新規事業のアイデアをカタチにするためには、コンセプトが必要です。
しかし、コンセプトとは何か、どのように作れば良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、新規事業コンセプトの作り方を、フレームワークと実践方法を交えて分かりやすく解説します。
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目次
キャッチコピーではない
アイデアではない
テーマではない
新規事業コンセプトと事業計画の違い
新規事業コンセプトを明確にするメリット
顧客視点で考えるコンセプトとは
3C分析を用いた言語化
顧客インサイト
ビジネスコンセプトを言語化
コンセプトハウスを用いたコンセプトライティング
作成したコンセプトを定量・定性調査
コンセプトとは
新規事業を始めるにあたって、「コンセプト」という言葉は頻繁に耳にするでしょう。しかし、その意味を正しく理解し、適切に設定できているでしょうか。漠然としたイメージで捉えがちですが、実は明確な定義があります。ここでは、コンセプトとは何か、混同しやすい概念との違いを明確にしながら、その本質に迫ります。
キャッチコピーではない
コピーは事業を魅力的に伝えますが、コンセプトは事業そのものを示します。
コンセプトとキャッチコピーの違いをご存知でしょうか。
キャッチコピーは、商品やサービスの魅力を端的に表現した広告表現であり、消費者の購買意欲を高める目的で作ります。一方、コンセプトは事業の核となる考え方であり、方向性を示すのが目的です。
キャッチコピーはあくまでも表面的な表現であるのに対し、コンセプトは事業の根幹を支える深層的な概念と言えるでしょう。
アイデアではない
コンセプトは着想で終わらず、顧客に対する価値を言葉にします。
斬新なアイデアは新規事業の出発点となりますが、アイデアだけでは事業として成立しません。
アイデアはあくまでも着想の段階であり、具体的な形を持たない抽象的な状態を含みます。一方、コンセプトはアイデアを具体化し、事業の骨格を形成するもの。アイデアを顧客視点で掘り下げ、市場におけるニーズと結びつけることで、初めてコンセプトが生まれるのです。例えば、「移動で音楽を聴く」というアイデアは、iPodという具体的な製品と、その製品が提供する利便性や体験価値を包含したコンセプトによって、初めて市場に受け入れられました。数多くのアイデアの中から、市場で成功する可能性のあるものを選び抜き、コンセプトとして磨き上げる必要があります。
テーマではない
テーマはお題、コンセプトは答えです。
テーマは、事業が扱う領域や分野を示すものであり、コンセプトよりも広い概念と言えます事業の方向性を示唆するものではありますが、具体的な行動指針を示すものではありません。
一方、コンセプトはテーマを具体化し、事業の独自性を際立たせるものです。テーマが「健康」であれば、コンセプトは「パーソナルな健康管理」や「予防医療」など、立場に沿ってより具体的な切り口になるでしょう。テーマはあくまでも出発点であり、コンセプトによって初めて事業の独自性や価値が明確になります。テーマを絞り込み、顧客ニーズや市場動向を踏まえることで、競争優位性のあるコンセプトを構築することが重要です。
説明 | 例 | |
コンセプト | 事業の核となる考え方、事業全体の方向性を示すもの | ユニクロ:LifeWear |
キャッチコピー | 商品やサービスの魅力を端的に表現した広告表現 | ユニクロヒートテック:あったかいは力だ |
アイデア | 着想の段階であり、具体的な形を持たない抽象的なもの | 移動で音楽を聴く 手軽に写真や動画を共有する |
テーマ | 事業が扱う領域や分野を示す広い概念 | 教育、健康 など |
これらの違いを理解することで、初めて効果的なコンセプトメイキングが可能になります。
新規事業コンセプトの重要性
新規事業を立ち上げる際に、綿密な事業計画の策定は不可欠です。しかし、事業計画の前に、その事業の根幹となる「コンセプト」を明確にすることが、成功への重要な一歩となります。
事業計画は、そのコンセプトを実現するための具体的な方法を示すものであり、コンセプトが不明確なまま事業計画を進めてしまうと、方向性を見失い、資源を無駄にするリスクが高まります。
新規事業コンセプトと事業計画の違い
新規事業コンセプトと事業計画は、どちらも新規事業立ち上げには欠かせない要素ですが、それぞれ役割が異なります。
