まちづくりにマーケティングを実装するには?
- 桜井 貴斗

- 9月13日
- 読了時間: 7分
更新日:9月14日

日本の地方は今、人口減少、高齢化、事業承継問題といった喫緊の課題に直面し、地域経済の弱体化が深刻化しています。
特に、多くの事業承継者(アトツギ)が「経営の知識・スキル」や「新規事業・ブランド再設計」に強い関心や不安を抱え、また地域づくりの事業者や観光協会、自治体の皆さまも「何から手をつけていいか」と課題解決の糸口を探しています。
では、その実現のために何ができるでしょうか?
私たちは、まちをひとつの「ブランド」として捉え、そのブランドがどのような価値を提供し、どうありたいかを深く考えるマーケティング思考こそが、これからのまちづくりに不可欠だと考えます。
他地域の成功事例を単に模倣したり、他所との差別化だけに奔走したりするのではなく、自分たちの地域に眠る独自の「地域資本」を見つめ直し、その本質的な価値を最大限に引き出すことが、真に「選ばれるブランド」を創る第一歩となるのです。
本記事ではまちづくりにマーケティングを実装するために必要な3つのフレームワークについて説明します。
特に、民間・自治体問わず活用できる「バリュープロポジション」「GHILフレームワーク」「コンセプト策定」に焦点を当て、地域独自の強みを言語化し、持続可能なまちづくりを実現する方法を深掘りします。
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目次
日本の地域が抱える深刻な課題
まちを「選ばれるブランド」にするマーケティング思考
模倣ではない、「自分だけ」の地域資本を見出す3つのフレームワーク
その1:バリュープロポジションによる「独自性」の構築
その2:地域資源を再発見する「GHILフレーム」
その3:「顧客視点」で描くコンセプト策定
なぜ今、まちづくりに「マーケティング」が必要なのか?
そもそも、なぜ「まちづくり」にマーケティングなのか。地域とマーケティングはどんな関係性なのか?について考えていきたいと思います。

日本の地域が抱える深刻な課題
地方では人口減少や高齢化により、事業の担い手が不足し、地域経済の弱体化が深刻です。都市部で培われたマーケティング手法が、資源の少ない地方ではそのまま適用できない難しさもあります。
課題は大きく、以下の4つに分けられます。
1:「変わる市場と顧客ニーズへの対応」
現代では、市場競争や変化が激しくなっており、消費者の嗜好やニーズが急速に変化しています。しかし、地方では人口減少や高齢化より市場規模が縮小し、情報やリソースの不足により顧客のニーズに応えることが難しくなっています。
2:「人材確保・資金調達の困難さ」
都市部と比べ、必要なスキルを持つ人材の確保が困難なことが多く、かつ資金調達の選択肢も限られています。人材や資金が潤沢でないなか、新たな可能性を追求する戦略が必要となっています。
3:「事業承継・後継ぎ問題」
後継者が見つからない、または経営スキルを引き継ぐ体制が整っていないことにより事業の継続が危ぶまれるケースも。第三者承継があまり進まないといった課題もあり、黒字倒産が
近年増加しています。
4:「新規事業創出・既存事業活性化のハードル」
困難さが増す要因として、事業のターゲット市場が限られている点や独自の地域資源を活かす戦略が不足している点が挙げられます。地域の特性を活かした戦略を立てることが求められています。

