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マーケティングを突然任された人へ。初学者におすすめしたい5冊【推薦書】

  • 7月31日
  • 読了時間: 13分
コンテキスト・リーダーシップを読んで。「最高の上司」と「最悪の上司」は文脈で決まる【書評】

来月から、会社のSNSを担当してほしい、新商品の売上を伸ばす方法を考えてほしい、など、地方企業や中小企業では、ある日突然、マーケティングを任されることがあります。


ところが、いざ勉強しようとすると、広告、SNS、ブランディング、リサーチ、データ分析など、学ぶことが多すぎて、どこから手をつければいいのかわからないこともあるかと思います。


私自身も最初からマーケターだったわけではありません。


求人メディアの営業を経験し、新規事業の立ち上げや自社のマーケティングに関わる中で、少しずつ学んできました。その過程で感じたのは、初めからフレームワークや施策を覚える必要はない、ということです。


大切なのは、まずマーケティングの全体像を掴み、次に人間の行動を理解し、最後に自分たちの思い込みを事実やデータで点検することです。


今回は、私がこれまでHONEブログやnoteで実際に取り上げてきた本の中から、マーケティング初学者におすすめしたい5冊を、読んでほしい順番で紹介します。


名著ランキングではなく、私自身がマーケターになる前から現在まで、何を学び、どこで考え方が変わってきたのか。その順番を辿るための5冊を選びました。


ぜひ最後までお読みいただけたら嬉しいです。





1.『USJのジェットコースターは なぜ後ろ向きに走ったのか?』


マーケティングは「ひらめき」ではなく、考える順番である


最初の一冊は、森岡毅さんの『USJのジェットコースターは なぜ後ろ向きに走ったのか?』です。


私自身、マーケターになる以前にこの本と出会いました。


タイトルだけを見ると、奇抜なアイデアの作り方を学ぶ本に見えるかもしれません。しかし、本書から学べるのは、天才的な発想よりも、限られた条件の中で目的・戦略・戦術を整理し、考えるべき場所を絞ることの大切さです。


地方企業や中小企業には、人も予算も時間も潤沢にあるわけではありません。だからこそ、いきなり広告やSNSを始めるのではなく、まず「何を達成したいのか」「どこに資源を集中するのか」を決めなければなりません。


マーケティングを初めて学ぶ人には、理論書を読む前に、まずこの本で「マーケターはどのように問題を捉え、考え、動くのか」を体感してほしいと思います。


こんな人におすすめです。


  • マーケティングについて、まだほとんど勉強したことがない人

  • アイデアを出すことがマーケティングだと思っている人

  • 施策を考える前に、目的・戦略・戦術の違いを掴みたい人


▼HONEの書評記事はこちら




2.『「あなたの知らない」マーケティング大原則』


「誰に、どんな価値を届けるのか」を考える


次におすすめしたいのが、足立光さん、土合朋宏さんの『「あなたの知らない」マーケティング大原則』です。


マーケティングを任されると、多くの人は「何をするか」から考えます。SNSを始める。広告を出す。キャンペーンを行う。チラシを作るなど。


しかし、それらはすべて手段です。本来は、その前に「誰に、どんな価値を届けるのか」を決めなければなりません。本書で紹介されるABCという考え方では、戦略的コンセプトを次の3点から整理します。


  • Audience:誰に届けるのか

  • Benefit:どんな便益や価値を提供するのか

  • Compelling Reason Why:なぜ、その価値を提供できると言えるのか


非常にシンプルですが、私は今でもこのフレームを使っています。


地方企業の現場では、商品を作ったあとに「さて、どう売ろうか」と相談を受けることが少なくありません。しかし、誰に何を提供するのかが曖昧なままでは、広告表現も営業先も売り場も決まりません。


