POP・POD・POFとは?「なぜ選ばれるのか」「なぜ選ばれないのか」を言語化する。
- 桜井 貴斗
- 2 日前
- 読了時間: 7分

いきなりですが、みなさんお商品・サービスは、「なぜ選ばれるのか」を明確に説明ができますか?
マーケティングを考える上でポイントとして挙げられる「差別化」や「独自性」ですが、それらを追い求めるあまり、見落としがちなのが「選ばれる最低限のラインはどこか」と「選ばれない理由」です。
マーケティング現場で役立つ整理考え方である、POP(Point of Parity)/POD(Point of Difference)/POF(Point of Failure)の意味を紐解き、ブランドや商品の“選ばれる構造”を解説します。
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目次
POP・POD・POFとは?──“選択”の構造を見える化する3軸
POP(Point of Parity):選ばれない理由にならない条件──“土俵に上がるための前提”
POD(Point of Difference):選ばれる理由──“違い”を“価値”に変える
POF(Point of Failure):選ばれない理由──“信用が壊れる瞬間”
POP・POD・POFとは?──“選択”の構造を見える化する3軸
まず、POP・POD・POFの用語解説からしていきましょう。それぞれは以下のような意味合いを持っています。

POP(Point of Parity):比較時に最低限満たすべき条件
POD(Point of Difference):他と違う、選ばれる理由
POF(Point of Failure):選ばれない明確な理由
それぞれの意味合いを以下の通り解説していきます。
POP(Point of Parity):選ばれない理由にならない条件──“土俵に上がるための前提”
POPは顧客が比較対象を選ぶときに「これがないと選択肢に入らない」と感じる前提条件のことです。まず、ここが抜けていると、POD をいくら注力してもそもそも検討対象になりません。
▶ BtoBの場合
SaaSプロダクトで「UIが難解で次に進めない」「導入サポートが手厚くない」などの事象が起きると、検討リストから外れます。分かりやすさ・セキュリティ・安定性・カスタマーサクセス体制など、“安心して検討できる”基礎条件がPOPとなります。
HONEの視点:POPは営業資料では語られない“安心の前提”。PODを活かすにはPOPを整えることが第一歩。
▶ D2Cの場合
オンラインでの購入が一般化する今、「配送が遅い」「返品が面倒」「支払い方法が少ない」などの不備は、POP欠如の典型と言えます。どんなに商品が魅力的でも、「買いにくい」「届かない」は選ばれない理由になります。
HONEの視点:POPは「購入前に離脱しない体験設計」。“選ばれる”以前に、“選ばれない”条件を考え整えよう。
▶ 地域の観光地・地域ブランドの場合
観光や物産品の場合、「アクセスしづらい」「棚に置いていない」「支払いが現金のみ」「情報が更新されていない」などは、いずれもPOPの欠如と言えます。最低限の利便性がなければ、POD(独自の魅力)が届く前に離脱されてしまいます。
HONEの視点:POPは「まず、手(または足)を伸ばしたいと思ってもらえるか」の体験設計。魅力を届けるには、まず入口を整える。
POD(Point of Difference):選ばれる理由──“違い”を“価値”に変える
PODは、他社との差異を顧客にとってのメリットに変換したもの。ただし、ただ「ユニークであること」だけではありません。顧客が「それがあるから選ぼう」と感じる理由に落とし込むことが肝となります。
▶ BtoB(法人サービス)の場合
サイバーセキュリティ企業の場合。機能や検知精度だけでは差別化が難しい市場ですが、「導入後のセキュリティ教育支援」や「経営層が理解できる可視化レポート」など、“運用しやすさ”や“社内説明のしやすさ”をPODに設定することで、「ツール」ではなく「伴走するパートナー」として選んでもらう理由を生み出せます。
HONEの視点:“差別化”はプロダクト単体ではなく、「顧客組織の課題をどう解決するか」という構造で設計しよう。
▶ D2C(生活者向けブランド)の場合
機能や価格ではなく、ブランドが提案する「意味」や「姿勢」がPODになります。
たとえば、サステナブル素材を使ったスキンケアブランドでは、単に「環境に良い」だけでなく、「肌に使うものが、地球にも優しい」という一貫した倫理の美しさが選ばれる理由になっています。
HONEの視点:PODはスペックではなく、「自分ごと化されるストーリー」として設計すると強い。
▶ 地域の観光地・地域ブランドの場合
昨今、地域特産品では「希少性」や「産地の歴史」だけでは選ばれにくくなっています。たとえば、静岡のお茶ブランドが「農家の顔が見える」「茶葉の香りを生かした焙煎体験」「料理とペアリングできるお茶体験」など、“飲む前から感じるストーリー”を届けられると、それがPODになります。
HONEの視点:地域ブランドは「どこで作られたか」ではなく、「どんな世界観を共に味わえるか」を提示しよう。
POF(Point of Failure):選ばれない理由──“信用が壊れる瞬間”
POF は顧客が即座に選択肢から外すきっかけになる要素です。PODとPOP が整っていたとしても、ひとつの致命的な欠点で信用を失うことになります。
▶ BtoBの場合
BtoBでは、「サポートの遅れ」「トラブル対応の不誠実さ」など、信用の崩壊点がPOFになります。特に契約型ビジネスでは、たった一度の対応で「二度と契約しない」と判断されます。
HONEの視点:POFは「失敗」ではなく「信用喪失」。顧客が“リスクを感じた瞬間”を洗い出そう。
▶ D2Cの場合
たとえばSNSで「実物が写真と違う」「サイズ感が違う」といった声が広がると、それらのネガティブな声はPODを打ち消すPOFになります。ブランド体験と実物のギャップは、“裏切られた感”を生む最たる要素です。
HONEの視点:POFは「嘘っぽさ」。ビジュアル・文言・実物の整合性を徹底することが信用の第一歩。
▶ 地域の観光地・地域ブランドの場合
地域観光地の場合、「写真と現地が違う」「混雑しすぎて楽しめなかった」などの期待との不一致がPOFとなります。また、地域住民とのトラブルや現地での不快な接客も「もう行かない」理由になります。
HONEの視点:POFは“がっかり”の構造。観光客と地域双方が心地よい体験をデザインすることが持続性の鍵。
まとめ
以上が、
POP(Point of Parity):比較時に最低限満たすべき条件
POD(Point of Difference):他と違う、選ばれる理由
POF(Point of Failure):選ばれない明確な理由
の定義となります。
まず、自社ブランドまたは自社のカテゴリー(業界)のPOP・POD・POFを調査し、言語化をしてみることから始めてみてはいかがでしょうか?
どんなブランド・商品・サービスであっても、「選ばれる理由」「選ばれない理由」があります。まずはここの理解から始めてみましょう。

また、差別化ばかりを追っても、見向きもされないことがあります。POP・POD・POFの視点で言語化すると、入口・比較軸・信用崩壊点が一覧で見えるようになります。
HONEが提案したいのは、“違いをつくること”だけではなく、“選ばれる理由を設計すること”です。
まずはチームで POP/POD/POF を整理し、そのうえで、言葉・表現・体験設計を練ることで、はじめて「価値」が顧客に伝わると思っています。

HONEのサービスについて
当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。
大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。
学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。
誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。
地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。

私がこれまで会得してきた知識・経験を詰め込んだ「3つのサービスプラン」をご用意しており、お悩みや解決したい課題に合わせてサービスを組んでいます。ご興味のある方は、ご検討いただければと思います。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【記事を書いた人】

株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。