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「幸福度No.1」のコメダ珈琲が、売上でスターバックスに勝てない理由とは?心地よさと経済は両立するのか?

  • 2 分前
  • 読了時間: 9分
生きるための表現手引き

日経クロストレンドの「コメダがブランド幸福度でスタバ越え 5万人参加の会員サイトで生む絆」の記事によると、同店は日経クロストレンドが実施した顧客幸福度ランキングのカフェ分野で、ゴンチャ、スターバックス コーヒーを抑えて1位となりました。


支持の背景には、商品力や店舗空間に加えて、顧客との距離の近さをリアルとオンラインの両面で丁寧に設計してきたことがあるそうです。


ファンを大切にし、圧倒的な居心地の良さを提供するコメダ珈琲。一方で数字に目を向けると、スターバックスの売上高はコメダの約5.6倍と、大きな差があります。


なぜ、人を幸せにするブランドが経済のトップラインで勝てないのか。なぜ私たちはスターバックスの方を優先して利用してしまうのか。


今回は「幸福度と経済のジレンマ」について、コメダ珈琲の本当の競合の正体を交えながら、ブランド戦略の本質を掘り下げていきます。



私がいつも足を運んでしまうのは「スターバックス」


日経クロストレンドが発表した「ブランド幸福度でコメダがスタバ越え」というデータ(2026年6月記事より)は個人的に大変興味深い内容でした(有料記事となりますが詳しくはクロストレンドをご覧ください)。


私自身もコメダ珈琲は大好きです。嫌いになるポイントがありません。しかし、「ここ1週間でつい入ってしまったカフェはどこですか?」と言われると、圧倒的に「スターバックス」となります。


スターバックスとコメダの空間設計比較図。左に明るいモダンな店内、右に木目と赤ソファの喫茶店。売上や店舗数、座席設計の差を表で示す。
スターバックスとコメダ珈琲の空間設計比較(生成AIにて制作)

売上高約3,251億円のスターバックスに対し、コメダ珈琲は約572億円。店舗数もスターバックスが2倍以上の差をつけています。コメダ珈琲の方が幸福度が高いですが、経済的にはスターバックスの方に軍配が上がっています。


ここで私が考えた問いは「ブランド幸福度は、売上のトップラインを上げる決定打にはなるのか?(またはならないのか?)」です。


もう少し掘り下げて考えていきたいと思います。



スターバックスに「幸せそうな人」はいるのか?


スターバックスの店内を想像してみてください。


店内にいるのは、MacBookを叩くビジネスパーソン、イヤホンをして勉強に没頭する学生、スマホを無表情で見つめる人、ではないでしょうか?(もちろん、すべてではないことは承知の上ですが)


大阪城公園森ノ宮店
スターバックス大阪城公園森ノ宮店(HPより流用)

「幸せそうな笑顔」を浮かべている人はあまりいないように感じます。


店内には適度な緊張感があり、隣の席との距離も近く、注文〜サーブはセルフサービス、注文も少し分かりづらい。決して「リラックスできる安らぎ」が揃っているわけではありません。しかし、なぜ私たちはスターバックスを使ってしまうのか。


その理由は、スターバックスが提供しているのが「安らぎ」ではなく、「都市のインフラ」だからだと思っています。


私にとってスターバックスに行く目的は、現代人にとって「仕事モードへのスイッチ」であり、おしゃれな空間を言わば消費するような「自己表現(ステータス)」の側面を持っています。さらに、駅前の一等地に必ずあるという圧倒的なアクセスの良さ(利便性)が、私たちの行動を無意識に紐づけているように思います。


私たちは「幸福」を求めてスターバックスに行くのではなく、現代の都市生活を円滑にサバイブするためのインフラとして、半ば依存的にスターバックスを利用しているのではないかと考えています。


コメダ珈琲の本当の競合は、スターバックスではなく「自宅」


一方で、コメダ珈琲はどうでしょうか。


高いパーテーション、ふかふかの赤いベロアソファ、そしてメニューの写真よりデカいカツパン(逆写真詐欺)。コメダ珈琲に行くと、私たちは強制的に「オフモード」になります。カリカリ仕事をしようとしている人はスターバックスと比べると少ない印象です。


木目とレンガの温かいレストラン内で、赤いソファ席に女性が1人座り、静かに食事している。
コメダ珈琲店内(HPより流用)

ここまで筆を進めていて、重要な気づきがあります。それは、コメダ珈琲の本当の競合は、スターバックスではなく「自宅(リビングまたは書斎)」なのではないか?ということです。


  • スターバックス: 自宅やオフィスで集中できないときの「書斎・ワークスペース」の代替

  • コメダ珈琲: 自宅のリビングより、ちょっと静かで、自分を甘やかせる「第二の実家」


コメダ珈琲が競合しているのは、他のカフェチェーンではなく、私たちの「家でゴロゴロしたい時間」ではないか?ということです。


だからこそ、他のカフェチェーンよりも幸福度は高いのですが、ここに経済的な限界も生まれているのではないでしょうか。人間、1日に「家」へ帰る回数は限られていますし、実家にいるときは「お金を使おう」というアクティブな消費マインドになりにくいものです。


コメダ珈琲の心地よさは消費を促す心地よさではなく、「ずっとここにいたい、という意味での心地よさ」なのです。



結論:本当の心地よさと経済は両立するのか?


では、ブランドにおいて「本当の心地よさ」と「経済」は両立しないのでしょうか。


スターバックスは「経済合理性と人間の承認欲求」を刺激することで、圧倒的な「量(売上・店舗数)」を拡大しました。一方でコメダ珈琲は、拡大のスピードや規模では勝てなくても、「顧客の愛着(LTV・生涯顧客価値)」を最大化することで、高利益でファンに囲まれた強固なビジネスモデルを築いています。


マーケティングの現場にいる私たちは、ついスターバックスのような空間をつくりたい、トップラインを上げたいと思いがちですが、自社が本当に提供すべきは、スターバックスのような「都市のインフラ(効率的な出店)」なのか、それともコメダ珈琲のような「本当に心地よい居場所(幸福度の高いお店づくり)」なのかは今一度考えてみても良いかもしれません。


「幸福度No.1」というニュースの裏にある経済とのバランスは、私たちが自社のブランド戦略を設計する上で、とても大切な問いを投げかけてくれたと思っています。


参考データ:

  • スターバックス コーヒー ジャパン:決算公告(2024年度)

  • コメダホールディングス:2025年2月期 決算短信



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【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。

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