「なぜそれなの？」に答えられるコンセプトの考え方

桜井貴斗
5月20日
読了時間: 9分

様々な現場で「コンセプトは？」と聞かれたとき、うまく言葉にできず戸惑った経験はありませんか？なんとなく良さそうだから選んだ形や色。でも「なぜそれなのか？」と問われると、説明に詰まってしまう。

本記事では、そんな悩みを抱える方に向けて、他人に伝わるコンセプトを組み立てるためのヒントを紹介します。

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なぜコンセプトが必要なのか？
- 方向性を決定する判断基準になる
- チームやクライアントとの共通言語になる
- 事業の一貫性や説得力を生み出す
他人に伝わるコンセプト設計の3ステップ
- ステップ1：対象や目的を明確にする
- ステップ2：観察やリサーチから意味を抽出する
- ステップ3：形や言葉に落とし込む
言語化のヒントを紹介
- 感覚や直感を「なぜ？」で掘り下げる
- 「誰に、何を、どう届けるか」を考える
- 伝える相手を想定して言葉を選ぶコツ
コンセプトの3点整理法　
まとめ
HONEのサービスについて

なぜコンセプトが必要なのか？

コンセプトは、プロジェクトや製品の方向性を決定する重要な要素です。ここでは具体的になぜコンセプトが必要になっていくのかを説明していきます。

方向性を決定する判断基準になる

コンセプト＝デザインやプロジェクトの方向性を決定する際の重要な判断基準

具体的には、コンセプトが明確であると、さまざまな選択肢の中から何を選ぶべきかを容易に判断できるようになります。

例えば、商品開発においては、ターゲットとなるユーザー層や市場のニーズを考慮したコンセプトがあれば、機能やデザイン、価格帯などの具体的な要素を決定する際に、迷いが少なくなるのです。最終的に、コンセプトはプロジェクトの成功に直結します。明確なコンセプトがあれば、クライアントや関係者に対しても説得力のあるプレゼンテーションが可能となり、信頼関係が築けるでしょう。

チームやクライアントとの共通言語になる

コンセプト＝チームやクライアントとのコミュニケーションにおいて重要な役割

プロジェクトメンバーが異なる背景や専門知識を持っている場合、意見の食い違いや誤解が生じやすくなりがちです。

そこで、デザインの方向性やマーケティング戦略について話し合うとき、コンセプトを共有していれば、各自の意見がより具体的で一貫性のあるものになります。クライアントが求める結果や価値を理解し、それに基づいたコンセプトを共通認識として持っていれば、メンバーとのコミュニケーションがスムーズになり、より良い成果を創出できるでしょう。

事業の一貫性や説得力を生み出す

コンセプト＝事業の一貫性を保つための重要な要素

明確なコンセプトがあれば、企業のビジョンやミッションが一貫して伝わり、ブランドのアイデンティティが強化され、顧客はブランドに対する信頼感を持ちやすくなり、リピーターの獲得につながります。コンセプトは単なるアイデアに留まらず、事業全体の方向性を示す指針となります。したがって、コンセプトをしっかりと設計し、それを実践にどう活かすかが事業の成否を左右すると言えるでしょう。

他人に伝わるコンセプト設計の3ステップ

コンセプトを他人に伝えるためには、明確な設計が不可欠です。ここでは、効果的なコンセプト設計のための3つのステップを紹介します。

ステップ1：対象と目的を明確にする

コンセプトを設計する第一歩は、あなたが何を伝えたいのか、どのようなメッセージを届けたいのかをはっきりさせる必要があります。それによりコンセプトの方向性が決まり、後のステップでの判断基準になるからです。

例えば、特定の顧客層やユーザーグループを意識すれば、彼らのニーズや期待に応えるコンセプトが生まれます。販売促進、ブランド認知の向上、顧客満足度の向上など、明確な目的があれば、コンセプトはより具体的になります。

「誰に対してこのコンセプトを提案するのか？」「その人たちに何を伝えたいのか？」「最終的にどんな結果を望んでいるのか？」といった問いを通じて、思考を深めていきましょう。

ステップ2：観察やリサーチから意味を抽出する

対象となる市場や顧客のニーズ、競合の動向などを調査します。的確なコンセプトを見出すには、思い込みではなく事実から出発することが重要です。市場、ターゲット、競合をよく観察し、「本当に必要とされているもの」を探りましょう。リサーチには、データ収集やインタビュー、アンケートなど様々な手法があり、ターゲットとなるユーザーが何を求め、どのような問題を抱えているのかの模索が求められます。また、他社が提供している価値や特徴を理解すると、自社の強みを際立たせるためのヒントが得られるでしょう。