施策を増やす前に、事業や商品の中心にある約束を決める。この本は、そのための基本を学べる一冊です。


こんな人におすすめです。


  • SNSや広告など、施策の話ばかりが先行している人

  • 自社商品の価値をうまく説明できない人

  • ターゲットやコンセプトの基本を学びたい人




3.『“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?』


マーケティングの本懐は「人間理解」である


3冊目は、芹澤連さんの『“未”顧客理解』です。


私は過去のnoteで、『“未”顧客理解』と次に紹介する『パーセプション』を「マーケターと名乗るのであれば必読」と書いたことがあります。


「商品を買ってくれた人だけ」を見ていると、なぜ買っていない人がいるのか、どんな場面なら選択肢に入るのかが見えてきません。マーケティングとは、商品を売るためのテクニックを増やすことではなく、人がいつ、どんな状況で、何を求め、どのように行動するのかを理解する仕事です。


例えば、サウナの競合は別のサウナ施設だけとは限りません。「疲れを取りたい」「気分転換したい」という目的から考えれば、飲み会、読書、整体、旅行も競合になり得ます。


ここで重要になるのが、カテゴリーエントリーポイント、いわゆるCEPです。CEPとは、生活者が何かをしたいと思ったときに、商品やブランドを思い出すきっかけです。


年齢や性別だけで顧客を区切るのではなく、「いつ・どこで・誰と・なぜ必要になるのか」から考える。この視点を持つと、顧客の捉え方も競合の範囲も大きく変わります。


▼参考:カテゴリーエントリーポイント(CEP)とはなにか?事例、参考になる本/書籍を紹介



こんな人におすすめです。


  • 既存顧客のアンケートだけで商品や施策を考えている人

  • ペルソナを作ったものの、実際の企画につながっていない人

  • 顧客の利用場面や、買わない理由まで理解したい人



4.『パーセプション 市場をつくる新発想』


「伝えること」ではなく、「認識がどう変わるか」を考える


4冊目は、本田哲也さんの『パーセプション 市場をつくる新発想』です。


企業側が情報を伝えたからといって、生活者がその通りに理解し、すぐに行動してくれるわけではありません。商品を知らない状態から、存在を知って、自分に関係があると感じ、試してもよいと思いはじめ、実際に手に取ってみる、購入の間には、いくつもの認識の変化が存在します。


この本を読むと、マーケティング施策を「何を発信するか」ではなく、「相手の認識を、現在地からどこへ動かしたいのか」という視点で考えられるようになります。


SNS、広告、広報、営業、店頭づくりがバラバラになるのは、それぞれの施策を担当する人が違うからだけではありません。顧客にどんな順番で認識を変えてもらうのかが、共有されていないことも大きな原因です。


まず現在の認識を知り、次に目指す認識を決め、その変化に必要な情報や体験を設計する。施策を一貫させるための補助線になる一冊です。


こんな人におすすめです。


  • SNS、広告、広報、営業の内容がバラバラになっている人

  • 認知はあるのに、購入や来店につながらず悩んでいる人

  • 顧客の行動変容を段階的に考えたい人




5.『戦略ごっこ―マーケティング以前の問題』


マーケティングの「当たり前」を、エビデンスで点検する


最後におすすめしたいのが、芹澤連さんの『戦略ごっこ』です。初学者が最初の一冊として読むには少し(いや、相当)歯ごたえがあります。だからこそ、前の4冊を読んだあとに手に取ることをおすすめします。


マーケティングの世界には、「ターゲットは狭く絞るべき」「熱狂的なファンを育てるべき」「差別化しなければ売れない」といった、もっともらしい定説がたくさんあります。


もちろん、これらが有効な場面もあります。しかし、どんな企業や市場にも当てはまるとは限りません。


『戦略ごっこ』は、海外論文や実証研究をもとに、マーケティングで語られてきた定説を一つずつ点検していく本です。


地方企業は、使える人・モノ・お金が限られています。

だからこそ、誰かの成功事例や流行している手法へ安易に乗るのではなく、「その主張にはどんな根拠があるのか」「自社の規模や市場にも当てはまるのか」を考える必要があります。


