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『「頭がいい」とは何か 』を読んで。【書評】

  • 4 日前
  • 読了時間: 12分
生きるための表現手引き

祥伝社新書から出版されている『「頭がいい」とは何か』(勅使川原 真衣 (著))。


本記事では桜井が心に残ったパートを一部抜粋して、ビジネスや生き方に転用できる点、そして凝り固まった思考をほぐしてくれる気づきとしてまとめてみました。





『「頭がいい」とは何か』


「頭がいい」とは、いったい何を指す言葉なのか。


成績がいいこと? 仕事ができること? 地頭がいいこと? 空気が読めること? 主体性があること?


私たちは学校から職場、さらには私生活に至るまで、無意識のうちに「頭がいい/悪い」という尺度で人を測り、また自分自身も測られてきました。いまや、書店には「頭がいい人の○○術」のように、「頭がいい」をタイトルに冠する本が氾濫しています。


この曖昧で便利な言葉が広く使われるようになった背景には、〈能力主義〉の存在があります。


能力主義とは、「能力」を個人の資質や努力の結果とみなし、優れた者が多くを得ることを正当化する考え方です。しかし現実には、運や環境、偶然といった要素までもが「能力」に回収され、「評価に晒され続けること」が当たり前になった社会は、多くの人に生きづらさをもたらしています。


外資系コンサルティングファーム勤務を経て独立した著者は、「頭がいい」という言葉の曖昧さを手がかりに、能力主義が生む生きづらさの構造を解きほぐしていきます。


■「頭がいい」子に育てたい、という親の願いは正義なのか。

■「私、頭が悪いので」という前置きに込められた意味とは。

■「頭がいい」は、本当に〈良い〉ことなのか。


評価に振り回されずに生きるための、ポスト能力主義の思考を提示します。


画像には、黄緑色の背景に本の表紙があり、多くの日本語テキストが書かれている。右にはスカーフを巻いた女性の横顔。
赤い背景に白い文字で、教育や能力についての問いかけが記載されたポスター。タイトルは「学校から職場、私生活までを覆う『頭がいい』の呪縛」。


【書評】『「頭がいい」とは何か』——日本型「シゴデキ」の限界と、理不尽な世界を生き抜く知性


日頃、地域の中小企業やアトツギ(事業承継者)の方々とマーケティングや新規事業のお仕事をご一緒する中で、「優秀な人材とは何か」「頭がいいとはどういうことか」という話題によく直面します。


今回は、そんな折に手に取った一冊、『「頭がいい」とは何か』(祥伝社新書 727)の書評をお届けします。


現代は「タイパ」や「コスパ」が重視され、手っ取り早い正解が求められる時代です。ビジネス書コーナーには「頭のいい人」になるためのノウハウ本が溢れ、誰もが「バカだと思われたくない」という焦りを抱えながら生きています。


しかし、私たちが無意識に追い求めている「頭のよさ」とは、果たして本当に価値のあるものなのでしょうか。


本書からいくつかの重要な記述を抜粋しながら、現場での肌感や私なりの考えをまとめてみたいと思います。



1. 日本社会が求める「頭のよさ」には「批判的思考」がスッポリ抜けている


本書を読んでいて最もハッとさせられたのが、日本企業が求める「理想のシゴデキ(仕事ができる人)像」に関する以下の指摘です。


【抜粋】 欧米では学校教育の段階から重視されている「批判的思考」が俎上に載らないのも、日本らしさと見ることができます。 創造性は欲しいが批判精神はいらない。それよりも職位に応じて振る舞える力、言い換えれば、序列に適応する力のほうが日本企業では求められることが、「理想のシゴデキ像」からは透けて見えてきます。(第2章より)

日本社会における「頭がいい人」の定義は、業務遂行能力が高く、論理的思考ができ、コミュニケーション能力が高く、周囲と協調でき、さらに主体性やリーダーシップもある…と、まさに「全部盛り」です。


しかし、そこに「批判的思考(クリティカル・シンキング)」は含まれていません。


これには深く頷きました。

「創造性は欲しいが批判精神はいらない」というのは、今の日本企業の停滞を象徴するような言葉です。言われたことをソツなくこなし、波風を立てずに組織の序列に適応する。たしかにそれは「使い勝手のいい優秀な社員」かもしれませんが、既存の枠組みを疑い、ゼロからイチを生み出す起業家やイノベーターの姿とは程遠いものです。


「日本の『頭がいい』の定義は全部盛り。しかし、批判的思考はいらない、と。そりゃ起業家増えないよねぇ」というのが、私の率直な感想です。


特に、地域の老舗企業や伝統産業のアップデートにおいて、過去の成功体験や既存の序列にただ適応するだけでは生き残れません。


「なぜこのやり方なのか?」「本当にこの市場で戦うべきなのか?」という批判的思考を持てるかどうかが、これからの時代の「本当の頭のよさ」の境界線になるはずです。



2. 「分人主義」の限界と、分かり合えないという前提


続いて、現代の若者のコミュニケーションや働き方に関する考察です。本書では、平野啓一郎氏が提唱した「分人主義」を引き合いに出し、若者たちの生き方を分析しています。


【抜粋】 無意識的にキャラを使い分けている、もしくは作家の平野啓一郎氏が提唱した「分人主義」をナチュラルに実践することで、自分の多面性を保っているのがいまの若い世代なのかもしれません。(中略)自分の役割を柔軟に切り替えることで、多様な自分を大切にする考え方だとも言えます。(第3章より) (中略) エン・ジャパンが2024年に実施した「『本当の退職理由』調査」で、退職経験がある人に行なったアンケートによると、「会社に伝えなかった本当の退職理由がある」と答えた人は54%。その理由として最も多かった回答は、「話しても理解してもらえないと思ったから」でした。(第4章より)

