【最終回】売れる商品をつくるマーケティング実戦プログラム〜第6回 最終発表&アクションプラン策定編~
- 森勇人

- 2025年12月22日
- 読了時間: 8分

静岡市コ・クリエーションスペース「コクリ」にて開催されてきた、全6回の「売れる商品をつくるマーケティング実戦プログラム」。2025年秋からスタートしたこの熱いブートキャンプも、ついに最終回を迎えました。
講師を務める株式会社HONE代表の桜井は、「今日、フレームワークを完成させることが目的ではありません。ここから先、明日からどう動くか。その決意を固めるのが今日のゴールです。」と激励しました。
3ヶ月にわたり、自社の強み・顧客の深い悩み・市場の競合・そしてブランドの核となる「コンセプト」を問い続けてきた受講生たち。最終回では、これまでの学びを凝縮した「最終発表」と、明日への「アクションプラン」の策定が行われました。
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目次
「選ばれるきっかけ」を作る
代替手段としての競合
「手段」の裏にある「目的」を捉え直す
コロナ禍で証明された「ライブ・フェス」の代替手段
学びを「一本の線」に繋げる振り返り

最終ワークに入る前に、これまでの講義内容の総復習が行われました。特に重要視されたのが、前回深く掘り下げた「利用シーンの特定」と「戦術への落とし込み」です。
「選ばれるきっかけ」を作る
例えばハーゲンダッツなら、「1日の終わりのリラックスタイム」や「自分へのご褒美」といった具体的なシーンで思い出してもらえるよう設計されています。言われてみれば、私自身「ご褒美」としてのイメージが強く、日常的というよりは、頑張った後に購入しています。

桜井は、「皆さんのブランドも、どんな気分の時に思い出してほしいか、その入り口を定義することが重要です。」と話します。
項目 | 補足 |
Why(なぜ) | 顧客はなぜそのカテゴリーの商品・サービスを使うのか?どんな目的・ゴールを達成したいのか。 |
When(いつ) | その商品カテゴリーを購入・使用するのはいつか?(時間帯や曜日、週・月・季節のタイミング、平日か休日か等)。 |
Where(どこで) | そのカテゴリーの商品・サービスはどこで使用されることが多いか?(利用シーンとなる場所)。 |
While(どんな時に) | どんな行動をしている最中またはその前後に、そのカテゴリーのニーズが生まれるか? |
With/for Whom(誰と・誰のために) | 誰が購入し、誰が利用するのか?利用する時に一緒にいる人はいるか?あるいは誰かのために使うのか? |
With What(何と一緒に) | そのカテゴリーの商品・サービスと一緒に使われる他のカテゴリーはあるか?もしそれが使えない場合、代わりに何で対応するか? |
How (Feeling)(どんな気分で) | 利用する前はどんな気分や感情か?利用後にはどんな風に気分が変わるか?利用中にはどんな感情を抱くか? |
前回は、「W's Framework」を用いて、いつ、どこで、誰と、どんな気分の時に自社の商品が選ばれるのか、感情や状況を徹底的に言語化しました。
なぜ使うのか(Why)
いつ、どこで(When/Where)
誰と、どんな気分で(With whom/Feeling)
自分たちが戦うカテゴリーを決め、具体的な利用シーン(CEP)を特定すること。これができて初めて、顧客の頭の中に自社ブランドの席が確保されます。
代替手段としての競合
また、前回の講義では「業界内のライバル」だけでなく、「同じ目的を果たす別の手段」についても考えを巡らせました。 サウナに行く人は、単に熱い場所に行きたいだけでなく「二人きりの空間を味わいたい」と思っているかもしれません。
その場合、競合は他のサウナではなく、カフェや映画館になります。こうした「抑圧(不満)」や「代替手段」を理解することで、攻めるべきポイントがより明確になります。
これまでの「志(MVV)」から始まり、「市場分析」「ブランド設計」「コンセプト検証」を経て、前回の「具体的な利用シーンの特定」に至るまで。点だった知識が、ここで一本の戦略ストーリーとして繋がりました。
▼前回の様子はこちら!
顧客の「本音」に迫るデータの重要性

戦略を練る際、どうしても「自分たちはこう思っているはずだ」という主観が入りがちです。
例えば、1人で来る人とカップルで来る人では、目的が全く違います。誰と来たか、何にいくら使ったか。こうした「事実(ファクト)」をフラットに掴むことで、的外れな施策を防ぐことができます。既存客だけでなく、新規の方にアンケートを取ることも、市場を広げる上では非常に有効な資産になります。
「手段」の裏にある「目的」を捉え直す