新規事業コンセプトは、事業の目指す方向性を一言で表現したものです。顧客にどのような価値を提供するのか、どのような課題を解決するのか、といった事業の本質を簡潔に示す必要があります。いわば、事業の羅針盤と言えるでしょう。
一方、事業計画は、コンセプトを実現するための具体的な行動計画です。ターゲット市場、マーケティング戦略、販売計画、財務計画など、事業の運営に必要なあらゆる要素を詳細に記述します。
コンセプトという目的地へ到達するための道筋を示す地図のような役割を果たします。
新規事業コンセプト | 事業計画 | |
目的 | 事業の目指す方向性を定義 | コンセプトを実現するための具体的な方法を定義 |
内容 | 事業の価値、顧客への提供価値、解決すべき課題などを簡潔に表現 | 市場分析、マーケティング戦略、販売計画、財務計画など |
作成時期 | 事業計画策定前 | コンセプト確定後 |
重要性 | 事業の羅針盤として、方向性を定める | コンセプトを実現するための道筋を示す |
新規事業コンセプトが明確でないと、事業計画が場当たり的なものになりやすく、市場のニーズを捉えきれずに失敗するリスクが高まります。また、チームメンバー間で認識の齟齬が生じ、意思統一が難しくなる可能性もあります。
そのため、コンセプトを時間をかけてしっかり練り上げるのが重要となります。
新規事業コンセプトを明確にするメリット
事業の方向性が明確になり、一貫した戦略を展開できる
市場のニーズを的確に捉え、顧客に響く価値を提供できる
投資家や金融機関からの資金調達をスムーズに進められる
社内での合意形成が容易になり、チーム一丸となって事業に取り組める
効果的なマーケティング活動により、顧客獲得を促進できる
新規事業の成功確率を高めるためには、事業計画だけでなく、その土台となる新規事業コンセプトをしっかりと確立すると良いでしょう。
顧客視点で考えるコンセプトとは
新規事業を成功させるためには、顧客視点でコンセプトを考えましょう。顧客のニーズやウォンツを的確に捉え、彼らが本当に求めている価値を提供するコンセプトでなければ、市場で受け入れられません。顧客視点のコンセプト作りは、事業の持続可能性を高める上でも重要な要素となります。
3C分析を用いた言語化
顧客視点のコンセプトを明確に言語化するために、3C分析は有効なフレームワークです。3C分析とは、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの要素で、市場における自社の立ち位置を把握し、成功要因を導く分析手法です。
コンセプトメイクでは、これらを接続詞でつなぎ最終的にConceptを導きます。
要素 | 分析内容 | コンセプトメイク |
Customer(顧客) | インサイト、ニーズ、ウォンツ、購買行動、属性、ライフスタイルなど | ユーザーが困っている |
Competitor(競合) | 強み、弱み、戦略、市場シェア、価格設定など | 誰も助けない |
Company(自社) | 強み、弱み、資源、技術力、ブランドイメージなど | 私たちが手を差し伸べることができる |
顧客インサイト
顧客インサイトとは、顧客自身も気づいていない潜在的なニーズや欲求です。人は、本音を避けたり、自覚していなかったり、潜在的な欲求が言葉として表出することはほとんどありません。
顧客インサイトを捉えれば、顧客にとって真に価値のある、革新的なコンセプトを生み出せます。ここで重要になるのは、顧客インサイトを探るために顧客の行動や発言の観察と、その背後にある心理や動機の理解です。
ビジネスにおける顧客インサイトを定義するならば「まだ満たされない欲求」と表現することができます。「共感」と「発見」がある「言われてみらた、そうかも!」を言語化していきます。
新規事業コンセプトを作る方法
ビジネスコンセプトを言語化
ビジネスコンセプトとは、事業の目的や提供価値、ターゲット顧客などを簡潔に表現したものです。 これを言語化できれば事業の方向性を関係者間でブレることなく共有できます。
ターゲット顧客 | 誰に向けてサービスを提供するのか |
提供価値 | 顧客にどのような便益を提供するのか |
独自性 | 競合他社との差別化ポイント |
これらの要素を盛り込み、簡潔で分かりやすい文章にまとめます。
コンセプトハウスを用いたコンセプトライティング
コンセプトハウスとは、事業コンセプトを体系的に整理するためのフレームワークです。
コンセプトハウスを活用することで、顧客視点に基づいた、より具体的で訴求力のあるコンセプトを構築できます。