この本を読んでから、私自身も、ロイヤルティより先に浸透率を見ること、顧客の態度だけでなく実際の行動を見ること、生活の文脈からマーケティングを考えることを、より強く意識するようになりました。


学んだフレームワークを正解として振り回すのではなく、事実と現場に照らして使い直す。その姿勢を身につけるための一冊です。


こんな人におすすめです。


  • マーケティングの本を何冊か読み、主張の違いに混乱している人

  • 成功事例や流行の施策を自社に当てはめて、うまくいかなかった人

  • 経験や感覚だけでなく、根拠を持って判断したい人




本を読むのは、「正解を覚えるため」ではなく、「現場で問い直すため」


今回紹介した5冊は以下の通りです。


  1. 『USJのジェットコースターは なぜ後ろ向きに走ったのか?』で、目的・戦略・戦術の順番を掴む

  2. 『マーケティング大原則』で、誰にどんな価値を届けるのかを考える

  3. 『“未”顧客理解』で、買っていない人を含めた「人間の行動」を見る

  4. 『パーセプション』で、認識から行動までの変化を設計する

  5. 『戦略ごっこ』で、自分たちの思い込みをエビデンスで点検する


本を読んだだけでマーケティングができるようになるわけではありません。


「わかる」と「できる」の間には、大きな隔たりがあります。さらに、与えられた課題を解けることと、現場から課題そのものを見つけられることも別の能力です。


私は、本を読むときに一つでもよいので、現在の仕事へ持ち帰る問いを決めるようにしています。


  • この考え方は、自社のどの課題に使えるか

  • 自社にも当てはまると言える事実はあるか

  • 明日から変えられる行動は何か


この3点を考えるだけでも、読書は知識の収集から、実践のための時間に変わってきます。


『戦略ごっこ』まで読み、さらに数字や確率まで踏み込みたい人は、森岡毅さん・今西聖貴さんの『確率思考の戦略論 どうすれば売上は増えるのか(赤本)』へ進んでみてください。


難易度は上がりますが、2冊を行き来することで、ブランドが成長する構造をより深く理解できると思います。



おわりに


マーケティングを突然任されると、まずSNS、広告、キャンペーンなど、目に見える施策を求められます。しかし、本当に最初に取り組むべきなのは、目的を決め、人を理解し、どんな認識と行動の変化を生み出したいのかを考えることです。そして、その仮説を事実と現場で確かめながら、実行を積み重ねていくことが何よりも大切になります。


今回紹介した5冊は、私自身がそこへ至るまでの学びの順番でもあります。すべてを一度に読む必要はありません。今の自分が困っている場所に近い一冊から読み、ぜひ自社の事業や目の前の仕事に当てはめてみてください。


HONEでは、地方企業・中小企業の皆さまに向けて、知識を学ぶだけで終わらせず、自社の課題を題材に考える実践型のマーケティング研修も行っています。本を読んでも自社への落とし込み方がわからない場合は、お気軽にご相談ください。



HONEは地域に根ざし、現場に足を運ぶマーケティング会社です。


日本の地方には、魅力的な商品・サービスがたくさんあります。


地方に根ざしたブランドの志や文化、人々の誇りや営み。HONEはそうした人たちの想いを価値に変えるべく、現地に出向いてきました。 私たちは、文化と経済の「骨」を設計し、地域の「らしさ」を未来へつなげる仕組みを育てます。 論語と算盤。想いと仕組み。美学と実行力。 その両立を、マーケティングの力で実装していきます。


HONEは地域に根ざし、現場に足を運ぶマーケティング会社です。


▼HONEにできること


語られていない価値の「骨」を探す

商品や地域の中にある「想い」や「背景」は、まだ言語化されていないだけかもしれない。 それらを丁寧にすくい上げ、ブランドの芯として翻訳します。 見落とされがちな隠れた価値に役割を与えることが、事業の骨格をつくるはじまりです。


