駿府城再建のプレゼンを全スライドで振り返ってみた。【マーケティングプレゼン対決】
- 桜井 貴斗

- 5 日前
- 読了時間: 8分
更新日:4 日前

2025年11月21日、静岡マーケティングサロンと徳川みらい学会が 「アイデアで天下統一!マーケティングプレゼン対決」が開催されました。
テーマは「徳川家康公を活かして、静岡市を活性化せよ!」。集結したのは静岡の最前線で戦う30代・40代の現役マーケターたち。
「観光・採用・新規事業」の3つをテーマに、地域資源を単なる歴史談義ではなく「稼げる資産」へと変えるマーケティング戦略が競われました。
今回は、オープニングアクトを担当した私、桜井のプレゼンを全スライドを出し、振り返りたいと思います。駿府城再建派のみなさんにとっては必読の内容となっています。
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私に課せられたミッションとは?
プレゼン時間は7分。評価対象とならないオープニングアクト(いわゆる前説)。お題は「マーケティングとブランディング目線から見た静岡市の課題と可能性」。
限られた時間で端的に、インパクトを持ってもらうにはどうするか?そして次の演者に繋げるために盛り上がる話題提供は何か?と考えた際に思い浮かんだのは「駿府城を建てること」でした。
城を建てることをゴールにした場合、どんな組み立て方ができるか?を考えた際、一見、城を建てることは「いいね!」となるけれど、「無謀じゃない?実際にできるの?」といった疑念を持たれるだろうと思いました。
そこで、
直近の再建事例
定量的なエビデンス
実現可能性
あたりを中心にプレゼンを組み立てようと思い、スライドを作成しました。

静岡市の「ランドマーク」と聞いてなにを思い浮かべますか?
駿府城再建に繋げるために静岡市の課題を共通化しようと思い、まず「ランドマークはあるか?」という問いを投げてみました。



ランドマークが「ない」とは言わず(実際はないのですが)、統一されていないという柔らかい表現にしました。
あまり攻めすぎてしまうと内容が頭に入ってこないだろうと考えた次第です。


その後、ランドマークがあったらどんな良いことがあるのか?という状態(とそのメリット)を会場の皆さんと共有しました。
ランドマークをつくるのは「観光」と「移住」につながる、というポジティブなイメージを持ってもらうことを意図としています。
観光課題だらけの「静岡県」
次に、会場の皆さんが疑問に感じるであろう「観光と移住といっても静岡ってぶっちゃけどうなの?」といったクエッションにアンサーをするスライドを用意しました。
具体的には、
静岡県は旅行消費額が著しく低いこと
観光消費額は市場規模の「0.18%」のみ
観光訪問者数、消費額ともに全国平均以下
といった数字を用いながら課題を明るみにしていきました。


以上のことから、
ランドマークが統一されていない
ランドマークがあれば観光と移住にインパクトを与えられる
現状、観光では全国的に遅れをとっている
といった内容をプレゼンしていきました。
「城」のエフィカシーを高める
ここまでは静岡の課題への共通認識を持ってもらうことを意識してプレゼンしました。ここからは城パートです。城のエフィカシー(いける感)を持ってもらうことを念頭におきながら、
なぜ私が城を推すのか
なぜ城に詳しいのか
城が良いのは本当か
を理解してもらうためにプレゼンを続けました。




上記の、
なぜ私が城を推すのか
なぜ城に詳しいのか
城が良いのは本当か
の問いの答えは以下の通り整理しプレゼンをしました。
なぜ私が城を推すのか
城が最も経済的・社会的インパクトが大きいから
なぜ城に詳しいのか
1年間で多くの天守閣を自分の目で見てきたから
城が良いのは本当か
岡山城の関係者に再建にまつわるエビデンスをとった
そして、岡山城再建についての事例パートへ移行します。
天守閣再建を成功させた「岡山市」
ここでの会場は「なんとなく城が良さそうなのはわかったけど、実際のところどうなの?いけるの?」といった空気感だったと思います。
そこで、「静岡市にでもできるように、静岡市と同等の規模での成功事例」を引き合いに出すことにしました。



ここまで話をして、岡山市はほぼ静岡市と同じ規模である、という理解を得ることができました。ここからは岡山城が再建された後の実績について続けました。


ここからは岡山市の圧倒的な実績(経済効果)の話をして畳み掛けます。数字は岡山市さんが公式に発表しているため、信ぴょう性も高いものとなっています。




以上のように、もはや建てない選択肢はないくらいの経済的なインパクト、社会的なインパクトがあることを理解してもらうことを意図して話しました。
そして、「同じ規模の岡山市でできるのなら静岡市にできないはずはない」という逃げ道を消す提案でもあります。ここはあえて語気を強めました。
今一度、静岡市の現状に立ち戻る
では静岡市は歴史・文化領域においてどんな場所に投資したのか?について今一度振り返ってみます。記憶に新しいのは2023年に前市長肝入り事業であった静岡市歴史博物館ではないでしょうか。
総工費 / 62億円
来場数 / 28万人
年3億円赤字
と初期投資の割にかなり苦しい実績を引き合いに出しました。


少し暗いトーンで話したあと、もう一度岡山城に立ち戻ります。
それは、岡山城の口コミついて。ポジティブな声が多いのですが、特に口コミの55.9%は天守閣にまつわるものでした。ここで、天守閣があることでここまでの静岡市の失敗はまだカバーできる旨を伝えていきます。


さらにダメ押しの事例として、愛媛県大洲市にある、大洲城のキャッスルステイをご紹介。人口4万人程度の町に1泊100万円で宿泊する試みをしている宿です。


締めは歴史の言葉から引用
締めは岡山市のとある方よりご紹介いただいた涅槃より、宇喜田直家が提唱したと言われる「武家と商人が融合したまちづくり」という言葉を現代版に翻訳。
武家と商人=現代は「行政と民間」が手を取り合って進めていきましょう、と締めました。








最後に(駿府城再建に向けて)
以上がお題「マーケティングとブランディング目線から見た静岡市の課題と可能性」に対する桜井のプレゼンでした。参考になれば幸いです。駿府城再建派の皆さん、ぜひ駿府城を建てましょう。
▼企画、主催、運営をした静岡マーケティングサロンの山崎さんのnoteもあわせてご覧ください。
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【記事を書いた人】

株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。