場面や人間関係ごとにキャラ(分人)を使い分ける、ということを「多様性」と呼ぶのであれば、人間というのは随分と不器用で、器の小さな生き物になってしまったなと感じます。私自身は到底マネできないし、しようとも思いません。


若者たちが環境によって人格を変え続けた結果、「職場」という特定の環境で耐えられないことがあると、理不尽だと感じてすぐに環境を変えて(退職して)しまう。退職代行サービスが急増しているのも、こうした「環境への過剰な適応と、そこからの逃避」が原因なのではないでしょうか。


「話しても理解してもらえないと思ったから」という退職理由は、一見もっともらしく聞こえますが、そもそも人生は理不尽だらけです。


「人と分かり合えることなんて、基本的にはあまりない」という前提に立ったほうが、はるかに生きやすいと私は思います。


最初から100%の心理的安全性や、完全な相互理解を職場に求めるから苦しくなる。「人は分かり合えない」というスタート地点に立ち、それでも何とか合意形成を図るために言葉を尽くすこと。その泥臭いプロセスから逃げないことこそが、成熟した大人の振る舞いではないでしょうか。



3. 運を掴むための「準備」ができるか


最後に、成功と努力、そして「運」に関する一節です。


【抜粋】 運というものはコントロールはできない。だから努力でなんとかできるものではない。けれど、偶然に対する心構えができていない人は運をムダにする(第3章より)

ビジネスの世界では、成功者が自らの成功を「努力の賜物」として語りたがりますが、実際には環境やタイミング、つまり「運」の要素が非常に大きく絡んでいます。


しかし、だからといって努力が不要だということにはなりません。運自体はコントロールできませんが、運が巡ってきたときにそれを掴み取れるかどうかは、「準備」にかかっています。


この感覚は、大人気サッカー漫画『ブルーロック』で描かれている勝負論にも通じます。勝負には必ず運も偶然も介在します。だからこそ、その偶然が落ちてくる場所を予測し、いつでも動けるように極限まで準備をする。


運を言い訳にして何もしないのではなく、いつ来るかわからない偶然に対する心構え(準備)を怠らないこと。これこそが、不確実性の高い現代において最も実用的な「頭のよさ」なのだと思います。



まとめ:自分の頭で考え、理不尽を引き受ける力


『「頭がいい」とは何か』を通して見えてきたのは、社会が押し付けてくる「従順で使い勝手のいいシゴデキ像」に対する違和感です。


批判的思考を捨てて序列に適応し、合わない環境からは「理解されない」とすぐに立ち去ってしまう。それは一時的にはコスパ良く、賢く立ち回っているように見えるかもしれません。しかし、長期的に見れば、自らの可能性を狭め、理不尽に対する耐性を弱めているだけです。


「要するにどういうこと?」と安易に答えを求めず、複雑なものを複雑なまま引き受ける。 人とは完全には分かり合えないという前提のもとで、それでも対話を諦めない。 コントロールできない運の存在を認めながらも、泥臭く準備を続ける。


これからの時代、地域のビジネスでも個人のキャリアでも求められるのは、こうした「タフで地に足の着いた知性」なのだと、本書を通じて再確認することができました。


マーケティングや事業承継の現場でも、小手先のテクニックや「わかりやすさ」に逃げず、本質的な問いに向き合い続ける姿勢を大切にしていきたいと思います。ぜひ、皆さんも一度手に取って、ご自身の「頭のよさ」の定義を見つめ直してみてはいかがでしょうか。



HONEは地域に根ざし、現場に足を運ぶマーケティング会社です。


日本の地方には、魅力的な商品・サービスがたくさんあります。


地方に根ざしたブランドの志や文化、人々の誇りや営み。HONEはそうした人たちの想いを価値に変えるべく、現地に出向いてきました。 私たちは、文化と経済の「骨」を設計し、地域の「らしさ」を未来へつなげる仕組みを育てます。 論語と算盤。想いと仕組み。美学と実行力。 その両立を、マーケティングの力で実装していきます。


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語られていない価値の「骨」を探す

商品や地域の中にある「想い」や「背景」は、まだ言語化されていないだけかもしれない。 それらを丁寧にすくい上げ、ブランドの芯として翻訳します。 見落とされがちな隠れた価値に役割を与えることが、事業の骨格をつくるはじまりです。


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戦略も仕組みも、現場を歩き、対話することから始まります。 地形、歴史、空気、人の言葉やまなざし。デスクリサーチでは捉えきれない情報を五感で受け取り、定量と定性、論理と情緒、ロマンとそろばんを掛け合わせて、設計に落とし込みます。


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戦略設計から実行〜検証まで。経営課題の整理から、現場を動かす具体的な仕組みづくりまでを、一貫して支援します。リサーチ・企画・実装・振り返りのすべてに伴走し、商品・サービスの価値を再定義しながら、現場に根づく事業を共につくります。目指すのは、短期的な成果だけでなく、文化が息づき、長く続く事業と地域のかたちです。


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04/産学官連携

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制約が多いからこそ、その土地に根ざした価値を継続し、文化や人々の想いを循環させていくための工夫が欠かせません。マーケティングの論理をそのまま持ち込むのではなく、人肌を大切に、想いを大切に、未来へとつなげていく。実装力と創造力を備えた「地方のマーケティング」が必要です。


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地方に必要なのは、「地域理解」


こうした現場においてまず必要なのは、「何をどう売るか」よりも先に「この地域には何があるのか」「何を残していきたいのか」を知っていく姿勢。つまり「地域理解」です。ブランド構築の土台を固めるには各レイヤーごとに把握すべきポイントを理解することが重要です。


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【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。

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