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【レポート】インサイトの見つけかた~人間理解から始まるマーケティング~

  • 20 時間前
  • 読了時間: 7分

更新日:2 時間前

インサイトの見つけ方

「顧客のニーズに応えているはずなのに、なぜかヒットしない」「アンケートの声通りに改善したのに反応が薄い」。


よくある悩みですが、その原因は顧客自身も気づいていない「インサイト」を見落としているからかもしれません。

本記事では、先日開催されたウェビナー「インサイトの見つけかた」の内容を抜粋してご紹介します。インサイトを考えることの重要性や、どう見つけて実務に接続すべきかについて、私自身の視点も交えながら、紐解いていきます。



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セミナー資料



インサイトとニーズ


ニーズとインサイト
ニーズとインサイト

「インサイト」という言葉は頻繁に使われますが、実際には「ニーズ」と混同されているケースも少なくありません。


  • ニーズ 消費者が自覚している欲求であり、言語化できるもの。アンケートで「こうしてほしい」と説明できる、いわば顕在化した欲求です。

  • インサイト 無意識の行動を支配している心理。本人が明確に自覚していないことも多く、体験後に「ああ、これが欲しかったのか」と腹落ちするようなものです。よく使われる「氷山モデル」でいえば、水面下に沈んでいる部分にあたります。


ヒアリングで出てくるのは、顕在ニーズです。

「若者を増やしたい」「観光客を呼びたい」「単価を上げたい」

しかし、これらはあくまで表層に過ぎません。本当に問うべきは、その奥にある葛藤や不安、あるいは守りたい価値です。そこに触れない限り、施策は対症療法に終わってしまいます。



「建前」と「本音」を理解する


建前と本音

ダイエット市場を例に考えてみましょう。


顕在ニーズは「痩せたい」ですが、その裏にあるインサイトは「(本音では)苦しい思いをせずに痩せたい」があるとします。

この場合、競合はジムではなく、サプリメントや特保のお茶になります。


カテゴリ選定においてインサイト理解が必要なのは、人は「商品カテゴリ」ではなく「欲求を満たす手段」を選んでいるからです。 カテゴリ定義を間違えると、競合も、訴求も、勝ち筋もすべてズレてしまいます。「私たちは何と競っているのか」を定義するためには、顧客インサイトの理解が欠かせません。



人は「建前」と「本音」のあいだで揺れ動いている


3つのコンセプト策定
流用元:マクドナルド

3つのコンセプト策定
流用元:マクドナルド


ユーザー心理は一枚岩ではなく、相反する欲求が同時に存在しています。

例えば、マクドナルドの事例。 アンケートでは「ヘルシーなメニューが欲しい」という声が集まりましたが、実際に大ヒットしたのは高カロリーな「クォーターパウンダー」でした。


「ヘルシーでありたい」と思う一方で、「背徳的なものを食べたい」とも願っています。どちらも嘘ではなく、どちらも本音です。


ではなぜ、アンケートにはヘルシー欲求が出やすいのでしょうか?

それはアンケートが「理想の自分」を語りやすい場だからです。「ヘルシー」は社会的に望ましく言語化もしやすい。一方で「理性を手放したい」という欲求は語りづらく、データに残りにくいのです。結果として、「語りやすい欲求」がデータに残り、「語りにくい欲求」が行動を決めるという現象が起こりえます。



「どの欲求が勝つか」を見極めること


意思決定を左右しているのは、欲求そのものよりも「文脈(コンテキスト)」とも言われています。


サラダマックが振るわなかったのは、ヘルシー欲求が間違っていたからではなく、それが優位になる「文脈」を見誤ったからです。逆にクォーターパウンダーは、「今日はがっつり満たされたい」という欲求が勝つ瞬間を的確に捉えていました。


マーケティングにおいてインサイトを捉える重要性は、「人間心理の葛藤を理解し、どの瞬間にどの欲求が勝つのか」を見極めることにあるのです。



コンビニカゴのマーケティング例


コンビニエンスストアの購買行動を調べた研究では、1回あたりの平均購入個数は約3個、そのうち 1〜3個だけ買う人が全体の約7割 を占めていました。

多くの人は「必要なものだけをサッと買う」という行動をとっており、裏を返せば 4個以上買う人は少数派 です。


そんななか、ある店舗が行った小さな工夫が紹介されていました。



入口に加えて「売場の途中」にも買い物カゴを置く


通常、カゴは入口のみに置かれています。

そこでその店舗は 売場の中ほどにもカゴを追加設置


  • 片手がいっぱいになったとき

  • 想定より買いたいものが多くなったとき


目に入る位置へ置いたのです。



売上が動いた


  • カゴ利用率が10%増加

  • 売上が3%上昇


値引きも、広告も、キャンペーンも行っていません。ただ カゴという器を手に取りやすくしただけ で購買行動が変わったのです。

人は器を持つと、そこを自然と埋めたくなる。

ワイングラスを買うとワインを飲みたくなる。トートバッグを持つとつい物を入れたくなる。

この心理がコンビニで活かされた事例です。



行動を変えるのは「意識」ではなく「環境」である


消費者は「もっと買おう」「購買数を増やそう」と意識して行動しているわけではありません。 その瞬間の 環境のちょっとした変化によって、購買行動が自然に変わるのです。

マーケティングで成果が出るのは、大掛かりな施策や派手な企画だけはなく、こうした 日常の行動に潜む小さなインサイトを捉えたときだと感じます。



インサイトを見つけるポイント


  1. 言葉と行動の差分を見る

「健康が大事」と言いながら深夜にラーメンを食べる。この差分は矛盾ではなく「葛藤」です。インサイトは、言葉そのものではなく「なぜそのズレが生まれているのか」を深掘りした先にあります。


  1. 「感情の揺れ」に注目する

なぜその広告は炎上したのか? なぜその一言に違和感を覚えるのか? 強い感情(怒りや違和感)は、その人が「大切にしている価値観」が刺激されたサインです。


  1. 平均ではなく「分布」を見る

「なぜ一部の人だけが極端にリピートするのか」「なぜ想定外の層が買っているのか」といった分布の偏りにこそ、文脈のヒントがあります。


  1. 「なぜ?」を一段深く問う

「痩せたい」→なぜ?→「健康でいたい」→なぜ?→「自分に自信を持ちたい」。 問いを重ねることで、機能的な欲求の奥にある「感情的な欲求」が見えてきます。インサイトとは、機能ではなく感情の起点に近いものなのです。



まとめ:インサイトは「人間理解」の出発点


なぜ、マーケティングにおいてインサイトが大切なのでしょうか。

その理由は、インサイトを探るプロセスそのものが、単に数字を眺めて判断する作業ではなく、人の行動を生み出している 「背景の理由」 に向き合うことだからだと思っています。


数字は「100人が買った」という結果(現象)は示してくれますが、

「なぜ買ったのか」

「なぜ残りの900人は買わなかったのか」

といった“行動の源”までは語りません。


その理由を理解できなければ、同じ施策を続けるべきなのか、別のアプローチへ転換すべきなのか、正しい判断を下すことは難しくなります。


インサイトを 人間理解の出発点 として扱い、日々問い続ける姿勢を持っておきたいものです。インサイトに向き合うことは、マーケティングを人を理解する仕事へと引き上げてくれるはずです。



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