中小企業ではコミュニケーションツールにおいて「紙・口頭中心」や「FAX」が依然として多く、SlackやChatworkの導入が遅れている背景があります。もともとリテラシーが高くないので「導入しない/変えない」という選択が常に残るような状況となり、結果現状維持となってしまいます。


2.既存習慣(変わりたくない)に近い状態ですが、「怠惰」というよりは「買わないのが当然であり怠惰とも思っていない」ケースもあると個人的には思っています。



また日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」(第102回<2025年6月調査>)の結果でも家計の圧迫感が強く、「暮らしにゆとりがない」と感じる割合が61.0%(2025年6月調査)など、買い控え・様子見はこれからも増え、“買わない”が強い競合になり得ます。



2.既存習慣(変わりたくない)


2つ目の既存習慣について代表的な事例としては「ブルーライトカット・PCメガネの

JINS SCREEN」ではないかと思っています。


文字通り、ブルーライトカットの効果があるわけですが、このメガネのすごいところは「スマホ依存」や「仕事のしすぎ」の現代人の行動習慣を変えずに新しい商品をつくり、販売しているところにあります。



スクリーンを見過ぎている「スマホ依存」や「仕事のしすぎ」のユーザーの悩みを聞くのならつい、依存を脱却する方向に提案を持っていきがちですが、JINSは行動はそのまま(スマホをそのまま見たり、PCの利用は控えない)に、メガネで受ける疲れを軽減する方向に舵を切ったことにあります。


この取り組みは人間の変わりたくない心理をうまくついた事例といえそうです。


もう1つ、1.無消費(買わない・現状維持)と似た事例として、製造業における紙・Excelは根強い(現場帳票の管理で「紙・Excel」合計6割超という調査例も)といった調査もあります。


使い慣れている、という阻害は思ったよりも大きいと感じています。




3.他カテゴリからのリプレイス


最後は他カテゴリからのリプレイスです。


例えば、郊外のイオンモールでは「市民サービスコーナー」を設けており、行政窓口・期日前投票所などを用意しています。イオンとしては、“用事の抱き合わせ”で来訪理由を生んでいるポジティブな事例と言えます。



他の民間事例では有料動画配信の利用者は2025年に3,890万人へ拡大見込みとなり、かつ惣菜市場は2023年に10.98兆円と回復・拡大し、外食・自炊の“間”を取る選択肢(一社)日本惣菜協会「2024年版惣菜白書」6月1日発刊が定着しています。


これらによって、レシピは「動画を見る」に移行し、雑誌の売上はカテゴリを奪われるような状態になっていくのではないかと思っています。



間接競合を見つける10の質問


最後に自分たちの業界・カテゴリにとってどんな間接競合がいるのか?を考える10の質問を用意してみました。ぜひ振り返りがてら考えてみてください。


  1. [同じ価値(機能)] 

    1. 顧客があなたのブランドで“片付けたい用事(課題)”を、別の手段で満たせる選択肢は何ですか?

    2. 例:温泉旅館の「癒やし」→ カプセルホテルのサウナ/泊まれるスーパー銭湯/マッサージなど


  2. [同じ価値(情緒・社会)] 

    1. 顧客が「得たい気分」を別の体験で代替できるものはありますか? 

    2. 例:カフェの「特別感」→ 映画館/テーマパークのナイトイベント/推し活グッズなど


  3. [同じ価値(速度・確実性)] 

    1. もっと早く・手間なく・確実に」同じ成果を出せる他のやり方はありますか?

    2. 例:手作り惣菜→ 中食のミールキット/冷凍高付加価値惣菜/宅配など


  4. [同じ時間(時間帯の取り合い)] 

    1. あなたのピーク時間帯に、顧客の時間を奪っている別アクティビティは何ですか? 

    2. 例:週末午後の商店街→ 大型モールのイベント/スポーツ少年団・習い事の送迎など


  5. [同じ時間(移動・天候)] 

    1. 悪天候・猛暑・渋滞のときに、顧客が家の近場・屋内で選びやすい場所の代替は? 

    2. 例:屋内散策→ ショッピングモール/屋内アスレチック/サブスク配信視聴全般


  6. [同じ時間(注意=アテンション)] 

    1. あなたの発信を受け取ってほしい時間帯に、スマホ内で競っている相手(アプリ/配信/ゲーム)は? 

    2. 例:Instagram告知→ YouTubeライブ/TikTok/Netflix/スマホゲームなど


  7. [同じお金(価格帯の取り合い)] 

    1. 顧客が同じ金額・同じ頻度で迷う別の支出は?(月◯円/回◯円の単位) 

    2. 例:月3,000円の支出→ コーヒー外飲み/動画サブスク/推し活など


  8. [同じお金(固定費・節約)] 

    1. 家計・経費の見直しが入ったとき、入れ替えになりやすい固定費/会費は? 

    2. 例:オンラインサロン会費→ フィットネス会員/通信費/動画サブスク整理


  9. [既存習慣・内製] 

    1. 顧客が「今のやり方で十分」と感じる理由(慣れ・無料プラン・無料ツールなど)はありますか? 

    2. 例:業務SaaS→ Excelテンプレ/紙台帳/外注のスポット対応


  10. [無消費(やらない/先送り)] 

    1. 顧客が「何もしない」を選ぶ決定要因は?(不安・比較が面倒・移動距離・家族の反対・初期費用 等) 

    2. 例:宿泊予約→ 「天気が読めない」「翌週に回す」「日帰りで済ます」など



まとめ


以上がマーケティングにおける直接競合・間接競合とは?の解説でした。


本記事は、競合設定に迷う地方・中小企業のために、直接競合だけでなく、“間接競合”も着手する視点をご紹介しました。


直接競合=同じ手段、間接競合=別手段/無消費/既存習慣/他カテゴリと定義し、日頃から柔軟な思考を持って市場を見極めていきましょう。



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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。

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