【セミナーレポート】ブランドの独自性をつくりかた |バリュープロポジションの本質とは
- 彩織 綿井
- 4 日前
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更新日:4 日前

マーケティングにおいて重要な概念の一つ、バリュープロポジション。これは、自分だけの強み「独自性」のことを指します。
この概念を知ってはいても、その本質的な意味や、具体的な策定プロセスまで理解されている方は少ないかもしれません。
今回の記事では、バリュープロポジションのHONEセミナーをレポートするとともに定義から事例紹介まで、マーケティング初学者の方でもわかりやすいように解説をしていきます。
ぜひ、現場の参考にしてみてください。
\セミナー動画も公開しています/
【講師情報】

株式会社HONE / Astlocal株式会社
代表取締役 桜井 貴斗
「地方に骨のあるマーケティングを実装する。」をミッションに、全国の地域企業を支援。現場主義と独自フレームで、伝統と市場をつなぐマーケティング実践者。
株式会社HONEでは過去のセミナー資料、お役立ち資料、会社紹介資料がダウンロードできます。
バリュープロポジションとは
バリュープロポジションとは 自社の強みを明確に言語化し、他にはない「独自の価値」を高めるための行動指針を決めることです。

マーケティングにおいて、バリュープロポジションが必要な理由は、 マーケティングの基本である「誰に・何を・どうやって」という3つの軸、特に「何を(What)」の設計に欠かせないからです。

例えば、スターバックスとセブンイレブンは同じ「コーヒー」という商品でも、価格は異なります。
それでも双方が選ばれるのは、消費者が感じる「価値」のポイントが全く違うからです。

つまり、独自性こそが、価格競争に巻き込まれない「優位性」を生み出します。
バリュープロポジションを通じてこの独自性を見つけ出し、マーケティング活動に活かすことが重要です。
ブランドからみるバリュープロポジションの例
抽象的な概念をより深く理解するために、ここからは具体的なブランドのバリュープロポジション事例を紐解いていきます。
スターバックスのバリュープロポジション

スターバックスは単なるコーヒー屋ではなく、空間や接客を含めた体験全体を価値として提供しています。
1. 顧客が求めていること
ほっとする場所が欲しい
気取らない自分でいたい
おしゃれな空間を楽しみたい
2. スターバックスが提供できること
フレンドリーな接客
くつろげるインテリア
リラックスできる空間
上記の「顧客の望み」と「スターバックスの強み」が重なる部分、つまり競合にはない独自の提供価値は以下の通りです。
「商品・サービス・空間を通して、ほっとできるひとときを提供する」
接客、サービス、インテリアデザインまで含めた「空間そのもの」が、スターバックスのバリュープロポジションとなっています。
HONEのバリュープロポジション

HONEは単なるマーケティング代行会社ではなく、「地域やブランドの価値を高めるプロセス全体を、自走できるまで伴走支援すること」を価値として提供しています。
一般的なマーケティング会社が「ノウハウの提供」や「作業代行」を強みとするのに対し、HONEは以下を強みとしています。
一気通貫のサポート: 戦略(上流)から戦術(手を動かす実務)までを一貫して支援する。
自走・自立の促進: 最終的にクライアントが自分たちで運用できるようになる「自立実装」を目指す。
地域・ブランドの価値向上: 単に売るだけでなく、その地域やブランドの価値そのものを高めるプロセスを支援する。
そのために、現地に足を運び、膝を突き合わせて対話を行うことも大切にしていますし、単なる作業代行ではなく、セミナーや研修事業を通じて地域への活動や自立自走の支援もしています。
バリュープロポジションの事例紹介「ブロッコリーの商品開発」
弊社が過去に携わった、ブロッコリーを「誰に、どう売るか」を再定義し、販路で差別化を図った事例紹介です。

バリュープロポジション策定の事前リサーチ
▼市場背景と課題
状況:ブロッコリー農家が増加しているが、販路がなく売上が見込めない。
課題:誰に売るのか、どのような価値を売るのか決まっていない。
市場:ブロッコリー市場は拡大中だが、スーパーの売り場は「緑一色」でどれも同じに見える。トマトのような品種による差別化が進んでおらず、目立たない状態。
オフライン(スーパーマーケット)の流通網を持っている。
▼ターゲット選定のプロセス
当初の仮説であった筋トレ層を除外し、スーパーを利用する「自炊層」に絞り込みました。
× 筋トレ層
栄養重視のため、格段に安い「冷凍ブロッコリー(海外産)」を選ぶ。
ジム近くのコンビニや弁当を利用し、スーパーにはあまり行かない。
味よりもコストと手軽さを最優先する。
○ 自炊・時短層
スーパーマーケットで買い物をする(JAの販路と合致)。
調理の手間を減らしたい、洗い物を増やしたくないというニーズがある。
栄養価は気にしつつ、生鮮食品の美味しさも求めている。
導き出されたバリュープロポジション
上記の市場・競合・ターゲット調査で導いたバリュープロポジションは、「袋のままレンジで3分。洗わず、包丁も使わず、すぐに食卓に出せる国産ブロッコリー」
競合(他の農家・農業法人)が「顔が見える安心感」や「株の大きさ」で勝負する中、上記の価値を定義しました。
この事例のポイントは、4P(商品、価格、 販路,、プロモーション)のどこに独自性を持たせるかを見極めたことです。
今回は「商品」と「販路」を掛け合わせることで独自のポジションを築きました。
製品・パッケージ
蒸気口付きパッケージ: 袋のままレンジ加熱が可能(栄養残存率も高い)。
手間なし: 洗わず、包丁を使わずに食べられる手軽さ。
デザイン: アフロヘアのお姉さんのイラストを採用し、緑一色の売り場でパッと目を引くデザインに。
販路
EC(通販)や加工食品(サプリ等)にはせず、JAの強みである「地元のスーパーマーケット」に特化した。
「むき出し販売」ではなく袋入りにすることで、ビニールに入れる手間を省き、手に取りやすくした。
結果、スーパーの売り場で埋もれず、視認性が高まり、「調理が楽」「洗い物が出ない」という明確なベネフィットが伝わり、購入につながりました。
まとめ
バリュープロポジションは、「何を売るか」ではなく「なぜそれが選ばれるのか」を明確にするための設計図です。自社の強みを一方的に掲げるのではなく、顧客が求めていることの重なりを見つけることが、ブランドの独自性をつくります。
スターバックスのように体験全体を価値として提供するブランドもあれば、ブロッコリーの事例のように販路と商品構造を掛け合わせて差別化するケースもあります。
大切なのは「自分たちが勝てる場所」で勝負することです。
HONEのサービスについて
当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。
学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。
誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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【記事を書いた人】

株式会社HONE
マーケター 綿井 彩織







