top of page

「必要」と「好き」は別物?行動的ロイヤルティ/態度的ロイヤルティの違いと活用方法を解説

  • 執筆者の写真: 桜井 貴斗
    桜井 貴斗
  • 3 日前
  • 読了時間: 9分

更新日:2 日前

弱者の法則を逆手に取る地方版「メンタル・フィジカルアベイラビリティー」の戦略

「固定ファンは多いのに売上に直結しない」

「SNSの反応は上々なのに、来店客数が伸びない」


そんな悩みに直面したことはないでしょうか。


地方企業・ローカルブランドの現場でよく聞く悩みかと思います。この悩みの正体は、顧客ロイヤルティを「固有の(たった1つだけの意味合いの)もの」として認識してしまっていることにあるのかもしれません。つまり、「ファンだから買ってくれる」というのは大きな誤解であるということです。


「ロイヤルティ」には大きく2種類あります。

習慣や必要に迫られて購買している「行動」にロイヤルティが高い「行動的ロイヤルティ」と、「愛着」や「信頼」などのロイヤルティが高い「態度的ロイヤルティ」です。


この記事では、それぞれの定義と身近な事例を整理した上で、4象限でターゲットを棲み分ける方法をご紹介します。今打つべき手が「習慣なのか、愛着なのか」が整理していきます。ぜひ最後までご覧ください。



\お役立ち資料はこちらから/


株式会社HONEでは過去のセミナー資料、お役立ち資料、会社紹介資料がダウンロードできます。


セミナー資料


目次


行動的ロイヤルティ/態度的ロイヤルティとは


まずはじめに、行動的ロイヤルティと態度的ロイヤルティのそれぞれの意味合いから定義していきたいと思います。



行動的ロイヤルティ(Behavioral Loyalty)


行動的ロイヤルティは、特定の企業・ブランド・店舗を繰り返し利用する「行動」を指します。たとえば、毎週同じスーパーで買い物する/毎朝同じカフェに寄る、といった状態です。重要なのは、行動が続いたとしても「好き」「信頼している」とは限らないこと。むしろ、愛着や信頼関係がなくても立地の良さ、価格、習慣などで特定の企業・ブランドと繋がっている状態を指します。



態度的ロイヤルティ(Attitudinal Loyalty)


態度的ロイヤルティは、そのブランドに対する「愛着・好意・信頼・共感」といった心理的なつながりを持つことです。「多少高くてもここで買いたい」「友人におすすめしたい」と感じる状態を指します。逆にいうと、特定の企業・ブランドに対して愛着や信頼を持っているけれど、購買行動まで繋がらない、というケースもあります。必ずしも「態度的なロイヤルティが購買とイコール」というわけではありません。


行動的ロイヤルティ/態度的ロイヤルティとは
行動的ロイヤルティ/態度的ロイヤルティとは

以上のように、


  • 例え好きじゃなくても習慣になれば購買は伸びる

  • 共感や愛着があっても購買につながらない可能性がある

  • 共感・愛着があり、かつ習慣になる状態をつくれるのが理想


という意味合いを含んでいるの行動的ロイヤルティ・態度的ロイヤルティです。



身近な例でわかる、2つのロイヤルティ


次に、行動的ロイヤルティ・態度的ロイヤルティを具体的な身近な例としていくつか挙げてみたいと思います。


ここでは行動的ロイヤルティ(高・低)、態度的ロイヤルティ(高・低)の合計4つの組み合わせパターンにわけていくつか例を明記します。


身近な例でわかる、2つのロイヤルティ


例1:通勤途中のコンビニ利用(行動的ロイヤルティ:高/態度的ロイヤルティ:低)


  • 通勤ルート上にあるから毎日寄る

  • 便利なので使っている

  • でも「この店が好き」というほどではなく、別の店が同じ場所にできたら乗り換えるかもしれない。


この場合、行動的ロイヤルティは高いが、態度的ロイヤルティは低い状態です(左上の「見せかけのロイヤルティ」に分類される)。



例2:お気に入りのクラフトビール(行動的ロイヤルティ:低/態度的ロイヤルティ:高)


  • 大好きで応援したい

  • SNSもフォローしていいねもしている

  • ただ、日常生活の導線にお店がない、商品が置いていなかったり、価格が高額のため頻繁には買えなかったりして、購入頻度は高くない。


この場合、態度的ロイヤルティは高いが、行動的ロイヤルティは低い状態を指します(右下の「潜在的ロイヤルティ」に分類される)。



例3:地元のベーカリー(行動的ロイヤルティ:高/態度的ロイヤルティ:高)


  • 味も接客も好き

  • 週末は家族の定番

  • 友人にもすすめている


この場合は行動的ロイヤルティ・態度的ロイヤルティともに高い理想の状態となります。愛着・信頼があり、かつ習慣化している状態を指します(右上の「真のロイヤルティ」に分類される)



4象限で見る:顧客ロイヤルティの分類


上記の例でまとめたように、行動的ロイヤルティ(習慣で利用・購買している)と、態度的ロイヤルティ(愛着・信頼を持っている)の「高・低」で顧客を4つに分類する考え方があります(出所:Dick & Basu)。