現場に入り、五感を使って「骨」を磨く

戦略も仕組みも、現場を歩き、対話することから始まります。 地形、歴史、空気、人の言葉やまなざし。デスクリサーチでは捉えきれない情報を五感で受け取り、定量と定性、論理と情緒、ロマンとそろばんを掛け合わせて、設計に落とし込みます。


手を動かしながら、「骨」を強くする

支援とは、プランを出して終わりではありません。 現場に入り、泥臭く、時に失敗しながら共につくりあげていきます。 頭で考えて、手足を動かす中で生まれる「実感」こそが、骨を太くし、しなやかに持続する構造を育てていきます。


文化となる「骨格」を、未来へ残す

目指すのは、ただ売ることではありません。 地域に根ざした文化や営みに芯を通し、事業として持続可能なかたちに育てていくこと。短期的な成果ではなく、関わる人たちの誇りとなり、語り継がれていく仕組みをデザインします。 HONEは、経済と文化をつなぐ骨を共につくり、未来へと残していきます。


▼HONEにできること


▼HONEの強み


01/一貫サポート

戦略設計から実行〜検証まで。経営課題の整理から、現場を動かす具体的な仕組みづくりまでを、一貫して支援します。リサーチ・企画・実装・振り返りのすべてに伴走し、商品・サービスの価値を再定義しながら、現場に根づく事業を共につくります。目指すのは、短期的な成果だけでなく、文化が息づき、長く続く事業と地域のかたちです。


02/現場主義

デスク上、リモートワークでは見えない、地域の空気や人の温度に触れる。HONEは現地に足を運び、実際に現場の風景・人の営みに向き合いながら、これまでの現場で得た経験則を元に戦略・戦術に反映していきます。現在起こっている事実に基づく分析はもちろんのこと、解釈に現場の五感で得た気づきを重ね合わせ、実装へとつなげていきます。


03/全国実績

北は北海道、南は沖縄まで、一次産業から観光、教育、行政、ベンチャー、スタートアップ、アトツギなど、多種多様なプロジェクトに携わってきました。たくさんの地域を見てきたからこそ、それぞれの良さに気づくことができます。そして土地に根付くその事業の「らしさ」を、より鮮明に見つけることができます。全国各地で積み重ねた知見を、次の挑戦に活かします。


04/産学官連携

企業・教育機関・行政と手を取り合い、対話を重ねながらプロジェクトを推進しています。 単なる連携にとどまらず、それぞれの立場が持つ知見や資源を持ち寄り、地域に根ざして実装していくこと。 現場での実践と、学びの場での理論、そして制度や仕組みをつなぐ橋渡しとして、多様なセクターの信頼を得ながら取り組みを展開しています。


▼HONEの強み


なぜ今、“地方”でマーケティングが必要なのか


マーケティングという言葉には、しばしば「スケールする」「売上を伸ばす」といったイメージが付きまといます。しかし、地方において本当に必要なのは、そうした直線的な成長だけではありません。人口減少、担い手不足、そしてインフラや情報環境の未整備。多くの地域が、さまざまな制約の中で日々の営みを続けています。


制約が多いからこそ、その土地に根ざした価値を継続し、文化や人々の想いを循環させていくための工夫が欠かせません。マーケティングの論理をそのまま持ち込むのではなく、人肌を大切に、想いを大切に、未来へとつなげていく。実装力と創造力を備えた「地方のマーケティング」が必要です。


なぜ今、“地方”でマーケティングが必要なのか


地方に必要なのは、「地域理解」


こうした現場においてまず必要なのは、「何をどう売るか」よりも先に「この地域には何があるのか」「何を残していきたいのか」を知っていく姿勢。つまり「地域理解」です。ブランド構築の土台を固めるには各レイヤーごとに把握すべきポイントを理解することが重要です。


地方に必要なのは、「地域理解」

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。

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