ワークに入る前、桜井はマーケティングにおいて最も重要な視点の一つである「目的(Objective)と手段(How)」の関係性について語りました。
「顧客が求めているのは、商品そのものではなく、その先にある『目的』の達成です。ここを見誤ると、競合を見誤り、施策が的外れになってしまいます。」
その具体例として挙げられたのが、コロナ禍におけるエンタメ業界の変化です。
コロナ禍で証明された「ライブ・フェス」の代替手段

かつて、音楽ファンがライブやフェスに足を運ぶ大きな目的の一つは、「アーティストの一期一会な瞬間に立ち会いたい」というものでした。しかし、コロナ禍で集客イベントが禁止されるという事態に陥ります。
そこで台頭したのが、YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE(ファーストテイク)』でした。
目的: アーティストの緊張感や、一度きりのパフォーマンスを味わいたい
かつての手段: ライブ、音楽フェス
コロナ禍の手段: 一発撮りのYouTube映像、オンライン配信ライブ
桜井は、「ライブに行けないからといって、音楽を楽しむ目的が消えたわけではありません。目的が同じであれば、手段はデジタルや別の形に置き換わります。皆さんの事業も、顧客の『真の目的』を捉えていれば、環境が変わっても別の手段を提示できるはずです」と話しました。
最終発表
最終プレゼンテーションでは、各受講生が自社のブランドコンセプトを具体的な施策に落とし込んだ「4P戦略」を発表しました。今回は、静岡市で長年愛されるお弁当・給食メーカー、株式会社竹酔(ちくすい)様の発表をレポートします。
竹酔様は、今回のプログラムを通じて「作る人も食べる人も笑顔にする」というビジョンを再定義しました。これまでの「安くてお腹に溜まる弁当」というカテゴリーから脱却し、働く人のモチベーションも上げる「心の充足」を目的とした戦略へと進化させています。

【Product:商品】
「ランチに外出できないオフィスワーカー」をターゲットに、自分の席でくつろぎの時間を持てるお弁当を提案。
特徴: 冷凍食品や既製品に頼らず、彩り豊かな生野菜やメインディッシュを贅沢に盛り込んだ「晴れの日」のような特別感のある献立。
【Price:価格】
単なる価格競争に巻き込まれない設定を意識する。
考え方: コンビニ弁当などと比較されるのではなく、スターバックスでコーヒーを買うような「一息つくための投資」としての価値を感じてもらえる価格帯。
【Place:流通】
創業以来培ってきたBtoBのネットワークを最大限に活かす。
販路: 静岡県内の企業・役所への直接配送。個人の健康経営を意識する企業担当者(総務など)へのアプローチを強化。
新機軸: 「職場がカフェテラスに変わる」体験を提供するため、キッチンカーによる現地販売などの接点拡大も検討。
【Promotion:広告・販促】
苦手な広告面も、リアルとデジタルを最大限に活用する。今回の発表で最も注目を集めたのが、プログラム期間中に作成した「新しい箸帯」の実物披露でした。

デジタルへの架け橋: 箸帯にはSNSへ誘導するQRコードを印刷。お弁当を食べるその瞬間に、顧客とオンラインで繋がる動線を設計しました。
共存が市場を強くする

竹酔様の発表を受け、桜井は「ポジショニングの確立」の重要性を改めて話します。
安さを求める層、健康を求める層、心の癒しを求める層。市場には多様なニーズがあり、それらは共存しています。例えばお寿司業界でも、スシローのような回転寿司と、高級なカウンター寿司は共存しています。竹酔さんが「働く人の一息」という独自のポジションを築けば、安売り競争に加わる必要はなくなります。
大切なのは、ライバルを蹴落とすことではなく、自分たちがどの目的を果たす存在なのかを明確にし、それを正しく顧客に伝えること。そのための4Pであることを、参加者全員で再確認しました。
マーケティングは実行こそが最大の価値

3ヶ月、全6回にわたるブートキャンプはこれで幕を閉じました。 しかし、マーケティングに「終わり」はありません。
桜井は最後に受講生へエールを送りました。 「今日作ったアクションプランを、明日一つでも実行に移してください。動けば必ず反応(データ)が返ってきます。その繰り返しこそが、ブランドを強くしていきます。」
静岡の地から、顧客の目的に寄り添う素晴らしい商品やサービスが次々と生まれていく。そんな未来を想像できる、熱気あふれる最終回となりました。
HONEのサービスについて
HONEでは、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。
学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。
誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。
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インターン / マーケター見習い 森勇人
静岡生まれ、静岡育ち。 大学3年次、1年の休学をして全国36都府県を巡る。山形県西川町では3ヶ月の地域おこし協力隊インターンを経験。 復学後、ご縁があり株式会社HONEにてインターン/マーケター見習いとして奮闘中。









