【レポート】インサイトの見つけかた~人間理解から始まるマーケティング~
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更新日:2 時間前

「顧客のニーズに応えているはずなのに、なぜかヒットしない」「アンケートの声通りに改善したのに反応が薄い」。
よくある悩みですが、その原因は顧客自身も気づいていない「インサイト」を見落としているからかもしれません。
本記事では、先日開催されたウェビナー「インサイトの見つけかた」の内容を抜粋してご紹介します。インサイトを考えることの重要性や、どう見つけて実務に接続すべきかについて、私自身の視点も交えながら、紐解いていきます。
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インサイトとニーズ

「インサイト」という言葉は頻繁に使われますが、実際には「ニーズ」と混同されているケースも少なくありません。
ニーズ 消費者が自覚している欲求であり、言語化できるもの。アンケートで「こうしてほしい」と説明できる、いわば顕在化した欲求です。
インサイト 無意識の行動を支配している心理。本人が明確に自覚していないことも多く、体験後に「ああ、これが欲しかったのか」と腹落ちするようなものです。よく使われる「氷山モデル」でいえば、水面下に沈んでいる部分にあたります。
ヒアリングで出てくるのは、顕在ニーズです。
「若者を増やしたい」「観光客を呼びたい」「単価を上げたい」
しかし、これらはあくまで表層に過ぎません。本当に問うべきは、その奥にある葛藤や不安、あるいは守りたい価値です。そこに触れない限り、施策は対症療法に終わってしまいます。
「建前」と「本音」を理解する

ダイエット市場を例に考えてみましょう。
顕在ニーズは「痩せたい」ですが、その裏にあるインサイトは「(本音では)苦しい思いをせずに痩せたい」があるとします。
この場合、競合はジムではなく、サプリメントや特保のお茶になります。
カテゴリ選定においてインサイト理解が必要なのは、人は「商品カテゴリ」ではなく「欲求を満たす手段」を選んでいるからです。 カテゴリ定義を間違えると、競合も、訴求も、勝ち筋もすべてズレてしまいます。「私たちは何と競っているのか」を定義するためには、顧客インサイトの理解が欠かせません。
人は「建前」と「本音」のあいだで揺れ動いている


ユーザー心理は一枚岩ではなく、相反する欲求が同時に存在しています。
例えば、マクドナルドの事例。 アンケートでは「ヘルシーなメニューが欲しい」という声が集まりましたが、実際に大ヒットしたのは高カロリーな「クォーターパウンダー」でした。
「ヘルシーでありたい」と思う一方で、「背徳的なものを食べたい」とも願っています。どちらも嘘ではなく、どちらも本音です。
ではなぜ、アンケートにはヘルシー欲求が出やすいのでしょうか?
それはアンケートが「理想の自分」を語りやすい場だからです。「ヘルシー」は社会的に望ましく言語化もしやすい。一方で「理性を手放したい」という欲求は語りづらく、データに残りにくいのです。結果として、「語りやすい欲求」がデータに残り、「語りにくい欲求」が行動を決めるという現象が起こりえます。
「どの欲求が勝つか」を見極めること
意思決定を左右しているのは、欲求そのものよりも「文脈(コンテキスト)」とも言われています。
サラダマックが振るわなかったのは、ヘルシー欲求が間違っていたからではなく、それが優位になる「文脈」を見誤ったからです。逆にクォーターパウンダーは、「今日はがっつり満たされたい」という欲求が勝つ瞬間を的確に捉えていました。
マーケティングにおいてインサイトを捉える重要性は、「人間心理の葛藤を理解し、どの瞬間にどの欲求が勝つのか」を見極めることにあるのです。
コンビニカゴのマーケティング例
コンビニエンスストアの購買行動を調べた研究では、1回あたりの平均購入個数は約3個、そのうち 1〜3個だけ買う人が全体の約7割 を占めていました。
多くの人は「必要なものだけをサッと買う」という行動をとっており、裏を返せば 4個以上買う人は少数派 です。
そんななか、ある店舗が行った小さな工夫が紹介されていました。
入口に加えて「売場の途中」にも買い物カゴを置く
通常、カゴは入口のみに置かれています。
そこでその店舗は 売場の中ほどにもカゴを追加設置。
片手がいっぱいになったとき
想定より買いたいものが多くなったとき
目に入る位置へ置いたのです。
売上が動いた
カゴ利用率が10%増加
売上が3%上昇
値引きも、広告も、キャンペーンも行っていません。ただ カゴという器を手に取りやすくしただけ で購買行動が変わったのです。
人は器を持つと、そこを自然と埋めたくなる。
ワイングラスを買うとワインを飲みたくなる。トートバッグを持つとつい物を入れたくなる。
この心理がコンビニで活かされた事例です。
行動を変えるのは「意識」ではなく「環境」である
消費者は「もっと買おう」「購買数を増やそう」と意識して行動しているわけではありません。 その瞬間の 環境のちょっとした変化によって、購買行動が自然に変わるのです。
マーケティングで成果が出るのは、大掛かりな施策や派手な企画だけはなく、こうした 日常の行動に潜む小さなインサイトを捉えたときだと感じます。
インサイトを見つけるポイント
言葉と行動の差分を見る
「健康が大事」と言いながら深夜にラーメンを食べる。この差分は矛盾ではなく「葛藤」です。インサイトは、言葉そのものではなく「なぜそのズレが生まれているのか」を深掘りした先にあります。
「感情の揺れ」に注目する
なぜその広告は炎上したのか? なぜその一言に違和感を覚えるのか? 強い感情(怒りや違和感)は、その人が「大切にしている価値観」が刺激されたサインです。
平均ではなく「分布」を見る
「なぜ一部の人だけが極端にリピートするのか」「なぜ想定外の層が買っているのか」といった分布の偏りにこそ、文脈のヒントがあります。
「なぜ?」を一段深く問う
「痩せたい」→なぜ?→「健康でいたい」→なぜ?→「自分に自信を持ちたい」。 問いを重ねることで、機能的な欲求の奥にある「感情的な欲求」が見えてきます。インサイトとは、機能ではなく感情の起点に近いものなのです。
まとめ:インサイトは「人間理解」の出発点
なぜ、マーケティングにおいてインサイトが大切なのでしょうか。
その理由は、インサイトを探るプロセスそのものが、単に数字を眺めて判断する作業ではなく、人の行動を生み出している 「背景の理由」 に向き合うことだからだと思っています。
数字は「100人が買った」という結果(現象)は示してくれますが、
「なぜ買ったのか」
「なぜ残りの900人は買わなかったのか」
といった“行動の源”までは語りません。
その理由を理解できなければ、同じ施策を続けるべきなのか、別のアプローチへ転換すべきなのか、正しい判断を下すことは難しくなります。
インサイトを 人間理解の出発点 として扱い、日々問い続ける姿勢を持っておきたいものです。インサイトに向き合うことは、マーケティングを人を理解する仕事へと引き上げてくれるはずです。
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【記事を書いた人】

株式会社HONE
マーケター 亀元梨沙子