顧客ロイヤルティの分類

① ロイヤルティなし(行動:低×態度:低)

必要性も好意もない。接点が薄い・価値が伝わっていない、などが起きています。


② 潜在的ロイヤルティ(行動:低×態度:高)

愛着・共感は持っているのに、利用していない・買えていない。「遠い」「売ってない」「買うタイミングがない」など、行動を阻む“壁”がある状態です。


③ 見せかけのロイヤルティ(行動:高×態度:低)

利用・購買はしているが、愛着・共感にはつながっていない。立地の良さや惰性で選ばれているケースが多く、環境が変わると離反するリスクがあります。


④ 真のロイヤルティ(行動:高×態度:高)

繰り返し買ってもらえる状態があり、なおかつ愛着・共感を持っている状態。信頼しているため、周囲にも企業・ブランドの良さを語ってくれている状態です。



行動的ロイヤルティ・態度的ロイヤルティの高め方と測り方


次に行動的ロイヤルティ・態度的ロイヤルティをどのように高め、育てていくか?そして「高まっている状態」をどのように測っていくのか?についてまとめて見ました。



態度的ロイヤルティを高めるには「“好き”を育てる」


  • 価値を言語化する

    • なぜこの商品・この事業をやっているのか(理念/美学/地域との関係)などを言語化し、内部で共通言語をつくる

  • 体験の一貫性を意識する

    • 言語化した言葉を接客・お店の空気・同梱物などの表に出る場所に「らしさ」を出し、接点を揃え、増やす

  • ユーザーの参加できる場所をつくる

    • 顧客アンケート、感謝祭イベント、新商品の試作品テストなど“顧客が意見を投げかけられる”場をつくり、ブランドづくりに「参加している」意識を持ってもらう



行動的ロイヤルティを高める(“買う機会”を増やす)


  • 買いやすさにこだわる

    • 配荷数、店舗内の置く場所、商品までの導線、営業時間、決済手段、EC売り場の数、定期便など、購入ハードルを下げる打ち手を増やす

  • 機能的な価値を高める

    • ブランド体験や接客の前に「特定のカテゴリーで機能的価値を最大限高める」努力を怠らない、まずは機能的価値で優位に立つ

  • 習慣化につなげる

    • 週末限定メニュー、朝の定番、季節の定期入荷など、特定の時間・季節に思い起こしてもらえるような理由を用意する



どのように計測していくか?


細かい指標はカテゴリーや業種によって異なりますが、最低限押さえておくべきポイントは以下の点だと考えています。


  • 行動的ロイヤルティ

    • リピート率、来店頻度、購買間隔、継続率


  • 態度的ロイヤルティ

    • 顧客満足度、NPS(推奨意向)、レビューや自由記述の熱量


POSデータや会員データがある企業・ブランドは「行動」をより深掘りし、アンケートや定性調査ができる企業は「態度」をより深掘りできると良いと思います。両方の数値を並べて見ることでより正確に次の一手が決められそうです。



象限別:次の一手になにをすべきか?


上記①〜④の状態から次にどのようなアクションを取るべきか?について簡単にまとめてみました。



  • ①ロイヤルティなし(行動:低×態度:低)

    • まずは接点づくり(配荷先の拡大・試食・ポップアップ・地域イベント・店頭POPなど認知の接点を増やす)


  • ②潜在的ロイヤルティ(行動:低×態度:高)

    • 買える場所とタイミングを増やす(販路、営業時間、EC、容量・価格の見直しなど)


  • ③見せかけのロイヤルティ(行動:高×態度:低)

    • 価値がある理由を“体験”してもらう仕組みをつくる(接客、世界観、ストーリー、コミュニティ醸成など)


  • ④真のロイヤルティ(行動:高×態度:高)

    • 維持と共創(新作商品の先行案内、顧客の意見収集、紹介制度の仕組み化など)



最後に


以上が行動的ロイヤルティ/態度的ロイヤルティの違いと活用方法でした


  • ロイヤルティには「行動的ロイヤルティ(使用・購買習慣)」と「態度的ロイヤルティ(愛着・信頼)」の2種類がある

  • 行動的ロイヤルティが高くても、気持ちがつながっていない(態度的ロイヤルティ)“見せかけ”状態は起こり得る

  • ロイヤルティの4象限で顧客をセグメントしてみると、次に打つべき施策(行動か態度か)が整理できる


まずは自分たちの顧客はどこに分類されるのか?の現状把握から始めてみると良いかもしれません。弊社HONEでは現状に応じたマーケティング支援も行っておりますので、迷子になってしまった際はお気軽にお声がけいただけたらと思います。


\こ相談はこちらから/



HONEのサービスについて


当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。


HONEのサービスについて

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。


学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。


誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。


\こ相談はこちらから/


HONEサービス一覧
voicyはじめました。
youtube はじめました


その他、気軽にマーケティングの相談をしたい方のための「5万伴走プラン」もスタートしました。詳細はバナー先の記事をお読みください!


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


5万併走

\こ相談はこちらから/



【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。

bottom of page