『複雑化の教育論』教育とは?成熟とは?知性とは?教育をさせるすべての人に贈る希望の書【後編】
- 桜井 貴斗

- 9月13日
- 読了時間: 7分

(本書より一部抜粋)
教員志望者の減少、不登校問題、問題視される教師の働き方、いじめ問題、見直される部活動、オンライン授業…など、教育が取り巻く環境は年々厳しくなっているように感じます。
学校は子どもたちの成熟を支援するためのものです。 これまで「子どもたちの成熟」という言葉を何度か使ってきました。みなさんも頷いて聴いてくれましたけれど、「成熟」という語が何を意味しているのかについては、ここまではっきりしたことを言っていません。 ――僕が考える「成熟」というのは「複雑化」ということです。
本記事では桜井が本書を読んで直接感じた「教育とはなにか・知性とはなにか・合意形成とはなにか」を言語化し、地域の現場で実装できる言葉として残すべく、記事を書いてみました。
※本記事は後編となります。前編はこちらから
教育的コミュニケーションはオンラインで成立するか?
(本書より) オンラインで会議をしたり、対談したりということを僕もよくしていますけれど、次に誰が話し始めるかについての「気配」がわからない。だから、同時に話し出して、かぶってしまうことがよくあります。 対面的状況なら、次に誰が話すかはわかるんです。ちょっと身を乗り出したり、目をきらっとさせたり、微妙な非言語的なシグナルを発してくれる。それがわかると、みんなその人に注目する。それから話し出す。そういうやりとりが無意識的に行われているのですけれど、オンラインではそれが難しい。
この、話し始めるかどうかの「気配」というのは確かになぁと感じました。
オフラインだと、ちょっと髪の毛を触る仕草ひとつとっても、ちょっとイライラした仕草なのか、楽しそうな仕草なのかはなんとなくわかります。
ただ、オンラインだと画質の具合では相手のことがよく見えないし、ミュートをしていると物音や息遣いが聞こえないため、相手がどんな状況なのかがわからない。それによって自分の出方もわからないため、その場の空気に応じたことを言うよりも、言いたいことを優先させてしまうときがあります。
その結果、望まない空気になってしまったりするため、この「シグナルを出す、そして受け取る」というのは対話をする上でとても大切な要素だと思いました。
組織マネジメント原理主義者とは?
(本書より) 僕が「組織マネジメント原理主義」と呼ぶのは、そのシステムがいかなる「よきもの」を生み出すのかよりも、そのシステムがどれほど上意下達的にスムーズに機能しているかを優先的に配慮するようなマインドセットのことです。僕はそれは倒錯的だと思います。そんなもので世の中がうまく回るはずがない。
組織マネジメントの本懐は、そのシステムが上位下達(トップダウン)にスムーズに機能しているかどうか、という考えだと解釈しました。
つまり、部下は上司に言われた通り動けばいい、言われた通りに動いているか?がシステムにおけるチェックポイントである、ということです。
昔の組織はそうだったのかもしれませんが、今はむしろその逆で自分の頭で考えて動いていかなければなりません。戦略は変わる可能性があるし、時代の変化が激しい昨今、朝令暮改は当たり前です。
だからこそ、いつまでも上位下達にこだわらず、自分の頭で考え、自分の手足を使って経験することが求められるのだと思います。なぜなら会社は自分を守ってくれないし、育ててもくれないから。自分の身は自分で守るしかないと思っています。
合意形成とは「みんなが同じ程度に不満足な解を探りあてる」こと
(本書より) 「合意形成」というのは要するに「落としどころを見つける」ということなんですけれど、それは「みんなが同じ程度に不満足な解を探りあてる」ということです。 勘違いしている人が多いんですけれど、合意形成というのは、「全員が満足する解」を採りあてることではありません。そんな都合の良いソリューションなんかありません。僕たちにできるのは「不満足の程度を均(なら)す」ということだけなんです。その「さじ加減」なんです。でも、それにはかなり高度な技術というか、かなりの気合が要る。
合意形成というと、落としどころを見つけるということですが、それは「全員が満足する解」を採りあてることではない、と断言しています。合意形成とは不満足の程度を均すこと。これは本当にその通りだと思いました。 そしてみんなに等しく不満足を割り当てるのはとても難しい。AをやるにはBを我慢してね、ということを言って回らなければならないからです。中には損をしたくない人、割りを食いたくない人が出てくるため、とても根気のいる行動だと思います。
(本書より) 合意形成をめざす調停者は「持ち出し」を覚悟しなければならないということです。そんなことをする義理はないのですけれど、調停者自身が何かを犠牲にしなければ、対立している人たちを和解させることはできない。 ただ、「こうしたらいいじゃないか」とアイディアを出すだけではダメなんです。自分も身銭を切らないと調停はできない。 これが合意形成の基本なんです。だから、難しい。 ただ、両者の言い分を突き合わせて、是々非々で議論したって収まらない。調停する人間は、自分も身銭を切って、「一両」出したり、「両腕」出したりして、「これで収めちゃくれまいか」と提案する。でも、この合意形成ゲームは複雑過ぎて、「子ども」にはできません。「大人」でないとできない。「持ち出し覚悟」であるということは、「持ち出す」だけのリソースが手元にある人でないとできない。
NARUTOの最後にサスケを止めるため、ナルトは腕1本を犠牲にしてケンカを終わらせましたが、そうゆうことだと思っています。
最後は何かを犠牲にしなければ合意形成は終わらない。痛み分け、という言葉にもある通り、こちら側が何も傷めずに決着をつけることというのはできません。
そのため、それなりに持ち出しできる人が合意形成をしなければならない。むしろ、持ち出しできない人は合意形成ができないとも言えると思っています。
単純化とは退化すること
(本書より) そこで、たぶん聴いているみなさんは、「じゃあ、どうしたらいいんですか?」という質問を向けて来ると思うんですけれども、僕の答えは「だから、話を単純にするのは止めましょう」ということです。 「じゃあ、どうしたらいいんですか?」という質問に対する単一の答えを求めない。なかなか答えが出ないことを嫌がらない。僕たちは解決することのまことに難しい問題を前にしているのです。
マーケティングの仕事の仕事をしていると、「どうすれば売上が上がりますか?」と聞いてくる経営者の方がいます。そんな簡単に答えられないのにあえて聞いてくる意地悪な方もいますが、本当に正解があると思って聞いてくる方もいます。
また「うちと同じような業界でうまくいっている事例はありますか?」という事例大好きな方もいます。
うまくいっている条件は多様な条件が重なったタイミングであり、さらにブランドの持っている元々のブランド資本(顧客数・エンゲージメント・顧客の可処分所得性)、タイミング、施策などが合致したタイミングで「うまくいった」という結果になっているだけで、同じ施策を行ったからといってうまくいくわけではありません。事例は諸刃の剣なんです。
大切なのは答えがない問いに正面から向き合って考えることです。その中で自分なりの解を見つけることだと思っています。
※本記事は後編となります。前編はこちらから
参考(一次情報・関連記事)
https://amzn.asia/d/g9bByKK (複雑化の教育論 (越境する教育))
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【記事を書いた人】

株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。