こうした調査から得られる「共通する言葉・感情・課題」は、後のコンセプト表現の軸になります。

ステップ3：形や言葉に落とし込む

コンセプトを明確にした後は、それを具体的な形や言葉に落とし込む段階に進みます。抽出した意味やアイデアを視覚的または言語的な表現に変換しなければなりません。

1. 形に関して（ビジュアル表現）

・デザインやプロトタイプによってコンセプトを具現化する

・抽象的なアイデアを具体化すると、他者に伝わりやすくなる

2. 言葉に関して（言語的表現）

・コンセプトを簡潔かつ明確に伝えるフレーズやスローガンを考える

・ターゲットに響く言葉選びが重要

・感情や価値観に訴える表現を意識する

・ポジティブなイメージや共感を呼ぶ言葉を使うと、魅力がより伝わる他者に伝わる具体的なメッセージを創出でき、コンセプトの理解と受け入れを促進します。

言語化のヒントを紹介

コンセプトを他人に伝えるためには、その内容を言語化しなければなりません。

しかし、どのようにして自分の考えを効果的に表現するかは、意外と難しいものです。ここでは、言語化のプロセスをスムーズに進めるためのヒントをいくつか紹介します。

感覚や直感を「なぜ？」で掘り下げる

私たちの中には、何かを感じたり、直感的に選んだりする瞬間があります。「なぜ？」を使うと、自分の感覚や直感の背後にある理由や根拠を掘り下げられるのです。例えば、特定の色や形を選んだ理由を考えると、その選択がどのような感情や印象を引き起こすのかを理解する手助けになります。このプロセスを通じて、自分自身の思考を整理し、より明確なコンセプトを形成できるようになるでしょう。また、「なぜ？」という問いかけは、単に自分の感覚を掘り下げるだけでなく、他人とのコミュニケーションにも重要です。自分の選択の理由を説明すると、相手に自分の考えを理解してもらいやすくなります。これにより、チームやクライアントとの関係が深まり、より一貫したコンセプトを築くための基盤が整います。

「誰に、何を、どう届けるか」を考える

ターゲットとなる受け手を特定し、彼らに対してどのような価値を提供するのかを明確にしていきます。

・「誰に」伝えるか（ターゲットの設定）

具体的なターゲット層を定める

年齢、性別、趣味、ライフスタイルなどの詳細なプロフィールを描く

受け手のニーズや欲求を把握しやすくなる

・「何を」伝えるか（提供する価値の明確化）

商品やサービスの特性・利点を整理する

受け手にとっての価値を明確にする

「なぜ選ばれるべきか」を示す

・「どう届けるか」（伝え方・媒体の工夫）

最適なメッセージの伝え方や媒体を選定する

受け手に響く方法で情報を届ける

コンセプトの効果的な伝達につながる

「誰に、何を、どう届けるか」を考えると、複雑なフレームワークを使うよりもシンプルにコンセプトを見いだせると思います。

伝える相手を想定して言葉を選ぶコツ

相手のバックグラウンドや興味、知識レベルを考慮すると、より効果的な言葉選びが可能になります。

例）

専門家→業界用語や具体的なデータを用いる

一般の人々→専門用語を避けてシンプルで分かりやすい表現

相手の感情に訴える言葉の選定も重要です。感情に響くメッセージは、記憶に残りやすく、共感を得やすくなります。

例えば、ターゲットが抱える悩みや願望に寄り添った言葉を使うと、より強いメッセージを伝えられるのです。対話がスムーズになり、相手との信頼関係を築く一助となります。

コンセプトの3点整理法

コンセプトの解像度を上げる方法のひとつ、「3点整理法」をご紹介します。これはコンセプトを明確にするためのフレームワークで、以下の3つの要素で構成されています。

顧客が
誰に向けたものか、つまりターゲットとなる顧客を明確にします。
目的のために
その顧客が達成したい目的や解決したい課題を特定します。
役割を担う
提供する商品やサービスが、顧客の目的達成のためにどのような役割を果たすのかを定義します。

この3点整理法を用いることで、コンセプトを「誰に」「何のために」「どのように」提供するのかを明確にし、伝わりやすいメッセージを構築することが可能になります。

【出典源】コンセプトの教科書あたらしい価値のつくりかた | 細田高広 |本 | 通販 | Amazon

まとめ

本記事では、「なぜそれなの？」という問いに答えられるコンセプトの考え方について、さまざまな視点から解説しました。コンセプトは、ただのアイデアではなく、事業やプロジェクトの核となる重要な要素です。この記事で紹介した方法を参考に、自分自身のコンセプトを明確にし、他者に伝わる形での表現に挑戦してみてください。