作成したコンセプトを定量・定性調査
コンセプト作成後は、定量・定性調査をおすすめします。コンセプトと顧客ニーズとの適合性を検証するのです。
定量調査では、アンケートなどを用いて、ターゲット顧客層におけるニーズの有無や、コンセプトへの共感度などを数値化します。
定性調査では、インタビューやグループインタビューなどを用いて、顧客の潜在的なニーズや、コンセプトに対する具体的な意見や感想を深堀りします。
これらの調査結果により、コンセプトの改善点や修正点を洗い出し、より市場に受け入れられるコンセプトへブラッシュアップできます。実地調査でコンセプトの妥当性を検証し、必要に応じて修正を加えるのは、新規事業の確度を上げるためにも重要です。
HONEではコンセプト作成をワークショップ形式でサポートします。
新規事業コンセプトの評価とブラッシュアップ
優れた新規事業コンセプトは、市場のニーズを捉え、競合優位性を持ち、実現可能性が高いものです。
①フィードバックの収集と改善
コンセプトの評価は、自分たちだけで行うのではなく、様々な立場からフィードバックを得るべきです。多角的な視点を取り入れ、コンセプトの盲点や改善点を発見し、より精度の高いものへとブラッシュアップできます。
社内からのフィードバック
まずは社内の関係者からフィードバックを集めましょう。異なる部署のメンバーや、経営層、現場の担当者などからの意見を集めましょう。例えば、営業部門からは市場における競合状況や顧客のニーズに関する情報が得られるでしょうし、開発部門からは技術的な実現可能性や課題について貴重な意見が得られるはずです。
社外からのフィードバック
潜在顧客や業界の専門家など、社外のステークホルダーからの意見は、市場におけるコンセプトの受容性を測る上で貴重な情報源となります。 顧客へのヒアリングやアンケート調査、専門家へのインタビューなどを実施し、市場のニーズや競合との差別化ポイント、実現可能性などを検証しましょう。
フィードバックの分析と改善
肯定的な意見だけでなく、否定的な意見や疑問点にも真摯に耳を傾け、改善すべきポイントを明確にしましょう。
また、実現可能性に課題があると指摘された場合は、技術的な解決策を探るか、コンセプト自体を修正する必要があるかもしれません。フィードバックの内容を元に、コンセプトのどの部分をどのように修正するべきか具体的に検討し、ブラッシュアップを繰り返します。これにより、市場に受け入れられやすい、実現性の高いコンセプトへと磨き上げていきます。
②定量・定性調査
フィードバックに加えて、市場調査やデータ分析による定量・定性調査も有効です。
市場規模や成長性、競合状況、顧客のニーズや行動などを分析できれば、コンセプトの妥当性や市場におけるポテンシャルを客観的に評価できます。
調査方法 | 目的 | メリット | デメリット |
アンケート調査 | 顧客のニーズ、満足度、購買意欲などを把握 | 多くのデータを集められる、統計的に分析できる | 質問内容に偏りが出やすい、回答率が低い場合もある |
グループインタビュー | 特定のテーマについて、参加者同士の意見交換を通して深い洞察を得る | 多様な意見を集められる、新たな視点に気づける | 参加者の選定が重要、時間と費用がかかる |
データ分析(市場データ、競合データなど) | 市場動向、競合状況、顧客行動などを分析 | 客観的なデータに基づいた分析が可能 | データの解釈が難しい場合もある、最新の情報ではない場合もある |
新規事業のコンセプト まとめ
新規事業の成功には、顧客視点に基づいた明確なコンセプトが不可欠です。この記事では、コンセプトとは何か、その重要性、そして具体的な作成方法について解説しました。コンセプトは、キャッチコピーやアイデア、テーマとは異なり、事業の核を示します。事業計画書を作成する前に、まずコンセプトを固め、その後の計画立案や実行がスムーズに進めましょう。
市場調査や顧客理解を怠らず、綿密に練り上げたコンセプトこそが、新規事業成功の鍵となるはずです。
マーケティング研修にてコンセプトワークを提供しています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【記事を書いた人】
株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。
※本記事は一部AIを活用して執筆しています。
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