そのため、弊社でも上記の4点をサポートする事業伴走支援を行っています。
弊社サービス全体は以下よりご覧いただけます。
まちを「選ばれるブランド」にするマーケティング思考
まちづくりにおけるマーケティングの役割は、単なる集客や宣伝に留まりません。まずは大原則である、「誰に」「何を」「どうやって」価値を届けるか という、本質的な問いから始まります。
地域を一つのブランドとして捉え、そのブランドが持つ固有の便益(ベネフィット)を明確にし、ターゲットとなる顧客(住民、観光客、移住者など)に、どのような体験や感動を提供したいのかを設計することです。
地域の事業者さん、観光地のターゲット設計を行う際に、多くの人に来てもらいたい背景から、ターゲットはすべての世代・属性を対象とする、となりがちなのですが、これでは結局届けたい人に届けることはできず、結果認知してもらえない結果となります。
このマーケティング思考こそが、地域が外部の環境変化に左右されず、自らの魅力で持続的に発展していくための基盤となります。
模倣ではない、「自分だけ」の地域資本を見出す3つのフレームワーク
では具体的に「価値」とは何か?地域ごとの「独自性」とはどうやって導いていけばいいのでしょうか?それを実現するのがGHILフレームとコンセプト策定です。それぞれの使い方について解説をしていきます。
その1:バリュープロポジションによる「独自性」の構築
他の地域との差別化を図ろうと、目新しいものや流行を追いかけるだけでは、本質的な強みは生まれづらいと思っています。ただ競合と差別化だけをすればいいわけではなく、まず考えるべきは「顧客が何を望んでいるか」を知ることが大切です。
HONEが重視するのは、「バリュープロポジション(独自の強み)」 の確立です。
これは、「顧客が望んでおり、自社が提供でき、かつ競合(ライバル)が提供できない独自の価値」 のことを指します。
「自分だけ」の強みを決定し、それを高めるための行動指針を明確にすることが、地域ブランドの確固たる独自性を築くことに繋がります。

その2:地域資源を再発見する「GHILフレーム」
地域の真の価値を見出すためには、その地域が持つ多様な資源を多角的に分析する必要があります。HONEでは「GHILフレーム」を活用し、Geography(地理的資源)、History(歴史的資源)、Industry(産業的資源)、Life(生活的資源) といった4つの視点から地域資源を洗い出します。

このフレームワークは、民間企業が新商品開発のために自社の強みを見つける際や、自治体が観光戦略を策定する際など、事業承継者、地域づくりの事業者、DMO、自治体といったあらゆる主体者が、地域の特性と潜在的な魅力を客観的に理解し、その価値を言語化するために有効です。

その3:「顧客視点」で描くコンセプト策定
バリュープロポジション・GHILフレームを通じて見出した地域の強みや独自性を、ターゲットとなる顧客(住民、観光客、移住者など)に響く形で表現するのが「コンセプト策定」です。
機能するコンセプトには、
「顧客視点」で書かれているか
「ならでは」の発想があるか
「スケール」が見込めるか
「シンプル」な言葉になっているか
という4つの条件があります(コンセプトの教科書より)。

4つの条件をもとに、とって最適なコンセプトを見つけていきます。
「選ばれるブランド」を増やすために。地域に根ざした「社会性と経済性の両立」
HONEが最終的に目指すアウトカムは「日本の故郷を次の世代に残す」ことです。
過疎化、人口減少、伝統工芸の継続、斜陽産業の変革といった社会課題を解決するためには、その地域が持つ環境資源、歴史資源、産業資源、生活資源といった「文化資本」を守り、育むことが不可欠です。

そして、これらを守り、未来へ繋ぐためには、経済的な活動、すなわち「お金を生むための手段としてのマーケティング」が必要となります。
HONEは、地域の事業者や行政、住民が一体となって、地域ならではの社会課題を解決しながら、同時に経済的な価値も創出する「社会性と経済性の両立」を追求しています。
単なる分析に留まらず、具体的なアクションと実行管理まで一貫してサポートし、地域の人々が自立・自走できる「信頼できる相談先」となることを目指していきたいと思います。
HONEのサービスについて
当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。
私がこれまで会得してきた知識・経験を詰め込んだ「3つのサービスプラン」をご用意しており、お悩みや解決したい課題に合わせてサービスを組んでいます。ご興味のある方は、ご検討いただければと思います。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【記事を書いた人】

株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。









